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医療費控除の明細書に医療費が書ききれない場合はどうすればよいのでしょうか。この記事では、医療費控除の明細書に医療費が書ききれないときの対処法について解説しています。また、医療費控除の明細書を手書き以外で書く方法も紹介しているので、ぜひお読みください。

監修者「井村 那奈」

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次

医療費控除の明細書に医療費が書ききれないときはどうする?


こんにちは。マネーキャリア編集部の五十嵐です。

先日友人からこんな相談を受けました。

「1年間にかかった病院が多くて、医療費控除の明細書に書ききれない。どうしたらいいの?」」

医療費の明細書は、医療を受けた人の医療機関ごとに記入します。 


なのでもし、1年間に別々の医療機関にかかった時(内科、歯科、皮膚科など)、医療費控除の明細書に書ききれない場合があります。

さらに家族分も記入となると明細書の欄はさらに埋まっていき、書ききれないですよね。


医療費控除の明細書に書ききれない場合はどうしたら良いのか?

この記事では明細書に書ききれない対処法の他に以下のことも詳しく解説していきます。


  • 医療費控除の明細書に書ききれない場合の対処法は?
  • 医療費控除の明細書の記入の手順は?
  • 医療費控除で損しないためには?
  • オンラインでの医療費控除の手続きは?
医療費控除に関する不安を解消できるお手伝いになれば幸いです。

書ききれないときは医療費控除の明細書の追加ページに記入しよう!


平成29年から、医療費控除の申請の際に領収書が不要になった代わりに、医療費控除の明細書の提出が必要となりました。


医療費控除の明細書がすべて埋まってしまい、書ききれない場合は、『医療費控除の明細書【次葉】』に記入します。


次葉と書いてあるだけで、内容は医療費控除の明細書と同じなので安心してくださいね。


医療費控除の明細書のダウンロードはこちら

明細書が書ききれない場合、医療費控除の明細書(次葉)のダウンロードはこちら

医療費控除の明細書の書き方を紹介!


初めて医療費控除を申請するときは、

「難しそう…」

と躊躇してしまうかもしれません。


ですが、医療費控除の明細書の記入は、手順を踏みながら行うと案外簡単にできますよ。


医療費控除の明細書の書き方の手順を3点お伝えします。

  1. 領収書のまとめ方
  2. まとめた領収書から医療費控除の明細書に記入
  3. 医療費控除額の計算方法

申請すれば減税、還付金も受け取れる場合もある医療費控除。
申請をためらうことなく、どんどん活用しましょう!

手順①医療費の領収書を治療を受けた人ごとに分ける

医療費控除の申請の準備で1番大切なのが領収書の管理

  

どのように領収書をまとめているかによって、医療費控除の申請の時にスムーズに行えるかが変わってくる重要なポイントになります。


そんな大切な医療費の領収書のまとめ方ですが、まず医療を受けた人ごとに分けておきましょう。

医療費控除の明細書は、各個人ごとに記入していくためです。


領収書を人ごとに分けたら、次のステップに進みます。

手順②医療費の領収書を医療機関ごとに分ける

人ごとに領収書を仕分けしたら、今度は各個人が受診した医療機関ごとに領収書を分けましょう。

医療機関ごとにまとめる理由は、医療費控除の明細書に合算して記入可能だからです。


Aさんのある年の医療費を参考にしてみていきましょう。

Aさんの医療費内訳

  • 4月:○○病院にて治療。領収書3000円
  • 5月:××歯科医院にて治療。領収書2500円
  • 6月:○○病院にて治療。領収書1800円。△△薬局にて薬を処方。領収書3200    円。
  • 7月:××歯科医院にて治療。領収書1700円

Aさんの領収書を医療機関ごとに分けると、以下のようになります。

Aさんの医療機関ごとの合算金額

  • 〇〇病院:3000円(4月分)+1800円(6月分)=4800円
  • ××歯科医院:2500円(5月分)+1700円(7月分)=4200円
  • △△薬局:3200円

人ごと、医療機関ごとに分けておくと、後は計算して実際に明細書に記入するだけなので、時間がかからず済みますよ。

手順③医療費の明細を分けた領収書を見ながら記入する

人ごと、医療機関ごとに分けて医療費を計算したら、医療控除費の明細書に記入します。


国税庁のホームページからダウンロードできる明細書を参考に、先ほど例に挙げたAさんの医療費の明細を記入していきます。


Aさんの医療費控除の明細書【内訳書】

(1)医療を受けた方の氏名(2)病院・薬局などの支払先の名称(3)医療費の区分(4)支払った医療費の額(5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額 
A○○病院診察・治療にチェック4800円
A××歯科医院診察・治療にチェック4200円
A△△薬局医薬品購入にチェック3200円

いかかでしょうか?
領収書がしっかりまとめられていると、計算もしやすく、該当箇所に記入すればいいだけなので簡単ですよね。

明細書が書ききれない場合には、次葉に書いてください。

手順④控除額の計算の欄を埋める

医療費控除の明細書の最後の部分、『控除額の計算』を記入していきましょう。

控除額の計算の項目は7つです。

  • 支払った医療費
  • 保険金などで補填される金額
  • 差し引き金額
  • 所得金額の合計
  • 所得金額×0.05
  • 所得金額×0.05と10万円のいずれか少ない方の金額
  • 医療費控除額

