領収書を紛失すると医療費控除の申請はむり?領収書が不要って本当?のサムネイル画像
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領収書を紛失した場合は医療費控除の申告はできるのでしょうか。この記事では、医療費控除を申告したいときに領収書を紛失していた場合の対処法を紹介しています。また、医療費控除で返ってくる金額も解説しているので、ぜひお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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医療費控除の確定申告で領収書を紛失した場合はどうする?

確定申告の際の医療費控除を受けたいが、領収書を紛失してしまった!そんな経験はないでしょうか?可能な場合は再発行してもらえればいいでしょう。


しかし、たいていの病院や診療所、薬局では「領収書の再発行は致しません」と領収書にはっきり書いてあるもの。これは領収書の用紙がコンピューターで処理されているためです。つまり、再発行すればそれだけ内部の事務手続きが煩雑になる、という病院側の都合です。ですから、病院等の領収書は出来れば紛失せずに持っておきたいものです。


平成29年(2017年)の確定申告より、医療費控除を受ける際の領収書の添付は原則不要となりました。代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必要になりました。(一部移行期間あり。)だからといって、領収書が必要なくなったわけではありません。医療費の領収書は5年間自宅で保存する義務があるからです。


これは医療費控除を受けるうえでの大原則ですが、おそらく税務署はみなさんのご家庭に「領収書見せてもらえますか?」なんて調査には来ないと思います。金額がよほど大きいとか、不正の疑いが強い場合は別かもしれませんが、金額が大きい場合は一定額以上を国に出してもらうという高額医療の制度の適用を受けることになる可能性があるので、適用を受けるために領収書添付が必要になります。


最近では生命保険を請求するのに、医師の診断書ではなく病院の領収書を送付するというケースもあります。この場合、領収書は必ずしも原本でなければならないということはなく基本コピーでOK です。万が一原本を送ってしまうと確定申告の際に困った!なんてことにもなりかねません。ご注意ください。  


いずれにせよ、原則論として確定申告の医療費控除には領収書は必要、あった方がいいということになります。紛失してはいけないということですね。次からは具体的に領収書を紛失した場合の対処法について見ていきましょう。

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医療費控除の確定申告で領収書を紛失した場合の対処法

紛失した場合の対処法としてはまず、領収書を再発行を依頼することです。あるいは金額が分かる証明書を発行してもらうことです。そして、税務署に相談するという方法もあります。


まず、再発行を依頼することですが、とりあえず病院や診療所、薬局に相談してみることです。うまくいけば再発行してもらえるかもしれません。ダメな場合は以下の方法があります。


それは、金額が分かる証明書を発行してもらうという方法です。


これは、「領収額証明書」「支払額証明書」といった書類が病院にあるのでこれらを発行してもらうことです。


通常有料ですが、発行してもらえます。ただしそれらの書類が、確定申告の医療費控除に有効かどうかは病院等によって異なるので発行を依頼する際にお尋ねください。


また、病院等によっては領収書ではなく、レシートが発行される場合もあるので、これが領収書の代理になる可能性もあります。病院等にお尋ねください。


以上の方法でダメな場合でも、ぜひ税務署に相談ください。


銀行などの通帳やクレジットカード明細で代用することをご提案すればいいのです。他にも、家計簿・お薬手帳・ご家族の医療機関や医療内容をまとめた一覧表などを作成して税務署に持って行って相談するのです。


もちろん、必ずしもうまくいくとは限りませんが、領収書等がないからといってあきらめるのは早計です。特に確定申告の際の還付金が大きい場合は挑戦してみる価値が大きいでしょう。

①領収書の再発行や領収額証明書の発行を依頼する

まずは失くさないこと 
まず言えることは、領収書は絶対に紛失しないでください。これが大前提です。普段から領収書の置き場所を決め、家族で管理してください。医療費控除のためだけでなく、家計の計算のためにもあった方がいいと思うのです。紛失しないことが一番です。

紛失してしまった時は 

 万が一、紛失してしまった場合は、とりあえず病院等にお問い合わせください。コンピューターが導入されていない病院等なら再発行の可能性があるかもしれません。ただ、最近はコンピューターが導入されているところが多いように思います。

領収額証明書の発行は
 領収書の再発行がダメだった場合は領収額証明書の発行を依頼する形になります。あるいは支払額証明書と呼んでいる場合もあります。確定申告の医療費控除に有効かどうかはわかれます。

また、これは前述のようにたいてい有料なのですが、ちなみに筆者の通う内科ではこういった証明書は出さず、領収書のコピーを発行するのだそうです。(コピー代無料。)コピーでも医療費控除のためにはOKだそうです。でも、病院等によっては手数料が高い場合もあるので、発行してもらうかどうかは確定申告の還付金次第でしょう。

いずれにせよ、まずは領収書を紛失しないことです。

②医療費通知を利用する

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医療費通知を利用するという方法もあります。医療費通知とは、健康保険組合から送られてくる医療費のお知らせのことです。これを領収書の代わりに確定申告の医療費控除の際に添付するのです。


でも、これも必ず通るという話ではなく、あくまで税務署と相談といった話です。ただし、原則論から言えばOKです。


医療保険者が発行する以下の6項目の記載がある「医療費通知」を確定申告書に添付することできます。この場合「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、加えて医療費の領収書の保存も不要となります。



