▼この記事を読んでほしい人
- 老後資金が目安としてどのくらい必要なのか知りたい人
- 老後資金が5000万円あるとどのような生活を送ることができるのか知りたい人
内容をまとめると
- 独身で老後資金に5,000万円あれば旅行や趣味を十分に楽しむことができる
- 夫婦で老後資金に5,000万円の場合は独身ほどではないが、ゆとりのある老後の生活を送ることができる
- 老後資金5,000万円の貯めるには、家計の見直し・収入を上げる・資産運用の3つが必要になる
- 運用目的と運用期間を設定してポートフォリオを作ることが資産運用では大切
- 自分に合った資産運用についての相談は、顧客満足度98.6%のマネーキャリアがおすすめ!
老後資金として5,000万円あれば足りるのか、また5,000万円あればどのような生活が送れるのか解説していきます。さらに、実際に5,000万円もの老後資金を貯めることが可能なのか、可能であればどのようにして貯めるのかということについても説明します。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 老後資金5000万円の場合の生活をシミュレーション【独身・夫婦の場合】
- 独身の場合
- 夫婦の場合
- 資産運用なしで老後資金5000万円を貯めるのは難しい
- 日本人の生涯年収について見てみよう
- 年代別貯蓄額について見てみよう
- 老後資金5000万円を目指すためのロードマップ
- STEP①家計の見直し
- STEP②収入を上げる
- STEP③資産運用を視野に入れる
- 老後資金形成のためのポートフォリオの組み方
- ポイント①運用期間と目的を考える
- ポイント②値動きをおさえた資産運用
- ポートフォリオの例
- 老後資金5000万円のおすすめ運用方法
- 運用を考えなくてはいけない理由
- ①投資信託
- ②株式投資
- ③ヘッジファンド
- まとめ:資産運用についてさらに詳しく知ろう
老後資金5000万円の場合の生活をシミュレーション【独身・夫婦の場合】
必要な老後資金は2,000万円?それとも3,000万円?さまざまな情報があふれ、結局いくらあれば足りるのか不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、老後資金として5,000万円あれば足りるのか、また5,000万円あればどのような老後の生活が送れるのかを、独身と夫婦の場合に分けて解説していきます。
なお、この記事では老後期間を65歳〜95歳の30年間と想定します。 理由は次の2つです。
- 厚生労働省「令和2年 高齢者の雇用状況」によると、60歳の定年退職後も85%の人が継続雇用で勤めているため
- 「老後2,000万問題」の発端となった報告書を発表した金融審議会 市場ワーキング・グループが、老後を20〜30年と想定し試算しているため
独身の場合
独身の場合、老後資金5,000万円あればどのような生活を送ることができるのでしょうか。 まず結論からお伝えすると、次のようになります。
- 毎年、海外旅行と国内旅行を楽しめるでしょう。
- 趣味や習い事も楽しめるでしょう。
- 介護付き老人ホームに入居することも可能でしょう。
その理由について、詳しく解説していきます。
まずは、老後の生活費と年金受給額を見てみましょう。
総務省統計局「家計調査年報(家計調査年報) 2020年(令和2年) 家計の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月あたりの平均支出は144,687円となっています。
この生活が30年間続いたとすると、老後の生活費は次のようになります。
支出額144,687円×12ヶ月×30年=52,087,320円
独身の場合、老後30年間の生活費として52,087,320円が必要なのです。5,000万円を超える莫大なこの資金、公的年金で一体どれくらい賄えるのでしょうか。
毎月の平均年金受給額は次のとおりです。
年金種類 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
国民年金(基礎のみ) | 56,431円 | 51,042円 |
厚生年金 | 164,770円 | 103,159円 |
上記の平均年金受給額をもとに算出した「30年間の受給合計額」と、生活費52,087,320円に対して「足りない金額」は次のようになります。
30年間の年金受給合計額=毎月の平均年金受給額×12ヶ月×30年
足りない金額=生活費52,087,320円-年金受給合計額
国民年金/男性
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
56,431円 | 20,315,160円 | 31,772,160円 |
国民年金/女性
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
51,042円 | 18,375,120円 | 33,712,200円 |
厚生年金/男性
