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住宅ローンの借り換えを検討している方には借り換え後に住宅ローン控除が受けられるかまたその手続きについて心配になる方がいると思います。本記事では借り換え後の住宅ローン控除の条件と年末調整による住宅ローン控除手続きについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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借り換え後の年末調整はどうするの?また住宅ローン控除は適用外?

借り換え後の年末調整はどうなるのか、そして住宅ローン控除はそのまま受けられるのか。


結論から言いますと住宅ローン控除は受けられます。


ただ必ずではないことや必要な手続きなどがあります。


それらについてお伝えしていきますね。

借り換え後の年末調整は住宅ローン控除の手続きの際に必要である

住宅ローンを借り換えた場合、年末調整が必要になります。


また年末調整で間に合わない時には確定申告が必要になります。


借り換え後にも住宅ローン控除を受けられる条件などもあります。


あなたが損しないためにもこの記事を読んでみてください。

借り換え後の住宅ローン控除は原則として適用外だが例外がある

借り換え後に住宅ローン控除が適用されない場合があります。


ここでは以下の点をご説明します。


  • 住宅ローン控除の仕組みについて解説
  • 住宅ローン借り換え後には原則住宅ローン控除適用外になる
  • 住宅ローン控除は2つの条件を満たせば借り換え後にも適用される 
一つずつお伝えします。

住宅ローン控除の仕組みについて解説

ここでは住宅ローン控除の仕組みをお伝えします。


そもそも住宅ローン控除を受けるには以下のような条件があります。

  • 取得の日から6か月以内に住んでいる
  • 控除を受ける年の12月31日まで住んでいる
  • 控除を受ける年の総所得の合計額が3,000万円以下である
  • 対象となる住宅が50平方メートル以下の床面積である
  • 半分以上を自分で住宅として利用している
  • 10年以上の期間で住宅ローンの借入をしている
今の要件が新築の住宅の場合です。

そして中古の場合はこの要件に以下の点が足されます。

  • 耐火建築物(木造など)でない場合は20年以下であること
  • 耐火建築物の場合は25年以下であること
  • 地震に対しての安全基準を満たした構造である
  • 一緒に生活する親族、または特別な関係にある者からの取得でない
  • 贈与により取得したものでない
住宅ローン控除を受けるにはこのような条件を満たす必要があります。

そして住宅ローン控除の仕組みとしては以下のようになります。

住宅ローンを組んだ場合、毎年返済残高に1%を掛けた数値が控除額となります。

例えば3,000万円の住宅ローンを組んでいる人でしたら

3,000万 × 1% = 30万

つまりは30万円が所得税や住民税から控除されます。

気をつけていただきていことは、返済残額は年々減っていくので控除額もそれに合わせて減っていくことですね。

住宅ローン借り換え後には原則住宅ローン控除適用外になる

そもそも住宅ローン控除の対象は住宅の新築、取得または増改築等のために直接必要な借入金です。


そのため住宅ローンの借り換えによる新しい住宅ローンは、新たな借入金なため住宅ローン控除の対象ではありません。


つまり借り換えは、最初に借りた住宅ローンを返すために新しく借りたお金だから住宅ローン控除の対象ではないということです。


ただそういった場合にも住宅ローン控除を継続できる場合もあります。


次でお伝えしますね。

住宅ローン控除は2つの条件を満たせば借り換え後にも適用される

住宅ローン控除は借り換えした後でも、条件を満たせば適用されます。


以下は国税庁で記述されている、借り入れ後の住宅ローン控除が適用される場合です。


  • 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること 
  • 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
つまりこれに当てはまれば借り換え後でも住宅ローン控除を受けられます。

主に借り換えで気をつけていただきたい点は返済期間が10年未満になっていないかということです。

住宅ローンの返済が10年未満になってしまうと、住宅ローン控除の要件から外れてしまいます。

そのため適用外になってしまうのでシミュレーションは必ずしましよう。

住宅ローン控除額の注意点について解説

ここでは住宅ローン控除額の注意点を解説していきます。


住宅ローンを借り換えた場合、控除額に変化が生じることがあります。


それを知らないでシミュレーションをしてしまうと、借り換えをしなければよかったと残念なことになります。

そうならないためにも確認してみましょう。

住宅ローンの控除額は年末のローン残高で決まる

住宅ローンの控除額は、年末のローン残高で決まります。


借り換え後のローン残高が、借り換え前の残高以下であれば控除対象となります。


ただ借り換えには諸費用がかかります。


そのため返済金額が借り換え前よりも増えることもあります。


そうなると借り換え後の住宅ローン控除対象額を調整しなければなりません。


その計算を次でわかりやすくお伝えします。

住宅ローン控除の対象額の計算式について例をもとに解説

住宅ローンを借り換えた場合、控除額が借り換え前より多くなるとどう変わるかをお伝えします。


例えばもともとの住宅ローンが3,800万だったとします。


そして借り換えた額が4,000万、借り換えた後の年末の残高が3,900万だとした場合で計算していきましょう。


計算式としては以下になります。


「借り換え後の年末残高×借り換え前のローン/借り換え後の返済前ローン」


これに先ほどの数字を当てはめていきましょう。


3,900万 × 3,800万 / 4,000万 = 3,705万


このようになります。


例えの計算の結果だと控除対象額が3,705万円となります。


こ借り換え後の住宅ローンが、前の借り入れより多くなった場合はこのようにして住宅ローン控除額を計算しましょう。

借り換え後の年末調整について解説

ここでは借り換え後の年末調整についてご説明します。


  • 借り換え後の残高が借り換え前よりも増えた場合の年末調整
  • 10月以降の借り換えでは年末調整に間に合わないことに注意
  • 年末調整ができなくても確定申告を自分ですれば良い 
これらの点についてお伝えします。

