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▼この記事を読んで欲しい人 
  • 不労所得に興味がある人
  • 不労所得で確定申告に不安がある人
  • 不労所得の税金を減らしたい人
▼この記事を読んでわかること
  • 不労所得にかかる税金について
  • 不労所得の種類とそれぞれの税金
  • 不労所得の税金を減らすための対策について

内容をまとめると

  • 不労所得には様々な種類があり、それぞれ確定申告の条件が異なるので注意
  • 不労所得の税金を減らすためには様々な工夫がある
  • 不労所得の税金を減らすために法人化するおすすめ
  • 資産運用について悩んだらお金のプロであるFPに相談するべき 
  • FP相談サービスで迷ったらマネーキャリアがおすすめ

「不労所得を得た時に確定申告が必要なケースはどんな場合がある?」このような疑問を持っている方は多いでしょう。そこで本記事では、不労所得でも税金はかかるのかどうか、不労所得の種類とそれぞれの税金、不労所得の税金を減らすための対策をまとめました。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

不労所得でも税金はかかるの?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、40代男性からこんな質問をいただきました。


この前友人が株式投資で儲けている話を持ち掛けてきました。

かなり稼いでいるようですが、税金はかからないのですか。


働かずして稼いでものを不労所得と言います。


何らかの仕事の報酬として得るわけではないため、不労所得にははたして税金がかかるのかと疑問に思っている方も多くいるでしょう。


そこでこの記事では、

  • 不労所得でどんな税金がかかるのか
  • 不労所得の種類とそれぞれの税金
  • 不労所得の税金を減らすための対策
について解説したいと思います。

不労所得で税金はかかります。

具体的には、
  • 所得税
  • 住民税
の税金がかかります。

そのなかで特に注意が必要なのは所得税です。

所得税

不労所得で所得税がかかることはお伝えしました。


ただそれは給与所得でも同じなので特に気にする必要はないと感じる方もいるかもしれません。


しかし不労所得の残念なところは場合によっては、普段やり慣れていない会社員でも自分で確定申告をしなければならないところです。


以下からは不労所得で確定申告が必要となるケースを、

  • 会社員
  • 自営業

の2パターンに分けて解説したいと思います。


会社員で、不労所得が年20万円を超えた場合

会社員で不労所得を受けている場合、重要なのが不労所得の総額です。


もし年20万円を超えて受け取っているのであれば、確定申告が必要となります。


では年20万円以下なら問題はないのかというとそうではありません。


もし、

  • 年収が2000万円を超えている
  • 複数から給与を受け取っている
  • 医療費控除を受けようと思っている
のなら、確定申告が必要となります。

自営業

自営業の場合、不労所得の額に関わらず確定申告が必要です。

しかし元から確定申告が必要なので、そこまで影響はないのかもしれません。

住民税

所得税に加えて住民税もかかります。


住民税では確定申告が必要なのかどうか心配することはありません。


なぜなら条件に関わらず確定申告が必要だからです。


所得税も住民税も確定申告を忘れると、余分に課税することになる可能性があるので、十分に気を付けましょう。

不労所得の種類とそれぞれの税金

株式投資の例を出しましたが、不労所得について厳密に言えば、「投資活動のような勝手にお金が動くこと」を意味します。


そのため、不労所得には、

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 一時所得
  6. 公的年金等の雑所得
  7. 公的年金等以外の雑所得
  8. 譲渡所得
なども含めることができます。

ここからは具体的にどういったものが該当するかを一つ一つ解説していきたいと思います。

①:利子所得

一つ目は利子所得です。


利子所得とは、

  • 銀行における預貯金の利子
  • 公社債の利子
  • 公社債投資信託の収益の分配
  • 公募公社債等運用投資信託の収益の分配
  • 合同運用信託の収益の分配
などのことです。

この中で一番身近なものは銀行の利子でしょう。

預けているだけで知らず知らずのうちに利子所得を受けていたことになります。

ただ利子所得は受け取る際に自動的に源泉徴収されているので、確定申告の必要はありません。

②:配当所得

二つ目は配当所得です。


配当所得とは、

  • 株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当
  • 剰余金の分配
  • 基金利息
  • 投資法人からの金銭の分配
  • 投資信託の分配
  • 特定受益証券発行信託の収益の分配
などのことです。

株式投資をする人なら大きく関わってくる所得です。

配当所得には、
  • 申告不要制度
  • 総合課税制度
  • 申告分離課税制度
の3つの課税方法があります。

最も基本的な「申告不要制度」を利用する場合、配当金を受け取る際に源泉徴収されているので確定申告は必要ありません

ところが、
  • 大口株主(持株比率3%以上の株主)が少額でない配当を受ける場合
  • 非上場株式の配当金を受け取る場合
には、「申告不要制度」を利用できず、確定申告が必要となります。

