- 在職老齢年金について知りたい方
- 働きながら満額の年金をもらう方法が知りたい方
- 年金をもらいながら働く場合、確定申告が必要か知りたい方
- 年金は年末調整できるのか知りたい方
- 年金をもらいながらパートで働けるのか知りたい方
- 年金をもらいながら扶養内で働けるのはいくらまでか知りたい方
65歳以降年金受給ができますが、65歳以降も年金をもらいながら働きたい方も多いのではないでしょうか。65歳以降に満額の年金をもらいながら働くには収入の上限はいくらまでなのか。確定申告や税金はどうなるか気になりますよね。今回は在職老齢年金についても併せて紹介します。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
「在職老齢年金」とは
在職老齢年金とは、会社に勤めながら老齢年金を受け取ると給与に応じて年金額が減額される制度のことです。
そもそも、老齢年金とは「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」に分かれますが、「老齢基礎年金」は収入に関わらず満額支給されます。「在職老齢年金」に関わっているのは「老齢厚生年金」のみです。間違えやすいので注意しましょう。
その上で、65歳以降満額の年金を受け取りながら働くには下記の条件をどちらか満たす必要があります。
- 給与収入と老齢厚生年金の合計が月額50万円以下であること
- パートや業務委託の形態で働くこと(会社員として厚生年金には加入しないで働く)
この条件を満たしておれば、65歳以降も満額の年金をもらいながら働くことができます。在職老齢年金の中でも稼ぎによって年金の額が異なります。
在職老齢年金の計算方法
在職老齢年金の支給停止額は以下の計算方法で、あらわすことができます。計算には「基本月額」と「総報酬月額相当額」が必要です。
ここでいう「基本月額」は「厚生年金年金」のこと、「総報酬月額」は「月収」のことを指します。
基本月額=老齢厚生年金の年の金額÷12
総報酬月額相当額=標準報酬月額+直近1年の賞与を÷12
年齢区分ごとに説明します。60~65歳未満
基本月額 + 総報酬月額相当額が50万円以下=0円(年金全額支給)
基本月額 + 総報酬月額相当額が50万円超=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
65~70歳
65歳以上の方が厚生年金に加入している場合は、厚生年金の金額は基準日の9月1日に調整され、翌月10月から変更が適用されます。70歳以上になると、厚生年金保険の加入が終了しますが、支給停止額の計算方法は変更されません。
働きながら満額の年金をもらうために気をつけたいこと2選
人生100年時代といわれているので、将来年金だけでは足りないと不安に思われてる方が多いのではないでしょうか。
年金を受け取る年齢になってもまだまだ働ける方が多いです。少しでも長く働き、給料と年金の2本立てにすることで、将来への収入を増やすことができます。
在職老齢年金は、給与収入と厚生年金額によって年金の一部や全額支給停止をされてしまいます。
ここでは、働きながら満額の年金をもらうためには何に気を付けたらよいのかを以下2つの項目で解説します。
- ①年金と収入の月々の合計を満額支給条件内に収める
- ②パートや業務委託の形態で働く
①年金と収入の月々の合計を満額支給条件内に収める
65歳以降満額の年金をもらいながら働くには年金と収入の月々の合計額を満額支給条件内に収める必要があります。
令和4年3月以前は、60歳~65歳の方は基本月額が28万円以下かどうかの条件がありました。
しかし、法律改正が行われ令和6年4月以降は65歳未万満は、65歳~70歳の方と同様に基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超えるかの計算方法に変わりました。賞与ももちろん含まれるので注意が必要です。
65歳以降満額の年金をもらいながら働くには、年金と収入の月々の合計を満額支給条件内に収めましょう。
②パートや業務委託の形態で働く
これまで、厚生年金を満額支給しながら働くために「月収」と「厚生年金額」の合計が月額50万円以上であることが条件であるとお伝えしてきましたが、「月収」とは厚生年金に加入して得た収入のみのことを指します。また、「月収」のなかにはボーナスも含まれます。
よって、そもそも厚生年金に加入することなく得た収入についてはここでは含まれません。間違いやすいので気をつけましょう。
60歳以降も継続して勤務する場合、パートや業務委託などの形態で働くことは可能か事前に確認してみましょう。
正社員として働くことのメリット
60歳以降で会社員のとして働き続けると月収によっては受け取れる厚生年金の金額が減らされる可能性があります。しかし、会社員のまま働き続けて厚生年金保険料を払い続けることで、70歳以降から受け取る年金額が増額して受け取ることが可能となります。
厚生年金保険料を払い続けることは決して無駄ではなく将来の年金額に反映されます。会社員は万が一のときに備えて、傷病手当金や労災保険があるのは大きなメリットです。
65歳以降も満額の年金をもらうためには会社員として働き続けるか、パートや業務委託で働くかは、社会保険の面も考慮して決断しましょう。
65歳以降も厚生年金保険への加入を続けることで年金が増える!
