

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 世帯年収700万円・共働き夫婦の住宅ローンの適正額はいくら?
- ローンの組み方(単独ローン・収入合算)で借入額はどう変わる?
- 無理なく返せる住宅ローンの目安は3500万円~4500万円
- 頭金なし・頭金ありで返済額はどう変わる?
- 無料FP相談を活用して住宅ローンの返済シミュレーションをしよう!
- 【実際どうだった?】世帯年収700万円台・共働き世帯の住宅ローンの体験談
- 住宅ローンの借入額と借入期間を教えてください
- 頭金は何割を用意しましたか?
- 住宅ローンの組み方を教えてください
- 住宅ローンを組むときに不安だったこと・後悔したことがあれば教えてください
- あなたの家庭にぴったりのローンは?FPと一緒に無理のない返済計画を立てよう
- 世帯年収700万円の共働き夫婦が住宅ローンで生活苦にならないための注意点
- 「借りられる金額」ではなく「返せる金額」を基準に考える
- ペアローン・収入合算の場合はリスクも正しく把握する
- 金利タイプの違いを理解して慎重に選ぶ
- 教育費や老後資金とのバランスを検討する
- 【まとめ】共働き世帯年収700万円の住宅ローンは無理なく返せる額を検討しよう
世帯年収700万円・共働き夫婦の住宅ローンの適正額はいくら?
住宅ローンの適正額は、収入や生活費、将来のライフプランを考慮して決めることが重要です。一般的には、年収の25%~30%を目安にするのが良いとされています。
以下の項目について、詳しく解説していきます。
- ローンの組み方(単独ローン・収入合算)で借入額はどう変わる?
- 無理なく返せる住宅ローンの目安は3,500万円~4,500万円
- 頭金なし・頭金ありで返済額はどう変わる?
ローンの組み方(単独ローン・収入合算)で借入額はどう変わる?
単独ローンと収入合算ローンは、住宅ローンを組む際の重要な選択肢です。単独ローンは、借入者一人の収入に基づいて融資を受けるもので、自己の返済能力が重視されます。一方、収入合算ローンは、配偶者などの収入を合算して借入可能額を引き上げることができるため、より高額な物件の購入がしやすくなります。
ここでは、ローンの組み方で借入額はどのように変わるのか、世帯収入ごとのシミュレーションをもとに比較してみましょう。
共通条件は以下の通りです。
- 返済期間35年
- 元利均等返済
- 金利1.5%(固定)
- 頭金・ボーナス支払い・繰上げ払いなし
- 諸費用は割愛
【夫の年収500万円の場合】
項目 | 単位(円) |
---|---|
借入可能額の目安 | 40,900,000 |
毎月返済額 | 125,229 |
総返済額 | 52,596,180 |
【夫の年収500万円+配偶者年収200万円の場合】
項目 | 単位(円) |
---|---|
借入可能額の目安 | 57,300,000 |
毎月返済額 | 175,443 |
総返済額 | 73,686,060 |
無理なく返せる住宅ローンの目安は3500万円~4500万円
借入可能額は、金融機関が収入や信用情報などに基づいて「これくらいなら貸し出せますよ」と提示する金額です。これは、あくまで金融機関の審査上の上限であり、実際に安全に返済できる金額とは限りません。
一方、無理のない返済額は、現在の家計状況や将来のライフプランを考慮して「これくらいの金額であれば、無理なく返済していけるだろう」という、自身にとっての返済可能な金額です。
また、返済プランを立てる際に考慮すべきポイントとして『返済負担率』があります。これは、年間の総返済額が年間の税込収入に占める割合のことです。住宅ローンの審査などにおいて、金融機関が返済能力を判断する際の重要な指標の一つで、以下の計算式で算出できます。
返済負担率(%)=年間のローン返済額÷手取り年収×100(※1)
- 借入可能額に基づく返済負担率:金融機関の審査においては、返済負担率の上限が設けられています。これは金融機関によって異なりますが、一般的に30%~35%程度が上限となることが多いです。
- 無理のない返済額に基づく返済負担率:理想とされるのは、返済負担率を20%~25%程度に抑えることであると言われています。
以下は、金利別の借入額を表にまとめものです。
【年収700万 / 変動金利0.5% / 借入期間35年間の場合】
借入額 | 月々の返済額 | 返済負担率の目安 |
---|---|---|
3,500万円 | 90,855円 | 15% |
4,000万円 | 103,834円 | 17% |
4,500万円 | 116,813円 | 20% |
5,000万円 | 129,793円 | 22% |
【 年収700万 / 固定金利1.9% /借入期間35年間の場合】
借入額 | 月々の返済額 | 返済負担率の目安 |
---|---|---|
3,500万円 | 114,154円 | 19% |
4,000万円 | 130,462円 | 22% |
4,500万円 | 146,769円 | 25% |
5,000万円 | 163,077円 | 27% |
年収700万円の手取り年収は、525万円~595万円程であると言われています。 変動金利0.5%の場合は、5000万円の借入金額であっても返済負担率25%以内はクリアできますが、固定金利1.9%の場合は、3,500万円~4,500万円の借入金額が妥当です。
頭金なし・頭金ありで返済額はどう変わる?
頭金なし・頭金ありで返済額がどのように変わるのか、以下の表にまとめてみました。
項目 | 頭金なし (フルローン) | 頭金あり |
---|---|---|
物件価格 | 4,000万円 | 4,000万円 |
頭金 | 0円 | 500万円 |
借入額 | 4,000万円 | 3,500万円 |
金利 | 2.05% | 1.94% |
毎月返済額 | 133,533円 | 114,867円 |
年間返済額 | 1,602,396円 | 1,378,404円 |
総返済額 | 56,083,860円 | 48,244,140円 |
頭金がない方はある方に比べて、総返済額が+7,839,720円と非常に大きな差になっていることがわかります。この結果からもわかるように、頭金は可能な限り準備しておくと良いでしょう。
無料FP相談を活用して住宅ローンの返済シミュレーションをしよう!

