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ふるさと納税は返礼品がもらえるだけではなく、納入した額に応じて翌年の所得税および住民税を控除することのできる非常に便利な制度です。しかし、ふるさと納税を利用したのに正しく控除ができているのかわからない、正しく行われているかを確認したい、という方もたくさんいらっしゃると思います。本記事ではそんな皆さんのお悩みを解決していきます!

この記事の目次

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ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自らが選択した自治体に寄付を行うことができる制度です。

「納税」とはついていますが、地方自治体への「寄付金」として扱われ、「所得控除」および「税額控除」の対象となる点が特徴的です。

各自治体がホームページ等で公開している寄付金の使い方を確認して、どの自治体にも寄付を行うことが可能です。


この寄付した金額のうち、自己負担額である2000円を除いた金額が、翌年の所得税および住民税からそれぞれ控除されます。

例えばある自治体に30000円を寄付した際には自己負担額の2000円を超えた28000円分が翌年の所得税および住民税からそれぞれ控除されるという仕組みです。


また寄付した額の30%の金額の返礼品を寄付先の自治体から受け取ることも可能です。


このようにふるさと納税は地方自治体を支援することができるだけでなく、寄付を行った側にも大きなメリットがあるということのできる制度です!

控除ができているかの確認方法

控除が正しくできているか、控除の内容が反映されているか、の確認方法は、ふるさと納税を行った際に利用した制度によって変わります。主に二つのパターンが存在します。

① ワンストップ特例制度の場合

ワンストップ特例制度とは、確定申告が不要な給与所得者で、かつ1年間にふるさと納税を行った自治体が5団体以内である人が利用することのできるもので、ふるさと納税分に関して確定申告を行う必要がなくなる制度のことです。

こちらの制度を利用した際には5月から6月に送付される住民税決定通知書から確認を行うことができます。




そこに記載のある市町村及び道府県の「寄付金控除」あるいは「税額控除」という2か所の欄の金額を確認し、それを足します。

その合計から2500円を引いた額が、寄付金額から2000円を引いた額とほぼ同額となっていれば正しく控除できており、その結果が反映されていると確認することができます。


 つまり、控除が正しくできているときには以下の関係が成り立つと確認することができます。


市町村民税「税額控除」(または「寄付金控除」) + 道府県民税「税額控除」(または「寄付金控除」) - 2500

≒寄付金額 - 2000


なお、この2500円とは調整控除に当たります。 

② 確定申告の場合

ワンストップ特例制度を利用せず、確定申告を行った際にも同様に住民税決定通知書をご用意ください。


この場合はまず、所得税の還付が行われます。この還付金額は確定申告書の控え「還付される税金」欄から確認することができます。こちらの還付金は確定申告書に記載した銀行口座に振り込まれます。


残りの控除は住民税において行われます。


控除額の合計金額が正しいかどうかの確認方法は以下のようになります。

市町村の税額控除額と道府県の税額控除額の合計から調整控除である2500円を引いた金額に所得税の還付金を足した合計金額を出します。この合計金額が寄付金額から2000円を引いた金額とほぼ同じ金額となれば控除は正しく行われていると確認することができます。


以下が確認するための計算式です。


市町村民税「税額控除」(または「寄付金控除」) + 道府県民「税額控除」(または「寄付金控除」) - 2500 + 所得税還付金

≒寄付金額 - 2000

サイト・アプリでの確認はできるのか?

ふるさと納税の寄付先を選ぶ際に、多くの人がサイトやアプリを用いていると思います。

ではこうしたふるさと納税用のサイトやアプリでは控除ができているかの確認はできるのでしょうか。


 結論から言うと控除ができているかの確認をサイトやアプリから行うことはできません。


また、同様に給与明細や源泉徴収票から確認することもできないので、注意が必要です。 


よって住民税確定通知書を用いた上記2つの方法で確認するしか方法はありません。

※ 自治体によっては、マイナポータルからも確認できることができるようです。 

正しく控除ができていなかった際の対処方法

では、上記のような確認方法で寄付金額と控除額が合わない、控除が正しくできていない、と判断された際の解決方法を、原因別に解説していきます。大きく分けて2つの原因が考えられます。

① 寄付金控除申請書の申請漏れ

1つ目のパターンはふるさと納税において正しく控除を行うための手続きや申請に漏れがあるパターンです。漏れが生じると考えられるケースは以下の通りで、それぞれについて解説していきます。


・ワンストップ特例制度の申請が正し出来ていなかった場合

6以上の自治体に対して寄付を行ってしまった、または寄付先の自治体の一部にしか手続きを行わなかった、などといった場合にはワンストップ制度を正しく利用することができず、控除が正しく反映されません。


このような場合には、ふるさと納税を行った年から5年以内に確定申告を行えば控除を受けることができます。ですから確定申告の手続きをしましょう。


・確定申告が行われていなかった場合

ふるさと納税について確定申告を行わなかった場合には、控除を受けることはできません。こちらもふるさと納税を行った年から5年以内であれば確定申告の手続きを行うことで控除を受けることができます。

