

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 転職後に給料が下がったら補助金がもらえるって本当?
- 「就業促進定着手当」とは?
- 就業促進定着手当をもらうための条件
- 就業促進定着手当の計算方法
- 就業促進定着手当の上限額について
- 転職後に給料が下がったら無料FP相談を活用して今すぐ家計の見直しをしよう
- 就業促進定着手当はいくらもらえる?2つの例でシミュレーション
- 30万円から28万円に下がった場合
- 30万円から25万円に下がった場合
- 就業促進定着手当の申請方法
- 困ったら無料FP相談!プロと一緒に効率的に家計の見直しをしよう
- 転職後に給料が下がったときの家計管理のポイント4つ
- 収支の見直しをする
- 固定費を削減する
- 変動費(食費・交際費)をコントロールする
- 無料FP相談を活用して家計全体の見直しをする
- 【まとめ】転職後に給料が下がったら補助金申請や家計の見直しをおこなおう
転職後に給料が下がったら補助金がもらえるって本当?
転職後に給料が下がった場合「就業促進定着手当」の支給が受けられます。しかし、支給には条件があり、前職より給料が下がった方が無条件で受給できる手当ではありません。
ここでは「就業促進定着手当」の概要や支給される条件、支給される金額の上限や支給額の計算方法を紹介します。
- 「就業促進定着手当」とは?
- 就業促進定着手当をもらうための条件
- 就業促進定着手当の計算方法
- 就業促進定着手当の上限額について
「就業促進定着手当」とは?
「就業促進定着手当」とは、就職促進給付の一種で再就職後の賃金が前職に比べて低い場合に支給を受けられる手当です。ただし、再就職手当の受給者が対象となっており、それ以外にも受給条件があります。誰もが受給できる手当ではないので、注意してください。
「前職に加えて給料が低い」と判断される基準は、再就職後6ヵ月間に支払われた給料を日割りで計算した金額である「賃金日額」が前職より低かった場合です。そのため「転職して3ヵ月は試用期間なので給料が低かったが4ヵ月目から正式に雇用されたので、給料が上がった」といった場合は支給の対象外です。
また「前職は福利厚生が手厚く給料の総額は高かったが、賃金日額を比較してみたら転職後のほうが高かった」といったケースもあります。
就業促進定着手当をもらうための条件
就業促進定着手当の支給を受けるための条件は以下のとおりです。
- 再就職手当の支給を受けている
- 雇用保険に加入している
- 同じ職場に6ヵ月以上勤務している
- 再就職後の賃金日額が前職の賃金日額より低い
- 受給手続きの後7日間の待期期間満了後に就職した
- 離職した会社とは別の会社に就職した
- 1年以上の雇用が予定されている
- 雇用保険の被保険者である
- 再就職手当や常用就職支度手当を過去3年以内に受給していない
- 給付制限の期間が設けられている場合、待期期間後のはじめの一ヵ月は紹介を受けて就職している
- 支給残日数が1/3以上で再就職した:60%
- 支給残日数が2/3以上で再就職した:70%
就業促進定着手当の計算方法
就業促進定着手当の計算方法は
「賃金日額の差額×支払い基礎日数」で計算できます。
賃金日額は「再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 180」で計算してください例えば、月収25万円の場合は「25×6÷180」になります。
日給や時給の場合は、以下2つの計算式で算出できる金額のうち高い方が適用されます。
- 再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 180
- (再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)×70%
- 月給:出勤した月の日数
- 日給月給:所定労働日数(出勤して給与を得た日数)
- 時給:出勤した日数
就業促進定着手当の上限額について
就業促進定着手当には上限額が定められています。上限額は年齢によって異なるため、支給額を計算する際は把握しておきましょう。
2025年3月までは上限額は再就職手当の割合が70%か60%で上限額が異なりましたが、2025年4月より一律20%に統一されます。「雇用保険の基本手当日額×支給残日数×20%」で算出してください。
以下に紹介する基本手当日額の上限額を超えている場合は、表の上限額が支給されます。
離職時の年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
---|---|---|
29歳以下 | 1万4,310円 | 7,065円 |
30~44歳 | 1万5,690円 | 7,845円 |
45~59歳 | 1万7,270円 | 8,635円 |
60~64歳 | 1万6,490円 | 7,420円 |
現役世代かつ年齢が上の世代ほど上限が高くなっています。下限も決められており、年齢に関係なく2,295円です。
転職後に給料が下がったら無料FP相談を活用して今すぐ家計の見直しをしよう

就業促進定着手当は、失業保険のように長期間継続してもらえる手当ではありません。また、受給できる条件も厳しいため「転職したら給料が下がった」といった方でも、支給が認められないケースも多いのです。
転職後に給料が下がった場合は、家計を見直して支出を抑える対策が必要です。しかし、闇雲に出費を抑えようとしても長続きしません。また、支出には「必要な支出」「家計を見直して抑えると効果がある支出」「努力して抑えてもあまり効果が期待できない支出」の3種類があります。家計を見直すなら「家計を見直して抑えると効果がある支出」を明確にし、どのくらい抑えられるのか、算出してみる必要があります。
家計の見直しを正確かつ効果的に行うには、個人のマネープランや資金計画を行うプロであるFPに相談するのがおすすめです。