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
164,770円 | 59,317,200円 | -7,229,880円 |
厚生年金/女性
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
103,159円 | 37,137,240円 | 14,950,080円 |
以上のように、厚生年金受給の男性以外は、年金だけで老後の生活費を賄うことは難しいです。
では、足りない資金だけを準備すれば安心かと言うと、決してそうではありません。なぜなら、毎月の日常生活費以外にも多くの出費があるからです。
例えば、旅行や趣味のための資金、車の購入資金、自宅修繕費、葬儀代、介護費用などライフイベントに備えた資金が必要となります。もちろん人によって異なりますが、これらの平均的な費用は次のようになります。
- 年1回の海外旅行(平均228,000円/回)と国内旅行(平均36,200円/回):約7,917,000円
- 趣味や習い事(毎月1万円と想定した場合):3,600,000円
- 車の買い替え資金:約2,000,000円
- 自宅修繕費(1回):約1,500,000円
- 葬儀代:約1,000,000円
- 介護費用(生活保険文化センターによると、月平均8.3万、期間は61ヶ月):約5,063,000円
これら6つの項目を合計すると、約21,080,000円となります。
また独身の場合、老人ホームへの入居を選ぶ方も多いでしょう。施設の種類や都道府県によって異なりますが、介護付き有料老人ホームなどの民間施設であれば、入居一時金は500万円以上、月額費用は20万円以上必要となる所が多いようです。
仮に入居一時金500万円、月額費用20万円の施設に10年間入居した場合は、290,000,00円 となります。
よりゆとりある生活を送るためには、上記の表で示した「足りない資金」に約2,000万円〜5,000万円上乗せした資金を想定しておく必要があります。
言い換えれば、老後資金として5,000万円あれば足りる方が多いでしょう。
夫婦の場合
夫婦2人の場合は、老後資金5,000万円あればどのような生活が送れるでしょうか。
結論からお伝えすると、次のようになります。
- 独身ほどのゆとりはありませんが、平均的な日常生活はキープできるでしょう。
- 旅行や趣味を楽しむ余裕もあります。
- しかし夫婦2人で、介護付き有料老人ホームなどの民間施設へ入居する場合は5,000万円以上必要です。
その理由について、詳しく解説していきます。
まずは、老後の生活費と年金受給額を見てみましょう。
総務省統計局「家計調査年報(家計調査年報) 2020年(令和2年) 家計の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヶ月あたりの平均支出は255,550円となっています。
この生活が30年間続いたとすると、老後の生活費は次のようになります。
平均支出額255,550円/月×12ヶ月×30年=91,998,000円
夫婦2人の場合、老後30年間の生活費として、91,998,000円が必要となります。 このうち年金でどれくらい賄えるのでしょうか。改めて、国民年金と厚生年金の男女別平均受給額を見てみましょう。
年金種類 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
国民年金(基礎のみ) | 56,431円 | 51,042円 |
厚生年金 | 164,770円 | 103,159円 |
夫婦2人の場合、4つの勤務形態が考えられます。
- 2人とも厚生年金
- 夫(厚生年金)+妻(国民年金)
- 夫(国民年金)+妻(厚生年金)
- 2人とも国民年金
平均年金受給額をもとに算出した「30年間の受給合計額」、生活費91,998,000円に対しての「足りない金額」を勤務形態別に表すと次のようになります。
30年間の年金受給合計額=毎月の平均年金受給額×12ヶ月×30年
足りない金額=生活費52,087,320円-年金受給合計額
2人とも厚生年金
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
267,929円 | 96,454,440円 | -4,456,440円 |
夫(厚生年金)+妻(国民年金)
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
215,812円 | 77,692,320円 | 14,305,680円 |
夫(国民年金)+妻(厚生年金)
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
159,590円 | 57,452,400円 | 34,535,600円 |
2人とも国民年金
平均年金受給額/月 | 年金受給合計額/30年 | 足りない金額 |
---|---|---|
107,473円 | 38,690,280円 | 53,307,720円 |