住宅ローンの返済シミュレーションは、将来の返済計画を具体的にイメージするための重要なツールです。金利や借入額、返済期間を入力することで、毎月の返済額や総返済額を算出できます。
これにより、家計への影響を把握し、無理のない返済計画を立てやすくなります。
また、シミュレーションを通じて、金利の変動や繰上げ返済の効果も確認でき、より賢い資金管理が実現します。住宅購入を検討する際には、積極的に活用したいステップです。

【実際どうだった?】世帯年収700万円台・共働き世帯の住宅ローンの体験談
人生最大の買い物とも言えるマイホーム。「あの時、こうしておけば…」と後悔する事態は避けたいものです。
そこで、当編集部では『共働きで世帯年収700万円台の方』に、以下の項目で調査を行いました。ここからは、その結果と口コミを紹介し、内容を現役FPが解説します。
- 住宅ローンの借入額と借入期間を教えてください
- 頭金は何割を用意しましたか?
- 住宅ローンの組み方を教えてください
- 住宅ローンを組むときに不安だったこと・後悔したことがあれば教えてください
住宅ローンの借入額と借入期間を教えてください
借入金額に対する質問で最も多かったのは、4,000万円台で46.2%を占めました。2,000万円台と3,000万円台の借入額は同じ程度の割合で、いずれも約2割強となっています。
今回の調査では、借入金額は4,000万円台が中心であり、2,000万円~3,000万円台にも一定のニーズがあるとわかりました。
頭金は何割を用意しましたか?
住宅ローンの組み方を教えてください
住宅ローンを組むときに不安だったこと・後悔したことがあれば教えてください

この項目では「金利の上昇」に不安を感じていると答えた方が、最多となる46.2%でした。
金利の上昇については、変動金利を選択された方が、昨今の金利上昇に不安を感じている様子が伺えます。将来の金利動向は予測困難であるため、リスクを十分に理解し、ある程度の余裕を持った返済プランがカギとなります。
また15.4%にはなったものの「定年後の支払い」や「完済できるかどうか」といった、ローンを組んだ後の支払いに不安を感じている方も少なくないようです。

30代男性
金利の上昇が不安でたまりません

50代男性
繰り上げ返済をしておくべきでした
50代前半共働き、定年後も支払いが残る予定です。退職金もいくらもらえるか不透明ですし、年金だけで毎月のローン返済を続けられるか、正直不安しかありません。もっと早く繰り上げ返済を進めておくべきだったと後悔しています。

40代男性
住宅ローンの返済と教育費の捻出で毎月カツカツです
子どもが2人おり、これから教育費が本格的にかかる時期を迎えます。住宅ローンの返済と教育費の捻出で、毎月カツカツの生活です。本当にこのまま完済できるのか、将来が不安になることがあります。もっと慎重に借入額を決めるべきだったかもしれません。
あなたの家庭にぴったりのローンは?FPと一緒に無理のない返済計画を立てよう

住宅ローンの返済額は、自身の収入と住宅価格だけで決めてしまうと、将来のリスクが高まってしまいます。金利や返済期間なども合わせて考えながら検討しましょう。
そのためにも、まず自分の家庭の状況を把握することが重要です。家計の収入や支出、将来のライフプランを立てて明確にしていくとスムーズに進められます。
特に、子どもがいる家庭では、成長に伴う教育費の増加を視野に入れて計画しましょう。一般的に、大学進学の費用は高額になるため、住宅ローンと重なると家計の負担が大きくなる可能性があります。そのため、教育費を確保しつつも、無理なく返済できる金額に設定することが大切です。

