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結婚しているのに生活費をくれない夫。生活費をくれない夫はモラハラだけでなく法律違反です!モラハラ夫と離婚せずに生活費をもらう方法・婚姻費用分担調停に強い弁護士事務所を紹介中!離婚する場合の対処法と気をつけるべき親権・慰謝料についても解説しています。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

生活費をくれないモラハラ夫から生活費をもらう方法は?

こんにちは。マネーキャリア編集部です。 


先日、20代の女性の友人からこんな疑問を寄せられました。



夫婦の価値観の不一致は、時々このようなトラブルも起こってしまうもの。 

ここでは、

  • 生活費をくれない夫から生活費をもらう方法 
  • 調停の進め方 
  • 離婚になってしまった場合の手続き 
等、夫婦間のトラブルに関する対処法を解説する記事になっています。ぜひ最後までご覧ください。 

マネーキャリアでは、お金に関する記事が数多くありますので興味のある方は合わせてご覧ください。 


夫が生活費を全く入れてくれなくて、家賃や光熱費を払ったらお金がほとんどないんだよね…。半分は払ってほしいってお願いしているんだけど「別居だから払う必要ないだろ」って言われてしまって。明らかに夫のモラハラなんだけど、自分の稼ぎが少ないから離婚したら生活できなくなっちゃうし、どうしたらいい?

夫婦の価値観の不一致は、時々このようなトラブルも起こってしまうもの。 


ここでは、 

  • 生活費をくれない夫から生活費をもらう方法 
  • 調停の進め方
  • 離婚になってしまった場合の手続き 

等、夫婦間のトラブルに関する対処法を解説する記事になっています。


ぜひ最後までご覧ください。 


マネーキャリアでは、お金に関する記事が数多くありますので興味のある方は合わせてご覧ください。 

モラハラ夫と離婚せずに生活費をもらう方法を解説!


なぜか生活費をくれない夫。

明らかにおかしいのですが、離婚したくてもそう簡単にできない事情もあるでしょう。


完全な共働き夫婦なら問題ないですが、そうでない場合は妻が扶養に入って、扶養の範囲内でパートをしています。


しかし扶養の範囲内は月8万円前後。


この金額では生活は成り立ちません。

特に子供がいる場合は絶対無理な水準です。


そのため、「できれば離婚せずに生活費を貰いたい」と思う方も多いはず。

そんな方法を解説します。

①生活費をくれない夫との話し合い・夫への説得を行う

結論から申し上げますと、生活費をくれない夫への話し合いや説得はかなり難しいと考えられます。


一部の例外を除いて、意図的に非常識な行為をしているパターンがほとんどだからです。

とはいえ、中には「夫が生活費にいくらかかっているか分かっていない」という根本的な場合もあります。


子供が大きくなるにつれて生活費が増えるということすら、分かっていない夫もいます。


とにかく、まずは夫婦間での話し合いや夫への説得を行いましょう。

その際は曖昧な主張はせず、きちんとした証拠を突き付けてください。

  • 夫が生活費を負担するのは義務(民法760条:婚姻費用の分担)
  • 家計簿やクレジットカードの明細などを見せて、毎月いくらかかっているのか説明
  • 「〇万円足りない」などと明確に主張
まともな夫なら、応じてくれる可能性はあります。

仮に応じてくれなくても、離婚する際に「生活費を入れてほしいと主張したが入れてくれなかった」という夫に不利な証拠になるかもしれないので、スマホの録音機能などを使って残しておきましょう。

②内容証明郵便での請求を行う

話し合いや説得が上手くいかない場合は、法的な手段を使っていきます。

まずは準備として、内容証明郵便で生活費を請求しましょう。


a.内容証明郵便とは

内容証明郵便は、郵便局で取り扱っており

「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」です。

(引用:日本郵便株式会社HP)