- 年1回の海外旅行(平均456,000円/回)と国内旅行(平均72,400円/回):約15,834,000円
- 趣味や習い事(1人あたり毎月1万円と想定した場合):7,200,000 円
- 葬儀代(1人あたり1,000,000円と想定した場合):2,000,000円
- 2人分の介護費用(生活保険文化センターによると、1人あたり月平均8.3万、期間は61ヶ月):約10,126,000円
資産運用なしで老後資金5000万円を貯めるのは難しい
上の項目では、老後資金5,000万円あれば比較的ゆとりある生活が送れることについて説明しました。
日本人の生涯年収について見てみよう
生涯年収はどれくらいでしょう。よく「サラリーマンの生涯年収は2億円」と言われていますが、本当でしょうか。詳しく見てみましょう。
この記事ではより現実的な生涯年収を把握するために、平均値と中央値を算出しました。平均値と中央値の違いは次のとおりです。
- 平均値:データの合計をデータの総数で割って得られる値
- 中央値:データを小さい順(もしくは大きい順)に並べたとき、ちょうど真ん中になる値
平均値の場合、データのなかに極端に低い数値や高い数値があると、その数値に引っ張られてしまうので実態とは離れた値になりがちです。
一方、中央値の場合はデータのちょうど真ん中であることから、極端な数値の影響を受けず、より実態に近い値となります。
それではまず、男女別、学歴別に年収を見てみましょう。
男性
学歴 | 年収・平均値 | 年収・中央値 |
---|---|---|
大学院 | 5,582,400円 | 6,355,200円 |
大学 | 4,702,800円 | 4,442,400円 |
専門学校 | 3,711,600円 | 3,525,600円 |
高校 | 3,540,000円 | 3,160,200円 |
女性
学歴 | 年収・平均値 | 年収・中央値 |
---|---|---|
大学院 | 4,851,600円 | 5,702,400円 |
大学 | 3,459,600円 | 3,740,400円 |
専門学校 | 3,160,800円 | 3,103,200円 |
高校 | 2,616,000円 | 2,473,200円 |
次に65歳まで勤務することを前提に、学歴別の勤務年数から算出した生涯年収は次のとおりです。
男性
学歴(勤務年数) | 生涯年収・平均値 | 生涯年収・中央値 |
---|---|---|
大学院(40年) | 223,296,000円 | 254,208,000円 |
大学(43年) | 202,220,400円 | 191,023,200円 |
専門学校(45年) | 167,022,000円 | 158,652,000円 |
高校(47年) | 166,380,000円 | 148,529,400円 |
女性
学歴(勤務年数) | 生涯年収・平均値 | 生涯年収・中央値 |
---|---|---|
大学院(40年間) | 194,064,000円 | 228,096,000円 |
大学(43年間) | 148,762,800円 | 160,837,200円 |
専門学校(45年間) | 142,236,000円 | 139,644,000円 |
高校(47年間) | 122,952,000円 | 116,240,400円 |
中央値で生涯年収2億円を超えるのは、大学院卒の男女のみとなっています。また転職や休職により、上記で示した生涯年収から下がる可能性も考えられるのでしょう。
年代別貯蓄額について見てみよう
続いて、貯蓄額を見てみましょう。
まず金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」によると、全世帯で金融資産を保有している世帯は83.9%、保有していない世帯は16.1%となっています。
「単身世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)」の平均貯蓄額は653万円、中央値は50万円です。年齢別で見ると次のようになります。
世帯主の年齢 | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
30歳代 | 327万円 | 70万円 |
40歳代 | 666万円 | 40万円 |
50歳代 | 924万円 | 30万円 |
60歳代 | 1,305万円 | 300万円 |
続いて、「二人以上世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)」の平均貯蓄額は1,436万円、中央値は650万円となっています。年齢別では次のようになります。
世帯主の年齢 | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
30歳代 | 591万円 | 400万円 |
40歳代 | 1,012万円 | 520万円 |
50歳代 | 1,684万円 | 800万円 |
60歳代 | 1,745万円 | 875万円 |
(参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」)