世帯年収700万円の共働き夫婦が住宅ローンで生活苦にならないための注意点

人生最大の買い物と言われる住宅。夢のマイホームを手に入れたはずが、毎月の支払いが重荷になっていませんか?世帯年収700万円の共働き夫婦なら、本来もっと豊かな生活を送れるはず。
ここからは、住宅ローンで生活が苦しくならないための具体的な対策を解説します。
- 「借りられる金額」ではなく「返せる金額」を基準に考える
- ペアローン・収入合算の場合はリスクも正しく把握する
- 金利タイプの違いを理解して慎重に選ぶ
- 教育費や老後資金とのバランスを検討する
「借りられる金額」ではなく「返せる金額」を基準に考える
住宅ローンを考えているときは、希望する住宅を手に入れるために、多くの人が「借りられる金額」に焦点を当てがちです。ですが、実際には「返せる金額」が最も大切であると言っても過言ではありません。
月々の支払において、無理のない返済額は手取り月収の25%以内が理想と言われています。年収700万円の手取り年収を530万円と仮定すると、月収が約44万円で返済額は約11万円になります。たとえ借りられる金額が大きくても、この金額の範囲内におさめるのが理想です。
さらに、ライフイベント(出産・育休・子育て)による収入減少のリスクも考慮することで、将来的な経済負担も軽減できます。
ペアローン・収入合算の場合はリスクも正しく把握する
ペアローンや収入合算は、住宅ローンを組む際に有効な手段ですが、リスクを正しく理解することが重要です。
【ペアローンとは】
同じ物件に対して、2人がそれぞれ住宅ローンを組む方法です。主に夫婦やパートナーが利用し、収入を合算することで借入可能額が増えるメリットがあります。また、返済負担を分け合えるため、個々の負担が軽減される点も魅力です。ただし、契約者全員が返済責任を負うため、綿密な話し合いが必要です。
【収入合算とは】
主に一人の名義で契約し、複数の収入を加算して、借入可能額を増やす手法です。例えば、夫婦や親子での収入を合わせることで、より高額な借入が可能になり、理想の住まいを手に入れるチャンスが広がります。ただし、合算する際は、各人の信用情報や返済能力が重要となるため、慎重な検討が必要です。
金利タイプの違いを理解して慎重に選ぶ
金利タイプの選択は、住宅ローンに大きく影響します。主な種類には固定金利と変動金利があります。
- 固定金利:市場金利の動きに関わらず、返済期間中の金利が変わらない。
金利が固定されているので、将来的な上昇のリスクも避けられ、支出を予測しやすいのが特徴です。
- 変動金利:市場金利の動きに応じて変動。
初期は低いことが多いですが、将来的に上昇するリスクもあります。自身のライフプランやリスク許容度を考慮し、慎重に選ぶことが重要です。
どちらにも良い点と悪い点があるので、しっかり理解した上でどちらが良いのか判断しましょう。
教育費や老後資金とのバランスを検討する
住宅資金と同様、教育費と老後資金も、人生における大きな支出の一つです。教育費は、子どもの成長に伴って増加し、特に大学進学を見据える場合は、まとまった金額が必要になります。そのため、早くから資金準備をしておくのが重要です。
一方、老後資金の準備も視野に入れなくてはなりません。長寿化が進む現代では、退職後の生活を支えるための資金を確保することが不可欠です。特に、50代以降は準備期間が短くなるため、しっかりとした計画が重要となります。
住宅ローンを組む際は、これらとのバランスを考えて返済計画を立てることで、将来的なリスクを回避できる可能性が高まります。
【まとめ】共働き世帯年収700万円の住宅ローンは無理なく返せる額を検討しよう

共働きで年収700万円の世帯が住宅ローンを検討する際は、「無理のない返済額」を見極めることが非常に重要です。
これまで解説してきた返済負担率や頭金の有無といったポイントを参考に、自分たちに合ったローンを慎重に選びましょう。
返済金額を設定する際は、現在の家計状況だけでなく、将来のライフプランも視野に入れる必要があります。たとえば、子どもの誕生や成長に伴う教育費の増加、産休・育休や転職による収入の変動、車の買い替えといった大きな支出、さらに退職後の生活設計まで考慮することで、家計のバランスを保ちやすくなります。
マネーキャリアでは、住宅ローンに加え、ライフプラン全体に関する相談も可能です。住宅ローンと家計全体を総合的に見直したい方は、ぜひ一度相談してみてください。

5年前に変動金利で35年ローンを組みましたが、最近の金利上昇が家計を圧迫し始めています。毎月の返済額が数千円上がっただけでも、じわじわと影響が出てきて、貯蓄に回せるお金が減ってきました。このまま金利が上がり続けることを考えると不安が募ります。固定金利への借り換えも視野に入れて、情報収集をはじめようかと思っているところです。