
- 出産後は家計の状況が大きく変わるため、支出の増加と収入の減少を踏まえて夫婦で金銭感覚をすり合わせ、家計管理の役割分担やルール作りを行うことが重要
- 家計簿や管理アプリを活用して支出を見える化し、公的支援制度を漏れなく利用する
- 固定費の見直しや無理なく続けられる節約術を取り入れると、家計の安定が図れ
- 家計の悩みは一人で抱え込まず、マネーキャリアのような専門家に相談することで客観的な分析や具体的な改善策を得られ、より良い家計管理ができる

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 出産後の家計管理で押さえておくべきポイントとコツ
- 出産後に家計が変わる理由を理解する
- 家計の見える化で支出を把握する
- 夫婦で金銭感覚のすり合わせをする
- おこづかい制や折半など夫婦に合ったルール
- 家計簿や管理アプリを活用して情報共有をする
- 産休や育休中の収入減に対応するための制度の活用とマインド
- 公的支援制度を知って活用する
- 支出の優先順位をつける
- 無理なく続ける節約術3選
- サブスクリプションや通信費の見直しを行う
- まとめ買いやポイントを使って賢く節約する
- フリマアプリや図書館利用する
- 出産後は将来の教育費にも備えよう
- まずは子どもの教育費の見通しを立てる
- 学資保険や貯蓄計画を早めに始める
- 家計管理や教育費の計画に迷ったらFP相談窓口に相談しよう
- 出産後の家計管理のコツに関するよくある質問
- 産休育休中ですが貯金ゼロですがどうすればいいですか?
- 育休中でも旦那が生活費をくれないのですがどうすれば良いでしょうか?
- 出産後の家計管理のコツや夫婦で話し合うべきポイントまとめ
出産後の家計管理で押さえておくべきポイントとコツ
出産後は家計の状況が大きく変化します。
ここでは変化の理由や出産後の家計管理で押さえておくべきポイント5つを解説します。
なかでも、夫婦間の金銭感覚のすり合わせやルール作りは大切なので、わかりやすく説明していきます。
出産後に家計が変わる理由を理解する
出産後は子どもにかかる費用が増えるため、家計が大きく変わります。
以下の支出が新たに発生し、また産休・育休による収入減も家計に影響します。
- 紙おむつ
- ミルク
- 医療費
- 保育料などの教育費
- 光熱費や食費も増加
例えば、新生児期はおむつの交換が1日に10回以上になることもあり、紙おむつ代だけで月に4,000〜5,000円ほどかかります。
ミルクを使う場合は、月に2,000〜5,000円程度の費用がかかることも珍しくありません。
赤ちゃんの体調管理のための医療費や、保育園に預ける場合の保育料も新たな出費として加わります。
さらに、赤ちゃんがいることで家にいる時間が増え、光熱費が増加し、食費も離乳食の準備や家族の食事回数の増加で上がる傾向にあります。
加えて、産休・育休中は収入が減るため、支出増加と収入減少の両面から家計の見直しが必要です。
生活の変化を踏まえて、計画的に家計管理を進めることが求められます。
家計の見える化で支出を把握する
家計の見える化は、支出を具体的に把握し節約ポイントを見つける第一歩です。
紙おむつやミルク代、光熱費などの項目ごとに支出を分けて記録すると、何にどれだけ使っているかが明確になります。
家計簿やアプリを使えば、毎日の支出を簡単に記録でき、グラフや表で視覚的に把握できるため、夫婦で共有しやすいです。
支出を把握すると、無駄遣いの発見や節約の計画が立てやすくなり、家計のコントロールがしやすくなります。
夫婦で金銭感覚のすり合わせをする
夫婦間で金銭感覚が異なると、家計管理がうまくいきません。
お金に対する価値観は人それぞれ違うため、夫婦間でのすり合わせが大切です。
まずは自分自身がどんな支出に満足感を感じ、どんな場面で不安になるのかを整理しましょう。
次に、パートナーの考えや経験を聞き、なぜそのような価値観を持っているのかを理解することが大切です。
