奨学金を借りたけれど幸いなことに手を付けないで済んだ!という方も多いのではないでしょか。では奨学金は使わないでよいのでしょうか。この記事では、奨学金を使わない人向けに、貯めておいた奨学金の使い道、奨学金を借りる際の注意点等を解説しています。
この記事の目次
目次を閉じる奨学金をすべて使いきる必要はない
こんにちは、マネーキャリア編集部です。
先日、高校生のお子さんとその親御さんからこんな相談がありました。
子どもを大学に進学させるためには多額の資金がかかります。
一方で、日本の世帯収入が減少しているため、子どもが大学に進学する際には親の収入だけで賄えないケースが増加しています。
「奨学金はいくら借りればよいのでしょうか。」
日本学生支援機構によると、このデータから4年間の平均貸与額は第1種で237万円、第2種で343万円となっています。
今回は奨学金は必要金額以上に貸与を受けても問題がないかについて解説します。
奨学金をこれから借りようとしている方、いくら貸与してもらおうか考えている方のお手伝いになれば幸いです。
奨学金をすべて使いきる必要がない理由
奨学金をすべて使わない人も中にはいます。ここからは奨学金をすべて使わない理由を紹介します。
- そもそも奨学金の用途は個人の自由だから
- 繰り上げ返還でいつでも返済できるから
①そもそも奨学金の用途は個人の自由
奨学金をすべて使わなくても良い理由1つ目は、奨学金の用途は個人の自由だからです。
融資や貸与を受ける場合、その用途は決められています。
例えば、事業者に対する融資の場合、運転資金や設備投資など利用用途が限られており、それに違反すると返済を求められる可能性があります。
住宅ローンを組む場合についても同様のことが言えます。
これらの融資・貸与に対して日本学生支援機構からの貸与の利用用途は教育関連となっていますが、違反したからと言って返済を求められることはありません。
つまり、利用用途は自由ということになります。
ただし、第2種を貸与した場合、返済には利子がかかります。
必要以上に貸与金額が多すぎると返済時の返済利子額が大きくなるため、必要金額を算定した上で、必要金額を借りるようにしましょう。
②繰り上げ返還でいつでも返済できる
奨学金をすべて使わなくても良い理由は、繰り上げ返還でいつでも返済できるからです。
日本学生支援機構には繰り上げ返還という制度があります。
これは無料で行うことができ、繰り上げ返還を行いたい月にいくら返還するかをインターネット上で申請することで指定の口座から繰り上げ返還することができます。
奨学金の返済は大きな負担になり、結婚や子育てに影響する場合もあります。
借りる際の注意点
続いては奨学金を借りる際の注意点について紹介します。
若い年齢で多額の借金を背負うことになるため、借りる前に知っておくべきことはたくさんあります。
この記事では以下の6点について紹介します。
- とりあえず借りるのではなく仕組みを理解しておくこと
- 返済の目途を立てておくこと
- 奨学金が返済できない場合の対処法をしっておくこと
- 疑問があれば日本学生支援機構(JASSO)に電話すること
- 奨学金を遊びに使うことがないようにすること
- 優秀な成績を収め返済免除の制度を使用すること
①とりあえず借りるのではなく仕組みを理解しておく
奨学金を借りる際の注意点1つ目は、奨学金の仕組みを理解しておくことです。
奨学金は給付型では貸与型です。
そのため、奨学金を借りることは借金を背負うことになります。
奨学金は10代の学生にとっては初めて背負う多額の借金です。
当然、何もわからないまま奨学金を借りて、大学に通うことになります。
しかし、奨学金を返済するのは学生本人です。
奨学金の仕組みを理解することで、卒業後、返済する義務があることやその気持ちづくりができます。
必ずさせるべきことは契約書や奨学金の手続きは学生本人が行うことです。
両親が子どもに変わって手続きを行ってしまうと奨学金の仕組みが理解できず、返済義務を感じさせることができません。
また、卒業後の想定される生活像を示すことで返済が大変であることや卒業後、仕事を頑張っていく必要があることを示すことができます。
ただし、ネガティブな情報ばかりを伝えすぎるとその現実から逃げられてしまう可能性があるため、適度に調節しながら伝えるようにしましょう。
②返済の目途を立てておく
奨学金を借りる際の注意点2つ目は、返済のめどを立てておくことです。
