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入院したときの費用は、どこからどこまで医療費控除の対象となるのでしょうか。この記事では、入院した際に医療費控除の対象となる費用を解説しています。また、医療費控除と高額療養費制度の違いも説明しているのでぜひお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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入院時に医療費の対象となる費用はどれ?

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こんにちは。マネーキャリア編集部・FPの西田です。   

先日、50代の男性から次のような質問をされました。
妻が2週間ほど入院することになりました。入院にはなにかと費用がかかりますが、医療費控除の対象となる物を教えてください。また、入院時に必要なパジャマやタオルなども控除の対象になりますか?

入院には決して安くない費用がかかるため、支払い額に不安を抱かれる方も多いです。 


マネードクターナビには、入院1日あたりの自己負担費が約1万円~1万5千円という人が最も多いと記されています。


同サイトによると、1日の入院費について次いで多いのが、2~3万円未満となっています。 入院1日あたりにかかるこの金額について、「そんなにかかるのか!?」「支払いが心配」と驚かれる方もいらっしゃるでしょう。 


そこで、本記事では入院時にかかった費用のなかで医療控除の対象となる費用を解説していきます。 


控除対象となる費用を知っておくことで、自己負担を減らすことができます。 


本記事が、これから入院される方、ご家族のなかに入院している方がいらっしゃる方の参考になりますと幸いです。

入院時に医療費控除の対象となる費用6選!


日本において、自己、もしくは自己と生計を同一にする親族のために医療費を支払った場合、所得控除を受けることができます。

この控除が、医療費控除と言われるものです。


「医療費控除」についての知識がない場合、控除を受けることができませんので、本来の負担以上に自己負担が増えます。

医療控除の対象となる費用として、診察費、治療費のみならず、支援器具などもその対象として認められています。


以下、具体的に何が医療費控除の対象になるのか確認しておきましょう。

自己負担を少しでも軽くするために不可欠の知識ですので、以下で紹介する6つの費用をぜひ覚えておいてください。

①診療費や治療費

診療費、治療費とは、診療や治療のために支払われる費用のことを言います。


病気を患ったら、完治させるためにさまざまなお金がかかります。


具体的には以下の費用が該当します。

  • 診療費
  • 治療費
  • 医薬品の費用
  • 入院費
  • 介助費
保険適応の診療であれば、診療費・治療費はどのような症状、病状であっても該当します。
精神科、歯科での治療においても、医療費控除の対象となります。
一方、美容整形などにかかる費用は控除の対象にはなりません。

②紹介状の作成費

紹介状の正式名称は診療情報提供書といいます。


紹介状は、他の病院での精密検査が必要とされた場合、大きな病院で治療・入院が必要と判断されたケースなどにおいてドクターに書いてもらいます。


また、ドクターが「この治療には、あの病院のあの医師の方が適している」と判断した場合は、紹介状を書き、患者に別の医師を紹介することもあります。


紹介状の作成にかかる費用は保健適応です。


保険証によって割合負担は異なりますが、3割負担の場合は1通750円となります。   

この金額も医療費控除の対象として認められます。

③松葉杖や義足の費用

支援器具の一部が医療費控除の対象になります。

たとえば、松葉杖、義足がなければ治療が困難な場合、これらも控除の対象として認められます。


松葉杖、義足であっても、治療には関係なく、私的理由から日常生活に使う場合は控除の対象にならないので注意してください。

医療控除の適用は、医師から診療、治療などを受けるにあたって、直接必要な場合に限ります。


また、車いす、メガネなども治療に不可欠な場合は該当しますので覚えておいてください。

④医師が指示した紙おむつの費用

寝たきりの方がつける紙おむつは、介護に必要不可欠な支出です。


紙おむつは、医師が必要と認めた紙おむつは控除の対象となりますが、紙おむつ全てが控除対象にはなりません


紙おむつが控除の対象になるためには、以下の2点に該当する場合です。

  • 傷病により6ヶ月以上寝たきり状態と認められる場合
  • 医師から「おむつ使用証明書」の発行を受けている
紙おむつ代を医療費控除に加えたい方は、医師におむつ使用証明書を発行してもらってください。
この証明書がない場合、紙おむつ代の領収証をとっておいても控除の除外になります。