例えば、片方は子どもの教育費に重点を置く一方で、もう一方は趣味や自己投資にもお金を使いたいと感じるかもしれません。
お互いの価値観を尊重し合ったり、お互いの妥協点を見つけたりすると感情的な衝突を避け、納得感のあるお金の使い方を模索できるようになります。
定期的に話し合いを重ねると、変化する生活状況にも柔軟に対応できます。
おこづかい制や折半など夫婦に合ったルール
家計管理の方法は夫婦それぞれの状況や価値観によって異なります。
- おこづかい制にするのか
- 生活費を折半するのか
- 共通口座を作るのか
ライフスタイルに合ったルールを話し合って決めましょう。
特に産休や育休中は、収入が減る一方で子育てにかかる費用は増えるため、負担のバランスを見直す必要があります。
収入差が大きい場合は、負担割合を調整したり、育児に関わる費用を共通の口座で管理する方法も効果的です。
こうしたルールは、どちらか一方に過度な負担がかからないよう配慮し、双方が納得して続けられる仕組みづくりが大切です。
生活環境や収入の変化に応じて定期的にルールの見直しも忘れずに行いましょう。
家計簿や管理アプリを活用して情報共有をする
出産後は育児に追われて時間が取りにくくなるため、家計管理は手軽にできる方法がおすすめです。
例えば家計簿アプリを使えば、買い物のたびにレシートをスマホで撮影するだけで支出が自動入力され、細かな費目ごとに集計できます。
また、銀行口座やクレジットカードと連携すれば、引き落としや入金も自動で反映され、家計の全体像がリアルタイムで見える化可能です。
複数端末から同じデータにアクセスできるアプリを夫婦で共有すれば、外出先でもお互いの支出状況を確認でき、情報のズレや伝達ミスが減ります。
家族で家計状況を共有すれば、双方が現状を正確に把握でき、家計の変化にも気づきやすく、節約や貯蓄の目標に向けて協力しやすくなるメリットもあります。
産休や育休中の収入減に対応するための制度の活用とマインド
産休や育休中は収入が減る一方で、子育てにかかる費用は増えるため、家計の見直しは必須です。
ここでは、公的支援制度の活用、支出の優先順位をつけるの2つの観点から具体的に解説します。
2025年4月から新設された制度も含めた最新の情報を説明します。
公的支援制度を知って活用する
制度名 | 支給対象 | 支給内容 | 申請方法 | 概要 |
---|---|---|---|---|
出産手当金 | 産前42日・産後56日の産休期間中の給与所得者 | 給与の約3分の2を支給 | 勤務先の健康保険組合に申請 | 産休中の収入減を補うための手当 |
育児休業給付金 | 育児休業を取得した労働者 | 育休開始から180日間は給与の約67%、その後は約50% | 雇用保険を通じて申請 | 育児休業中の収入を一定程度保障 |
出生後休業支援給付金 | 両親ともに14日以上の育休を取得した場合 | 育児休業給付金の給付率に13%上乗せし、最大28日間は80%支給 | 雇用保険を通じて申請 | 育休取得促進のための給付金 (2024年4月施行) |
育児短時間勤務支援助成金 | 育児短時間勤務を導入する事業主 | 助成金最大110万円 | 事業主が申請 | 育児短時間勤務制度の導入支援 |
乳幼児医療費助成・保育料の免除 | 自治体により異なるが乳幼児および保護者 | 医療費の一部助成や保育料の減免など独自支援 | 自治体の窓口で申請 | 自治体ごとに内容や対象年齢が異なる |
支出の優先順位をつける
出産後の家計管理は、支出の優先順位を明確にすることが重要です。
例えば、母体の健康維持のために栄養バランスの良い食事や必要なサプリメントにはお金をかけつつ、外出を控えて自宅で過ごす時間を増やすことで交通費や外食費を節約できます。
また、赤ちゃんの必需品は質を重視しつつ、セールや公的支援を活用して無駄な出費を減らす工夫も重要です。
育児休暇中は収入が減ることも多いため、趣味やリフレッシュのための支出は無理のない範囲で楽しむことが、心身の安定につながります。