就業促進定着手当はいくらもらえる?2つの例でシミュレーション
ここでは、実際に就業促進定着手当がいくらもらえるかシミュレーションを解説します。
条件は年齢が33歳、賃金支払基礎日数は183日、基本手当の支給残日数は60日です。どのくらい就業促進定着手当の支給が受けられるのか、目安がわかれば安心です。
なお、就業促進定着手当は年齢や賃金支払基礎日数によって変わるので、自身の支給額を計算したい場合は、年齢等を調節してください。
30万円から28万円に下がった場合
年齢が33歳、賃金支払基礎日数は183日、前職の月収が30万円、基本手当の支給残日数が60日だった方が転職した結果、月収が28万円まで下がった場合、就業促進定着手当の計算方法は以下の通りです。
- 再就職後6ヵ月間の賃金日額=(28万×6)÷180=9,333円
- 離職前の賃金日額=(30万×6)÷180=1万円
- 就業促進定着手当=(1万-9,333)×183=12万2,061円
ここまでの計算では、就業促進定着手当は12万2,061円の支給が受けられる計算です。
次は、就業促進定着手当の支給上限額を計算します。
就業促進定着手当の支給上限額=基本手当日額×基本手当の支給残日数×20%で計算できます。7,845×60×20%=9万4,140円となり、上限額に達していることがわかりました。したがって、9万4,140円の支給が受けられます。
30万円から25万円に下がった場合
今度は、年齢が33歳、賃金支払基礎日数は183日、前職の月収が30万円、基本手当の支給残日数が60日だった方が転職した結果、月収が25万円まで下がった場合の就業促進定着手当の計算方法を紹介します。
- 再就職後6ヵ月間の賃金日額=(25万×6)÷180=8,333円
- 離職前の賃金日額=(30万×6)÷180=1万円
- 就業促進定着手当=(1万-8,333)×183=30万5,061円
単純に計算すると、就業促進定着手当は30万円以上支給されます。しかし、就業促進定着手当の支給上限額は9万4,140円と同様です。したがって支給額は月収が30万円から28万円に下がった場合と変わりません。
月収の減少額が多くても無条件で支給額が上がるとは限らないので注意しましょう。
就業促進定着手当の申請方法
就業促進定着手当の申請はハローワークで行います。必要な書類は以下の4つです。
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 出勤簿やタイムカードの写し
- 給与明細、もしくは賃金台帳の写し
困ったら無料FP相談!プロと一緒に効率的に家計の見直しをしよう

転職して給料が下がった場合、将来的に昇給すると会社側が約束していたとしても、家計の見直しが必要です。就業促進定着手当は1回のみの支給なので、使い切るまでに家計を見直しましょう。
家計の見直し方法は「支出を抑える」と「収入を増やす」の2点です。結婚している場合は配偶者に働いてもらう、配偶者の仕事の時間を増やしてもらう等の方法で収入を増やすこともできるでしょう。
しかし、収入を即大幅に増やすのは難しいため、支出を抑えることが大切です。
転職後に給料が下がったときの家計管理のポイント4つ

ここでは、転職後に給料が下がったときの家計管理のポイントとして以下の4つを紹介します。すべてのポイントを実行する必要はありませんが、できるものから実行してみてください。
- 収支の見直しをする
- 固定費を削減する
- 変動費(食費・交際費)をコントロールする
- 無料FP相談を活用して家計全体の見直しをする
収支の見直しをする
収支の見直しは家計見直しの基本です。まずは、家計簿をつけてお金の流れをはっきりさせましょう。家計簿というとレシートを見ながらノートに記入するイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、現在はクレカや電子決済アプリと紐づけられたり、レシートを撮影するだけで記載が完了できたりするアプリも登場しています。
使いやすいアプリがあれば、ぜひ活用してみましょう。お金の流れがわかれば無駄遣いの有無や額もわかります。
固定費を削減する
固定費とは、額が毎月決まっている支出です。一例を挙げると以下のような費用が挙げられます。
- 住居費:家賃・住宅ローン
- 光熱費:電気・ガス・水道
- 通信費:電話代・プロバイダ料
- 保険料:生命保険など
- 自動車に関する費用
- 教育費:授業料・塾代など
変動費(食費・交際費)をコントロールする
変動費とは、月々の支払額が変動する支出です。一例を挙げると以下のような費用が挙げられます。
- 食費
- 日用品費
- 交際費
- 交通費
家計を見直す場合、食費・日用品費・交際費などが削りやすい項目として挙げられます。しかし、食費をむやみに削ると食生活が貧しくなり、ストレスがたまったり病気になりやすくなったりして、別の費用が余計にかかる可能性もあるでしょう。
節約するなら、まずは無駄遣いをしているか見直してみてください。例えば、仕事帰りに週4回カフェでコーヒーを飲む習慣があるなら、週1回まで減らすなどです。そうすれば、ストレスなく節約ができるでしょう。
無料FP相談を活用して家計全体の見直しをする
家計の見直しは、自分でできるものと難しいものがあります。難しいものには、保険の見直し、住宅ローンの借り換えなどが挙げられます。
保険の見直しは、商品の種類が多いほど選択に迷いがちです。また、今までかけてきた保険を解約すると損をするケースもあるでしょう。住宅ローンの見直しは月々の支払だけでなく、総支払額まで考えて借り換えるどうか検討が必要です。
多数の実績をほこるFPに相談すれば、これまでの経験をもとに適切なアドバイスを受けられます。
【まとめ】転職後に給料が下がったら補助金申請や家計の見直しをおこなおう

「就業促進定着手当」は、雇用保険の被雇用者であり再就職手当を受給している方のみが1回限り支給を受けられる手当です。しかし、下がった給料の額によっては数万円~10万円単位の手当てが受給できるので、家計の助けになるでしょう。
再就職して給料が下がったら、家計を見直して支出を抑える工夫が大切です。自分で家計を見直すには限度があるため、何度でも無料で利用できるマネーキャリアを利用し、家計見直しのプロであるFPに相談しましょう。
