・現役時代のような生活水準でゆとりを持って暮らせる?
・万が一に備えて、資産を運用しておくべき?
老後資金が6,000万・7,000万・8,000万ほどある場合、金融機関から投資の案内を受けることもあり、資産寿命や資産運用の必要性に悩むケースは少なくありません。
この記事では、資産7,000万前後の場合どのように資産運用を活用するべきか、資産配分の考え方や投資先について詳しく解説していきます。
これまで築き上げてきた資産を守りながら、安心して老後に備えるための方法を一緒に考えていきましょう。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 老後資金6,000万・7,000万・8,000万あるけど資産運用するべき?
- 老後資金6,000万・7,000万・8,000万をどう運用する?FPが考える資産配分と投資先のルール
- 老後資金をどう使う?資産配分を決めるためのシミュレーションステップ
- 毎月の生活費(生活水準)を決める
- 介護利用費やリフォーム・相続など大きな支出を予測する
- 資産寿命をシミュレーションする
- 老後資金の取り崩し方法
- 【FPに聞く】老後資金の運用モデル!ケース別3選
- 資産額が多い人ほど注意!陥りやすい投資の落とし穴
- まとまった額を投資してしまう
- リスクを理解せず高利回り投資に手を出してしまう
- 貯金7,000万前後でリタイア・セミリタイアは可能?
- 夫婦2人で何年暮らせる?生活水準別に試算
- 30代・40代の場合
- 50代・60代の場合
- 貯金7,000万で気を付けるべき税金対策
- まとめ:老後資金は金額より計画が重要
老後資金6,000万・7,000万・8,000万あるけど資産運用するべき?
老後資金6,000万円以上の金融資産を持つ2人以上世帯の割合は約7.5%※で、野村総合研究所の調査によると、準富裕層と定義されています。
いわゆる「老後2,000万問題」を踏まえても、資産が7,000万前後ある場合、老後生活において直ちに資産が不足する可能性は高くありません。
一方で、以下の理由から、当面使う予定のない資産については運用に回しておくことが有効といえます。
- インフレにより、現金の価値が目減りする可能性がある
- 老後は収入が限られるため、資産の使い方によっては想定より余裕がなくなる場合がある
ただし、すべての資産を運用に回すのではなく、現金として確保しておく資産とのバランスを考えた配分が重要です。
老後資金6,000万・7,000万・8,000万をどう運用する?FPが考える資産配分と投資先のルール
老後の資産運用で重要なのは、資産を使うタイミングごとに配分し、それぞれに適した形で保有することです。
資産配分は金額だけで一概に決められるものではなく、いつどれくらいお金を使うかによって考えることが重要です。
基本的な考え方としては、資産を次の3つの箱に分けて管理します。
- 短期の箱
日々の生活費や、数年以内(目安5年)に使う予定のあるお金を入れる箱です。必要なタイミングで確実に使えるよう、預貯金や現金で保有し、ここから日々の支出をまかないます。 - 中期の箱
5〜10年以内に使う可能性のあるお金を入れる箱です。この箱のお金は、価格変動が緩やかで、いつ売っても資産が大きく目減りするリスクが少ない安定的な運用に回します。
☆投資先の例:債券・バランス型投資信託など - 長期の箱
10年以上先まで使わないお金を入れる箱です。この箱のお金は、長期的な成長を重視し、資産の増加を目的とした運用に回します。
☆投資先の例:株式・株式投資信託など
老後資金をどう使う?資産配分を決めるためのシミュレーションステップ
老後資金の資産配分を検討するためには、将来どのような生活を送り、何にいくら使うのかをあらかじめシミュレーションしておくことが大切です。
生活費やライフイベントごとの支出を事前に整理することで、現金で保有しておくべき資産、安定的な運用に回すべき資産、成長性を意識して運用する資産のバランスが見えてきます。
この章では、以下のステップに沿ってシミュレーションをしていくので参考にしてください。
- 毎月の生活費(生活水準)を決める
- 介護利用費やリフォーム・相続など大きな支出を予測する
- 資産寿命をシミュレーションする
毎月の生活費(生活水準)を決める
まずは1か月あたりの老後の生活費を決めましょう。
参考として、平均的な暮らし・ゆとりのある生活・さらにゆとりのある生活の3つのパターンに分け、夫婦2人世帯における生活費とその内訳を紹介します。
<平均的な生活>
<ゆとりのある暮らし>
<さらにゆとりのある生活>
※老後とは、公的年金の原則受給開始年齢である65歳からを指しています
