
▼この記事を読んでほしい人
- シングルマザーになったばかりで、税金の仕組みや利用できる控除制度について詳しく知りたい人
- 現在母子家庭として生活しており、税負担を少しでも軽減する方法や節税対策を具体的に学びたい人
- 母子家庭の税金計算を自分でしたいが、複雑な制度や手続きに不安を感じているため、専門家のサポートを検討している人
内容をまとめると
- 母子家庭の場合、所得税と住民税の基本的な仕組みを理解し、ひとり親控除や寡婦控除などの特別な税制優遇措置を適切に活用するのが重要
- 税負担を軽減するためには、医療費控除や生命保険料控除に加えて、ふるさと納税やNISA、iDeCoなどの制度を組み合わせて検討する
- ただし、支援制度は複雑なものが多いため、税金計算や将来のライフプランも含めて専門家に相談するのがおすすめ
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この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
母子家庭にかかる主な税金の種類
母子家庭にかかる主な税金の種類は、以下のとおりです。
- 所得税
- 住民税
所得税
所得税は、正社員、パート、個人事業主などが働いて得た収入に対して課される税金です。
正社員や派遣社員、パートの場合は、毎月の給料から源泉徴収という形であらかじめ差し引かれます。
一方、個人事業主やフリーランスは自分で確定申告を行い、所得税を計算して納める必要があります。
所得税率は所得額に応じて変わり、5%から45%の範囲で設定される仕組みです。
また「ひとり親控除」や「寡婦控除」などの各種控除が適用されると、所得税の負担が軽減されます。
住民税
住民税は、都道府県民税と市町村民税(東京都では都民税と特別区民税)から成り立っていて、地域の公共サービスの財源として活用されます。
会社員などの給与所得者は、毎月の給料から住民税が天引きされる「特別徴収」が適用され、個人事業主の場合は毎年6月頃に住民税決定通知書が届き、期限までに納付する「普通徴収」となります。
所得税と同様に、各種控除が適用されることで課税所得が減り、住民税の負担も軽減可能です。
母子家庭が知っておきたい税金の控除や制度

母子家庭が知っておきたい税金の控除や制度には、次のようなものがあります。
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- ふるさと納税
- NISA
- iDeCo
ひとり親控除
ひとり親控除は、母子家庭・父子家庭など、ひとり親世帯が一定の条件を満たす場合に適用される控除です。
主な要件は以下のとおりです。
・婚姻関係や事実婚関係の相手がいないこと
・生計を共にする子どもがいる(子どもの年間所得が48万円以下)
・本人の所得が500万円以下
ひとり親控除が適用されると、所得から35万円が控除されます。
※参照:ひとり親控除|国税庁
寡婦控除
寡婦控除は、夫と離婚または死別し、その後婚姻していない女性が、一定の条件を満たした場合に受けられる控除です。
主な要件は以下のとおりです。
・夫と離婚もしくは死別後に婚姻していない
・本人の所得が500万円以下
寡婦控除が適用されると、所得から27万円が控除されます。
※参照:寡婦控除|国税庁
医療費控除
医療費控除は、本人や扶養している家族のために支払った医療費が年間で一定額を超えたときに利用できる所得控除です。
病院での診療費や治療費、通院の交通費、歯の治療費、レーシック治療費など、さまざまな費用が医療費控除の対象となります。
控除額の計算方法は、次のとおりです。
●年間の所得が200万円以上の場合
・(1年間に支払った医療費の総額−保険金などで補てんされる金額)−10万円
●年間の所得が200万円未満の場合
・(1年間に支払った医療費の総額−保険金などで補てんされる金額)−所得の5%
医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
生命保険料控除
生命保険料控除は、1年間に支払った保険料の一部が所得から差し引かれる制度です。
控除は、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つに分かれています。
控除額は、年間の支払保険料の金額に応じて決まります。
年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 支払保険料の全額 |
2万円超4万円以下 | 支払保険料×1/2+1万円 |
4万円超8万円以下 | 支払保険料×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
※新契約(平成24年1月1日以後の保険契約の場合)
生命保険料控除が適用されることで、所得税の軽減が可能です。
※参照:生命保険料控除|国税庁
ふるさと納税
ふるさと納税は、自分が応援したい地域に寄付をすることで、その地域の特産品などのお礼の品が受け取れる仕組みです。
