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医療費控除を申告するとき、医療費の領収書のまとめ方を知りたい人も多いのではないでしょうか。この記事では、医療費控除で医療費の領収書のまとめ方を説明しています。また、今すぐできる領収書のおすすめの管理方法も紹介しているので、ぜひお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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医療費控除の確定申告で医療費の領収書のまとめ方は?


こんにちは。マネーキャリア編集部の大西です。

先日友人からこんな相談を受けました。

「確定申告で医療費控除を申請したいけど、手続きが大変そう…。」

このように医療費控除に関心があっても、手続きが難しそうと、躊躇してしまう人が多いと思います。

いざ申請しようと思い国税庁のホームページを見ても、内容が難しいため、更に申請することが遠のいてしまう原因にも。


しかし、医療費控除は節税が出来たり、還付金が戻ってきたりと良いことばかりなので、上手に活用したいところです。


そんな医療費控除の計算に必要不可欠な医療費の領収書

この領収書のまとめ方も、悩みの種の1つになりますよね。

放っておくと、どんどん量が増えて管理が大変なことに。


この記事では、以下の4点を中心に詳しく説明していきます。


  • 医療費控除で使う領収書のまとめ方
  • 医療費控除を申請する前の確認事項
  • 医療費の領収書の上手な管理方法
  • 領収書をなくしてしまった場合 

最後まで読んでいただけると、医療費控除申請に対するハードルも下がりますよ。


医療費控除で必要な領収書のまとめ方のお手伝いをさせていただけると幸いです。

医療費控除で医療費の領収書のまとめ方を3ステップで紹介!



医療費控除で何よりも重要なのが、支払った医療費の額を把握すること。

支払った医療費を領収書で計算していく作業からスタートです。


また申請する本人だけでなく、生計を一にする家族も医療費控除の対象なので、

「領収書の量も多いし、上手なまとめ方が分からない」

と感じてしまいますよね。


医療費控除の申請をスムーズに行うため、医療費の領収書のまとめ方を、以下の3ステップでご紹介します。

  1. 病院にかかった人ごとで分ける
  2. 治療を受けた医療機関で分ける
  3. 1,2を実際に医療費明細控除に記入する

ステップ①人ごとで分ける

まず医療費の領収書をまとめる際にやりがちなのが、月ごとに領収書をまとめてしまうこと。


医療費控除の明細書は、国税庁ホームページからダウンロードできるので、見てください。


画像からわかるように、医療費控除は人ごとに記入していきます。

そのため、月ごとに領収書をまとめておくと、確認に時間がかかってしまうことがあります。


月ごとの領収書をまとめ方と、人ごとの領収書をまとめ方の例を挙げて説明します。


月ごとに領収書をまとめる

  • 8月:Cさん
  • 9月:Aさん、Bさん
  • 10月:Aさん
  • 11月:Aさん、Cさん
  • 12月:Aさん、Bさん、Cさん

例えばBさんの医療費控除を記入するとしましょう。


Bさんは9月と12月に通院しています。

Bさんの医療費の支払い合計を計算するときに、9月は同じく通院していたAさんの領収書の分、12月はAさん、Cさんの分からBさんの領収書を探さなければなりません。


月ごとの領収書のまとめ方では、時間がかかってしまうのが分かりますね。

では人ごとの領収書のまとめ方はどうでしょうか。


人ごとに領収書をまとめる 

  •  Aさん:9月、10月、11月、12月
  •  Bさん:9月、12月
  •  Cさん:8月、11月  

もう既に人ごとに分けられているので、すぐに医療費の計算を始められます。


同じ領収書のまとめ方でも、やり方しだいで時間もかなり短縮できます。

ステップ②医療機関ごとで分ける

医療費控除の明細書には、かかった病院の名称や薬を処方された薬局を記入する箇所があります。


つまり次のステップは

人ごとにわけた領収書を医療機関ごとに分けていく作業を行います。


なぜ医療機関ごとにまとめる必要があるのでしょうか?

