

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
物価上昇(インフレ)・円安とは?家計に与える影響を解説
物価上昇や円安はニュースで耳にする機会が多いものの、実際にどんな仕組みで起こり、私たちの家計にどう影響するのかを正しく理解している方は少ないかもしれません。
ここでは、以下の物価上昇と円安の仕組みや家計に与える影響について解説します。
- 物価上昇(インフレ)・円安の仕組みと関係性
- 家計に与える影響
物価上昇(インフレ)・円安の仕組みと関係性
結論から言うと、円安とインフレはお互いに影響し合う関係にあります。
一方で、円安とは、日本円の価値が外国の通貨よりも下がっている状態のことを指します。
そのため、円安になると輸入品を購入する際により多くの円が必要となり、輸入コストが上昇します。
結果として、国内でも商品の価格が上がりやすくなり、インフレ(物価上昇)を招いてしまうのです。
つまり、「円安になる → 輸入品が高くなる → 国内の物価が上がる」という一連の流れが、インフレを引き起こす大きな要因になっていると言えます。
家計に与える影響
インフレ・円安は家計に以下のような影響を与えます。
- 食費や日用品の値上げ
- 電気・ガスなどの光熱費の上昇
- ガソリン代や交通費の増加
- 旅行や輸入商品の値上げ
物価上昇(インフレ)の家庭での対策方法
インフレによる家計への打撃を緩和するには、支出の見直しだけでなく、将来に備える「資産防衛」の視点も重要です。
ここでは、以下の物価上昇対策について解説します。
- 株式投資を行う
- 不動産投資を行う
- 変額保険に加入する
株式投資を行う
結論、物価上昇に備えるには、現金だけでなく株式などの“増やす手段”を取り入れることが重要です。
というのも、インフレが進むと現金の価値は目減りしていき、預金だけに資産を置いておくと実質的な購買力が下がってしまうリスクがあります。
現金と株式投資のインフレ耐性の違いは以下になります。
項目 | 現金(普通預金) | 株式投資(例:インデックス投資) |
---|---|---|
期待リターン | 年0.001〜0.1%(金利) | 年3〜7%(長期平均) |
インフレ時の対応力 | × 目減りする | ○ 資産価値が増える可能性 |
元本の安全性 | ○ 高い | △ 市場変動によるリスクあり |
長期的な資産形成 | × 難しい | ○ 成長が見込める |
不動産投資を行う
結論、不動産はインフレに強い「実物資産」として注目されている選択肢の一つです。
特に、家賃収入を得られる投資用不動産は、物価上昇の影響を受けにくく、むしろ恩恵を受けるケースも多いのです。
以下は不動産価格と家賃の推移になります。
年度 | 東京都心の新築マンション平均価格 | 賃料の上昇率(副都心エリア) |
---|---|---|
2022 | 約9,800万円 | +15.4% |
2023 | 約1億500万円 | +23.6% |
2024 | 約1億1,181万円(過去最高) | +30.7%(大幅上昇) |
ただし、始めるにはまとまった初期費用がかかる点には注意が必要です。
不動産投資における初期費用の目安とローン頭金の目安は以下になります。
物件価格 | 初期費用の目安(約15%) | ローン頭金の目安(10〜30%) |
---|---|---|
2,000万円 | 約300万円 | 約200〜600万円 |
3,000万円 | 約450万円 | 約300〜900万円 |
不動産は初期費用が高額になりやすい分、長期的に見て安定した収益が得られる投資対象です。
だからこそ、ローンを活用する場合は、目的(資産形成・老後対策・相続対策など)や返済計画を明確に立てておくことが非常に大切です。
変額保険に加入する
物価上昇対策として、変額保険に入るのも有効です。
変額保険は、死亡保障と資産運用を組み合わせた生命保険商品で、保険料の一部を投資信託などで運用し、その成果によって将来受け取る保険金や解約返戻金が変動します。
メリット | デメリット |
---|---|
インフレ対策が可能 | 元本割れのリスクがある |
税制優遇措置が受けられる | 仕組みが複雑で理解が難しい |
死亡保険金の最低保証がある | 各種手数料が発生する |
物価上昇(インフレ)の際に家庭でできる節約術
インフレ対策としてすぐに取り組めるのが「節約」です。
この章では、日常生活で効果的に支出を抑える方法を具体的に紹介します。
- 食費の節約をする
- 光熱費を下げる
- ガソリン代・通信費を抑える
- サブスク・固定費の見直しをする
食費の節約をする
物価上昇の際に家庭でできる節約術として、食費の節約があります。
特に、計画的に管理するだけで月に数千円〜1万円以上の節約ができるケースが多いです。
世帯人数ごとの平均食費は以下になります
世帯人数 | 平均月額(総務省・家計調査より) |
---|---|
2人世帯 | 約57,000円 |
