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コンタクトレンズ代は医療費控除の対象になるのでしょうか?この記事では、コンタクトレンズが医療費控除の対象になるかどうかについて解説しています。眼内コンタクトレンズ(ICL)や眼鏡の医療費控除についても説明しているので、ぜひお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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コンタクトレンズ代は医療費控除の対象外?


「コンタクトレンズって費用が結構かかりそう...」と思っている方も多いのではないでしょうか?


また、「視力矯正ではなく、コンタクトレンズを治療に使用している場合はどうなるの?」という疑問を持っている方も少なくないと思います。


そこで本記事では、


  • 視力矯正目的では、医療費控除の対象外

  • 治療目的であれば、医療費控除の対象

  • 眼鏡の医療費控除について

  • 医療費控除の申告について

  • 医薬品購入におけるお得な税制の紹介

について解説します。

コンタクトレンズや眼鏡の医療費控除に関する情報が満載なので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

視力矯正のためのコンタクトレンズの費用は医療費控除の対象外


医療費控除の対象となる条件は、以下のとおりです。


  1. 治療目的であること

  2. 医療費の合計が10万円以上であること(年収200万円未満の場合、総所得金額の5%の金額以上であること)

  3. 本人または本人と生計を共にする配偶者やその他の親族に支払った医療費であること

  4. その年の1月1日〜12月31日医療費であること(未払い医療費は含まない)

ここでは、「治療目的」とはどういう意味であるかについて解説します。

また、「医療費の金額」については後ほど詳しく解説します。

医療費控除の対象と認められるためには、「視力を回復させるための治療」であることが必要です。

従って、眼科関連の医療費において、医療費控除の対象とならないケースは以下のとおりです。

  • 近視や乱視、遠視用などの視力矯正のための眼鏡・コンタクトレンズ

  • 上記の付属品などにかかる費用(コンタクトレンズ保存液など)

一方で、白内障や緑内障などの手術後に、機能回復を目的として装用するメガネやコンタクトレンズは医療飛控除の対象として認められます。


眼内コンタクトレンズ(ICL)は医療費控除の対象となる


対象となる理由は、「視力を回復させるための治療」に該当するためです。

ICLとは、コンタクトレンズを目の中に入れて視力機能を回復させる治療方法です。

角膜を削らない治療であるため、日帰り治療が可能、早期回復など様々なメリットがあります。

料金の相場は、40〜50万程度で、乱視矯正も行う場合は両眼で+10万円程度かかります。

眼科治療において、ICL以外にも以下の治療が医療費控除の対象です。


  • 視力回復レーザー手術(レーシック手術)
    角膜にレーザーを照射し、角膜のカーブを変えて角膜の屈折力を調整する視力回復方法です。

    近視、遠視、乱視を矯正することができます。

    この手術は、「目の機能を医学的な方法で正常な状態に回復」させるものであるため、治療として認められ、医療費控除の対象となります。

  • オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)
    特殊なコンタクトレンズを寝ている間に装着し、睡眠中に角膜の形状を正しく矯正する治療方法です。

    そのため、日中は裸眼で生活することができます。

    ただし、外科的手術に抵抗がある方でも受け入れやすい治療法ですが、視力が治るわけではないので治療を止めると効果はなくなります。

眼鏡も医療費控除の対象外!では医療費控除の対象になるものとは?


上記で説明したように、視力矯正が目的の場合は医療費控除の対象にはなりません。


以下では、医療費控除の対象になる場合とならない場合について、さらに詳しく解説していきます。

①治療目的の医療費は医療費控除の対象となる

眼科関連の場合、以下の症状が「眼科治療」として認められています。


  • 弱視

  • 斜視

  • 白内障

  • 緑内障

  • 難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)

出典:国税庁HP


上記症状の治療に対し医療費控除を申告する場合、医師による治療が行われたことを証明する必要があります。


そのため、処方箋には、上記症状を有していること、医師による治療が必要であった旨を明記してもらいましょう。


医療費控除の対象となる具体例を以下に紹介します。


  • 視機能の未発達な子が、視力の発育を促進するために、医師の指示に基づいて購入する眼鏡費用

  • 白内障の患者が、術後の傷口保護と傷口が治るまでの視機能回復を目的として、一定期間装着する眼鏡の購入費用


上記の眼鏡購入費用には、当然レンズ以外の眼鏡フレームなどの費用も含まれます。


ただし、眼鏡のフレームなどおいて、特別に高価な材料を使用したり、特別の装飾を施したりしたものは、医療費控除の対象外になる可能性があるので注意しましょう。

②予防目的の医療費は医療費控除の対象とならない

眼の病気は、単独で起こる場合だけでなく、身体の不調から発症することがあります。


従って、眼の病気を予防するためには検診や眼のエイジングケアが重要です。


ですが、予防目的の医療費は医療費控除の対象とならないことに注意して下さい。


以下に、眼病予防目的とみなされる例について紹介します。


  • 緑内障などの早期発見・早期治療のための検診

  • 眼病発症(加齢黃斑変性症など)を防ぐための「禁煙治療」、「サプリメント処方」、「食事カウンセリング」

  • 眼病発症(網膜症など)を防ぐための「抗VEGF硝子体注射」


眼病予防以外にも、


  • 美容目的の歯科矯正

  • 健康増進目的のビタミン剤

  • 疲労回復目的のマッサージ

  • 予防接種

  • 健康診断や人間ドッグ


などが「予防目的の治療行為」とみなされてしまうので注意して下さい。

医療費控除どのような場合に申告できる?