こうしたバランスの取れた家計管理術が、産休・育休中には大切です。
無理なく続ける節約術3選
家計の節約を続けるには、無理なく生活に取り入れられる方法選びが大切です。
この章では家計の見直しのなかでもさらに生活に落とし込んだ、以下の節約術3つを解説します。
- 固定費見直し
- 買い物の工夫
- 身近なサービスの活用
サブスクリプションや通信費の見直しを行う
収入が減る育休期間は、固定費の見直しが効果的な節約方法です。
- サブスクリプションの解約
- 通信費
- 光熱費の料金プランの変更
- 保険の見直し
まとめ買いやポイントを使って賢く節約する
まとめ買いは、底値のタイミングで購入したり、割引やポイントアップキャンペーンを活用すると節約効果があります。
例えば、スーパーの特売日やネットスーパーのセール時に日用品や食料品をまとめて購入すると、定価で買うよりも安く済みます。
また、買い物回数が減ることで時間や交通費の節約にもつながります。
さらに、ポイントを貯めて賢く使うことも重要です。普段よく行くお店のポイントをためて日用品の購入費用に充ると、実際に支払うお金を減らせます。
ポイントをもらえるクレジットカードを使ったり、ポイントがたまるアプリを併用したりすると、同じ買い物で二重、三重にポイントを獲得できる場合もあります。
こうした工夫で、毎日の買い物がお得になり、家計の助けになります。
ただし、妊娠中や出産後は無理をせず自分のペースで活用することが大切です。
フリマアプリや図書館利用する
出産後は育児用品や子ども服、本など、必要なものが多くなりがちですが、フリマアプリを活用すると賢く節約できます。
メルカリやラクマでは、ベビーベッドやチャイルドシート、子ども服などを新品より安く購入でき、使用期間が限られる育児グッズのコストを抑えられます。
使わなくなったものは同じフリマアプリで売ることもでき、家計の助けになるだけでなく、不要品の整理にもつながります。
また、図書館を利用すれば、絵本や育児書を無料で借りられ、購入費用を節約可能です。
最近はネットで予約して近くの図書館で受け取れるサービスもあり、長時間の外出が難しい産後でも気軽に利用できるのが魅力です。
読み聞かせ会などの子ども向けイベントが開催されることも多く、親子の交流やリフレッシュにも役立ちます。
出産後は将来の教育費にも備えよう
子どもが成長するにつれて、教育費は家計にとって大きな負担になります。
幼稚園から大学までの学費や教材費、塾代など、さまざまな費用が長期間にわたってかかるため、早い段階から計画的に準備を始めることが重要です。
この章では、教育費の見通しの立て方と具体的な貯蓄方法について詳しく解説します。
まずは子どもの教育費の見通しを立てる
子どもの教育費は、幼稚園から大学までの期間で大きく変わり、公立か私立かによっても必要な金額が異なります。
以下の表は、子どもの教育費を幼稚園から大学まで、公立と私立別に年間の目安額をまとめたものです。
教育段階 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 16.5万円 | 30.8万円 |
小学校 | 35.0万円 | 166.0万円 |
中学校 | 45.0万円 | 120.0万円 |
高校 | 50.0万円 | 130.0万円 |
大学 | 60.0万円 | 110.0万円 |
例えば、幼稚園では公立で年間約16.5万円、私立では約30.8万円が目安です。
小学校になると、公立で年間約35万円、私立では約166万円と差が広がります。
中学校や高校でも公立と私立で費用が変わり、教材費や塾代、通学費なども加わるため、月々の家計に与える影響は少なくありません。
大学は特に費用が高く、国立大学で4年間約240万円、私立文系で約440万円、理系では約570万円が目安です。
実際に塾に通う場合は月数万円の費用がかかる場合もあり、家計の収支と照らし合わせて無理のない範囲で計画的に準備することが大切です。