内容証明郵便に関しては、請求内容が法的に正当かどうかを証明するものではないため、強制力はありません。


ただ、後日訴訟を起こす際、意思表示の日付や内容を証明するものになり得ます。


b.内容証明郵便となる条件

「早速書いて郵便局行ってくるね!」


と早まりたいところですが、内容証明郵便は条件を満たしたものしか取り扱ってくれません。

  • 文書1通のみ封入、他のものは同封してはいけない
  • 文書内は「仮名、漢字、数字、英字(固有名詞のみ)、括弧、句読点、その他一般的に使用される記号」を用いる
  • 一般書留である (※簡易書留はNG)
また、文書についても文字数が決まっています。
  1. 縦書き:1行20字以内、1枚26行以内
  2. 横書き:1行20字以内、1枚26行以内or1行13字以内、1枚40行以内or1行26字以内、1枚20行以内


文字数に関しては、「内容証明用紙」という用紙を使えばミスがなく書けますが、一般のます目なしの用紙に記載しても有効です。


なお、内容証明郵便を扱う郵便局は限られています。

比較的大規模な郵便局であれば問題ありませんが、事前に問い合わせることをお勧めします。


c.内容証明の書式一例

「どう書いたらいいか分からない!」


という方に、簡単な例をご紹介します。

  • 冒頭に「ご通知」と記載
  • 別居開始日、養育する子がいるならそれも併記
  • 夫婦であり、婚姻費用の支払い義務がある点を明記
  • 「今月末より金〇万円をお振込みください」と必要金額を記載
  •  振り込んで欲しい口座を明記
  • 振込がない場合は家庭裁判所に調停申し立てを行う旨も記載
  • 自分の住所、氏名と相手の住所、氏名も忘れずに
内容証明としての条件を満たし、請求したいことが明記されていれば問題ありません。

この程度の内容で振り込んでくれる夫なら、そもそもモラハラ夫にはならないのですが、後々調停や裁判を行うために重要な証明になり得ます。

③婚姻費用分担調停を行う



内容証明を送っても、そもそも生活費をくれない夫。

強制力がないと知れば恐らく払ってくれることはありません。


そのため、ここからは「調停」という第三者も交えた法的手続きを取っていきます。


今回の場合は婚姻費用分担調停になりますが、基本的には他の調停と同様の手続きです。


a.調停とは

裁判所の「調停委員会」を介し、当事者が話し合うためのものです。


通常の裁判より手間や費用が削減でき、また当事者+調停委員のみで行われるため秘密も保たれます。

調停委員が間に入るので、夫と顔合わせしなくても良いです。


調停の流れは、おおまかにまとめると以下の通りです。

  1. 双方の主張を調停委員が聞く
  2. 調停委員会で双方の言い分、状況も考慮して婚姻費用を提示
  3. 提示に双方が納得すれば調停成立
調停は、前述の内容証明郵便と異なり法的強制力があります。

夫が調停に従わない場合は、給与等を含めた資産の差し押さえも可能です。


b.調停に必要な手続き

調停は、単なる話し合いではなく「法的効力を持つ話し合い」です。

そのため様々な書類が必要になります。

  • 調停申立書
  • 夫婦の戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)
  • 収入を証明する資料
  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手(家庭裁判所により異なる)
調停申立書は、PDFをダウンロード、印刷するか直接家庭裁判所へ出向いてもらってください。
申立書には請求金額を記載する欄がありますので、金額については養育費・婚姻費用算定表を参照に記入しましょう。

戸籍謄本(全部事項証明書)は本籍地でしか発行できません。
収入を証明する資料は、会社員やパート等であれば源泉徴収票でOKです。

婚姻費用分担調停に強い弁護士事務所を紹介!


調停は、一人だけでも申し立てることができます。

ただ、一般的には弁護士に同席してもらうことがほとんどです。


弁護士なしで調停に臨むと、下記のようなデメリットが発生します。

  • 相手に弁護士がいると極端に不利な状況に追い込まれる
  • 調停の適切な費用が分からない
  • 証拠を集めるのが難しい
弁護士費用はかかりますが、調停は法的効力があるので非常に大事な場面。
ここは信頼できる弁護士に任せましょう!