明細書の記入は領収書1枚ごと記入するのではなく、医療機関ごとに合算できるからです。


あるケースを参考にみていきましょう。


Aさんのある年の医療費

  • 9月:○○病院にて治療、治療費1100円
  • 10月:○×歯科医院にて治療、治療費2160円
  • 11月:○×歯科医院にて治療、治療費1200円
  • 12月:〇〇病院にて治療、治療費850円
  • 9月:△△薬局で薬を処方、薬代1600円


まとめると、

  • 〇〇病院:1100(9月分)+850(12月分)=1950円
  • ○×歯科委員:2160(10月分)+1200(11月分)=3360円
  • △△薬局:1600円


ここまで出来るともう安心。

あとは実際に医療費控除の明細書に記入するだけなので、ゴールは目前です♪

ステップ③医療費控除の明細書に記入する

ステップ①、②のまとめ方まで終えたら、完成まであと少し!

引き続きAさんの医療費を参考に、実際に明細書に記入していきます。


医療費控除の明細書の記入の仕方

(1)医療を受けた氏名(2)病院・薬局などの支払先の名称(3)医療費の区分(4)支払った医療費の額(5)…補填される金額
A〇〇病院診療・治療にチェック1950
A○×歯科医院診療・治療にチェック3360
A△△薬局医薬品購入にチェック850


ステップ①で人ごとにまとめ、明細書の(1)に名前を記入し、ステップ②で医療機関ごとにまとめ、計算した箇所を(2)と(4)にそれぞれ記入しました。


(5)は今回はありませんでしたが、例えば加入している医療保険から保険金が補填された際に記入します。


医療費控除の申請までの流れは以上になります。


いかがでしょうか?

たった2ステップの領収書のまとめ方であとは記入のみなので、難しくないのがわかりますよね。

医療費控除の確定申告で領収書の提出は必要ない!


2016年までは医療費控除の申請の際に領収書が必要でした。

しかし2017年からは簡素化され、領収書は不要になりました。


領収書の代わりに、新たに提出するものがあります。


先ほど説明した医療費控除の明細書です。

国税庁のホームページから入手できますよ。


医療費の領収書が不要といっても、1年間の医療費を計算し、医療費控除の明細書を作成するのは少々大変です。

特に長期で入院、通院したとなると、金額も大きくなり明細書の作成にも時間もかかるでしょう。


そんな時には「医療費のお知らせ(医療費通知)」が便利!

医療費控除の明細書の作成を免除してくれます。


医療費のお知らせとは、加入している健康保険から送られてくる書類のこと。

保険者と生計を一にする家族分がかかった医療機関、支払った医療費などが記載されています。


ただ、各健康保険組合で医療費通知に記載されている期間が異なるので注意が必要です。

加入している保険が協会けんぽの場合、11月から翌年の9月までの受診分が記載されています。


医療費控除の申請には1月から12月まで必要です。

したがって、医療費通知に記載されていない残りの10月~12月は、医療費控除の明細の作成が必要になります


領収書の提出が不要でも、領収書が大切なのがわかりますね。

先ほどご紹介した領収書のまとめ方を参考に、大事に保管しておきましょう。

医療費控除を申告する前に確認しておきたいこと


こんなことを思ったことありませんか?

「今年はあまり病院に行かなかったから医療費控除は必要ない」


実は医療費控除は病院代だけでなく、対象範囲が広いんですよ。

知らなかったら損するかも?


以下の3点について詳しく解説していきます。


  • 病院代以外の医療費控除の対象は?
  • 医療保険から受け取った保険金はどう申告する?
  • 控除された額がそのまま所得になる?

