不労所得で税金はかかるの?確定申告をする場合や税金対策を解説!のサムネイル画像
▼この記事を読んでほしい人

  • 不労所得に興味がある人
  • 不労所得のリスクを理解したい人
  • 不労所得の税金対策をしたい人

▼この記事を読んでわかること

  • 不労所得の種類とそれぞれの税金の計算方法
  • 不労所得で確定申告が必要なパターンについて
  • 不労所得の税金を減らすための対策

内容をまとめると

  • 不労所得で得られた収益は課税対象である
  • 不労所得での確定申告は「20万円」が鍵である
  • 不労所得の税金を減らすためには色々な控除制度を上手く利用する必要がある
  • 資産運用について悩んだらお金のプロであるFPに相談するべき 
  • FP相談サービスで迷ったらマネーキャリアがおすすめ

この記事では、不労所得で税金がかかるのかを解説していきます。税金対策の方法やそれぞれの税金の計算方法など、具体的な悩みも解決できる記事となっています。キーポイントなる20万円についても解説していきます。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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不労所得で税金はかかるの? かからないの?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、不労所得に関心あるの方からこんな相談がありました。


「現在、株や不動産投資を検討しているが、この方法で得た収入は課税対象となるのだろうか?」とのことです。


株や不動産投資等で得られた収益は「不労所得」と呼ばれています。ご自分が労働に従事せず得られる所得です。


そのため、不労所得は大変お得と言えますが、もちろん得られた収益は課税対象です。申告忘れに注意する必要があります。


今回はこの不労所得の種類や計算方法、給与所得者でも確定申告が必要なケース、節税のための対策等を解説します。


不労所得に関心があって試してみたいものの、税金がどのようにかかるか悩んでいる方のお手伝いとなれれば幸いです。

不労所得の種類とそれぞれの税金の計算方法

不労所得はかなり種類があります。不労所得はもちろん課税対象です。みなさん良くご存知の預貯金の利子・株の配当金等、更にはブログ・アフィリエイトのような比較的最近登場したものが、どんな所得へ含まれるのか気になるところです。


こちらでは株・不動産投資・アフィリエイト等の収入が、どんな所得に該当するのか、かかる税金の種類、その計算方法を解説していきます。


なお、税金の課税方法の詳細については国税庁「所得の種類と課税方法」をご覧ください。

①:利子所得(預貯金の利子など)

身近な不労所得としては、銀行預金の利子や公社債の利子等による所得が該当します。


計算方法は

利子所得=収入金額

となります。


利子所得に該当するもの

こちらの利子が該当します。

  • 銀行預金・郵便貯金・勤務先預金の利子
  • 国債・地方債・外国債・上場公社債・公募公社債等の利子
  • 合同運用信託の収益分配金
  • 抵当証券の利子等

いずれも課税対象となります。しかし、非課税となる制度として

  • 障害者等の少額貯蓄・少額公債の利子
  • 住宅貯蓄、年金貯蓄のような勤労者の財形貯蓄
等も存在します。


利子所得の課税方法

こちらの課税方法は基本的に次の通りです。


源泉分離課税

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 住民税:5%

→合計20.315%を源泉徴収


源泉分離課税とは、他の所得と分離し一定の税率で税金が源泉徴収され、納税が完結する課税方式です。つまり、利子を受け取る時点で税金分が差し引かれています。そのため、確定申告の対象とはなりません。


なお、例外として特定公社債(例:国債、地方債等)の利子等は申告分離課税または申告不要となります。海外の預金利子で国内で源泉徴収されないもの等は総合課税です。

②:配当所得(株の配当金など)

不労所得の代表格ともいえる、株式の配当金・投資信託の収益分配金等が該当します。


計算方法は

配当所得=収入−株式等を取得するための負債利子

となります。


配当所得に該当するもの

配当所得になるものは次の通りです。

  • 株式会社の剰余金の配当等
  • 剰余金の分配
  • 投資法人からの金銭の分配
  • 基金利息
  • 特定受益証券発行信託の収益分配等


配当所得の課税方法

こちらの課税方法は次の3種類があります。


(1)申告不要制度


配当所得の金額へ所得税・住民税・復興特別所得税合計20.315%を課し、徴収されています。所得税の税率は累進課税(課税標準額に比例して税が高い)になるので、その年の税率が20.315%より高い場合、確定申告をしない方がお得です。