寄付額が控除上限内であれば、自己負担は実質2,000円のみで済み、超過分は所得税や住民税から差し引かれます。
例えば、3万円を寄付した場合、最大2万8,000円が所得税の還付や住民税の控除を受けられ、お肉やお米、お菓子、加工食品、日用品、工芸品など、さまざまなお礼の品を受け取ることができます。
ふるさと納税は厳密には節税ではありませんが、地域の特産品がもらえる点で、お得感があり人気の制度です。
NISA
NISA(少額投資非課税制度)は、株式投資や投資信託などで資産運用する際に節税できる制度です。
2014年1月にスタートし、2024年からは新たな制度「新NISA」が始まりました。
通常、株式や投資信託で得た利益には、20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。
しかし、NISA口座で運用した場合は、利益が非課税となるため、効率よく資産を増やすことが可能です。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があり、非課税保有限度額は合計1,800万円(このうち成長投資枠は最大1,200万円)となっています。
将来に向けて資産運用を考えている方におすすめの制度です。
※参照:NISAを知る|金融庁
iDeCo
iDeCoは、私的年金制度の一つで、節税しながら老後資金を準備できるのが特徴です。
掛金の拠出から運用までをすべて自分で管理し、運用資産は60歳以降に受け取ることができます。
iDeCoの主な特徴は、以下のとおりです。
・掛金は全額が所得控除の対象
・運用益は非課税
・受取時は公的年金等控除または退職所得控除の対象
節税メリットを受けながら、将来に向けた資産運用が行えます。
※参照:iDeCo公式サイト
母子家庭の税金計算のやり方とシミュレーション
母子家庭の税金計算の方法やシミュレーションを知っておくと、自分で所得税や住民税を試算でき、より具体的な資金計画を立てやすくなります。
- 所得税の計算方法
- 住民税の計算方法
所得税の計算方法
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
※参照:給与所得控除|国税庁
住民税の計算方法
給与所得者の場合、住民税の計算手順は次のとおりです。
「1.年間の所得額を求める(①)」
年間収入から給与所得控除を差し引き、所得額(①)を求めます。
給与所得控除の金額は収入に応じて変動する仕組みです。
例えば、年収400万円の場合、給与所得控除は124万円となり、年収から控除を差し引くと276万円になります。
「2.所得額から所得控除を差し引く(②)」
①の所得額から基礎控除、生命保険料控除、社会保険料控除など適用される所得控除を差し引いて課税所得額(②)を算出します。
「3.所得割を計算する(③)」
住民税額は「所得割+均等割」の合計となります。
所得割は次の計算式で求められます。
・所得割=課税所得額×税率−税額控除
通常、税率は10%(道府県民税4%、市町村民税6%)です。
②の課税所得額に10%を掛け、住宅ローン控除や寄附金控除などの税額控除があれば差し引くことで所得割(③)が算出されます。
「4.所得割に均等割を加える」
均等割の金額は自治体によって異なりますが、おおむね4,000〜5,000円程度です。
住民税は、③で求めた所得割と均等割を合計して算出されます。
また、2024年度からは森林環境税(年額1,000円)が加わり、均等割と一緒に徴収されます。
※参照:給与所得控除|国税庁
母子家庭で税金の負担が重いと感じるときの対処法
母子家庭で税金の負担が重いと感じるときの対処法は、次のとおりです。
- 使える控除や税金対策を最大限活用する
- FPに相談して家計全体を見直す
使える控除や税金対策を最大限活用する
税金の負担が重いと感じるときの対処法の一つが、使える控除や税金対策を最大限活用することです。
ひとり親控除、医療費控除、生命保険料控除などを利用すれば、課税所得を減らすことができ、所得税や住民税の負担を軽減できます。
例えば、ひとり親控除を受けると、課税所得から35万円が控除されます。
他にも、医療費控除や生命保険料控除の利用で税負担を軽減することが可能です。
FPに相談して家計全体を見直す
税金の負担が重いと感じたときは、FPに相談して家計全体を見直すのも有効な対処法です。
節税が難しい場合や節税だけでは十分な効果が得られない場合は、家計を見直して支出を抑えることが大切です。
食費や保険料、光熱費、通信費、交際費などを見直すことで、家計の負担を抑え、生活費にゆとりを持たせることができます。
家計管理のプロであるFPに相談すれば、見直すポイントや具体的な節約方法について的確なアドバイスを受けられます。
相談料が無料のFPやオンラインで対応している窓口もあるため、気軽に利用可能です。
母子家庭の税金についてよくある質問

母子家庭の税金についてよくある質問は、以下のとおりです。
- 確定申告は必要ですか?