①交通費や市販薬も医療費控除の対象になる

医療費控除の対象は病院にかかった時だけ、と勘違いされている方が多いです。


以下に医療費控除の対象になるものをまとめました。


医療費控除の対象となるもの

  • 病院での治療費、通院費
  • 出産費用、妊婦検診
  • 歯科治療、不正咬合の歯列矯正
  • 治療に必要な医薬品(薬など)の購入費
  • 義手、義足などの医療器具
参考:国税庁ホームページを基に作成

医療費高控除の対象は、広範囲に及ぶのが分かりますね。
注意したい点は、対象とならないものもあること。

例えば同じ出産費用でも、無痛分娩は医療費控除の対象外になります。
医療費控除の対象として認められるのは、治療が目的とされるものです。

②保険金は給付対象の医療費のみから差し引く

病院で治療した際に加入している保険会社から保険金の給付を受けることがありますよね。

保険金を受け取った場合、加入している医療保険の保険給付対象者の医療費から差し引きます。


具体例を挙げていきましょう。


<Aさんの家庭>

・Aさんの1年間の医療費20万円

・家族のBさんの1年間の医療費10万円

・Aさんの医療保険から5万円の保険給付金


医療費控除の明細書に記入する際には人ごとに分けて書く必要があるので、以下のようになります。


<Aさんの家庭の医療費明細書>

(1)医療を受けた方の氏名(2)病院・薬局などの支払先の名称(3)医療費の区分
(4)支払った医療費の額(5)…補填される金額
A○○病院診療・治療にチェック20万円5万円
B〇〇病院診療・治療にチェック10万円

Aさんの医療保険から5万円保険金の給付があったので、明細書の(5)に記入しています。

このように該当する人から差し引くようになります。


医療費控除の金額自体は同一家族の合計で算出するので、影響ありません。

③控除額はそのまま返ってくるわけではない

医療費控除額の計算方法はこちらです。

医療費控除=(支払った医療費)ー(保険金などで補填された金額)ー(10万円)※

※年収200万円未満の方は(総所得金額×5%)で計算

この計算式で算出された金額が、そのまま手元に返ってくるわけではないので注意しましょう。
医療費控除とは翌年の所得税から控除される、つまり減税されることで還元される制度です。
また、還付金が受け取れる場合があります。

今から実践できる!医療費の領収書の上手な管理方法は?


医療費控除を申請する際に領収書の提出が不要とはいえ、自宅で保管しなければなりません。

しかも保管期間は5年間。期間も長いのはもちろん量もどんどん増えていくので、上手に保管したいところ。


以下の3点を中心に、領収書の上手なまとめ方をご紹介します。

  • 領収書の分け方
  • 領収書を受け取った時の保管の仕方
  • 領収書を保管する場所

①あらかじめ人と医療機関で分けて保存する

医療費控除の明細書は

人ごと、医療機関ごと

で記入するのはお伝えした通りです。


確定申告の準備で時間がかかるものの1つは、領収書の整理です。


なので、病院で発行された領収書をそのまま人ごと、医療機関ごとにまとめてしまいましょう。

初めからまとめておくことで、確定申告の時にわざわざ領収書を仕分けする手間が省け、時間短縮になります。

②領収書を受け取った日のうちに保管する

ついついためがちな領収書。


しかも病院の領収書は、スーパーなどのレシートと比べて大きめのサイズなので、クリアファイル等に入れておいてそのまま膨大な量に…なんて経験ありませんか?


膨大な量のレシートを確定申告の時期に仕分けするのは、かなり根気のいる作業なので、出来れば避けたいところ。


要するに領収書をため込まなければ面倒なことにはなりません。


病院等から受け取った領収書は、その日のうちに決めた場所に保管するようにしましょう。

③領収書を管理するファイルや封筒を用意する

領収書を受け取ったその日のうちに、人ごと、医療機関ごとに分けたら、保管する場所が必要ですね。


医療費の領収書は大体B5サイズ(A4サイズ)が多いです。

B5サイズの領収書の保管におすすめな商品は、ジャストサイズのB5サイズの2穴ファイル。


ファイリングについての手順についてはこちら。

  1. 人ごと、医療機関ごとのファイルを作る
  2. 領収書を受け取った日に、そのまま1で作った該当ファイルに挟む
たった2つの手順だけで、かさばりがちな領収書がきれいにまとめられますよ。

後から確認しやすいように、ファイルの表紙には年度、名前、医療機関を書いておくことをおすすめします。

コラム:領収書管理専用ケースもある

普通のファイルで領収書を保管している方も多いですが、実は画期的なものがあるんです。

なかなか知られていませんが、領収書専用ファイルというものがあります。


「穴あきタイプのファイルは穴をあけるのが少々面倒」

「封筒は入れるだけでいいけど出すときに確認しにくい」


こんな悩みを吹き飛ばしてくれます!