以上の貯蓄額から、世間一般的に老後5,000万円を貯めるのは難しいと思われます。しかし、だからこそ、なるべく早い時期から老後資金5,000万円を目指して対策をする必要があるのです。
老後資金5000万円を目指すためのロードマップ
では、どのようにしたら5,000万円が貯められるのでしょうか。
その方法は、5,000万円だから特別な何かをしなければならない、というわけではなく、シンプルにお金を貯める基本的な方法が大切だと思われます。
お金を貯めるための基本的な方法を、3つのステップに分けて解説していきます。
STEP①家計の見直し
毎月の無駄な支出を減らすことは、とても有効です。「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、少しずつの節約が将来的に大きな差になります。
特に固定費は一度見直せば、長期間にわたって節約できるのでおすすめです。例えば、次のような方法があります。
- 住宅ローンの借り換え
- 公共料金のプラン変更
- 格安スマホへの乗り換えなど、スマホの料金プランの見直し
- 保険の見直し
流動費においては、家計簿をつけてしっかり支出を把握することが大事です。 特に独身の場合、交際費や娯楽費、また外食や買い物などが増える傾向にあります。
「何にいくら使っているのか」を把握し、無駄な支出を抑えましょう。
一度上げてしまった生活水準を下げることは難しいので、なるべく早いうちから節約する習慣を身につけた方がいいでしょう。
STEP②収入を上げる
収入を増やすためには、次のような方法があります。
- 転職する
- 資格取得する
- 副業する
キャリアアップや収入アップにつながる転職や資格取得は、家計のためにも、また自分のキャリアのためにも良いと思われます。
また、昨今では副業のサービスが多様化しています。副業が可能な会社に勤めているのであれば、空いた時間に気軽に稼ぐことも可能です。
STEP③資産運用を視野に入れる
「お金に働いてもらう」という方法もあります。貯蓄を効率的に「増やす」ためには、資産運用が欠かせない時代になってきているのです。
現在の定期預金の標準金利は0.002%と超低金利です。仮に1,000万円を1年間預けたとしても、利息はたったの200円しか付きません。つまり銀行に預けておくだけでは、貯金は増えないのです。
日々の家計から捻出した大切な貯蓄を、将来のためにより価値のあるものにしたいですよね。そこで、有効な方法が資産運用です。
例えば、毎月3万円を30年間普通の積立預金にした場合と、毎月3万円を運用した場合の違いは次のようになります。
利回り | 最終積立金額 |
---|---|
年利0.002% | 10,803,232円 |
年利3% | 17,482,107円 |
老後資金形成のためのポートフォリオの組み方
資産運用を始めるには、まずポートフォリオの作成が大事になります。ポートフォリオとは、どのような商品にどれくらい投資するか、その比率や組み合わせのことです。
ここでは、自分にとって最適なポートフォリオを作るために、まずは何を考えればいいのか解説していきます。ポートフォリオの一例も紹介するので、是非参考にしてみてください。
ポイント①運用期間と目的を考える
ポートフォリオを組むにあたって、まず考えなければならないことは「運用の目的」と「運用期間」です。「老後資金のために、20年間で2,000万円貯めたい」や「自宅のリフォーム費用に、10年間で1,000万円貯めたい」など、目的と目標達成までの期間を明確にしておきましょう。
運用の目的と期間を明確にすることで、運用にいくらまわせるか、いくら増やすべきか、増やすためにはどのような運用商品を選ぶべきかを考えることができます。そして、許容できるリスクの大きさなどを踏まえて、自分にとって最適なポートフォリオを組むことが可能になります。
例えば、短い期間で目標達成するためには、多少のリスクは許容してリターンを期待できる商品を選ぶ必要があるでしょう。一方、長期間での運用が可能であれば、極力リスクを抑えながら安定したリターンが期待できる商品を選ぶことが可能です。
このように目標達成から逆算し、今の自分にあったポートフォリオを組むことが大切です。
ポイント②値動きをおさえた資産運用
大切な資金を運用させるわけですから「なるべくリスクは抑えながらリターンが期待できるポートフォリオを組みたい」と思う方も多いのが事実です。
ゆとりある老後の生活のためにも、より長く安定した収益を期待したいですよね。
リスクを抑えるためには、「分散投資」と「長期投資」が効果的です。
「分散投資」には、資産分散と時間分散があります。
- 資産分散:投資する資産(銘柄)を分散すること
- 時間分散:投資するタイミングを分散すること
資産分散とは、種類の異なる商品に投資することです。
運用商品にはさまざまな種類があります。例えば債券投資、株式投資、投資信託、不動産投資、仮想通貨など、商品によってリスクやリターンは異なります。