(2)総合課税方式


他の所得と合算した課税所得へ所得税の税率をかけ、所得税額を算出する課税方式です。確定申告が必要となります。


こちらを選択した場合は次のように課税されます。

  • 所得税:5.105~45.945%(累進課税7段階)
  • 住民税:10%

所得税の場合、全ての所得の合計金額が4,000万円を超えると、45.945%もの高い税率が課されてしまいます。配当金額が多額にあるような方々は、こちらの方式の選択を控えるた方が無難です。


(3)申告分離課税方式


他の所得と分離して税額を計算、確定申告で納税する課税方式です。


こちらを選択した場合は次のように課税されます。

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 住民税:5%

配当所得の金額に影響されず、一律でこちらの税率が適用されます。

③:不動産所得(家賃収入など)

いわゆる大家さんのようにアパートや借家を賃借人へ貸し、家賃収入を受け取る所得です。


計算方法は

不動産所得=総収入金額-必要経費

となります。必要経費として計上できるのは、土地・建物の固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費等があげられます。


不動産所得に該当するもの

不動産所得になるものは次の通りです。

  • 土地(駐車場の運営等)・建物(賃貸物件の家賃収入等)の不動産貸付
  • 地上権等の不動産上に存在する権利の設定・貸付
  • 船舶・航空機の貸付

本来は船舶・航空機は人・物を輸送する動産です。しかし、財産的価値が非常に高い20トン以上の大型船舶・航空機は登記・登録を行う必要があるので、「不動産」として扱われます。


不動産所得の課税方法

前述した総合課税方式となります。

  • 所得税:5.105~45.945%(累進課税7段階)
  • 住民税:10%

④:事業所得(ブログ・アフィリエイトなど)

こちらには農業や漁業、製造業や卸売業、小売業、サービス業等が該当します。しかし、不労所得として最近話題になっているブログ・アフィリエイト収入も含まれます。


計算方法は

事業所得=総収入金額-必要経費

となります。必要経費として計上できるのは、商品仕入の代金である売上原価、給料、旅費交通費、交際費等があげられます。


事業所得に該当するもの

事業所得になるものは次の通りです。

  • 農業所得(農業および家畜・家禽の生産、酪農品の生産等)
  • 営業等所得(小売業、飲食店業、製造業、建設業、金融業、サービス業、ブログ・アフィリエイト等)
作家、タレント、俳優、職業野球選手の事業活動、そして意外ですが漁業も営業等所得に含まれます。

事業所得の課税方法

基本的に自営業から生ずる所得は総合課税方式として、事業規模で行う株式等を譲渡して得た所得・先物取引に係る所得は、申告分離課税方式となります。

⑤:一時所得(競馬など)

不労所得としては競馬や競輪の払戻金が該当します。もちろんギャンブル性の高いものばかりではなく、生命保険の一時金等も含まれます。


計算方法は

一時所得=(総収入金額-経費-特別控除額)×1/2

となります。特別控除額は最大50万円です。収入から経費を差し引き、その金額が50万円未満なら所得税は課税されません。


一時所得に該当するもの

次の通りです。

  • 賞金や懸賞当せん金、競馬・競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金
偶発的に得られた収入、臨時に得られた収入で対価性のない所得が該当します。

一時所得の課税方法

基本的に総合課税方式となります。ただし、保険・共済商品の中で契約期間が5年以下の一定の一時払養老保険、一時払損害保険の所得等は源泉分離課税です。

つまり、
  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 住民税:5%
→合計20.315%の源泉徴収となります。