借り換え後の残高が借り換え前よりも増えた場合の年末調整

借り換え後に住宅ローン控除を受けるには年末調整で申請ができます。


ただ借り換え後の残高が借り換え前よりも増えた場合は必要なことがあります。


それは「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に記載する控除額を調整しなくてはいけません。


先ほどもご説明した以下の計算式で調整します。


「借り換え後の年末残高×借り換え前のローン/借り換え後の返済前ローン」


例えばこれらに数字を入れてみます。


  • 元々の住宅ローン…3,800万円
  • 借り換えた住宅ローン…4,000万円
  • 借り換え後の年末のローン残高…3,900万円
3,900万 × 3,800万 / 4,000万 = 3,705万

3,705万 × 1% = 370,500

つまりは370,500円が最大控除額となります。

10月以降の借り換えでは年末調整に間に合わないことに注意

住宅ローン控除の借り換えを10月以降にすると、年末調整に間に合わなくなる可能性があります。


なぜなら住宅ローン控除は金融機関から発送される「住宅ローンの年末残高証明書」は9月末時点の残高を指標にしているからです。


つまり10月以降の借り換えだと、ローン残高が変わるため間に合わない可能性があります。


住宅ローンの年末残高証明書は10月頃には自宅に送られてきます。


そのため11月や12月に借り換えを考えている方は注意しましょう。

年末調整ができなくても確定申告を自分ですれば良い

では10月以降に借り換えをした人は住宅ローン控除を受けられないのでしょうか?


実はそういうわけではありません。


10月以降だと年末残高が変わってしまうことで証明書の発行が遅れてしまいます。


そのため年末調整までに間に合わない可能性があります。


しかし、住宅ローンの年末残高証明書がないと年末調整はできません。


つまりは年末調整で控除の申請ができなくなった場合には、自分自身で確定申告をして申請をすることが出来ます。

年末調整に必要な書類とその記入例を解説

年末調整に必要な書類を説明します。


主に必要な書類は以下の2点です。


  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
漢字が多く堅苦しいイメージですよね。

1つずつ噛み砕いてお伝えします。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書について

まず必要な書類の1つ目は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」です。


簡単にいいますと「住宅ローン控除申告書です。


以下の説明から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」ことを「住宅ローン控除申告書」といいます。


住宅ローン控除申告書は住宅ローン控除を受けるために確定申告をした年の10月頃に、税務署から9年分まとめて発送されます。


仮に2019年3月に確定申告した人は、2019年10月頃に届くと思ってください。


また住宅ローン控除申告書の下に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」とかいてあります。


あなたが初めて住宅ローン控除を受ける年に、ご自身が確定申告した内容があらかじめ印字されています。


もし紛失してしまったら税務署に申請し再交付を受ける必要があります。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書について

2つ目に必要な書類は住宅ローンを利用している金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。


これも簡単に伝えると「残高等証明書」のことです。


以下の説明から「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」ことを「残高等証明書」といいます。


「残高等証明書」は年末調整の手続きに間に合うように毎年10月頃、金融機関から発送されます。


また金融機関によって「残高等証明書」の名称が異なる場合もあります。


仮に千葉銀行の場合ですと、10月中旬までに届くよう郵送手続きをしています。


もし住宅ローン控除対象期間にも関わらず残高等証明書が届かない時は、住宅ローンをご利用いただいている金融機関に連絡しましょう。


また気をつけていただきたいのが、住宅ローンを組んで1年目のは確定申告の手続きが必要です。


そのため1年目は年末調整では手続きできないため、10月頃に残高等証明書は発送されません。


そのため残高証明書は2年目からの発送となるので気をつけてください。

住宅ローン控除申告書の記入方法について解説

ここでは住宅ローン控除申告書の記入方法について説明します。


  1. 対象年を確認し、給与支払者(勤務先)・自身の氏名住所等を記入
  2. 「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」を記入
  3. 「家屋又は土地等の取得対価の額」「家屋の総床面積又は土地等の総面積のうち居住用部分の床面積又は面積の占める割合」を記入
  4. 「取得対価の額に係る借入金等の年末残高」を記入
  5. 「居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高」を記入
  6. 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」を記入
  7. 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」を記入する
  8. 「年間所得の見積額」「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」「備考欄」を記入
この順番に記入していくとわかりやすいです。

また所得の見積額は分かっている範囲の大体で書きましょう。

あとで修正が入るのであまり気にしなくて大丈夫です。

住宅ローン控除の還付金と入金時期について

住宅ローン控除の還付金はいつ入金されるのか?


