奨学金とは?仕組みや申し込み方法をわかりやすく解説のサムネイル画像

内容をまとめると

  • 奨学金は「給付型」、「無利子」、「有利子」の3種類に分かれる
  • 奨学金の審査に通る家計基準は、「収入形態」、「通学形態」「兄弟の人数」等様々
  • 利子は最大3%
  • 奨学金の返還は「リレー口座」を登録する必要がある
  • 大学独自の奨学金や民間営利団体の奨学金もある
  • FPへの相談なら満足度93%のマネーキャリアがおすすめ! 
  • マネーキャリアなら、何回でも無料で相談可能!

奨学金に興味があるのでその仕組みや種類をわかりやすく説明してほしい、という方は多いのではないでしょうか。この記事では、奨学金とは何なのか、種類、注意点、申し込みの方法まで、実際に奨学金を借りたことのあるFPがわかりやすく解説します。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

奨学金の種類や制度の仕組みをわかりやすく解説

こんにちは。マネーキャリア編集部です。


私は数年前まで、某私立大学で日本学生支援機構の担当をしていました。


入学の際、保護者様からこんな質問をたくさん受けました。 

奨学金を利用したいんだけど、複雑でよくわからないなぁ。

高校で、奨学金についての詳しい申請方法や、種類を説明してもらうことは、ほぼありません。


制度を理解しないまま、「なんとなく」で奨学金を利用してしまうと、将来、返還できなくなる可能性もあります。

 

日本学生支援機構が無延滞者(奨学金を毎月返済している人)と延滞者(3ヶ月以上返済が滞っている人)にアンケート調査を行ったところ、、奨学金には返還義務があると知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が 90.1%に対し、延滞者では 51.1%と約半数にとどまりました。 



これは申込手続きまでの認識が、不十分であることを物語っています。


奨学金は、自分に合った金額を利用すれば、あなたの学生生活を手助けしてくれます。


今回は、元大学職員の私が、日本学生支援機構の奨学金を中心に、申請から返還までをわかりやすく解説します。


「これから奨学金を利用したい」と考えているあなたのお手伝いになれば幸いです。 

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の種類は6つ



一番ポピュラーな奨学金は日本学生支援機構という独立行政法人が貸与を行う奨学金制度です。


平成30年度に行われた学生生活調査によると、大学に通う学生の約半数が利用していることがわかっています。


保証制度も、保証人をお願いできる人が誰もいない場合、公益財団法人が連帯保証してくれる「機関保証」制度を利用できるのも特徴です。


国内の大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)に在学する学生・生徒なら、誰でも申請することができますが、学業成績と家計基準によって利用できる種類が異なります。


日本学生支援機構の奨学金の種類は以下の6つです。

  • 返済なしの給付型奨学金
  • 利子なしの貸与型奨学金(第一種)
  • 利子ありの貸与型奨学金(第二種)
  • 入学時特別増額
  • 海外留学の奨学金
  • 家計が急変したときの奨学金

わかりやすくまとめましたので、1つ1つ詳しくみていきましょう。

①返済なしの給付型奨学金

給付型とは、「返還の義務がない」という意味。つまり、もらえる奨学金です。


2020年に制度がリニューアルされました。


入学金と授業料が免除されるだけでなく、毎月、生活費として決まった金額が振込みされます。


入学金や授業料の免除金額は以下の通りです。

  • 昼間部の国公立大学で入学金が約28万円、授業料が約54万円 
  • 昼間部の私立大額で、入学金が約26万円、授業料が約70万円 

※専門学校や、夜間部では金額が異なります。 


出来れば給付型の奨学金をもらいらいところですが、誰でも申請できるわけではありません。


後ほど対象者については詳しく説明しますが、経済的に困難である家庭に限定されているのが現状です。


また、対象であっても、満額支給の約3割~6割しか受け取れない場合もあります。


海外のように、誰でも給付型の奨学金を受けられるのはまだ先になりそうです。

②利子なしの貸与型奨学金(第一種)