その場合、「総合課税制度」か「申告分離課税制度」のどちらかを選びます。

つまり、株式投資を本格的にやりこんでいる方でなければ、原則確定申告は必要ないということができます。

③:不動産所得

三つ目は不動産所得です。


不動産所得とは、

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
  • 船舶や航空機の貸付け
などのことです。

この中で一番想像されやすいのが土地や建物などの不動産の貸付け、つまり家賃収入でしょう。

家賃収入の場合、入居者の家賃が主な財源になってきますが、管理者としてはメンテナンス料や広告料など様々な経費が必要になります。

家賃よりも経費の方が高くなるということも少なくありません。

このように利益がマイナスになったときに確定申告をすることで赤字を抑えられます。

そのため、本来ならば不動産所得が年20万円以下なら確定申告は必要ありませんが、利益がマイナスになるようであれば、年20万円以下でも確定申告をおすすめします。

④:事業所得

四つ目は事業所得です。


事業所得とは、

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
などの事業を営んでいる人が受け取る所得のことです。

事業と言っても、不動産業を営んでいる人が不動産の貸し付けで受け取る所得は、不動産所得になるので注意してください。

個人で自営業を営んでいる場合、ほとんどが事業所得に該当します。

事業所得では、収入から事業の営業における「必要経費」を差し引いて確定申告をしなければいけません。

その際、「家事関連費」というものが非常に厄介な存在となります。

家事関連費とは、事業用の経費と私用の経費が混在した費用のことで、例えば、自宅と仕事場が兼用となっている場合の水道光熱費・家賃・通信費などが該当します。

一部でも私用で使う費用が含まれているため、家事関連費は全額を必要経費として計上できません

事業用にどれだけ使ったのかを具体的な数値として示せなければ、追徴課税を要求される可能性があるので注意が必要です。

⑤:一時所得

五つ目は一時所得です。


一時所得はここまでの所得と違って、明らかに儲けることを目的としていたわけではない所得を指します。


収入から「収入を得るために支出した金額」と「特別控除額(最高50万円)」を差し引いたものを半分に割って確定申告をする必要があります。


よく似たものに次で紹介する「雑所得」があります。

一時所得と雑所得の違いは以下のようになります。

一時所得雑所得
概要営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得
他の所得にも該当しないことが前提条件
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得
具体例
  • 懸賞や福引きの賞金品
  • 競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金
  • 法人から贈与された金品
  • 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
  • 公的年金等
  • 非営業用貸金の利子
  • 副業に係る所得
必要経費「収入を得るために支出した金額」を差し引ける「必要経費」を差し引ける(※)
課税対象2分の1
全額

事業所得のように必要経費」を差し引くわけではないので、収入を得られなかった分の経費が余分な課税対象となってしまうことに注意してください。

⑥:公的年金等の雑所得

六つ目は雑所得です。


先ほど紹介したように、どの所得にも当たらないものがこの雑所得です。


雑所得の中でも、

  • 公的年金等
  • それ以外
の2つに分けることができ、それぞれ計算方法が異なります。

まず公的年金等の雑所得について解説します。

公的年金等の場合はとてもシンプルです。

収入から公的年金等控除額を差し引くだけで計算できます。

ただし公的年金の中でも一時金は雑所得ではなく一時所得として扱われるので、一緒に含めてはいけません。

雑所得が公的年金等だけなら確定申告の必要はありませんが、次に紹介する公的年金等以外の雑所得が20万円を超える場合、確定申告をする必要があります

⑦:公的年金等以外の雑所得

七つ目は公的年金等以外の雑所得です。


具体的には、

  • ネットオークションの売り上げ
  • 先物取引やFX
  • 仮想通貨
  • 副業に関わる所得
などがあります。

収入から必要経費を差し引いて、20万円を超えた場合にのみ確定申告をする必要があります。

なお一時所得と違い2分の1にされないので、そのままの額が課税対象となります。

デメリットはそれだけではなく、雑所得は白色申告しかできないため、青色申告が認められる事業所得のように大きな税制控除が受けられないこともあげられます。

事業所得なのか雑所得なのかによって大きく異なるので、必ず確認することが大切です。

⑧:譲渡所得

八つ目は譲渡所得です。


譲渡所得とは、

  • 土地や建物
  • 株式
  • 金や宝石
  • 骨董品
  • 機械器具
  • ゴルフ会員権
などの資産を譲渡することによって生ずる所得のことです。

ここで注意したいのが、土地や建物の譲渡であっても、不動産売却を事業として行っているのであれば譲渡所得でなく事業所得、もしくは不動産所得となることです。

譲渡が目的か、売上が目的かによって該当する所得が異なるのです。

さらに、この譲渡所得に関しては、種類によって申告分離課税、総合課税に分かれ、それぞれ確定申告の条件が異なります。

申告分離課税の対象となるものは、
  • 土地や建物
  • 株式
などで、総合課税の対象となるものは、
  • 金や宝石
  • 骨董品
  • 機械器具
  • ゴルフ会員権
などです。