大きなメリットは2点。

  • 保管方法は横からスライドして入れるだけ
  • ビニールタイプになっていて非常に見やすく、確定申告時に数字を確認しやすい


さすがは領収書専用とあって、保管や使いやすさ抜群です。

領収書を紛失した際の対処方法は?



実は領収書をなくしても、医療費控除の申請は可能です。


現在医療費控除の申請に領収書の提出が不要とはお伝えした通りですが、申請する際に、医療費の計算をしますよね。


なので提出の義務はなくても、医療費の計算をする際は領収書が欠かせません。


では領収書をなくしてしまった場合、どのように医療費控除の計算をするのでしょうか?


領収書を紛失した時の対処法を3つご紹介します。

  • 医療機関に領収書の再発行をお願いする
  • 医療機関に領収書の再発行を断られた場合
  • 領収書が手元にない時の最終手段

①対象の医療機関で領収書の再発行を依頼する

現金で医療費を支払った場合

医療機関は不正利用を防ぐため、基本的に

「領収書の再発行はできません。」

というところが多いです。


しかし、一度は領収書の再発行をお願いしてみましょう。

「医療費控除の申請にどうしても必要」という旨を伝えると、再発行に応じてくれる医療機関もありますよ。


クレジットカードで医療費を支払った場合

歯科治療や入院など治療が長期になった時に、金額が大きくなり、クレジットカードで支払う方もいると思います。


クレジットカード払いももちろん、医療費控除の対象です。


クレジットカードの場合、領収書がない場合があります。その際は信販会社の領収書を用意しましょう。

信販会社の領収書をなくしてしまった場合には、信販会社に連絡し、再発行してもらいましょう。

②領収額証明書の発行を依頼する

医療機関で領収書の再発行ができなかった場合、領収額証明書の発行を依頼しましょう。


領収額証明書は、支払った医療費を証明する書類です。

1年間に数回通ったなら、金額をまとめて出してくれる医療機関もあります。


ただ領収額証明書の発行は有料になります

しかも医療機関によって金額はバラバラで、中には数千円かかってしまうところも。


領収額証明書の発行手数料があまりにも高い場合には、別の手を考えた方が良さそうです。

③家計簿やメモ等を元に医療費控除の明細書を記入する

医療機関で領収書の発行も領収額証明書の発行も厳しい場合の最終手段が家計簿です。


家計簿で証明する際には、領収書の金額はもちろん、以下の詳しい情報が必要です。

  • 医療を受けた人の氏名
  • 医療機関名
  • 医療費を支払った年月日
この3点の情報を持って、税務署に相談してみましょう。

家計簿をつけていない場合、病院の診察券や、薬局のお薬手帳でも支払いの証明ができることもあります。

まとめ:医療費の領収書のまとめ方を知って医療費控除を申告しよう


この記事では、医療費控除で使う医療費の領収書のまとめ方についてお伝えしました。


家族分も含めると膨大な量になりがちな領収書。

医療費控除をスムーズに申請するために、もらったその日のうちにファイルに保管しておきましょう。


特にこの記事では以下の4点についてご紹介しました。


  • 医療費の領収書のまとめ方は、人ごと、医療機関ごとする
  • 医療費控除は支払った医療費だけが対象ではない
  • 医療費控除は所得税の減税という形で還元される
  • 医療費の領収書を紛失しても医療費控除は申請できる
面倒に思われがちな医療費控除の申請ですが、領収書のまとめ方や管理さえしっかり行えば、申請は簡単に行なえます。

医療費控除は私達にとって節税ができる優遇措置です。
どんどん活用していきましょう。

マネーキャリアでは他にも読んでいただきたい記事が多数掲載されているので、ぜひご覧ください。