婚姻費用分担調停に強い弁護士事務所を紹介します。
いずれもトップページに「離婚」などの文言が表示され、一目で離婚や男女問題専門の弁護士事務所と分かります。

「弁護士なんて誰でも試験に合格しているんだから同じじゃないの?」
と考えている方。

弁護士は、依頼人を勝たせるために知恵を絞って闘います。
条文だけではない独自の解釈なども用いて、何度も何度も争います。

争う中で「男女問題ならこの弁護士事務所」と言われるまでに実績が集まり、事例を弁護士同士で共有してどんどん強くなっていくのです。

要するに、男女問題に関して百戦錬磨の弁護士事務所に頼まないと、満足する結果になる可能性は低いのです。

適当に選ばずに、男女問題専門の弁護士事務所を選びましょう。

生活費をくれない夫は法律違反!


そもそも、生活費をくれない夫に法律上問題はないのでしょうか。

最初に結論だけ申し上げると、立派な法律違反になります。


生活費をくれない夫の行動は「経済的DV」とよばれる

生活費をくれない夫の行動は、「経済的DV」とも呼ばれます。


経済的DVに当たるのは、主に以下4例。

  1. 手持ちのお金は全て夫名義で全く分けてくれない
  2. お金を貰う際に嫌味を言われる
  3. 最低限のお金しかもらえない
  4. 無茶な節約を強制される
それぞれ解説します。

1.手持ちのお金は全て夫名義で全く分けてくれない

専業主婦で本来なら生活費を分けてもらえないと生活できないのに、それが全くなされない等のケース。夫がいないと買い物すら行けません。

主婦ならスーパーへの買い物など、お金が必要な場面は割とあります。

「食料品など、生活に必要なものは買っているんだから、家にいるお前にお金は必要ない」

などと言うのはおかしな話です。

2.お金を貰う際に嫌味を言われる

子供が産まれれば、ママ友などの付き合いもあるもの。
その際にお金を貰おうとすると、何かしらの嫌味を言われるケース。

結果的にお金を渡していたとしても、妻から「頼みづらい」と思われれば立派な経済的DVです。

3.最低限のお金しかもらえない

言葉通りですが、最低限生活できるだけのギリギリなお金しか渡さないケース。

全く友達と遊びに行けない、趣味のお金がないなど、これでは「とりあえず生きている」のが精一杯です。

4.無茶な節約を強制される

子供が産まれている育休中の妻に月5万円程度しか渡さないなど、あまりに無理な節約を強いられるケース。

これも妻が厳しい節約と感じれば、経済的DVになります。

モラハラ夫は「経済的DV」に走りやすい

今はこのような経済的DVを受けていなくても、モラハラ夫だと将来的な経済的DV予備軍になり得ます。


モラハラ夫には様々な例がありますが、自分が一番上じゃないと気が済まないというジャイアニズム的な夫のことです。

  • 絶対謝らない
  • 平気でうそをつく
  • 育児や家事を否定する
  • 友人の前で人格否定をする
こんな夫だったら、モラハラ夫の可能性大です。

大体のモラハラ夫は、改心することなく悪化し続けます。
悪化した先が「経済的DV」です。

恐らく、「生活費を殆ど渡さないようにすれば、より妻や家族より上に立てる」とでも思っているのでしょう。

想像するだけでゾッとしますが、モラハラ夫は普通ではないので十分あり得る話です。

モラハラ夫でも婚姻費用を支払う法律上の義務がある!

生活費をくれない夫、経済的なモラハラに走る夫と接していると、


「もう請求しても払ってくれないし、仕方ない…」


という考え方に陥ることもありますが、諦める必要はありません。

法律があなたを守ってくれます。


民法760条に「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められています。


「婚姻から生ずる費用」は婚姻費用とも言われ、生活費・子供の養育費・教育費などが含まれているのです。


結婚した時点で夫婦となるのですから、夫はその時点から婚姻費用を支払う義務があります。


モラハラ夫だから、とかそんな例外はあり得ません。

生活費を払わない夫と離婚する場合の手順を解説!