申告分離課税に該当するものを譲渡した際には、「収入」から「取得費と譲渡費用を合わせたもの」を差し引いいて、そこからさらに特別控除を引きます。

その結果、利益が発生した場合には確定申告をする必要があり、逆に経費が収入を上回る、つまり赤字になった場合には確定申告の必要はありません。

総合課税に該当するものを譲渡した際でも、同じ計算方法ではありますが、確定申告をする条件になるのが、物品の値段です。

譲渡する物品が30万円未満の場合、日用生活品として位置付けられ、課税の対象になりません

しかし30万円を超えた場合、直ちにほかの所得と合算されるため、確定申告をする必要が生まれます

このように、譲渡所得では何を売却するのか、どれくらいの値段で売却するのかが重要な鍵となってくるのです。

不労所得の税金を減らすための対策

以上のように、不労所得には様々な種類があることが確認できました。


それぞれの不労所得は計算でいくら税金がかかるのかを計算しなくてはいけません。


場合によっては税金で利益が損失することもあります。


せっかくお金を稼ぎたいと思っても税金で余計なお金を取られてしまっては元も子もないですよね。


そこでここからは、不労所得の税金を減らすための対策を、不労所得別に、

  • 不動産所得
  • 雑所得
  • 譲渡所得
  • 全体に共通する内容
の4つに分けて紹介します。

まず不動産所得に関しては、所有しているだけで節税になりますが、
  1. 青色申告を利用する
  2. 減価償却費を活用する
  3. 一年以上の海外滞在
  4. タワーマンションを保有する
などの対策をするとより大きな節税効果があります。

特に二つ目の「減価償却費」という制度は、不動産を所有するなら絶対覚えておくべき制度です。

減価償却費とは簡単に言うと、一年の経費を複数年にわたって分割することで、額面上の経費を抑えて利益を得られる制度です。

不動産所得では大量の税金が必要になります。

少しでも節税しようとする意識を持っておくことが大切です。

次に雑所得に関しては、当てはまるものが多すぎるので、ここでは夫婦でFX取引を利用している場合を取り扱います。

そこでは、
  1. 複数の会社の損益を合算する(投資信託や上場株式以外)
  2. 繰越控除を利用して年間ごとの損益を補填する
  3. 損失したとしても申告する
  4. FX取引に必要になったものなら経費として計上する
などの対策をするとより大きな節税効果があります。

特に二つ目の「繰越控除」という制度は、FX取引を利用するなら絶対覚えておくべき制度です。

繰越控除とは簡単に言うと、損失が発生した年度の分を繰り越して、利益が発生した年度に合算することで、額面上の利益を少なくして、利益を得られる制度です。

そのため、損失した年度であっても確定申告をすることが必要となるのです。

雑所得は元から税制優遇が受けづらいものなので、工夫して節税を心がけましょう。

そして譲渡所得に関しては、
  • 取得費を証明できるものをなくさない
  • 譲渡費用を証明できるものをなくさない
  • 建物だけでなく土地もすぐに売却するようにする(居住用3,000万円の特別控除)
  • 10年以上所有する(10年超所有軽減税率)
などの対策をするとより大きな節税効果があります。

ただし、三つ目と四つ目の「居住用3,000万円の特別控除」と「10年超所有軽減税率」は併用できるのでかなり大きな節税となるでしょう。

節税のための対策は面倒ではありますが、大きなリターンが自分に返ってくるのでないがしろにしないことが大切です。

最後に全体に共通することとして、
  • 法人化してしまう
という対策が最もおすすめです。

なぜ法人化がおすすめなのかというと、個人に対する所得税が軽減されるからです。

具体的に言うと、
  • 個人に対する所得税は最大で55%
  • 法人化すれば利益が800万円以上であれば原則33%
といった具合に、利益を多くあげている人なら法人化の方がお得になるのです。

またそれ以外にも、
  • 法人化した状態で損失した場合は繰越控除ができる
  • 経費として計上できる範囲が広がる
といったメリットがあります。

とはいえ、いきなり法人化するのは勇気がいりますし、不安になってしまうでしょう。

そのため、ある程度不労所得の収入が大きくなった段階で、情報収集するようにしてみるといいでしょう。

まとめ:不労所得でも税金はかかる

ここまでは不労所得で税金がかかるのかを中心に解説してきました。


この記事のポイントは、

  • 不労所得では、一部所得税と住民税がかかる
  • 不労所得には様々な種類があり、それぞれ確定申告の条件が異なる
  • どの不労所得に当たるのかによって、税制優遇が変わることがあるので、必ず確認するべき
  • 不労所得の税金を減らすためには、様々な工夫があり、面倒な作業になってしまうが、やるだけの価値はある
  • 不労所得の税金を減らすために、法人化してしまうのが一番おすすめ
でした。

不労所得で利益を上げられたら誰でも嬉しいですよね。

そのためには、少しでも多くの節税対策をしたり、忘れずに確定申告をしたりする必要があります。

ただそれには確かな知識を身につける必要があります。

もし知識がなければ、無駄な労力や時間を費し、後悔することになるかもしれません。

そうした事態を避けるために、一度専門家に相談してみるのもいいかもしれません。

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