第一種とは、利子がつかない貸与型の奨学金です。

卒業後、返還する義務があります。



家計基準によっては、第二種と併用することも可能です。


返済方法を

  • 定額返還方式
  • 所得連動返還方式

のどちらかから選ぶ必要があります。


定額返還方式とは、返還完了まで、毎月定額で返し続けます。


返還年月と回数が計算しやすいのが特徴です。


所得連動返還方式とは、前年の所得に応じて、毎年、返還額が変わるのが特徴です。


メリットは、自分の収入に応じて返還できる点です。

新卒で入った会社が思ったよりも給与が少なかった。

そんな時でも安心ですね。


デメリットは、病気や、退職などで収入が急変した場合、前年度の高い所得で算出された金額を返還しなければいけない点でしょう。

また、返還完了がいつになるのかが計算しにくく、計画を立てにくい点もあります。


親御さんと相談し、自分にとって良いほうを選びましょう。

③利子ありの貸与型奨学金(第二種)

第二種とは、利子がつく貸与型奨学金です

卒業後、返還の義務があります。


毎月借りられる金額が、2万円から12万円の中で自由に選べるのが特徴です。


第二種奨学金の利率の算定方法は、

  • 利率固定方式
  • 利率変更方式

の2種類あります。


利率固定方式とは、奨学金を借り終わったタイミングで利率を決定します。


その利率が返し終わるまで、ずっと適用されます。

世の中がデフレからインフレに変わる、もしくはその逆があったとしても、利率は変わりません。


一方、利率変更方式は、奨学金を返している間、約5年ごとに利率の見直しが行われます。


つまり、5年ごとに利率が変わるということです。


最近の日本はずっと低金利政策を推し進めていますよね。


その為、利率変更方式を選んでいた方は固定式の方と比べて利率が低くなっています。


しかし、この情勢がいつまで続くかは、誰もわかりません。


メリット・デメリット両方あることをよく理解した上で選択をしてください。

④入学時特別増額

第一種、もしくは第二種と併用して、入学時のみ増額した金額を有利子で貸与します。


一定の条件を満たした人のみが借りることが出来ます。


入学時特別増額のみの申請は出来ません。振込されるのも、入学後になりますので注意が必要です。


一番質問が多いのがこの入学時特別増額についてでした。


少しわかりにくいので、申請時に、高校の先生にわかりやすく説明を受けるようにしてください。

⑤海外留学の奨学金



海外留学の奨学金としては、以下の4種類があります。

  • 第二種奨学金(海外) 
  • 第二種奨学金(短期留学) 
  • 第一種奨学金(海外協定派遣対象)
  • 第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象) 


第二種奨学金(海外) 

海外の大学・大学院へ進学を希望する学生、もしくは海外の大学・大学院に在学中の人を対象とした有利子の貸与型の奨学金です。 


進学する前に申し込む「予約採用」と、進学後に申し込む「在学採用」があります。 申込方法は、海外の大学・大学院への進学時期や、国内の学校を卒業した時期等によって異なるので注意が必要です。 


初回の奨学金振込は進学後になります。 


進学前に支払いが必要となる渡航費や入学金に奨学金を充てることができません。


第二種奨学金(短期留学) 

3ケ月以上1年以内での留学する人を対象とした有利子の貸与型奨学金です。 


留学前に、在学校が窓口となり申請を行います。 


※ダブルディグリープログラムで国内在籍校が認める場合は2年以内まで貸与可能 


交換留学や認定留学、休学留学などが対象となります。 


大学院生による研究留学では、単位認定がない場合でも、国内在籍学校長が有意義な留学と認めた場合、奨学金の貸与対象となります。 


第一種奨学金(海外協定派遣対象) 

海外留学をする際に、日本学生支援機構が実施する「海外留学支援制度(協定派遣)」の給付を受けてもなお、経済的支援を必要とする学生が対象です。


無利子で貸与する奨学金です。 


第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象) 