日本学生支援機構の場合、返済期間は貸与額によって異なりますが、15~20年と決められています。
22歳で大学を卒業すると最長で42歳まで奨学金を返済し続ける必要があります。
一般的な42歳までのライフサイクルとして、結婚や育児、住宅購入などがあり、どのイベントも多額の資金が必要になります。
この将来のことを考えると返済額を小さくすること、繰り上げ返済を行うことが最善の対策になります。
奨学金の貸与額について、余裕をもって借りすぎると月々に返済する金額は大きくなります。
これは日々の生活に大きな影響を与える場合があります。
必要最小限しか借りない、両親がいくらまでなら負担するなど具体的な金額を考えて貸与額を考慮する必要があります。
繰り上げ返済については返済期間を短縮させることができるため、人生のイベントに与える影響を小さくすることができます。
このように奨学金を借りた場合には逆算して返済のめどを立てておくようにしましょう。
③奨学金が返済できない場合の対処法を知っておく
奨学金を借りる際の注意点3つ目は、返せない場合の対処法を知っておくことです。
その理由は心理的負担を軽減させるためです。
奨学金は返すことが難しい時の対処方法が用意されているため、それを知って、万が一の時に使えるようにしておきましょう。
奨学金を返すことが難しい場合の対処方法は以下の2つがあります。
- 減額返済
- 返済期限の猶予
④疑問があれば日本学生支援機構(JASSO)に問い合わせる
奨学金を借りる際の注意点4つ目は、疑問があれば日本学生支援機構(JASSO)に電話することです。
奨学金は入学後の学費などを賄うための大きな借金です。
10代の学生にはこの重大な判断ができないため、貸与時には保護者の承認が必要になります。
それでも十分に奨学金のことへの理解、卒業後の返済が心理的負担になることなどが十分な学生はごくわずかです。
そのため、不安なこと・疑問などがあれば、日本学生支援機構に連絡し、不安や疑問を解消しておきましょう。
そもそも、奨学金に対する不安や疑問が生まれる理由には大きく2つが考えられます。
- 将来に対する不安
- 奨学金のことを理解していないことからくる不安
⑤奨学金を遊びに使うことがないようにする
奨学金を借りる際の注意点5つ目は、奨学金を遊びに使うことがないようにすることです。
先ほど紹介したように奨学金は教育のために使うことが前提となっています。
また、貸与できる金額は卒業までの間に必要な金額だけを貸与することになっています。
しかし、実際のところは奨学金の用途は原則自由ですし、貸与できる金額も場合によっては必要以上に借りることができます。
このようなケースの場合、資金面で心理的余裕が生まれるため、つい奨学金を遊びに使ってしまうことになります。
しかし、できるだけ奨学金を遊びに使うことはやめましょう。
卒業までに学費に使う資金が準備できない可能性があること、一時的に必要な場合に対応できないことなどが理由として挙げられます。
奨学金を遊びに使わないための具体的な対策方法として以下の3つが考えられます。
- 奨学金が入金される通帳を親に管理してもらう方法
- 別の通帳を用意し、毎月貯金を行うこと
- バイトをして、奨学金を使う割合を下げること
⑥優秀な成績を収め返済免除の制度を使用する
奨学金を借りる際の注意点6つ目は、優秀な成績を収め、返済免除の制度を使用することです。
日本学生支援機構の奨学金には特定の要件に該当する学生に対して返済を全額免除もしくは半額免除できる制度があります。
特定の要件とは大学院生でかつ第1種奨学金を借りている学生です。
上記の要件に該当する学生で優秀な成績を収めたと認められると、返済が免除されます。
大学院生の第1種奨学金の最高額は月88000円であり、大学院修了後の返済金額は211万1000円になります。
もし、要件に該当するとこの211万1000円の返済が免除される可能性があります。
大学院生で第1種奨学金を借りている学生は免除されるように日々、勉強や研究に励むようにしましょう。
まとめ:奨学金は無理して使わなくてよい
奨学金はすべて使わない方が良いということについて理由を含めて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは
- 万が一の場合に備えて奨学金はすべて使わないほうが良い
- 将来のことを考えるととりあえず奨学金を借りることはよくない