ここではその時期や金額などについてご説明していきます。


  • 住宅ローン控除の還付金は12月の給与に上乗せされる
  • 住宅ローン控除申告書の金額は最大値であることに注意
  • 所得税から控除しきれなかった金額は翌年度の住民税から控除 
以上のことを1つずつお伝えしますね。

住宅ローン控除の還付金は12月の給与に上乗せされる

住宅ローン控除の還付金は12月の給与に上乗せされます。


これは勤務先にもよりますが12月に払われることが多いですね。


年末調整の還付はこのようになります。


ただ1年目の確定申告が必要な場合では、申告日から1ヶ月から1か月半くらいに入金されます。

住宅ローン控除申告書の金額は最大値であることに注意

住宅ローン控除申告書の金額は最大値であることに気をつけましょう。


そもそも住宅ローン控除は、所得税額から控除される制度です。


毎月所得税として源泉徴収されてきた金額の合計が、住宅ローン控除申告書で算出した控除額よりも多ければ、控除額全額が還付金として振り込まれます。


しかし、控除額よりも少ないようであれば毎月所得税として源泉徴収されてきた金額の合計が上限となります。 


 例えば1年間、毎月所得税として源泉徴収されてきた金額の合計が20万円の方は、控除額が30万円だったとしても年末調整で還付されるのは20万円ということになります。


そのため住宅ローン控除が大きいからといって還付が多くなるとは限りません。


控除はあくまで控除なので、ある額からしか引けませんので気をつけましょう。

所得税から控除しきれなかった金額は翌年度の住民税から控除

先ほどお伝えした住宅ローン控除より所得税が少なかった場合には、住民税からも控除できます。


そのため控除額の方が多くて余ってしまった分は住民税に当てられます。


ただ住民税から引くことのできる控除額には限度があります。


  • 居住開始年が2014年から2021年12月31日まで
  • 住宅を購入した際に8%または10%の消費税がかかった場合
以上の場合は最大136,500円まで控除されます。


もう一つの控除限度額は、中古物件を個人の売り主から購入したなどの住宅の取得自体に消費税がかかっていない場合です。


消費税がかかってないと控除限度額は最大97,500円となります。


所得税から控除しきれない分が全て住民税の控除に当てられるわけではありません。


そこには注意が必要ですね。

借り換え後の年末調整で気をつけるべきことについて

住宅ローンの借り換え後の年末調整で気をつけることがあります。


  • 借り換えても控除期間の延長はされない
  • 借り換え以外に繰上げ返済後にも注意が必要【2つの種類について】
  • 年末調整には「住宅借入金等特別控除申告書」が必要である 
以上が気をつけていただきたい点です。

1つずつご説明させていただきます。

借り換えても控除期間の延長はされない

住宅ローンを借り換えたからといって、控除期間が延長されるわけではありません。


そのため借り換えたからまた10年間控除が利用できることはないです。


なぜなら住宅ローン控除が適用されるのは居住の用に供した年から一定期間であるとされています。


つまり「住み始めてから10年間までですよ!」ということです。


仮に3年間返済した後に借り換えた場合、返済期間が10年以上あっても控除が遣えるのは残りは7年となります。


借り換えても控除期間が延長されないことに気をつけましょう。

借り換え以外に繰上げ返済後にも注意が必要【2つの種類について】

借り換えだけでなく、繰り上げ返済する際も気をつけましょう。


住宅ローンの繰上げ返済には「返済額軽減型」と「返済期間短縮型」の2種類があります。  


「返済額軽減型」は返済の期間は変わらないですが、毎月の返済額を減らす方法です。


「返済期間短縮型」は毎月の返済額は変わらないですが、返済期間を短縮する方法です。


繰り上げすることにより住宅ローン残高が減ったり、期間が短くなると控除にも影響があります。


受けられる控除額が減ったり、場合によっては控除を受けられなくなる可能背もあります。


繰り上げ返済をするにはその点に注意しましょう。

年末調整には「住宅借入金等特別控除申告書」が必要である

住宅ローン控除を受けるために2年目からは年末調整が必要です。


その際に「住宅借入金等特別控除申告書」という書類がいります。


この住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローンが10年以上あることを証明してくれるものです。


気をつけていただきたいのが10年分まとめて送られてきます。


そのため保管には気をつけましょう。


もし失くしてしまった場合は、税務署で再交付を受ける事が可能です。

住宅購入はお金のプロに相談すべき理由

準備中

まとめ:借り換え後の住宅ローン控除を受けるための年末調整

この記事では住宅ローン控除や借り換えについて述べさせていただきました。


あなた自身が住宅ローンの借り換えについてためになったでしょうか?


もっと詳しく知りたい場合やまだ理解できない点があった時は、プロに相談するのも手ですね。


またあなたが住宅ローンの借り換えで損をしないためにもよく調べておくのもいいです。


上手にやりくりして一番いい方法を取れる事を願っています。