65歳以降でも満額の年金をもらいながら働くには?確定申告や税金も解説のサムネイル画像
65歳以降も満額の年金をもらいながら働くには、どのような条件を満たす必要があるのか」とお悩みではないでしょうか。

結論、65歳以降も満額の年金を受給しながら働くためには、以下2点を守りながら働く必要があります。
  • 年金と給与の合計を「支給停止調整額」(月額51万円)以下に調整する 
  • 厚生年金保険に加入しない働き方を選ぶ


この記事では、複雑な在職老齢年金制度の仕組みに基づき、65歳以降も満額の年金をもらいながら働く方法具体的な収入調整方法、および税制上の注意点を解説します。

本記事を参考に、公的年金を最大限に確保しつつ、働き続けるための最適な戦略を確立しましょう。

▼この記事を読んで欲しい人
井村FP

65歳以降も老齢厚生年金の全額受給を維持しながら働くには、厚生年金保険に加入しない範囲で労働時間を調整する必要があります。


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この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!
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この記事の目次

「在職老齢年金」とは

在職老齢年金制度とは、60歳以降に会社員として厚生年金に加入し給与を受け取りながら老齢年金を受給すると、その給与額に応じて年金の一部または全額が調整(支給停止)される制度を指します。


老齢年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」に分かれますが、老齢基礎年金は収入に関係なく満額支給されます。


在職老齢年金の支給停止の対象となるのは「老齢厚生年金のみ」です。この点は混同しやすい重要なポイントです。


65歳以降も年金が全額支給される状態を維持しながら働くためには、以下の2つの条件のどちらかを満たす必要があります。

  • 収入調整をする
  • 厚生年金保険に加入しない働き方を選ぶ

収入調整をする場合は、老齢厚生年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が、現在の支給停止調整額(月額51万円)を超えないようにしましょう。


また、パートや業務委託の形態など、厚生年金保険に加入しない働き方を選ぶのも一つの方法です。


この条件を満たすことで、65歳以降も老齢厚生年金をカットされることなく、働き続けることが可能となります。
井村FP

65歳以降の働き方は、上記のような年金カットの基準や厚生年金への加入要件を正確に把握しておくことが重要です。


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在職老齢年金の支給額の計算方法

在職老齢年金制度において、実際に年金が支給停止される額を算出するには、基本月額と総報酬月額相当額の正確な定義が必要です。


  • 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額を指します
  • 総報酬月額相当額:毎月の給与(標準報酬月額)と賞与を1年間で平均した月額換算の収入額を指します


現在(65歳以降)は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額(月額51万円)を超えた場合に、年金の一部がカットされます。

年金支給停止額 = (基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2

年金カットを回避するには、計算式内の「総報酬月額相当額」に賞与(ボーナス)も含まれる点に注意し、年間を通じた収入計画を立てることが不可欠です。

年齢ごとの概要は次の通りです。
60~65歳未満
支給停止調整額51万円が適用されます。60歳〜65歳未満の旧基準は現在撤廃されています。
65~70歳未満
厚生年金に加入し続ける場合は在職定時改定により、前年9月までの給与・賞与実績が毎年10月から年金額に反映され、年金が増額されます。
70歳以上
厚生年金保険の被保険者資格は終了しますが、給与額に応じた支給停止額の計算方法(在職老齢年金)は継続して適用されます。

働きながら満額の年金をもらうために気をつけたいこと2選

在職老齢年金制度では、老齢厚生年金と給与(総報酬月額相当額)の合計に応じて、年金の一部または全額が支給停止になるリスクがあります。


65歳以降も働きながら年金を最大限受け取るためには、以下の2つの戦略が不可欠です。

  • 年金と給与の合計を「支給停止調整額」(月額51万円)以下に収める
  • 厚生年金に加入しない働き方を選ぶ

パートや業務委託など、厚生年金保険の被保険者とならない形態で働くことで、在職老齢年金制度の算定対象外となり、給与額に関わらず年金を全額受け取りながら働くことが可能になります。

井村FP

65歳以降、年金を満額もらえたとしても、「老後資金は本当に足りるのか」「医療費や介護費はどう備えるべきか」など不安は尽きません。


そのため、年金カットを回避するだけではなく、老後資金の総合的な計画が必要です。


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年金と収入の月々の合計を満額支給条件内に収める

65歳以降も老齢厚生年金の全額受給を維持しながら働くには、年金と給与の月額の合計を支給停止調整額以下に収める必要があります。


老齢厚生年金は、以下の2つの合計額が支給停止調整額(51万円)を超えると、年金の一部がカットされます。

  • 基本月額(老齢厚生年金月額)
  • 総報酬月額相当額(給与と賞与を月額換算した額)