⑥:公的年金等の雑所得

公的年金の他に確定給付企業年金や確定拠出企業年金、恩給も該当します。ご自分でコツコツ積み立ててきた年金ではありますが、基本的に課税対象となります。


計算方法は

公的年金等雑所得=収入金額-公的年金等控除額

となります。なお、障害年金・遺族年金は非課税です。やはり被保険者が障害を持っている、被保険者が亡くなったことで得られた年金収入は、本人・家族の負担軽減の見地から課税対象から外されています。


公的年金等の雑所得に該当するもの

次の通りです。

  • 国民年金、厚生年金
  • 恩給
  • 確定拠出企業年金等
ただし、
  • 収入が400万円以下
  • 公的年金等の全てが源泉徴収対象

の2つに該当し、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら、所得税等の確定申告は不要です。


公的年金等の課税方法

こちらの場合は総合課税方式となります。せっかく積み立てた年金にすら税金がかかることに不満を覚える方々もおられることでしょう。


しかし、納付してきた年金保険料額は、確定申告等の全額所得控除対象となっていました。その分、年金を受け取るまでに税制上の優遇措置が得られていたとみて、間違いありません。

⑦:公的年金等以外の雑所得(FXなど)

原稿料や講演料、個人年金保険、印税、不労所得ではFXが該当します。


計算方法は

公的年金等以外の雑所得=総収入金額-必要経費

となります。経費は収入の内容にもよりますが、収入を得るために直接要した費用、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用等があてはまります。


公的年金等以外の雑所得に該当するもの

次の通りです。

  • 原稿料・印税
  • 講演料・放送出演料
  • 個人年金保険
  • 貸金の利子
  • FX等

ただし、個人年金保険の場合、相続税・贈与税の対象となった部分は除外されます。


公的年金等以外の雑所得の課税方法

原稿料・印税や講演料・放送出演料そして個人年金保険は総合課税方式となります。しかし、不労所得であるFXは申告分離課税方式となります。こちらの場合、

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 住民税:5%
合計20.315%の税率が適用され、基本的に確定申告で納税します。

⑧:譲渡所得(借地権の売却など)

借地権の売却やゴルフ会員権、船舶、機械等の資産の譲渡による所得が該当します。


計算方法は

譲渡所得=収入金額-(資産の取得費+譲渡費用)-特別控除

譲渡した資産を取得~譲渡するまでの保有期間が5年以内なら「短期」、5年を超えるなら「長期」となります。


譲渡所得に該当するもの

動産・不動産の所有権の譲渡だけに限りません。

  • 土地や建物、借地権の譲渡
  • 株式等の譲渡
  • ゴルフ会員権・金地金
  • 船舶・機械
  • 書画・骨とう・貴金属等
借地権は土地を「借りる」権利の譲渡です。実際に、土地を手に入れているわけでは無いものの土地の使用収益が期待できる以上、課税対象となるのです。

譲渡所得の課税方法

土地や建物、借地権の譲渡等による所得は申告分離、ゴルフ会員権・金地金・機械等なら総合課税方式が適用されます。

会社員が不労所得で確定申告が必要なパターン!20万円が鍵!

不労所得で確定申告を行うケースがあることは既に述べた通りです。そもそも確定申告は自営業者・自由業の方々が行う手続きです。そのため、会社員は一見申告と無関係のように思われます。


しかし、本来は確定申告不要の会社員も、不労所得の金額によっては申告の必要があります。こちらでは会社員が、確定申告をしなければいけないケースについて解説します。

所得税

この税金に関しては会社員の場合、不労所得が年20万円を超えまたはケースによって20万円以下でも、確定申告を行い、税金を支払う必要が出てきます。


年20万円を超えた場合

給与所得と退職所得を除いた所得の合計が、年20万円を超えれば確定申告しなければいけません。そのため、収入を受け取るだけではなく、年間でどれ位の不労所得を得たのか、しっかりチェックしておく必要があります。


不労所得の申告は、ご自分が毎年申告している年末調整では不可能です。会社員は確定申告手続きに慣れていないかもしれませんが、税務署の職員に不明な点をうかがいながら、手続きを進めていきましょう。