海外の大学院に進学したいと考えている学生が利用することが出来ます。 無利子の奨学金制度です。 

⑥家計が急変したときの奨学金

生計維持者の失業や病気、災害など、予測できない事態によって家計が急変してしまったときに申請できる制度です。

問題が起きてから12ヶ月以内に申請することが条件となります。


第一種を緊急採用、第二種を応急採用と呼びます。


緊急採用の場合、問題が起きた月までさかのぼって支給されます。

例えば、6月に問題が発生し、9月に採用が決定した場合、振込み日に4か月分の奨学金額が支給されます。


応急採用では、さかのぼった給付は受けられませんのでご注意ください。

緊急か応急、どちらかは在学校の窓口で相談してください。

奨学金制度の仕組みをわかりやすく説明


種類がわかったところで、自分が利用できるのはどの奨学金か、いまいちわかりにくいですよね。


各種を項目ごと、わかりやすく表にまとめました。

①奨学金の対象者について

家計基準は、
  • 収入形態(自営か雇用か)
  • 通学形態(自宅か一人暮らしか)
  • 兄弟の人数(未就学児や通っている学校の種類)
によって異なります。 

また、家族に障がいを持っている方や要介護者がいらっしゃる場合も収入から控除されます。

JASSOのホームページに載っている金額より高くても対象の場合もあるので、学校の窓口で必ず相談するようにしてください。
奨学金の種類対象者

給付型

①住民税非課税世帯②それに準ずる世帯
第一種 主たる家計支持者の収入が、JASSOが定める金額以下の者。
第二種主たる家計支持者の収入が、JASSOが定める金額以下の者。
入学時特別増額「国の教育ローン」を申請したが通らなかった世帯
海外留学これから海外の大学に進学を考えている学生・生徒で、
主たる家計支持者の収入が、JASSOが定める金額以下の者。

②奨学金の利子について


給付型は返済の義務がないので利子はもちろんありません。 
第二種奨学金は利子があります。 最大3%で、在学中は利子がつきません。
奨学金の種類利子
給付型なし
第一種なし
第二種あり
入学時特別増額あり
海外留学基本あり

③奨学金の選考について

申請書類に記載された内容を、学校職員がJASSOの専用サイトに入力することで、自動的に順位付けされます。

学業基準は専門学校だと異なる場合があります。

必ず申請書類を確認するようにしてください。
奨学金の種類選考
給付型学業
(新一年生)高等学校等における評定平均値が3.5以上であること、又は、入学者選抜試験の成績が入学者の上位2分の1の範囲に属すること。
もしくは高等学校卒業程度認定試験の合格者。
もしくは学修計画書等を提出し、学業に意欲があると認められた者。
(在学生)GPA(平均成績)等が在学する学部等における上位2分の1の範囲に属すること。もしくは単位数が標準単位数以上かつ、学習意欲がある者。

第一種

学業

①(新一年生)高等学校または専修学校高等課程最終2か年の成績の平均が3.5以上であること。

もしくは特定分野において優れた学習意欲がある者。

(在学生)本人の属する学部(科)の上位3分の1以内であること。

もしくは特定分野において優れた学習意欲がある者。

第二種学業
①出身学校または在籍する学校における成績が平均水準以上と認められる者
入学時特別増額特になし
海外留学各種類によって異なる

④奨学金の貸与額について

金額はいずれも4年制大学を例に挙げています。

専門学校や短期大学では金額が異なるので注意してください。
奨学金の種類貸与額
給付型

(国立大学)

自宅/9,800円~29,200円

自宅外/22,300~66,700円


(私学大学)

自宅/12,800円~38,300円

自宅外/25,300~75,800円

第一種(国立)
 自宅/20,000円~ 45,000円
 自宅外/ 20,000円~51,000円

(私学)
 自宅/20,000円~54,000円
 自宅外/20,000円~64,000円
第二種20,000円~120,000円
入学時特別増額100,000円~500,000円
海外留学地域によって異なる。
(60,000円~100,000円)