65歳以降も年金を満額もらいながら働くには、年金と収入の月額合計が51万円を超えないように、給与水準を調整することが大切です。


かつては65歳未満で異なる基準がありましたが、現在は65歳以上70歳未満の方と同様の計算方法に統一されています。


支給停止額の計算には、賞与(ボーナス)も月額に換算されて「総報酬月額相当額」に含まれるため、年間の収入計画を慎重に立てる必要があります。

パートや業務委託の形態で働く

65歳以降も老齢厚生年金の全額を受給しながら働くための最適な形態の一つは、パートや業務委託など、厚生年金保険の被保険者とならない範囲で働くことです。


パートや業務委託は、給与額に関わらず在職老齢年金制度の対象外となり、年金がカットされません。


一方で、正社員として働く場合、以下のメリットがあります。

  • 将来の年金額が増額:65歳以降の加入実績が在職定時改定により毎年年金額に反映され、受給額が増加します
  • 社会保険の保障:会社員であるため、万が一の際の傷病手当金や労災保険などの社会保険制度を利用できます

65歳以降も老齢厚生年金の全額を受給しながら働くには、正社員として働き続けるか、パートや業務委託で働くかを社会保険の面も含めて考慮し、最適な形態を選択しましょう。

井村FP

働き方によって、「年金カットを避ける」(パート・業務委託)「年金受給額を増やす」(正社員)かというメリットが分かれます。


在職老齢年金制度の正確な基準や社会保険の保障の面も含めて、最適な形態を選択しなければなりません。


マネーキャリアなら、お客様の収入、年金受給額、ライフスタイルから判断し、最も効果的な働き方と資金計画を提案してくれます。


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65歳以降も厚生年金保険への加入を続けることで年金が増える!

65歳以降の厚生年金への加入と年金支給額増加の関係

65歳以降も厚生年金保険に継続して加入すると、将来もらえる老齢厚生年金の受給額を増やせる大きなメリットがあります。この年金額の増額は、在職定時改定という仕組みを通じて行われます。


65歳以降に納めた保険料は、翌年ではなく毎年10月に年金額に反映されます。これにより、70歳までの加入実績が年金額に上乗せされ、生涯にわたって受け取り続けることができます。


具体的な例として、毎月の給与が20万円程度(標準報酬月額)で1年間働き続けた場合、70歳以降にもらえる年金支給額は、年間で約15,800円ほど増えます。

井村FP

70歳まで働くことには、体調やキャリアに関する不安が伴います。この年金が増えるメリットを活かすためにも、万が一の体調不良や早期リタイアに備えて、日頃から節約や貯蓄による資金的な防衛ラインを確保しておくことが大切です。


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年金をもらいながら働く人が確定申告が必要になる基準とは

年金をもらいながら働く人に確定申告が必要になる2つの基準


年金をもらいながら働く人が確定申告が必要になる基準は、以下2つのケースです。

  • 年金以外の所得が20万円を超える場合
  • 年金収入の合計が400万円を超える場合

通常、給与や年金のような収入源が1つだけであれば、源泉徴収や年末調整で税金が納められるため、確定申告は不要です。


年金に加えて会社員やアルバイトなどで収入がある場合には、一定の基準を超えると確定申告が必要になります。

年金以外の所得が20万円を超える場合

公的年金を受け取っている方が年金以外に収入を得ている場合、その年金以外の所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。


ここでいう年金以外の所得とは、給与所得や退職所得を除く、事業所得や不動産所得、雑所得などを指します。


たとえば、年金に加えてアルバイトや副業による収入があり、その所得の合計額が20万円を上回るケースでは確定申告を行わなければなりません。


ただし特例として、公的年金等の収入合計が年間400万円以下で、かつ、年金以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。(※)


※参照:年金受給者の確定申告不要制度|内閣府

年金収入の合計が400万円を超える場合

老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金を合わせて、年間400万円以上受け取っている方は、確定申告が義務付けられています。


この基準が設けられているのは、年金の収入が非常に多い場合、毎月の源泉徴収(天引き)だけでは、最終的な税金の精算が正しくできないリスクがあるためです。


もし、この義務を怠り、年金収入が400万円を超えているにもかかわらず申告しなかった場合、税務署から加算税や延滞税といったペナルティを課される可能性があるため注意が必要です。

年金をもらいながら働くことに関するよくある質問3選

年金をもらいながら働くときのよくある3つの質問


年金をもらいながら働くことに関するよくある質問は以下の3つです。


詳しく解説するので参考にしてください。

年金は年末調整できる?