具体的な費用を把握し、教育段階ごとに必要な資金を見通すと、将来の貯蓄計画や家計管理がしやすくなります。
学資保険や貯蓄計画を早めに始める
教育費の準備は早ければ早いほど負担が軽くなります。
教育資金は以下の方法で準備できます。
- 学資保険
- 積立貯金
- NISA
- 投資信託
学資保険は、満期時にまとまった資金が受け取れるため、計画的な貯蓄手段として人気があります。
保険料の払込期間や受取時期をライフプランに合わせて選べるため、無理なく続けやすいのも特徴です。
学資保険以外にも積立貯金やNISA、投資信託を活用した方法もあります。
積立貯金は、毎月一定額をコツコツ貯めるシンプルな方法で、元本保証があるためリスクを抑えたい方に向いています。
一方、NISA(少額投資非課税制度)や投資信託は、長期的な資産形成を目指す手段として注目されています。
NISAは投資で得た利益が非課税になるため、効率的に資産を増やせる可能性があります。
ただし、元本割れのリスクもあるため、運用期間やリスク許容度を考慮して選ぶことが重要です。
家計の状況やライフプランに応じて、これらの方法を組み合わせて活用するのが効果的です。
家計管理や教育費の計画に迷ったらFP相談窓口に相談しよう
家計管理や教育費の準備は、将来のライフプランに大きく関わる重要なテーマですが、多くの方は、どこから手をつければよいか分からない悩まれています。
収入や支出のバランス、貯蓄計画、保険の見直しなど、多岐にわたる要素を総合的に考える必要があるため、一人で判断するのは難しいのが現実です。
ファイナンシャルプランナーに相談すれば、専門的な知識をもとに家計の現状を客観的に分析し、無理なく続けられる具体的な改善策や将来設計を提案してもらえます。
FP相談は、家計のムダやリスクに気づきやすくなり、将来の不安を軽減できる点も大きなメリットです。
専門家のアドバイスを受けることで、漠然とした悩みが明確になり、具体的な行動に移せるようになります。
さらに、保険や資産運用、住宅ローンなど幅広い分野の相談ができるため、総合的な家計改善が可能です。
出産後の家計管理のコツに関するよくある質問
出産後は生活環境が大きく変わり、家計管理に関する悩みも多くなります。
ここでは、育休中に貯金がない場合の対処法、夫婦間の生活費の問題など、出産後の家計管理のコツに関するよくある質問にお答えします。
同じように悩まれている方は、ぜひ参考にしてください。
産休育休中ですが貯金ゼロですがどうすればいいですか?
まずは現在の収入と支出をしっかり把握し、何にどれだけお金がかかっているかを明確にしましょう。
急な医療費や育児用品の購入など、予期せぬ出費が発生したときに貯金がなければ家計が回らなくなるリスクが高まるため、早めの対策が必要です。
生活に必要な費用を優先し、無駄な支出を減らしたうえで、無理のない範囲で貯蓄を始めることが大切です。
公的支援制度の育児休業給付金や児童手当などを漏れなく活用し、家計簿アプリを使って支出を見える化すると節約意識が高まります。
固定費の見直しも効果的で、通信費や光熱費、保険料の見直しは毎月の負担軽減につながります。
必要に応じて、家族や友人に相談して一時的な支援を受ける方法も検討しましょう。
FP相談窓口など専門家に相談すれば、具体的な節約術や資金計画のアドバイスが得られ、安心して産休・育休期間を乗り切ることができます。
育休中でも旦那が生活費をくれないのですがどうすれば良いでしょうか?
育休中に夫から生活費の支援がなく、生活に支障が出ている場合や家計負担が不公平だと感じるなら、まずは冷静に話し合いの場を設けることが大切です。
お互いの収入や支出、育児や家事の負担について率直に共有し、家計管理の役割分担を見直しましょう。
感情的にならず、具体的な問題点や解決策を話し合うと誤解や不満を減らせます。
話し合いが難しい場合は、第三者や専門家を交えた相談も効果的です。
問題を1人で抱え込まず、適切なサポート受けながら前向きに解決策を探しましょう。