⑤リハビリ専門病院の入院費用

治療後、リハビリが必要になるケースは少なくありません。

病気の治療は終わり、リハビリのみ必要な場合はリハビリ専門病院に入院することになります。

この時にかかる費用は医療控除の対象になり、食費なども控除の対象になるものもあります。


通所や短期入院でのリハビリにかかった費用、ないし場合によっては交通費も控除対象になるので覚えておいてください。


また、リハビリシューズやコルセットなどのリハビリに必要な医療器具も医療費控除の対象として認められます。

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入院時に条件付きで医療費控除の対象となる費用5選

入院時にかかる費用のなかで医療費控除が通常は認められにくい費用であっても、条件が付くことによって控除の対象となる費用があります。

以下で紹介を行う費用について、控除対象になることはあまり知られておらず、医療費控除の申告を行っていない人も少なくありません。


条件付きで医療費控除の対象になる費用を知っておくことによって、入院時にかかる負担を大きく軽減できます。

入院時に条件付きで医療控除の対象となる費用を5つ確認していきましょう。

①自宅と病院を行き来する際の交通費

入院、ないし通院にかかる交通費は医療費控除の対象として認められることがあります。


たとえば、以下の交通費が医療費控除の対象として認められています。

  • 大学病院に行くための電車賃
  • 駅前の病院に行くためのバス賃、電車賃
  • 公共交通機関を利用できない場合のタクシー代
  • 医師に往診を頼んだ際にかかる交通費
  • 子どもに付き添った親の交通費
一方、以下の交通費は医療費控除の対象には認められません。
  • 自家用車で病院に行った時にかかったガソリン代
  • 自家用車で病院に行ったときの駐車場代
  • 交通機関でも行ける状態の時にタクシーで病院に行った際のタクシー代
  • 入院中の家族のお見舞いにかかる交通費
自家用車で病院に行った時のガソリン代は、控除の対象にならないので注意が必要です。
また、不要不急でない状況におけるタクシーの費用は控除の対象にならないので覚えておいてください。