⑤奨学金の返還方式について



奨学金の返還は、「リレー口座」とよばれる口座を登録する必要があります。


登録した口座から毎月引き落とされるようになっています。


必ず自分名義の口座で登録をしてください。


返還の手順は以下の通りです。

  1. 貸与が終了すると、学校側から「貸与奨学金返還確認票」「返還の手引き」  「リレー口座登録用紙」の3点セットが配布される。
  2. 金融機関の窓口で専用用紙を使って口座を登録する。
  3. 機関の印鑑が押された本人控えを保管する。

学校によっては、本人控えのコピーを提出する必要がある場合があります。


引き落としは貸与が終了した月の翌月から数えて7か月目から始まります。


3月で終了した場合、初回の引き落としは10月ですね。


そこから毎月返還が始まりますので、口座にお金があるかどうか、きちんと確認しておきましょう。


返還については「返還の手引き」にわかりやすく説明が載っています。


返済が終わるまでなくさないようにしましょう。

奨学金は申し込みの時期で制度が異なる!申し込む方法も解説


奨学金には、高校時代に申し込む「予約採用」と、大学進学後に申し込む「在学採用」の2種類あります。


借りられる種類や金額に違いはありませんが、採用基準と振込み時期が異なります。


大学入学後は新入生オリエンテーションや、カリキュラムの説明、新入生歓迎コンパなど、イベントが目白押しです。


さらには、慣れない環境での新しい友達作りで、新1年生の頭はいっぱいいっぱいに。


そんな中、複雑な奨学金制度を理解し、書類を集めるのは想像以上に苦労します。


特に一人暮らしを始めてしまうと、親との意思疎通も取りにくくなります。


予約採用のメリットは、大学進学後に金額の変更やキャンセルができること。


少しでも奨学金を利用したいと考えているのであれば、高校から予約することをオススメします。

①予約採用(入学前の申し込み)

高校3年生の時点で申し込みをします。


大学か専門学校かまだ決めていない。そんな状況でも申請可能です。


保証制度や返還方法など、進学後に決定することができるので、「とりあえず権利だけ取っておきたい。」という方にはピッタリな制度でしょう。


予約採用の募集回収や締切時期は高校ごとに異なるので、3年生になった時点で先生に確認しておくのがよいでしょう。


申し込みの手順は以下の通りです。

  1. 必要書類を高校に提出し、インターネットで申請を行う。
  2. 「採用候補者決定通知書」が高校を通して配布される。※この時点で「入学時特別増額」を申請した人は「国の教育ローン」を申請しておきましょう。
  3. 進学先に「採用候補者決定通知書」を提出し、進学届のパスワードをもらう。
  4. インターネットで進学届けを提出。この時に貸与月額や保証制度を最終決定する。
  5. 最短で5月に振込が開始。

②在学採用(在学中の申し込み)

入学後に申し込みをする方法です。


申請期間は春の1回のみ行われます。


特徴は予約採用で不採用になった場合でも、再度申込みができること。


大学の年間授業料が所得から控除されるので、家計基準内に長なる可能性があるからです。


高校で不採用だったからと諦めず、説明会に参加して書類を受け取るようにしましょう。


申し込みの手順は以下の通りです。

  1. 説明会に参加し、申し込みに必要な書類の書き方の説明を受ける。
  2. 奨学金が振り込まれる口座を開設する。※必ず自分名義であることが条件
  3. 人的保証を選択するのであれば、保証人の条件を確認し、本人に承諾を得る。
  4. 家計支持者の収入に関する証明書を用意する。
  5. 「スカラネット下書き用紙」と必要書類を学校に提出
  6. インターネットで申請
  7. 採用決定後、初回のみ4月分からさかのぼって振込される。

大学独自の奨学金もある!


日本学生支援機構だけでなく、各大学が独自で設けている奨学金制度があります。

特に私立大学は種類が豊富です。


成績によって自動的に免除されるものもあれば、自分から申請するものまで様々。

学校の窓口で相談するようにしましょう。

①スカラシップ制度

最近良く耳にする「スカラシップ入試」


どのような制度かご存知ですか?