介護利用費やリフォーム・相続など大きな支出を予測する
次に、日常的な生活費に加えて、老後に発生しやすいまとまった支出についても想定しておきましょう。
以下は、老後における代表的な支出イベントと平均的な費用の目安です。
- 介護利用費:約550万円/1人(夫婦2人で約1,100万円)※1
- リフォーム:約154万円※2
- 相続・贈与:約1,600万円(中央値)※3
- 葬儀費用:約121万円※4
ここまでの支出を踏まえたうえで、次は資産寿命をシミュレーションし、現在の資産でどの程度の期間生活できるのかを把握していきましょう。
その結果をもとに、生活水準や将来の支出計画を調整しながら、最終的な資産配分を検討していきます。
※1参照:リスクに備えるための生活設計|生命保険文化センター
部位ごとのリフォーム費用の相場はこちらを参照してください。:部位別リフォーム費用一覧|国土交通省
資産寿命をシミュレーションする
続いて、自分が希望する生活水準に応じた生活費と、先ほど整理したイベント支出を踏まえ、資産寿命をシミュレーションしていきましょう。
シミュレーションを行うことで、現在の資産でどの程度の期間生活できるのかを把握でき、生活水準や将来の支出計画を現実的に調整していくことが可能になります。
ここでは、例として平均的な生活・ゆとりのある生活・さらにゆとりのある生活の3つの生活水準別に、シミュレーションを行います。
なお、本シミュレーションでは、多くの人に共通して発生する可能性が高い以下のイベント支出(平均額)を含めて試算しています。
- 介護利用費:約550万円/1人(夫婦2人で約1,100万円)※1
- 葬儀費用:約121万円※2
<平均的な生活の場合>
<ゆとりのある生活の場合>
<さらにゆとりのある生活の場合>
老後資金の取り崩し方法
老後の生活において、資産をどのように取り崩していくかは、資産寿命を左右する重要なポイントになります。
基本的には、以下の順に取り崩していきます。
- 預貯金・現金などの安全資産
- 債券・バランス型投資信託などの安定的な運用資産
- 株式・株式投資信託などのリスクの高い運用資産
ただし、実際の運用では、相場の状況に応じて以下のように柔軟に対応することが重要です。
なお、取り崩しの方法としては、毎年一定額を引き出す「定額」ではなく、資産残高に応じて一定割合を取り崩す「定率」の考え方が有効です。
具体的には、「時価(その時点の資産額)」の3〜4%を目安に取り崩していきます。
この方法では、相場が悪い局面では引き出し額が自然と減るため、資産の減少ペースを抑えることができ、結果として資産寿命を延ばすことにつながります。
【FPに聞く】老後資金の運用モデル!ケース別3選
実際に、資産7000万前後で、どのように資産を配分し、どのような投資先で運用していくのか、モデルケースを3つ用意しました。
ご自身の考え方や生活イメージに近いものを参考にしながら、資産配分の方向性を考えてみてください。
モデル①:元本重視型
モデル②:バランス重視型
モデル③:成長性重視型
資産額が多い人ほど注意!陥りやすい投資の落とし穴
資産額が多い人ほど注意したいのが、周囲から持ち掛けられる投資話です。
資産額が多いと、思わぬところから不利な条件やリスクの高い投資の勧誘を受ける可能性が高まります。
この章では、よくある以下2つのケースについて、勧誘経路やリスクについて解説していきます。
- まとまった額を投資してしまう
- リスクを理解せず高利回り投資に手を出してしまう
まとまった額を投資してしまう
1つ目は、まとまった額を一度に投資してしまうケースです。
特に、資産状況を把握している銀行や、営業リストを持つ不動産会社などから提案を受けることが多いため注意が必要です。
数年以内に使う予定の資金を考慮せずに大きな額を投資してしまうと、資産はあるのにすぐに使えないという事態が発生してしまいます。
いくら資産を効率よく増やせたとしても、直近の生活資金が不足してしまっては本末転倒です。大きな金額を投資する際は、使う時期も踏まえて慎重に判断することが大切です。
リスクを理解せず高利回り投資に手を出してしまう
2つ目は、リスクを理解せず高利回り投資に手を出してしまうケースです。
こうした投資の話は、知人からの紹介やSNSなど、身近なところから持ち掛けられることが少なくありません。どのような間柄・内容であっても、そのまま受け入れず一度立ち止まって考えることが大切です。
投資は、一般的にリターンが大きいほどリスクも高くなる傾向があります。
特に老後は、大きな損失が出た場合に取り返すための時間や収入が限られています。これまで積み上げてきた資産を守るためにも、高利回りを強調する投資には慎重に向き合うことが重要です。
貯金7,000万前後でリタイア・セミリタイアは可能?