「持っている卵すべてを、ひとつのカゴにまとめるな」と、投資資金を卵に例えて言われることがあります。もしひとつのカゴに卵を全部入れた場合、カゴを落としてしまえば卵は全部割れてしまいます。投資もこれと同じで、全額をひとつの商品に投資するのではなく、国内債券と海外の株式といったように分けて投資することがリスク分散になります。
時間分散は、投資するタイミングを分散することで、値動きの影響を受けにくくなります。特に株式投資などの場合、より安値で購入したいと思っていても実際に安値をつかむことは難しいです。よって、一度に購入するよりも、タイミングを分けて購入する方がリスクを抑えることが可能です。
「長期投資」とは、短期間で売買するのではなく、長期間にわたって商品を持ち続ける方法です。期間が長ければ長いほど、収益は安定すると言われています。また、長期投資では、雪だるま式に利益が増える複利の効果が期待できます。
以上のことから、銘柄を分散して長期的に運用することでリスクは抑えられ、比較的安定した運用が可能になります。
ポートフォリオの例
比較的安定した運用で確実に利益を求めたい方におすすめのポートフォリオを紹介します。
私たちの年金となる資金の運用や管理を行っている「年金積立金管理運用行政法人(GPIF)」 という公的機関が、2021年に設定した基本的なポートフォリオは次のようなものでした。
国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%
このポートフォリオは、長期的かつ最低限のリスクで、必要な利益を確保するために選定されたそうです。
このことからも、やはり資産分散と長期投資は安定した運用につながると言えます。
老後資金5000万円のおすすめ運用方法
先でも述べましたが、預金では増えない時代です。使い道の決まっていない資金は運用にまわし、効率的に資産を増やすことが必要です。
運用を考えなくてはいけない理由
運用が必要な理由として、次のような理由があります。
- 物価上昇から資産を守るため
- 退職金の減少
- 先行き不透明な日本の情勢に備えるため
物価上昇のリスクに備える理由は、物価が上昇すると資産価値が目減りしてしまうからです。例えば、今は1個50円のミカンが、10年後に1個150年に値上がりしたとします。今であれば150円でミカン3個買えますが、10年後には同じ150円でもミカンは1個しか買えません。つまり、お金の価値が下がってしまうのです。
また、厚生労働省「就労条件総合調査」によると、昨今では退職金が減少傾向にあります。老後資金を形成するで、退職金は当てにできないと考えておいた方がいいかもしれません。
さらに少子高齢化によって、現行の年金制度や公的医療保険制度がいつまで続くかわからない時代です。自己負担額が増えていく可能性も十分あり得るでしょう。
老後資金を確保し、ゆとりある老後を過ごすためには、このような環境の変化から自分自身を守る必要があります。そのために、資産を効率的に「増やす」運用が大切なのです。
①投資信託
- 少額からさまざな資産に投資可能(国内外の債券、株式、不動産など)
- 毎月配当がもらえる商品がある
- NISA(少額投資非課税制度)が使える
- 「バランス型」や「積立投信」など、比較的安定した商品もありリスク分散が可能
- 長期投資することで、安定した収益を期待できる
- 自分で個別に銘柄を選ぶことができない
- 解約してから、解約金を受け取るまでに数日かかる
- 他の運用商品にくらべると、利回りが低い傾向にある
②株式投資
株式投資は、投資信託と違って自分で個別銘柄を選んで売買します。したがって、ある程度の知識が必要ですし、投資信託よりリスクは高いと言えます。
しかし、平均利回りは4%~7%と言われており、投資信託よりもリターンを期待できます。
メリット
- 利回りは良い
- 短期間で収益を得られる可能性がある
- 自分で個別銘柄を選んで投資できる
- 銘柄によって、配当金や株主優待券がある
- NISA(少額投資非課税制度)が使える
デメリット
- 投資信託よりリスクは高い
- 経済情勢や銘柄に関する知識が必要
- 自分自身で直接売買を行うため、相場をチェックしておく必要がある
- 銘柄によっては投資資金に数十万円以上必要になる
③ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、普通の投資信託よりさらに利益を追求する投資信託です。普通の投資信託なら一般的に誰でも購入できますが、ヘッジファンドの場合は裕福層や機関投資家などの限られた人しか購入できません。国内ヘッジファンドの最低投資額は1,000万円となっています。
先物取引や信用取引などリスクの高い運用を組み入れることで、相場が下がった時にも一定の利益が出るように設定されています。利回りは10%以上期待できるものが多いです。
メリット
- 利回りに期待できる
- リスク分散されている
デメリット
- リスクが高い
- 限られた人しか買えない
まとめ:資産運用についてさらに詳しく知ろう
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