・確定申告の際の書類に不備があった場合


確定申告の際に、書類に不備があったために控除が正しく行われていない場合があります。

例えば、確定申告の際に「寄附金控除」の欄に寄付金額を記入することが必要で、この記入がなかった場合には控除が正しく行われません。


このように書類に不備があったために控除が正しく行われなかった際には「更生の請求」を行うことで控除を受けることができます。


更生の請求とは確定申告期限を過ぎた後に、税金の金額の修正を申告するための手続きのことです。こちらの審査に通れば控除を正しく受けることができます。


更生の請求については、詳細はこちらのサイトをご確認ください。


国税庁:確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A


・手続き自体は正しく行われていたが、自治体側の手続きに誤りがあった場合

手続き自体に不備がないのに、住民税決定通知書に控除が反映されていない場合には自治体側の手続きに誤りがあると考えられます。

この場合には住民税確定通知書を発行している自治体に問い合わせて確認してみてください。

② 控除可能金額の上限を超えてしまった

2つ目のパターンはふるさと納税によって控除が行われる金額の上限を超えて、寄付をしてしまったために正しく控除ができていないパターンです。


そもそも上限金額とは?

ふるさと納税には寄付金額自体には上限は存在しないので、選択した自治体に好きなだけ寄付を行うことができます。しかし、所得税および住民税から控除される金額には上限が存在しており、その金額を超えて行われた寄付については控除対象とはなりません。

上限金額を超えていた場合の対処法

控除の上限金額を超えて寄付を行ってしまった場合には、寄付自体の申請をキャンセルすることはできないので超過分は自己負担額となってしまいます。

基本的にはこのように寄付金を払い過ぎてしまった場合には、超過分は自己負担額となって損することになってしまいます。しかし、この超過分も「寄附金控除」の対象とはなるのでしっかりと申告を行うことで負担を軽減することができます。

また、ふるさと納税の際に「ワンストップ特例制度」を利用する場合よりも「確定申告」を行ったほうが自己負担額が小さくなります。よって、もし「ワンストップ特例制度」を利用していて上限金額を超えてしまったような場合には確定申告を行うことも負担を軽減するための一つの方法といえます。

ただ、このような事態に陥らないためにも控除の上限金額を正確に算出して事前に確認しておくことが重要です。 

上限金額を正しく算出する方法

では、控除金額の上限額はどうすれば確認できるのでしょうか。
いくつか方法はありますが、最もおすすめなのが上限金額計算のための「シミュレーター」を用いる方法です。

このシミュレーターはふるさと納税サイトで利用することができるもので、必要な項目に入力することによって自分自身の控除の上限金額の目安を確認することができます。
それぞれのサイトで必要になってくる項目が異なるので自分自身の家族構成や収入に合わせて使うサイトを選択することが重要です。

上限金額を算出する際の注意点

シミュレーションを用いるかどうかにはかかわらず、控除の上限金額を算出する際に注意しなくてはならないポイントがいくつか存在します。

まず一つ目のポイントは上限金額はその年の所得によって決まるという点です。
例えば2022年の1月1日から12月31日までの間の取得に基づいて2023年分の所得税および住民税が決定され、同様にこの所得に応じてふるさと納税の控除の上限金額も決まるという仕組みとなっています。

この仕組みではその年中に所得を確定させることができないので、前年の給与明細などに基づいて上限金額を予想するほかありません。この予想は前年度よりも所得が低くなるようなことがあると、実際の上限金額を上回ってしていしまうような場合があるので注意が必要です。

 二つ目のポイントは控除の上限金額はふるさと納税以外の控除の影響も大きく受けるという点です。
 前述のとおり、ふるさと納税は所得控除または税額控除に含まれます。これ以外の控除制度を利用した場合には、ふるさと納税の控除の上限金額が減少することがあります。例えば住宅ローン控除や医療費控除等を利用した場合がこれに該当します。
そのため、上限金額を計算する際にはふるさと納税以外の控除がどう変動するかも考慮することが必須になってきます。

ふるさと納税で失敗した人の体験談

ここからは少し実際にふるさと納税で失敗した人の体験談をいくつか紹介していこうと思います。



こちらの人はワンストップ特例が適用されるのは5自治体までとは知らずに6自治体以上に寄付を行ってしまったようです。このような場合には申請を行っていても、ワンストップ制度は利用できないので、控除を正しく受けるためには確定申告を行う必要があります。




こちらの人は想定以上に医療費控除が増え、ふるさと納税の控除金額の上限が事前に算出したものよりも低くなり、上限を超えて多く払い過ぎてしまったという失敗をしています。

前述の通り、ふるさと納税の申請は所得や、ふるさと納税以外の控除の変動の影響を受けるので注意しなくてはなりません。上記で紹介した確認方法を用いて上限を事前に確認しておくことが大切です。

まとめ:ふるさと納税の控除の確認方法

ふるさと納税の控除が正しくできているかの確認方法は非常に複雑ですが、今回の記事を通してわかっていただけたでしょうか。


控除が反映されているかは、給与明細や源泉徴収票などから確認できそうに思えますが、実際は住民税決定通知書を確認することが必要となります。


このように、ふるさと納税は計算方法や手続きなどがわかりにくい制度ですが、うまく利用することができれば所得税や住民税を控除できるだけでなく、返礼品も受け取ることのできる非常に便利な制度です。


 控除が正しくできていなかった場合には、今回紹介したような確認方法を用いて、原因をしっかりと見極めて適切な対応をしていくことがふるさと納税を上手に使っていくために重要ではないでしょうか。 

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。