厚生年金保険については、65歳以降も継続して加入することができ、将来の年金受給額を増やすことができます。
実際、この保険制度では70歳までの加入が可能で、現代では多くの人々が70歳を迎えても働き続けることができます。
次に、70歳まで働き続ける場合には、将来の年金受給額がどれくらい増えるのかについて説明します。
たとえば、平均的な標準月額と標準報酬額がともに20万円で厚生年金保険に加入していた場合、1年間の労働延長により、70歳以降の年金支給額が1.3万円増加することになります。
その結果、70歳まで働き続けることで、合計で6.5万円の増加が見込まれます。 厚生年金保険に加入し続けることで、65歳以降も年金支給額が増えるという利点があることが分かります。
年金をもらいながら働く人が確定申告が必要になる基準とは
年金をもらいながら働く人は確定申告の必要について疑問が生じることがあります。ここでは、年金をもらいながら働く人が確定申告を行う必要がある基準について解説します。
通常、給与や年金のような収入源が1つだけで、源泉徴収や年末調整で税金を納めるので、確定申告は必要ありません。
しかし、年金をもらいながら、会社員やアルバイトなどで追加の収入がある場合には確定申告が必要になります。
ここでは確定申告が必要な場合について解説します。
- 年金以外の所得が20万円を超える場合(年金収入が110万円以下であれば確定申告は不要)
- 年金収入の合計が400万円を超える場合
年金をもらいながら働くことに関するよくある質問3選
年金をもらいながら働こうと考えるとさまざまな疑問がでてきますよね。ここでは、年金をもらいながら働くことに関するよくある質問3選について解説します。
- 質問①年金は年末調整できる?
- 質問②60歳・65歳以上は年金もらいながらパートで働くことはできる?
- 質問③年金をもらいながら扶養内で働けるのはいくらまで?
質問①年金は年末調整できる?
結論、年金は年末調整できません。年金は「雑所得」にあたるからです。年末調整は給与所得が対象です。
定年を迎えたあとの65歳以降でもまだまだ現役で働かれている方が多いかと思います。その場合、年金をもらいながら働くケースも多くあり、会社で年末調整をするから年金も合わせてできるのかと考えられますよね。
年金は年末調整ではなく確定申告をします。ただし、年金の合計収入が400万円を超えている場合です。
65歳以降満額の年金をもらいながら働く場合には注意ましょう。
質問②60歳・65歳以上は年金もらいながらパートで働くことはできる?
結論、60歳・65歳以上は年金もらいながらパートで働くことはできます。65歳以降満額の年金をもらいながら働くには厚生年金保険に加入せず働く必要があります。
ただし、厚生年金保険に加入する条件に当てはまらないように働かなければなりません。厚生年金保険加入条件としては以下の3つです。
- 週20時間超えの労働
- 1ヶ月の給与が88,000円以上
- 学生でない
質問③年金をもらいながら扶養内で働けるのはいくらまで?
結論、年金をもらいながら扶養内で働けるのは、年金と給与の合計所得が1年間で48万円以下の場合です。1年間で48万円以下であれば、扶養に入れます。
年金収入‐110万円(公的年金控除)=雑所得(年金の所得)
となります。48万円を超えてしまうと、扶養控除を利用できなくなるので、扶養する者の税金が約5~16万円増えてしまいます。
年間48万円以下に収める必要があるので、65歳以降満額の年金をもらいながら働くと、扶養には入れませんので注意が必要です。
まとめ:65歳以降の年金に関する相談はマネーキャリアへ
この記事は65歳以降でも満額の年金をもらって働くにはどうすればよいか。給与と年金を受け取った場合の確定申告について解説しました。
この記事のポイントは以下6つです。
- 65歳以降満額の年金をもらいながら働くには年金と収入の月々の合計を満額支給条件内に収めることパートや業務委託の形態で働くこと
- 厚生年金保険に加入し続けたら在職老齢年金は減額となるので注意する
- 年金以外の所得が20万円を超えるとき(年金収入が110万円以下なら確定申告不要)
年金収入の合計が400万円を超える場合は確定申告が必要
- 年金は年末調整できない
- 年金をもらいながら扶養内で働けるのは年間48万円まで