ここまでで、医療費控除の対象になる場合とならない場合について詳しく解説してきました。


以下では、医療費控除を受けるメリットや確定申告方法について解説していきます。

家計の医療費の合計が10万円を超えれば医療費控除の対象となる

医療費の合計金額は、年収が200万円未満の場合は、10万円以上の医療費を支払っていなくても医療費控除を受けることができます


例えば、年収150万円の場合、医療費控除を受けるための最低金額を計算すると、

150万円 × 0.05 = 7.5万円

と算出されます。


すなわち、計算例の場合7.5万円以上の対象医療費を支払っていれば、医療費控除の申告が可能です。


また、本人だけでなく本人と生計を共にする配偶者やその他の親族に支払った医療費の合計を「医療費金額」として計上することができます。


生計を共にしている方が多いご家庭は、医療費の総支払金額を確認してみると良いかもしれません。


医療費控除の対象となる具体例について以下に紹介します。


  • 虫歯の治療、治療目的の歯科矯正

  • 市販の風邪薬代

  • 治療目的のマッサージ

  • 出産

  • 不妊治療

  • 通院にかかる電車代やバス代(付添人の交通費も計上可)


公共交通機関での移動費用も医療費控除の対象になるのは意外ですよね。


タクシーは公共交通機関ではありませんが、ケースによっては医療費控除の対象になる場合があります。


  • 医療費控除対象例:出産で病院に行く際に夜中であったため、タクシーを使った

  • 医療費控除対象外例:身体的にも時間的にもバスなどで行けたが、タクシーを使った


特に交通費関連は判断が難しい部分があるため、領収書はできるだけもらっておくようにしましょう。

医療費控除を目的に確定申告すると返ってくる金額はいくら?

年収400万円のケースで試算してみたいと思います。


年間の医療費が20万円かかった場合、控除対象金額は

20万円 ー 10万円 = 10万円

となります。


この10万円から、所得税と住民税の税率をかけて算出した金額が還付金額です。


課税所得が400万円の場合、所得税の税率は20%です。
(詳しくは所得税の速算表を参照して下さい。)


また、住民税は一律10%で計算します。


すなわち還付金額は、

所得税:10万円 × 20% = 2万円

住民税:10万円 × 10% = 1万円

還付金額:2万円 + 1万円 = 3万円

と計算されます。


所得税率は累進課税制度が採用されているため、収入が高いほど医療費控除の金額も大きくなります


従って、収入を得ている人が二人以上いる場合は、収入の多いほうが申告するほうが良いでしょう。

会社員ならオンライン上でいつでも医療費控除の確定申告ができる

医療費控除、給付金控除などは会社が年末調整してくれないので、自分で確定申告をする必要があります


確定申告をする手順は以下のとおりです。


  1. 領収書を集める(5年間保存)

  2. 医療費控除の明細書を作成する
    (もしくは、健康保険の医療費通知を利用して明細書を作る)

税務署は、5年前までの領収書の提示または提出を要求することができるため、5年間は必ず領収書を保管しておきましょう

逆に言えば、領収書さえあれば5年前までの医療費をさかのぼって申告することもできます。

申告に必要な医療費控除の明細書や確定申告書は、国税庁ホームページから作成できます。

それぞれの具体的な手順についてもこちらに丁寧に記載されていますので、確認してみて下さい。

医薬品を1.2万円以上使うとセルフメディケーション税制を利用できる


セルフメディケーション制度は、国民健康保持増進や病気の予防への取り組みを推奨することを目的とした制度です。

還付金額は医療費控除と同様に計算することができます。

年収400万円、5万円の医薬品購入をした場合の還付金額は、

5万円 ー 1.2万円 = 3.8万円

所得税:3.8万円 × 20% = 7.6千円

住民税:3.8万円 × 10% = 3.8千円

還付金額:7.6千円 + 3.8千万円 = 1.14万円

セルフメディケーション制度の申請においても、収入が高いほど医療費控除の金額も大きくなります。

詳細は、セルフメディケーション税制の概要・手続きより確認してみて下さい。

まとめ:コンタクトレンズの費用は医療費控除の対象にならない

ここまで、医療費控除について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


本記事のポイントは、


  • 視力矯正のためのコンタクトレンズや眼鏡は医療費控除の対象外

  • 予防目的の医療費は医療費控除の対象外

  • 白内障や緑内障などにおける、「視力を回復させるための治療」であれば、医療費控除の対象

  • 具体的には、ICL費用、視力回復レーザー費用、オルソケラトロジー治療費用、視機能回復に必要な眼鏡購入費用など

  • 医療費控除を確定申告する際は、年収の高い方(二人以上の収入がある場合)での申告を推奨

  • 医療費が少なくても、セルフメディケーション税制を利用できる可能性あり

です。

医療費控除はルールや申告が複雑な部分がありますが、もう一度家計の医療費を見つめ直してみましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。