- 住民税が非課税になる条件は何ですか?
- 税金や家計の悩みはどこに相談すればいいですか?
確定申告は必要ですか?
母子家庭でも、状況によっては確定申告が必要になる場合があります。
例えば、個人事業主やフリーランスとして働いている場合は、確定申告を行い所得税を計算して納税しなければなりません。
また、ひとり親控除、生命保険料控除、医療費控除などを受ける際にも、確定申告が必要になることがあります。
確定申告が必要かどうかわからず不安なときは、税務署やFPに相談して、必要な場合は早めに準備を進めましょう。
住民税が非課税になる条件は何ですか?
母子家庭で住民税が非課税となるのは、前年の所得が135万円以下(年収204万4,000円未満)の場合です。
この条件に該当すると、所得割・均等割の両方が非課税となります。
ただし、自治体によって基準が異なることがあるため、お住まいの自治体窓口で確認しましょう。
母子家庭の税金や家計の悩みを解消するには?
母子家庭の所得税や住民税などの税金負担は、控除などを利用すれば負担を軽減できます。
ただし、所得税や住民税を計算する際に各種の控除などを含めて考える場合は計算が複雑になってしまうので、思ったより効果が出ない可能性もあります。
また、所得税や住民税の控除だけでなく、家計全体で支出を抑える必要もあります。
税金の計算や家計の悩みを抱えている場合は、実績あるFPが多数在籍しており、あなたの状況にあった適切なアドバイスをしてくれるマネーキャリアを利用するのがおすすめです。
自分では気づかなかった家計の無駄や、利用できるのに知らなかった支援制度についても詳しく解説してくれるため、利用を検討する人が増えつつあります。
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- 母子家庭で負担になりがちな所得税や住民税の控除や支援制度について詳しく教えてくれる
- 節税だけでなく、家計の相談や将来のための資金計画なども相談できる
- 土日祝日でも相談可能で、オンラインでの相談も可能なので、仕事で忙しい人にも最適
母子家庭の税金計算とシミュレーションのまとめ
本記事では母子家庭の税金計算方法と具体的な金額のシミュレーションを詳しく解説しました。
ポイントをまとめると以下のようになります。
- 母子家庭にかかる主な税金は所得税と住民税だが、各種控除を活用すると課税所得が下がり、税負担を軽くできる
- 母子家庭で活用できる主な控除はひとり親控除、寡婦控除、医療費控除、生命保険料控除やiDeCo・NISAなどがある
- 税金の負担が重いと感じる場合は、可能な限り控除を活用しつつ、併せて家計を見直してみるのが効果的
- 所得税や住民税は自分で計算も可能だが、計算が複雑なため、さまざまな控除が活用できるかも含めて家計のプロに相談するのがおすすめ