貯金が7,000万前後ある場合、リタイアが可能かどうかは年齢や自分が求める生活水準、資産の使い方によって大きく異なります。
資産総額で一概にリタイア可能とは言えないため、注意しましょう。
ここでは、まず夫婦2人世帯の場合に7,000万円でどれくらい暮らせるのかを確認したうえで、年代別にリタイアの実現性を解説していきます。
夫婦2人で何年暮らせる?生活水準別に試算
まずは、夫婦2人世帯の場合、無収入で何年暮らせるのかをみてみましょう。
| 生活費/年 | 資産寿命 | |
|---|---|---|
| 平均的な 生活水準の場合 | 252,743円※1×12か月=約303万円 | 7,000万円÷約303万円=約23年 |
| ゆとりのある 生活水準の場合 | 283,890円※2×12か月=約341万円 | 7,000万円÷約341万円=約21年 |
| さらにゆとりのある 生活水準の場合 | 377,328円※3×12か月=約453万円 | 7,000万円÷約453万円=約15年 |
このように、7,000万円あっても生活水準によって資産が持つ年数は大きく異なりますが、目安としては20年前後がひとつの基準となります。
ただし、ここでの試算はあくまで毎月の生活費のみで算出した目安です。
実際には病気や住まいの修繕などまとまった支出が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
※2・3平均的な生活から、外食や教養娯楽(趣味・レジャー・旅行など)、それに伴う交通・被服等の支出の割合を増加した金額
30代・40代の場合
先ほどの試算の通り、平均的な生活水準でも7,000万円で暮らせる期間は約20年前後にとどまります。
30代・40代でリタイアした場合、65歳の年金受給開始までには30年以上の期間があるため、完全リタイアで資産の取り崩しだけで生活を維持するのは現実的とは言えません。
ただし、セミリタイアであれば実現できる可能性はあります。
セミリタイアとは、フルタイムの仕事からは離れつつも、パートやフリーランスなどで一定の収入を得ながら生活するスタイルです。
収入が少しでもあることで資産の取り崩しスピードを抑えることができ、結果として資産寿命を延ばすことにつながります。
完全なリタイアにこだわらず、働き方を調整することで、無理なく資産を守りながら自由な時間を確保することが現実的な選択といえるでしょう。
50代・60代の場合
50代・60代でリタイアを検討する場合は、30代・40代と比べて現実性は大きく高まります。
65歳から年金を受給できるため、生活費のすべてを資産の取り崩しでまかなう必要がなくなるからです。
特に60代前後でリタイアする場合は、年金受給開始までの期間も短いため、7,000万円あれば比較的安定した生活を送れる可能性が高いでしょう。
ただし、注意したいのは生活水準と将来のまとまった支出です。
ゆとりのある生活を続ける場合は資産の減りも早くなりますし、医療費や介護費などの将来的な支出も考慮しておく必要があります。
リタイア後は生活費のバランスを見ながら、必要に応じて支出を調整したり、資産運用を取り入れたりすることが重要です。
貯金7,000万で気を付けるべき税金対策
貯金7,000万の場合、以下のようなケースでの税金についてあらかじめ理解しておくことが大切です。
- 資産運用の運用益にかかる税金
- 相続・贈与にかかる税金
まとめ:老後資金は金額より計画が重要
老後資金6,000万・7,000万・8,000万は、一般的な目安と比べても余裕がある水準といえますが、使い道や資産の使い方・運用方法によっては、不足する可能性もあるということをお伝えしました。
大切なのは、資産額そのものではなく、資産運用も含めてどのように使っていくかという計画です。
計画がないままだと、このままでいいのか不安を抱え続けることにもつながります。
老後を安心して楽しみ、今の時間を大切に過ごすためにも、一度ご自身の状況をもとに、具体的な数字で計画を立ててみましょう。

※夫婦2人世帯における1か月あたりの老後の生活費の平均支出より引用
「堅実で穏やか。日常の小さな幸せを大切にする暮らし」
食費: 自炊中心で週1回プチ贅沢。外食は月2回のランチ(2,000~3,000円)が楽しみ
被服費: 実用衣類が中心。傷んだら買い替えるサイクル
旅行費: 年2回の近場温泉(1人2〜3万円)。移動は自家用車や普通列車
その他: 美容院はカットのみ。孫へのお小遣いや冠婚葬祭を優先
※あくまでイメージです