それぞれの項目をみていきましょう。

支払った医療費

同一する家族分も含めた、実際に支払った医療費の合計金額を記入します。

保険金などで補てんされる金額

加入している保険会社から給付金を受け取った際、その金額を記入します。
つまり、医療費控除の明細書の(5)の部分の合計金額を書きましょう。 

実際に支払った医療費から受け取った保険金を差し引く

医療機関を受診した人全員分の支払った医療費から保険金など給付金を受け取った金額を差し引きましょう。
また、医療費よりも保険金の方が金額が大きい場合は、0と記入します。

所得金額の合計

自営業と一般の会社員で異なるので注意です。
自営業の方は、確定申告書の申告書第一表の「所得金額」の合計の金額を転記します。
会社員の方は、源泉徴収票にある、給与所得控除後の金額を記入しましょう。

所得金額×0.05
実際に計算して記入します。

所得控除×0.05と10万円のいずれか少ない方の金額

計算して比べて記入しましょう。

年収200万円以上の方は10万円になります。
年収200万円未満の方は所得×0.05の金額を記入します。

医療費控除額

年収200万円以上の方:実際に支払った医療費ー10万円

年収200万円未満の方:実際に支払った医療費ー(所得×0.05)

当てはまる方で計算し、金額を記入しましょう。
ここで算出された金額が医療費控除額になります。

医療費控除の明細書が書ききれないときは医療費通知で代用できる


家族分も一緒に記入していると書ききれない場合もあります。


医療費控除の明細書に書ききれないときは、医療費通知が便利です。


医療費通知とは、被保険者が加入している健保組合等から医療機関に支払った金額が明記されているものです

医療機関を受診した人、かかった医療機関と金額、もちろん家族分まで記載されており、大変便利なんです。


ここで医療費控除の明細書を見てみましょう。

「1 医療費通知に記載された事項」とあります。


項目はこちら。

  1. 医療費通知に記載された医療費の額
  2. 1のうちその年に実際に支払った医療費の額
  3. 2のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額

1と2は医療費通知に記載されている金額を記入します。


3は受け取った保険金などを計算し、記入しましょう。


『1 医療費通知に記載された事項』の箇所では、人ごと、医療機関に分けることなく、全て合算可能です。


加入している保険組合にもよりますが、協会けんぽの場合は11月から翌年の9月までの医療費が記載されています。

なので、実際に医療費控除の明細書に記入するのは、10月~12月分のみになります。


たった3か月分だと、明細書に書ききれない心配も減りますよね。

また、明細書に書ききれない心配がなくても、医療費通知は上手に活用しましょう。

医療費控除の明細書の書き方を間違えると損する可能性もある


「保険金を多く貰ったから医療費控除はできない」
「交通費って医療費控除の対象外だよね?」

実はどちらも不正解。
医療費控除申請の際、悩まれる方が多い内容だと思います。

医療費控除の保険金の対象や、交通費など、知らないと損する点がたくさんあります。
ここでは医療費控除の書き方で損しないために、以下の3点を中心にお話しします。

  • 医療費控除の保険金の対象に関する注意点
  • 医療費控除で対象となる交通費とは?
  • 別居中の家族は医療費控除の対象?

①補填された保険金の対象は給付対象の医療費のみ

医療費控除では補てんされた金額を差し引かなければならないのは、お伝えした通りですが、意外な落とし穴があるんです。


医療費控除で差し引く保険金の対象は、給付対象の医療費のみです。

どういうことなのか、少しわかりづらいですよね。


病気やけがで長期入院となった場合、保険金が医療費を上回ることがあります。

その場合の医療費控除はどうなるのか、具体例を挙げてみていきましょう。


保険金が医療費を超えた場合

【Aさん】

  • 医療費:入院により治療費15万円
  • 保険金:入院給付金で20万円

保険金が医療費を上回っているAさんの場合、実質自己負担額は0円ですよね。

自己負担額がない場合は、医療費控除は受けられません。


【Bさん】

  • 医療費1:入院により治療費30万円
  • 医療費2:歯科治療で治療費15万円
  • 保険金:入院給付金で35万円


医療費1で医療費よりも保険金の方が5万円上回っているのがわかります。


この5万円を歯科治療分で差し引いて医療費控除の計算式に当てはめて計算すると

15万円(医療費)ー5万円(保険金の超過分)ー10万円=0(医療費控除額)

になります。


「実質自己負担が0円だから医療費控除は受けられない」

と思いますよね。


ここで重要なのが、補填された保険金は給付対象の医療費のみということ。


保険金は医療費1に対して支払われたものです。

そのため医療費1で受け取った保険金の超過分を、医療費2で差し引く必要はありません。

なので、

15万円(医療費2)ー10万円=5万円(医療費控除額)

5万円は医療費控除の対象です。

医療費控除申請の際には保険金の対象をしっかり見直し、損しないようにしましょう。

②電車賃やバス代などの交通費も申請できる

医療費控除は交通費も申請できるのをご存じですか?