②差額ベッド代

入院時に、プライバシーの確保などの観点から個室の病室を利用したいと思う方も多いでしょう。

個室を選択した場合、請求書の金額にびっくりしてしまうケースも少なくありません。


個室にかかる差額のベッド代の正式名所は、特別療養環境室料といいます。

特別療養環境室料は公的医療保険適用外であるため、控除の対象に基本的にはなりません。


「一人の空間が欲しい」「プライバシーが不安」などという自分の都合で差額ベッド代が発生した場合、医療控除の対象として認められません。

一方、医師の指示により使用した場合個室しかない病院に入院した場合などは差額ベッド代は控除の対象となります。

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③入院時の病院で支給される食事の食事代

病院に支払う入院時の食事代は、いわゆる入院費用の一部として見做されます。

そのため、食費は通常必要な物(病院で出される食事)に限って医療費控除の対象になります。


以下の食費などは医療費控除の対象として認められません。

  • 出前代
  • 外食代
  • 病院内の喫茶代
  • おやつ代
  • 病院内の売店で購入した菓子、軽食代

医療費控除の対象となる食費は、病院から給付される食事の費用に限られます

入院中に食べた、もしくは購入したからといって、病院内の喫茶や売店に支払ったお金は控除の対象にはなりません。

④マッサージ・はり・お灸の費用

マッサージ、はり、お灸の費用は医療費控除の対象です。

また、きゅう師、柔道整復師による施術にかかった費用も医療費控除に含めることができます。


しかし、これらにかかった費用について控除を受けるためには、その目的がいかなるものであったかが問われます。

たとえば、健康管理、リフレッシュなどを目的に施術を受けた場合は控除の対象にはなりません


マッサージ、はり、お灸の費用を医療費控除に含める場合は、次の2つのポイントに気を付けましょう。

  • 領収書を保管
  • 年間における合計金額が10万円以上(病院での治療費、扶養家族の医療費合算可

⑤入院患者の付き添い人に対する費用

入院患者の付き添いに対する費用が医療費控除の対象になるかどうかは、状況によって異なります。


一人での通院が困難、患者に介助が必要な場合、一人で通院させることが危険な場合に限って認められます。

たとえば、新生児、子供、お年寄り、あるいは車いすに乗っている人の付添人にかかる費用は控除の対象として認められます。


しかし、入院している子供の世話をする母親の交通費は、患者である子供自身が通院していないことから控除の対象として認められません。

⑥遠方の病院に入院する際の移動費

遠方の病院に入院する際の移動費は、医療費控除の対象として一部認めてもらえます。


判断基準は、遠隔地の病院まで行く必要があるかないかで判断されます。

例えば、近くの病院で診てもらっても症状の原因が分からない場合治療が近くの病院では困難な場合が該当します。


こうしたケースにおいて、移動費(交通費)は控除対象となりますが、宿泊費は認められません

入院時に医療費控除の対象とならない費用4選


入院すると、治療に直接かかる費用以外にもさまざまなお金が発生します。


入院患者やご家族にとって、「医療費控除をできる限り受けて、負担を減らしたい」と思うのは当然のことです。

しかし、入院に関わる費用であっても、医療費控除の対象にならないものもあります。


入院時に医療費控除の対象として認められない費用を確認しておきましょう。

①パジャマレンタル代やタオル代

入院した場合、パジャマ(病衣)をレンタルことも多いですが、これらの費用は基本的に医療費控除の対象にはなりません。


病衣レンタルが強制の場合でも、それは病院側の都合であり、医師の治療に必要とは解釈し難いために控除の対象とはならないようです。


寝巻き、洗面具、タオルなど入院時の日用品費も、医療費控除の対象にはなりません。

②テレビ代や冷蔵庫の使用料金

入院時にテレビ代や冷蔵庫の使用料金の支払いが発生するケースもあります。

しかし、これらの費用は医療費控除の対象にはなりません。


医療費控除とは「治療に必要である費用」であることが大前提です。

そのため、治療とは直接関係しないテレビ、ないし冷蔵庫の使用にかかる料金は控除の対象外となります。

③医師や看護師への謝礼として支払った費用

入院したら、医師や看護師に退院時などにお世話になったことへのお礼として現金やギフトを渡すことがあります。


これらにかかる費用は医療費控除の対象にはなりません。


医療費控除とは「治療に必要である費用」にのみ認められます。


患者に治療を行った医師、看護師であっても、法的に定められた支払いを超えた費用などは私的事情による支払いと見做されます。

④家族等がお見舞いに来た際の交通費

家族の誰かが入院した場合、家族はお見舞いのために病院に通います。

なかには、新幹線、飛行機などを利用して数万円~数十万円もの交通費をかけて、見舞いに通う人もいるでしょう


しかし、こうした場合でも交通費は医療費控除の対象として認められません。


患者本人の通院などの付き添いにおいては、家族の交通費が控除の対象として認められることもありますが、お見舞い時の交通費は認められません。

⑤美容整形等の理由で入院した際の費用

美容整形のほとんどは保険適用外の治療です。


たとえば、目を一重から二重にする、小顔にするといった施術は、治療目的ではなく、美容目的になります。

美容整形の施術が保険適用外なのと同様に、美容目的の施術で入院した際にかかる費用も保険は適用されません。


美容整形などの入院費は、保険適用の原則と同様の理由から医療費控除の対象にもなりません。

医療費控除の対象として認められる入院は、病気、ケガなどの治療目的に限定されています

生命保険等の給付金を差し引いた額を医療費控除として申告しよう!

入院、手術をした場合、保険会社から手術手当金入院手当金などを受け取れることがあります。


また、診断一時金として高額なお金を受け取れる保険もなかにはあります。


保険会社などから給付金を受け取った場合は、受け取った金額を医療費の額から差し引く必要があります

そのため、給付金の金額に応じて、医療費控除の金額は少なくなります。


保険金が実際にかかった入院費、治療費などよりも多い場合は、医療費控除を申請できません。

しかし、保険金の計算は、対象となる医療費ごとに計算しますので、ある治療の保険金が治療費を超えた場合においても別の治療費から差し引くことは可能です

医療費控除と高額療養費制度の違いは?

高額な医療費がかかった場合、高額療養費などの社会保険面の制度にあわせて、医療費控除といった税制面の制度を受けることができます。


高額療養費制度とは、高額の医療費がかかった場合の社会保険制度における最もメジャーな制度です。

1カ月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超過分を支給してもらえます。


医療費控除とは課税の対象になる所得から医療費を差し引き、税負担を軽くする制度です。

1年間の医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うことによって税金(所得税、住民性)の負担を軽くできます。

確定申告を行わなかった場合、医療費控除は適用されないので注意してください。

入院時の費用を本人以外の親族が負担したときはどうなる?


入院時の費用を本人以外の親族が負担するケースは多いです。

生計を一にしている家族の場合、医療費控除として申告することができます。


たとえば、以下のケースが医療費控除の対象になります。

  • 日常生活を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇、長期休暇時には当該の親族のもと生活することを常例としている
  • 親族間において、生活費、学資金、療養費等の送金が日常的に行われている
  • 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする

入院時の費用を本人以外の親族が負担するケースについて詳しく知りたい方は、国税庁の公式サイトをご参照ください。

まとめ:入院時の費用を医療費控除として申告しよう!

入院をすれば、保険が適用されてもかなりの金額の支払いを求められます。

数日程度の入院であれば、自己負担額はそう大きくなくても、入院期間が数週間から数ヵ月及ぶと大変です。


入院期間中は働けませんし、退院後についても療養などを求められ、社会復帰をすぐにできないケースも少なくないでしょう。

そうした状況を少しでもサポートするために、医療費控除という制度があります。


医療費控除を活用することで、医療費分の年間所得を減らせるため、税の負担を軽くすることができます。


医療費控除の対象となるのは、治療に直接かかわる費用のみに限定されています。

しかし、治療費、診察費などだけではなく、入院時の食費、(状況によっては)家族の付き添いにかかる費用患者の(通院にかかる)公共交通機関利用賃などが控除対象となっています。


医療費控除は自分自身で申告しなければ、受けることができません。

なににかかった費用が控除対象として認められるかしっかりと把握し、入院時の支払い負担を少しでも減らしましょう。


マネーキャリアでは、他にも読んでおきたいお金に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。