優秀な学生に、奨学金を給付することをあらかじめ約束した入試制度のことをいいます。


大学側からしても、優秀な学生に入学してもらうメリットがあるため、多くの学校でこの制度を取り入れています。


各大学により免除額や、免除期間が異なりますが、様々な経済的支援を受けることが出来ます。


試験の時期が早い大学もあります。

気になっている学校があるのであれば、どのような制度があるか、ホームページで確認するようにしましょう。

②4年間継続型の奨学金

一度申請したらその時だけ、と言う制度ではなく、4年間ずっと継続して給付してもらえる制度を取り入れている学校もあります。


例えば専修大学では、先ほど説明したスカラシップ入試で採用された場合、4年間授業料と施設費が免除されます。


また、東北学院大学では受験前に予約し、4年間返済不要の奨学金を受け取ることができる制度があります。


こちらも各学校によって呼び名や申請方法が異なるので、インターネットで調べてみてください。

民間営利団体の奨学金もある!


企業や、個人が設立している奨学金制度です。


交通事故遺児育英会」や「あしなが育英会」などの遺児を支援する団体だけでなく、企業が財団法人となり、給付を行う場合もあります。


成績優秀者を支援する「電通育英会」や「Z会奨学金」など、多くの企業が奨学生を募集しているので調べてみてください。

【医療系学生向け】全日本民医連医師臨床研修センター

日本全国の医学部に所属する学生が利用できる奨学金制度があります。


全日本民主医療機関連合会という各医療機関等が加盟する都道府県民医連の連合組織が、医学生を対象に奨学金を貸与しています。


返済の義務が発生しますが、民医連の医療機関での研修生となったり、就職することにで、返済が免除になる場合があります。


くわしくは全日本民医連医師臨床研修センター [aequalis(イコリス)]のサイトご確認ください。

奨学金を利用する際の注意点


奨学金を利用するにあたって、気をつけて欲しい点が5点あります。


これらをしっかりと踏まえた上で、奨学金を申請するかどうかを判断しましょう。

①奨学金の返済義務は本人にある

奨学金の申請が通った後、「返還誓約書」とよばれる書類を作成します。


その書類には、保護者の名前ではなく、学生本人の名前が中央に記載されます。


これは、「私が卒業後、このお金をきちんと返します」と公的に約束する重要な書類です。


「親に言われて書類を取りに来た。」「親がやってきてと言ったから。」


そんなお使い気分のままでは、返済延納に繋がる事が予測されます。


実際に、日本学生支援機構の調査によると、奨学金申請時の申込手続きを自分自身で行った、と回答したのは、無延滞者では 65.6%がであるのに対し、 延滞者では 36.7%と低くなっています。