結論として、公的年金は年末調整の対象外であり、原則として確定申告が必要です。


公的年金は税制上「雑所得」に分類され、年末調整が適用される「給与所得」とは仕組みが異なるためです。


年金については、源泉徴収(税金の天引き)が行われますが、これは最終的な税額の精算ではありません。


特に、公的年金等収入が年間400万円を超える場合は、確定申告を行う義務があります


65歳以降に年金を受給しながら給与収入を得ている方は、年金所得と給与所得を合算して最終的な税額を確定させるため、確定申告が必要になるケースが多くなります。

60歳・65歳以上は年金もらいながらパートで働くことはできる?

60歳・65歳以上でも年金をもらいながらパートで働くことは可能です。


ただし、65歳以降も満額の年金を受給しながら働くには、厚生年金保険に加入せず働く必要があります。


以下のいずれの条件にも該当しない範囲で働くことで、厚生年金保険への加入義務が発生せず、年金支給額を維持できます。

  • 週20時間超えの労働
  • 1ヶ月の給与が88,000円以上
  • 学生でない
  • 継続して2ヶ月以上の雇用が見込まれる

年金を受給しながら将来の働き方に不安がある方は、お金の専門家に相談して安心して働ける環境を整えましょう。

年金をもらいながら扶養内で働けるのはいくらまで?

結論として、扶養される側の合計所得金額が年間48万円以下である必要があります。


65歳以上の方は公的年金等控除(最低110万円)が適用されるため、年金収入が年間158万円以下であれば扶養に入れる可能性が高いです。(給与収入がない場合)


これらの所得の合計が48万円を超えてしまうと、扶養控除を利用できなくなり、扶養者の税金(所得税・住民税)が増加する影響があります。

井村FP

働き方によっては、年金カットのリスクや扶養控除の喪失など、金銭的な影響が複雑に絡みます。


税金、扶養、在職老齢年金制度など、複数の制度が関わるため、専門家に聞きながら自身の老後の計画を立てることが不可欠です。


マネーキャリアでは、複雑な制度の基準から保険や家計の見直しまで、何度でも無料で相談可能です。


損をしない働き方や生活費の捻出方法を明確にするため、ぜひご活用ください。


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65歳以降の年金に関する悩みをまとめて解消する方法とは?

65歳以降の年金に関する不安を解消するためには、正確な情報に基づいて働き方と受給額を最適化し、老後資金を「見える化」することが非常に重要です。


具体的には、将来受け取る予定の年金額を確認したうえで、「どの程度働けばよいのか」「生活費がどれほど必要なのか」を明確にしておく必要があります。


また、年金だけでなく、資産運用・医療費・介護費用など将来の不確定要素も考慮する必要があります。しかし、これらをすべてご自身で判断するのは難しいケースが多いでしょう。


マネーキャリアでは、年金・老後資金・資産形成の専門家に、納得いくまで何度でも無料で相談できるため、あなたの不安解消と最適な戦略確立を強力にサポートします。


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65歳以降でも満額の年金をもらいながら働くことの注意点や金額まとめ

65歳以降の働き方は、公的年金の受給額、税金、社会保険という複数の制度が複雑に絡み合います。


これらの制度を理解し、不利益を回避するためのポイントは以下の通りです。

  • 年金カットの回避戦略:年金と給与の合計を月額51万円以下にする収入の調整を行う、または厚生年金非加入の働き方を選ぶ
  • 年金増額のメリット:厚生年金保険に加入し続けると、在職定時改定により、将来の年金額が増額する
  • 税金の申告:公的年金収入が年間400万円を超える、または年金以外の所得が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要

Web上の情報だけでは、お客様一人ひとりの収入状況やライフプランに合わせた最適な働き方を見つけることは困難です。

特に、年金・税金・扶養といった複雑な制度面を誤認すると、大きな金銭的損失に繋がります。

マネーキャリアのFPは、こうした複雑な制度のシミュレーションや老後の資金計画まで、丁寧にアドバイスします。

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