4人世帯 | 約85,000円 |
参照 : 総務省統計局 | 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)
食費は支出全体の約25〜30%を占めることもあり、見直せばインパクトは大きいです。
食費を節約には以下のような方法があります
- まとめ買いをする
- 冷凍保存で食品ロスを減らす
- 旬の食材を利用する
- 自炊中心にする
光熱費を下げる
結論、電気代やガス代などの光熱費は、“使い方の見直し”だけで月に数千円の節約が可能です。
特別な知識や我慢は不要で、ちょっとした工夫を積み重ねるだけでも家計への負担は大きく変わります。
よく使われる節約テクと月の節約効果は以下になります。
節約対策 | 月の節約目安 | ポイント解説 |
---|---|---|
エアコンの温度調整(夏28℃・冬20℃) | 約1,000円 | 設定温度を1℃変えるだけで効果あり |
待機電力カット(使わない家電はコンセントOFF) | 約300円 | テレビ・電子レンジなどが対象 |
LED照明に切り替え | 約500円 | 白熱電球の1/5の電力で済む |
お風呂の追い焚き回数を減らす | 約400円 | まとめて入浴すると効果大 |
省エネ家電に買い替える | 年間数千〜数万円 | 冷蔵庫・エアコンの買い替えが特に効果的 |
電力会社のアプリやWEBサービスを活用すれば、毎日の使用量や時間帯ごとの電力消費が「見える化」できます。
これにより、「ムダ使いしていた時間帯」や「不要な家電」を発見しやすくなり、効率よく節約を進められます。
日々のちょっとした意識改革と見直しで、光熱費はムリなく節約可能な支出項目のひとつです。
「今日からできること」から、家計の改善をスタートしてみましょう!
ガソリン代・通信費を抑える
ガソリン代の節約ガソリン価格の高騰は家計に大きな影響を与えます。
以下の方法で燃料費を削減しましょう。
- エコドライブの実践:急発進・急加速を避け、一定の速度で走行することで燃費が向上します。
- 不要な荷物の降ろし:車内の不要な荷物を減らすことで、車両の重量が軽減され、燃費が改善されます。
- タイヤの適正な空気圧維持:適切な空気圧を保つことで、タイヤの転がり抵抗が減少し、燃費が向上します
- 料金プランの見直し:自身のデータ使用量に合わせて、最適なプランに変更することで無駄な支出を減らせます。
- 格安SIMの利用:大手キャリアから格安SIMに乗り換えることで、月々の通信費を大幅に削減できます。
- 不要なオプションの解約:契約時に付帯されたオプションサービスを見直し、不要なものは解約しましょう。
サブスク・固定費の見直しをする
物価高騰時代でも家庭でお金をかけずに楽しむ方法
物価高騰時代でも家庭でお金をかけずに楽しむ方法は沢山あります。
ここでは、以下の具体例を紹介していきます。
- お家時間を充実させる
- 手作り料理で節約と健康管理を両立させる
- お金のかからない趣味を見つける
お家時間を充実させる
費用があまりかからない、お家時間を充実させることを紹介していきます。
外出を控え、自宅での時間を楽しむことで、娯楽費や交際費を節約できます。
以下は費用があまりかからない、お家時間を充実させることのできるものです
- 読書
- 映画鑑賞
- DIYや手芸
手作り料理で節約と健康管理を両立させる
外食を減らし、手作りの料理を増やすことで、家計にも健康にも良い影響があります。
特に旬の食材を使った献立や、作り置きによる食材の有効活用は無駄を防ぎます。
農林水産省も自炊による食育の推進を提唱しており、健康的な食生活が生活習慣病の予防にもつながるとされています。
自炊は節約の手段であると同時に、暮らしの質を高める取り組みでもあります。
お金のかからない趣味を見つける
新たな趣味を始める際、高額な費用がかかるものもありますが、無料または低コストで楽しめる趣味も多く存在します。
以下の項目はお金のかからない趣味です
- ウォーキングやランニング:特別な道具を必要とせず、健康維持にも効果的です。
- 写真撮影:スマートフォンを活用して、日常の風景や出来事を記録する楽しみがあります。
- オンライン学習:無料の講座やセミナーを受講し、新しい知識やスキルを習得できます。
物価上昇(インフレ)・円安に負けない家計管理を始めよう【まとめ】
物価上昇(インフレ)や円安の影響で、食費や光熱費、日用品などの支出が増え、家計のやりくりがますます厳しくなっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、正しい知識を持ち、節約や資産運用などの対策を自分に合った形で取り入れることで、家計を守ることは十分に可能です。
この記事で押さえておきたいポイントは以下になります。
- 食費や光熱費など、すぐに取り組める節約から始めよう
- 株式や不動産、保険など、インフレに強い資産の活用を検討しよう
- 「我慢の節約」ではなく、「賢い家計管理」で無理なく乗り切ろう