  • 被保険者等の氏名
  • 療養を受けた年月
  • 療養を受けた者
  • 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
  • 被保険者等が支払った医療費の額
  • 保険者等の名称


領収書は紛失しないことが一番ですが、以上のような代替案もあることを覚えておかれるといいでしょう。

②レシートで代用する

 領収書ではなく、いわゆるレシートを渡してくる病院等もあります。

この場合はこのレシートを保存しておけばいいのです。(レシートの方がより紛失しやすいかもしれませんが。)

あくまで言葉の問題ですが、領収書もレシートも英語では”receipt”です。これも紛失は避けましょう。

③通帳記録やカード明細で代用する

①、②でもダメな場合、銀行通帳に手書きで病院の支払いの事実を書き込んだり、紙のクレジットカード明細(現在は有料)を添付する、という方法も考えられます。

通帳を活用する 

通帳の病院等の支払いに使ったお金のところに鉛筆で病院への支払いの事実を記入するというのはどうでしょうか?あるいは最近はデビットカード(一回ごとに口座から支払われるタイプのカード)も多いですから、デビットカードで支払った取引の欄に病院等の事実を書き込む。その通帳のコピーを確定申告の際に添付するのです。また、銀行が発行する取引記録があるのでそれを使ってもいいでしょう。


カード明細で代用する

最近では、クレジットカードが使える病院も増えてきました。一定額以上、というところが多いようですが、クレジットカードを愛用している人・カードのポイントを集めている人には朗報です。いちいち銀行にお金をおろしに行く手間も省けます。


それに現金に限らず、カードで払っても医療費控除の対象になります。ただし、分割払いやリボ払いをした際の金利・手数料は控除の対象外です。


そういう方はカードの明細をパソコンからプリントアウトして代用するのという方法があります。あるいは、カード会社に頼んで紙の明細書を発行してもらうというのはどうでしょうか?有料ですが、発行してもらえます。それらを証拠書類として添付するのです。


これらもぜひ税務署とご相談ください。紛失した領収書の代用になる可能性があります。

 

④最悪家計簿やメモに記録されていれば良い

これもダメもとで税務署と相談になります。家計簿やお薬手帳、診察券の裏側、医療機関や医療内容をまとめた一覧・メモがうまくいけば紛失した領収書の代用になるかもしれません。うまくいけばラッキーですね。

なぜなら、支払った医療費が分かれば医療費控除の明細書が作成できるからです。お話した通り、現在では確定申告の医療費控除の際、基本領収書の添付は必要ないので、「医療費控除の明細書」の作成が大事なのです。

まれに紛失ではなく、病院側が領収書を出さない場合もあるので、こういう方法も選択肢に入るのです。といいますのも、歯医者で高額の治療の際に歯科ローンを組む場合があります。この場合、領収書が出なくて、歯科ローン契約書(コピーでも可)が添付書類になる、といったケースもあるからです。
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領収書を紛失しても医療費控除の明細書を作成すれば申告できる

先ほどからお話しているように、確定申告の際に病院等の領収書を提出する義務はありません。念のために持っておく、といった感じです。でも、当然持っておくに越したことはないでしょう。


また、確定申告の際の医療費には交通費なども含まれるので、例えば出産の場合などでのタクシーの領収書なんかも病院等の領収書と同様に紛失せずに保存しておくといいでしょう。


確定申告用紙の添付書類として医療費控除の明細書をつければ申告は可能です。ただ、この場合領収書を自宅にて5年間保存義務があるという話です。

【注意】医療費控除の還付金は申告した医療費の額ではない!

結論から言うと、医療費控除額の還付金は申告した医療費の額ではありません。なぜなら、申告した医療費がそのまま還付金にはならないからです。かかった医療費をもとに計算するからです。


2021年(2020年分・令和2年分)の確定申告における計算式は、


支払った医療費Aー保険金などで補填される金額B=C

(確定申告書の所得欄の金額(第1表⑤欄)+退職所得金額)D×0.05=E

Eと10万円の少ない方→F

医療費控除額=CーF (最高200万円まで、赤字の時は0円)

この額を確定申告の第1表⑱に挿入し、さらに計算するのです。


したがって、医療費が多いほど還付金が多い可能性はあるのですが、他の所得や収入、控除金額によっても変わってきます。一概には言えません。(参考:確定申告の基礎知識

医療費控除と選択して利用できるセルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制とは、特定の医薬品購入額の所得控除制度のことで、医療費控除の特例のことです。


健康増進・疾病予防目的に個人が平成29年(2017年)1月1日以降、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用にかかる所得控除が受けられるもののことです。


まとめ:医療費控除で領収書を紛失した場合の対処法を知ろう

領収書を紛失した場合のここまで議論してきたまとめは以下のようになります。

・まず病院に相談して再発行や領収額証明書の発行をお願いする。

・税務署に相談して医療費通知やその他家計簿・お薬手帳・医事記録などで代用できないかお願いする。


あくまでも領収書は紛失しないことです。いくら提出の必要がないとは言っても大切なものです。紛失は避けましょう。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!!