奨学金と名前がついていても、これは借金と同じ。


「このお金は自分が借りるものだ」としっかりと自覚することが大切です。


書類の書き方や、奨学金についての説明は「奨学生の手引き」にわかりやすく記載されています。


できる範囲で自分で書類手続きを行うようにしましょう。

②学業にしっかり取り組む必要がある

一度申請したらもうおしまい、というものではありません。


例えば留年した場合や、試験での不正が発覚するなどした際、奨学金の権利を失います。


また、取得単位数が少ないと奨学金が「停止」され、振込みが一時的にストップしてしまう場合があります。


さらに、奨学金は年に一度、「奨学金継続願」を提出しなければなりません。


インターネットを通じて申請しますが、成績を入力する欄もあります。


成績不振の場合、警告文が送られてくることもあります。


この継続願の提出を忘れてしまうと継続しないものとみなされ、奨学金の権利が廃止されます。


まじめに学生生活を送りましょう。

③返済や他のローンとの併用に注意する



例えば第二種奨学金で8万円を4年間借りたとしましょう。


その場合、384万円という金額を、卒業後から返還することになります。


240回払いが平均なので、毎月約16,000円前後を支払い続ける必要があります。


このことをよく考えた上で金額を選択するようにしましょう。


さらに、JASSOだけでなく、一般の教育ローンも借りた場合、JASSOと比べると利率が高く、また借りた翌月から金利が発生します。


授業料と生活費、きちんと計算した上で毎月の金額を決定しないと、卒業と同時に、とんでもない額の借金を背負っていることになりかねません。


奨学金を返還を3ヵ月間延滞すると事故情報として登録され、クレジットカードの利用を制限されることもあります。

よく考えてから利用しましょう。

④無駄遣いをしない

大学進学を機に、一人暮らしをする人も多いでしょう。


水道光熱費や食費に電気代など、生活すると毎月まとまった金額が必要になりますね。


生活費を奨学金でまかなうことに何の問題もありません。


しかし、一時的に月の収入が増えるため、ついつい気が緩んでしまい、支出が増えてしまうなんてことも。


ケチケチする必要はありませんが、無駄遣いをせずに、必要な分だけ使うようにしましょう。

⑤奨学金は入学金には使えない



高校から予約したとしても、最短で初回の振込みが5月になります。


一般的に、大学の入学前に入学金と前期授業料を支払う必要があります。


特に高校で奨学金を申請した親御さんは、入学前に振り込まれると勘違いをしている方が多くいらっしゃいます。


入学前にまとまったお金が必要になるので、注意しましょう。

⑥看護など医療系の学生向けの奨学金は特別条件がある

看護や医療系の学校では、各病院が直接、奨学生を募集している場合があります。


貸与型が多いのですが、「一定期間就職することで返済が免除になる。」という特徴があります。


医療業界、特に看護では人材不足が大きな問題となっています。

病院側は、学生の支援を行うことで、人材を確保する狙いがあるのです。


医療系学科は覚えることが多く、実地実習もあるため、アルバイトをする時間がありません。

学費を工面するのに苦労する話をよく聞きます。


入学前に奨学生に採用されることで、

  • 金銭面の心配をしなくてよくなる。
  • 就職先が早く決まる。

といったメリットがあり、安心して学業に専念することが出来ます。


しかし、デメリットもあります。

  • 在学中に「違う病院に就職したい」と心変わりしてしまった場合
  • 就職後、何らかの理由で一定期間たつ前に退職しなければならなくなった場合

このような場合、奨学金をまとめて返さなければならなくなるケースもあるので注意が必要です。


病院が独自に募集する奨学生では、必ず説明会と面接が行われます。


そこで、「自分に合った病院かどうか」「やむなく退職する場合はどのような返済方法なのか」などをしっかりと確認しましょう。

奨学金を返済出来ない場合どうするか

人生山あり谷あり。


いつだって順風満帆とは行きません。


突然のリストラや、病気などで収入が減ってしまった場合に利用できる制度があります。


筆者も新卒で入った会社が倒産。その後派遣社員となり、ワーキングプア状態に陥った経験があります。


その時に利用した救済制度をわかりやすく紹介します。

①減額返還の制度を利用する

申請することで、毎月の返還金額を、1/2、もしくは1/3に低減できる制度です。


災害や病気、失業といったアクシデントだけでなく、給与所得が年間300万以下の場合も申請理由に当てはまります。


一回の提出で12ヶ月間有効、最大で15年間継続することが出来ます。


返済期間が延びても、利息が増えないのもうれしいですね。