注意したいのは、交通費は医療費控除で申請できるものと、出来ないものがあります。


申請できる交通費申請できない交通費
・公共交通機関
(電車・バス)
・タクシー
・タクシー
・自家用車のガソリン代、駐車場代

国税庁ホームページ 「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」を参考に作成


タクシーがどちらにも入っていますが、基本的には医療費控除の対象外になります。


医療費控除の対象になるタクシー代は、公共交通機関が動いていない深夜の時間帯や、突然のケガや陣痛など、緊急を要するときのみです。

領収書はしっかり保管しときましょう。


また、電車やバスといった公共交通機関は、領収書が残りませんよね。

なので公共交通機関を利用した場合は、利用した人、医療機関、交通費をノート等に記入しておくと、確定申告の時に便利です。

③別居している家族の医療費も含めることができる

医療費控除の対象は、納税者だけでなく生計を同じくする家族も対象です。

では別居している場合はどうなるのでしょうか?


別居で挙げられる例をまとめました。

  • 納税者が単身赴任中で、家族と離れて暮らしている場合
  • 就学で子供が実家を離れている場合


どちらの例も家族がバラバラに住んでいるのが分かりますね。

結論からいうと、どちらも家族は医療費控除の対象となります。


医療費控除の対象は生計を一にする家族でしたね。

この生計を一にするがポイント。


生計を一にするとは、必ずしも家族が同居していることを指しません。


では生計を一にするとはどういう意味なのでしょうか?

以下、国税庁のホームページから抜粋です。


  • (1)勤務、修学、療養棟の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても次に揚げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一とするものにする。
  • イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを条例としている場合
  • ロ これらの親族間において、常に生活費、額資金、療養費等の送金が行われている場合

一部抜粋:国税庁ホームページ 所得税基本通達2-47


文面からわかるように、仕事や進学で同居していない場合でも、生計を一にすると、認められています。

医療費控除は家族が別居中でも、家族一体で対象と考えましょう。

④領収書の提出は必要はない

平成29年度分からの医療費控除の申請には、領収書の提出は不要となりました。


とはいえ、税務署から求められた時に、申告内容を証明するために、領収書を提示しなければなりません。

申告内容を証明できなかった場合、医療費控除を受けられないこともあります。


そんな最悪なケースを避けるため、確定申告で医療費控除を申請した場合、領収書は5年間保管するように言われています。


「医療費控除の手続きも終わったし、提出の必要もないから捨てちゃおう」

と、処分してしまうことが無いように大切に保管しておきましょう。

手書きではなくオンライン上で医療費控除の明細書を作成できる!


いくら医療費通知があるとはいえ、医療費控除の明細書を手書きで書くのは、大変ですよね。

しかも明細書に書ききれない量になると、余計に時間がかかります。


そんな手書きの手間を省いてくれるのが、e-Taxです。

e-Taxは、インターネット上で国税に関する申請を行えるシステムのこと。

もちろん確定申告による医療費控除も申請できます。


医療費控除の明細書を手書きで記入していると、計算間違いが不安な時はありませんか?


e-Taxなら数字を入力するだけで、合計金額は自動で計算されます。

数字の整合性が取れないときはエラーメッセージが表示される仕組みになっており、手書きの記入より、ミスを大幅に防げます。


e-Taxのメリットは入力によるミス防止だけではありません。

国税庁の確定申告特集から、メリットをまとめました。


1つ目のメリットとして、e-Taxはネット環境が整っていれば、24時間どこでも申請が可能です。

つまり税務署に行かなくても、自宅で簡単に医療費控除を申請できます。

混雑している確定申告時に行かなくても良いのは、嬉しいですよね。


2つ目のメリットは、提出書類が省略できること。

e-Tax上でしっかり数字を入力できていれば、源泉徴収票や生命保険控除の証明書などが提出不要に。

書類の不備を心配せずに済みます。


最後に、還付金の給付がスムーズなのが大きなメリット。

医療費控除で還付金が発生する場合、早く受け取りたい人も多いと思います。


手書きの明細書だと1か月から1か月半かかってしまう手続きが、e-Taxだと2~3週間程度で手続きが終えられ、早めに還付金が受け取れます。

まとめ:医療費控除の明細書が書ききれないときは2枚目を作成しよう


この記事では医療費控除の明細書が書ききれない場合、2枚目の次葉を使用することをお伝えしていきました。

また、明細書に書ききれない場合、医療費通知を使うと大変便利なのでぜひ活用しましょう。


せっかく時間をかけて申請する医療費控除。

損をしないために大切なことをまとめました。


  • 医療費の領収書は人ごと、医療機関ごとに管理し、後の確定申告がスムーズに行えるように備えておく
  • 医療費控除の対象(保険金、交通費等)をしっかり見直す
  • e-Taxでの申請により、ミス防止になる
保険金は給付となる対象の医療費のみから差し引くこと、公共交通機関は医療費控除の対象であることは知らない人が多いです。

医療費控除は私たちにとってお得な節税制度です。
記入漏れがないようにしっかり見直し、どんどん利用していきましょう。

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ぜひご覧ください。