「もうモラハラ夫には限界!別居して金銭面も問題ないからさっさと離婚したい!」


という方。


うまく離婚するための手順も解説します。

生活費を払わないのは「悪意の遺棄」と認められる

生活費をくれない夫は法律違反、と前述したとおり、生活費を払わないのは民法770条による「悪意の遺棄」に該当します。


民法770条は以下の場合に「離婚の訴え」を起こすことができると規定しています。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
悪意の遺棄とは、夫婦間の義務である同居、協力、扶助を一方的に放棄していることを言い、
  • 生活費をくれない
  • 正当な理由なく別居する
  • 健康なのに働かない
などが該当します。

夫婦間の話し合いで解決できる場合は「協議離婚」が成立

ただ、いくら訴えを起こすことができると言っても、いきなり裁判に持ち込むことは原則できません。


まずは夫婦間で協議しましょう。

ここで離婚が問題なく成立するのが最も無難な解決方法です。


これを「協議離婚」と言います。

不成立の場合は「調停離婚」「裁判離婚」を行う必要がある

大抵の男女問題は協議離婚で解決すると言われていますが、生活費をくれない夫やモラハラ夫の場合、揉める可能性もあります。


協議不成立の場合、調停離婚裁判離婚の順で手続きが移っていきます。

いずれにせよ、悪意の遺棄があったことを立証することが必須です。

この辺りは男女問題専門の弁護士に任せましょう。



調停離婚は、前述の婚姻費用分担調停の離婚バージョンです。

基本的には調停で済ませるのが望ましいですが、どうしても調停に納得いかない場合は裁判を起こすこともできます。


ただ、裁判の場合は決着が1年以上に及ぶことがほとんど。

相手が判決に対して控訴(納得いかないから上級裁判所に上訴し、再び裁判する)をすると、更に長引きます。


生活費をくれない夫・モラハラ夫の場合は何をしてくるか分からないので、裁判に持ち込む場合は徹底抗戦を誓ってください。

【参考】離婚する場合の慰謝料・親権についてチェック


「モラハラ夫との離婚を考えているけど…慰謝料ってどれくらいとれるの?親権はもらえるの?」


離婚につきまとう慰謝料と親権問題についても解説します。

慰謝料の相場・慰謝料の請求方法

モラハラは、精神的苦痛を与える民法上の不法行為です。

そのため、民法709,710条に基づき慰謝料請求が可能になります。


ただし金額には幅があり、

  • モラハラの回数
  • 行為の内容、程度
により増減します。

当然のことながら夫がモラハラを認めるはずありませんので、何とかしてモラハラではなかったと主張してくるでしょう。

結局のところ裁判所がどれだけ認定してくれるかによりますが、モラハラ離婚の場合50万~300万円程度が相場です。

「思ったより少ないなあ~」

と思われるかもしれませんが、高額な慰謝料になるのは「相手方の独身時代の資産の使い込み」など明らかな財産的損害が発生した場合がほとんど。

あまり高額な慰謝料は期待しない方が良いでしょう。

親権の決め方・親権を得る方法

離婚の際は親権者を定めなければいけません。

この場合の親権者とは「単独親権者」とも言われ、親権を失った方は子供とは一緒に暮らせなくなります。


基本的には、「どちらを親権者にする方が子供が幸せか」を基準に決定します。

日本では、母親に親権が得やすいのが通例です。


とはいえ、モラハラ夫でも親権者になり得るので、どうしても親権を獲得したい場合は弁護士に頼る方が良いでしょう。

【まとめ】生活費をくれない夫との離婚は慎重に考えよう

本記事では、

  • 生活費をくれない夫から生活費をもらう方法
  • 生活費をくれない夫は法律違反であること
  • 離婚せずに生活費をもらう方法
  • 離婚する場合の慰謝料の相場
  • 親権について
  • 男女問題に強い弁護士事務所
など、生活費をくれない夫やモラハラ夫に対する対処法を解説しました。
法律の文言など聞きなれない用語も多かったと思いますが、いかがでしたでしょうか。

冒頭の疑問に改めてお答えすると、
「離婚せずに生活費をくれない夫から生活費を貰う手段はあり、内容証明郵便を送りつけて婚姻費用分担調停を起こせば良い」

となります。

「生活費をくれない夫とは生活できないから離婚する!!」

と感情的になりがちな場面ですが、離婚すると法律上の義務や関係が切れてしまい何も請求できなくなってしまいます。

離婚は最終手段であり、まずは生活費をくれない夫から払うべきものを払ってもらうのが先です。

初回相談が無料でできる弁護士事務所もありますので、男女問題専門の弁護士事務所に問い合わせてみましょう。