しかし、返還が滞納しているときは、この制度は利用できないので注意しましょう。

②返還期限猶予の制度を利用する


減額返還制度と同じように、何かしらの理由で返還が困難になった時、一時的に返還を停止してもらえる制度です。


1年ごとに願いでを提出し、最大で10年間猶予されます。


収入が安定するまで支払いを待ってもらえるので、安心できますね。


返還猶予中は無利子です。

③返還免除の制度を利用する

返還免除の制度はありますが、本人が死亡した場合、もしくは、精神や身体の障害により働けなくなってしまった時にだけ有効です。


この制度を利用しない人生がいいですよね。

④人的保証制度を利用する



連帯保証人、もしくは保証人にお願いして変わりに支払ってもらうことも可能です。


しかし、自己破産手続きをした場合に限ります。


自己破産とは、すべての借金の免除を裁判所で認めてもらう手続きの事を言います。


奨学金の返済は免除されますが、同時に家や車などの財産もすべて失うことになります。


日本学生支援機構の調査によると、平成24年から28年度において自己破産した奨学生の件数は8,108件にも及ぶそうです。


連帯保証人は基本的に親がなります。


親子で奨学金破綻になる可能性もあることを考えましょう。

コラム:高校生も利用できる奨学金がある


日本学生支援機構の奨学金で、高校生が利用できる制度はありません。


しかし、国による給付型奨学金制度や、民間が行う奨学金制度を申し込むことが出来ます。


高校生が利用できる奨学金は以下の通りです。

  • 高等学校等就学支援制度
  • 高校生等奨学給付金
  • 日本教育公務員弘済会

その他、各自治体で支援を行っています。


少しでも困ったことがあれば、学校の先生に相談してみてください。

➀高等学校等就学支援制度

授業料負担を軽減するための給付型の奨学金制度です。 


国からの支援金が直接学校に支払われます。 


年収910万円以下で、日本国内に住所があることが条件です。 


世帯年収によって、もらえる金額が異なります。

②高校生等奨学給付金

授業以外の教育費の負担を軽減するための給付型奨学金です。 


生活保護受給世帯や、非課税世帯が対象になります。 


年間で数万円~数十万円と、条件によって異なります。

③日本教育公務員弘済会

条件を満たした生徒に最大50万円を給付する制度です。 


各都道府県にある支部が窓口になっています。 


学校長からの推薦が必要になります。

コラム:大学の学費はどのくらい?


「大学はお金がかかる」


それは知っているけれど、実際にいくら必要になるのか、具体的な金額をご存知でしょうか。


旺文社教育情報センター「2020年度学費平均額」にわかりやすく、一覧が記載されています。


これによると、

国立大学の学費は昼間部で

  • 入学金28万2,000円
  • 授業料53万5,800円
  • 合計で、初年度納入金81万7,800円

が標準額となっています。


国立大学では19年度より、国が定める標準額から最大で20%の増額が可能となり、各大学の判断に任せられています。


今年度も、一部大学が授業料の値上げに踏み切っていて、今後も増額する学校が増えることが考えられます。


一方、私立大学の学費は昼間部で、

  • 入学金24万9,985円
  • 授業料90万4,146円
  • 施設設備費18万1,902円
  • 合計で、初年度納入金は1,33万6,033円

でした。(文部科学省の発表を参照


しかし、私学は学部によって金額はばらばらです。


2020年度学費平均額がもっとも低い法学部の123万265円と、もっとも高い医学部の727万715円では約604万円もの差があります。


学びたい分野の平均金額を確認しておきましょう。


最後に重要な点をお伝えします。

学費だけを見て、金額が高い、低いを決めないことです。


大学では授業料だけでなく、教材費や研修費など、進学後に必要となるお金がたくさんあります。


志望校のパンフレットをきちんと読み、オープンキャンパスなどでは職員に確認をするなどして、「予想外の出費」がないようにしましょう。

まとめ:奨学金制度を理解してその利用を検討しよう!


この記事では、「奨学金の仕組み・種類が知りたい」「奨学金の返済の仕組みについて知りたい」という方に向け、日本学生支援機構の奨学金を中心に、わかりやすくまとめました。

奨学金のことを知りたいけど、何を聞いたらいいかもわからない。

といった方も、これを読んで具体的にイメージができたのではないでしょうか。

奨学金は、ざっくりとこの3つに分類されます。

  • 給付型
  • 無利子
  • 有利子
自分の学力と、家計基準を照らし合わせ、利用できる奨学金を見つけてください。
経済的理由で進学を諦めることなく、あなたの「学びたい」を応援してくれるのが奨学金制度です。
せひ活用してください。