年20万円以下の場合

こちらの場合は基本的に申告不要ですが、次の条件に該当すれば確定申告が必要です。

  • ご自分の給与収入が2,000万円超
  • 2ヵ所以上の事業所から給与を受け取った
  • 医療費控除等を望む場合
年20万円を超えていなからと安心せず、上記のケースの有無をよく確認しておきましょう。

なお、自営業者・自由業の方々は不労所得が年20万円を超えても超えなくても、確定申告をしなければいけません。

住民税

こちらは不労所得が年20万円以下でも必ず申告し、税金を納める必要があります。こちらの税金の申告は各市区町村が担当となります。


もしも確定申告を行ったならば、改めて住民税の申告を行う必要はありません。所得税の申告が必要ない場合に、住民税の申告を行います。


不労所得があるのに申告しなければ、税金の納付を怠ったと疑われてしまいます。納税先の市区町村から加算税を課されてしまうことも想定されます。

不労所得の税金を減らすための対策

不労所得の税金を減らす方法は、ご自分の運用する不労所得ごとに異なってきます。こちらでは、不動産所得(家賃収入)・雑所得(FX)・公的年金等以外の雑所得(個人年金保険)にわけて解説します。


不動産所得「家賃収入」


ご自分がオーナーとなりマンション・アパートの家賃収入を得る場合、まず必要経費をきちんと把握し計上することが大切です。


また、「小規模企業共済制度」に加入するのも良い方法です。こちらは、ご自分がリタイアした時のため、生活資金等を積み立てる共済制度です。


不動産賃貸業を営む個人でも加入ができ、毎月の掛け金は全額控除となります。つまり、税金の負担が軽減できるわけです。


こちらの共済制度については、中小機構「小規模企業共済」をご覧ください。


雑所得「FX」


FXの場合ならば、たとえご自分が損失を出した場合でも、きちんと計上することが大切です。FX取引で損失が確定した場合、その翌年以降3年間は店頭デリバティブ取引等・市場デリバティブ取引等で確定した利益から、その損失額を繰越控除することが可能です。


損失が生じた年から継続して確定申告を行えば、たとえその後に利益をあげても、損失と相殺でき、税金の負担を軽減できます。


また、夫婦でFXを行っているなら、それぞれ別の口座を持つと利益の分散が可能となります。


公的年金等以外の雑所得「個人年金保険」


個人年金保険の場合は「生命保険料控除」が利用できます。その中でも、個人年金保険料控除が適用されれば、他に死亡保険や医療保険へ加入していても、控除枠が重複しません。


控除枠に該当すれば、最高4万円の所得控除・最高2万8,000円の住民税の控除(共に新制度)が受けられます。その分、収める税金の負担は軽くなります。

まとめ:不労所得でも税金はかかる

この記事では不労所得の種類は様々あっても、課税方法はケースによって分かれ、税金は基本的に支払う必要があることを解説してきました。


不労所得の成果によって税金の負担は大きくなる可能性があります。しかし、工夫次第で税金の負担を可能な限り、抑えることができる点も指摘しました。


この記事では次の内容を紹介しています。

  • 不労所得の種類は様々で、それぞれの税金の計算方法が異なる
  • 会社員でも不労所得で確定申告が必要なケースはある
  • 会社員の方は確定申告が不要でも、住民税は必ず申告する
  • 不労所得の税金を減らすため、提供されている色々な控除制度を上手く利用する

税金を納めるのが嫌だからと、不労所得があっても申告しない場合、税務署または市区町村側から手痛いペナルティを受ける恐れもあります。大きな代償を支払う事態になる点は要注意です。


行政側の調査能力を侮らず、正確かつ誠実に不労所得を申告し、納税することが大切です。また、毎年申告手続きを行うことは、節税にもつながります。不労所得を受け取る前でも、税制上の優遇措置が用意されている場合もあるのです。


マネーキャリアでは、他にも読んで頂きたい記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。