- 老後2000万円問題を聞いて、何となく老後が不安になっている人
- 老後資金について実際にどれくらい準備したらいいのか具体的な金額が知りたい人
- 老後資金のために今からできる対策を知りたい人
内容をまとめると
- 老後に必要な資金は人により異なり、2000万円で足りる場合や4000万円以上必要になることもある
- 年金の受給開始年齢が上がれば、更に必要な金額は増える
- 月1万円だけでも収支を改善し、投資について勉強するのが現実的な解決策
- 思い立った時から、NISAやiDeCoでの資産運用がおすすめ!
- 家計や老後資金の相談は、相談満足度98.6%のマネーキャリアへ!
金融庁が発表し話題になった老後資金2000万円問題。その根拠や内訳について詳細に解説していきます。また老後資金を貯めるにあたって強力な資産形成制度であるNISAやiDeCoなどにも触れ、老後の金銭的な不安に対処する方法等を紹介します!
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
老後2000万円問題とは?根拠や内訳をわかりやすく解説!
「老後2000万円問題」という言葉を聞いて、老後資金として2000万円も貯める必要があるのか、足りないかもしれないと不安に感じている人もいるかもしれません。
老後2000万円問題の発端は、2019年に金融庁が出した報告書です。
では、「老後2000万円問題」とは具体的にどのような計算と根拠をもとに算出された問題なのでしょうか。
ここでは、金融庁の報告書に基づいて以下についてわかりやすく説明します!
- 老後資金2000万円の内訳について
- 老後資金は2000万円で足りるのか
老後資金の2000万円の内訳と計算方法
2019年に出された金融庁の報告書では、毎月の老齢夫婦(会社員/公務員の夫:
65歳、専業主婦:60歳)の平均的な収入と支出は下記の通りです。
- 収入:20万9198円
- 支出:26万3718円
5万4520円×12ヶ月×30年=1962万円
老後資金は2000万円で本当に足りる?
上記でも軽く触れましたが、老後資金が2000万円で足りるかどうかは、下記2点によって変わります。
- 夫婦の働き方
- 夫婦の寿命(専業主婦/夫ではない人の寿命)
老後資金に備えるために必要な背景知識4選
老後2000万円問題の重みを知っていただけたでしょうか。
ここでは、老後資金に備えるために必要な知識を4つ紹介します。いずれも、将来老後を迎える20代~40代にとって知っていて当たり前の知識ですので、一緒に確認していきましょう。
- 平均寿命が伸びている
- 定年と年金受給年齢が70歳以上に引き上げられる可能性
- 医療費が増えている
- 退職金が減っている
背景①平均寿命の伸び
日本人の平均寿命は伸び続けています。厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」によると、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳です。
これは2019年の数値を男性は0.23年、女性は0.29年上回っています。
このまま伸び続けると、男性の平均寿命は85歳、女性の平均寿命は90歳となり、少なくとも定年以後20年~25年は年金を主な収入として暮らしていくことになります。
背景②定年と年金受給年齢の引き上げ
定年と年金受給年齢も引き上げられ、また今後も引き上げられる懸念があります。
以前は、定年60歳、年金受給開始も60歳でした。現在は、定年は原則として65歳に引き上げられています。年金受給開始年齢は除々に引き上げられ、現在は65歳です。
ただ、20代~30代のあなたが老後を迎えるときに65歳のままである可能性は低いでしょう。
厚労省の資料によると、既に70歳までの就業確保を努力義務にする改正高年齢者雇用安定法が2021年4月に施行されています。
(参照:厚生労働省 ハローワーク)
これまでの流れを考えれば、原則70歳を定年にするようになり、それと併せて年金受給開始年齢が70歳になる可能性が高いでしょう。
背景③医療費の増大
医療費も増えています。2021年の通常国会で、後期高齢者医療制度の窓口負担額について、一定の所得がある人を対象に2割へ引き上げられることが決まりました。
「後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても課税所得が28万円以上(所得上位30%2)かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上)の方に限って、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とする。」
(引用:全世代型社会保障改革の方針(令和2年12月15日閣議決定))
年金も収入に入りますので、共働き夫婦の場合は後期高齢者になっても医療費負担は1割とならず、2割負担になります。
現在は一定の所得がある人に限られますが、今後は後期高齢者全員に広がる可能性も否定できません。
国の社会保障費が増え続ける今、老後の医療費まで国が全面的に面倒を見る余裕はないのです。
背景④退職金の減少
これまでの老後の生活は、まとまった退職金をもらって悠々自適に第二の人生を過ごすのがロールモデルでした。
ですが、2022年現在このロールモデルは破綻しています。原因は、退職金の減少です。
平成20年は、大卒の平均退職金給付額は2323万円でした。平成30年では1983万円まで減少しています。
今後もこの減少傾向は続くでしょう。上記金額はあくまで平均のため、企業の業績悪化により退職金が大幅に減額されたり、無くなったりすることもあります。
退職金に委ねた老後の生活プランは、企業の業績が悪化した途端に崩れる、危険なプランでしかありません。
老後資金不足にならないための対策方法3選!
老後資金について、思ったより高額だと感じた人が多かったのではないでしょうか。
仮にあなたが20代であったとしても、将来に対する備えは考えておかなければいけません。
どのように老後資金を貯めていくかについて、誰にでもできる方法をここでは3点紹介します!
- 生活費の見直しをする
- 投資の勉強をする
- NISAやiDeCoを活用する
方法①生活費の見直しをする
とにかく支出を削り、収入を増やしていくのが最も効果的です。
若い世代はあまり金融資産を持っていないため、最初は投資による資産増加の効果が乏しくなります。
たとえば現在30歳の2人がいたとして、下記のような生活をしていたとします。
- Aさん:毎月の手取り20万円、支出が毎月18万円
- Bさん:毎月の手取り20万円+副業の手取り毎月3万円、支出が16万円
- Aさん:年間24万円×35年=840万円
- Bさん:年間84万円×35年=2940万円
- スマホ代等通信費
- 保険料
- 毎月のサブスク代
- 外食代
方法②投資の勉強をしてお金の知識をつける
最初は投資の効果は乏しいといっても、収支を改善して貯蓄が100万円以上になれば、投資を検討していかなければいけません。
2022年現在、銀行の預金金利はネットバンクを利用しても年0.2%が限界です。
メガバンクに預けている人は年0.001%しかもらえません。
今後、日本でもインフレが進行する可能性が高く、モノの値段はどんどん上がるのに預金はちっとも増えない現象が起こります。
その場合、銀行の預金はインフレで実質上目減りしてしまうのです。
これを防ぐためには、投資によって資産形成するのが効果的な方法です。
投資は、最初は難しいものの、多少勉強すれば仕組みがわかるようになります。
また、最近ではネット証券を中心に、初心者向けの投資手法が盛んに宣伝されています。
- インデックスファンドの長期積み立て
- つみたてNISAの活用
- iDeCoの活用
方法③NISA・iDeCoを活用する
投資を考える際に、国の税制優遇制度をまず活用してみるのがおすすめです。
- NISA(2024年より新NISAへ移行)
- iDeCo
NISA制度 | iDeCo | |
---|---|---|
運用額上限(年間) | つみたて投資枠:120万 成長投資枠:240万円 | 加入者の職業属性によって異なる 例:専業主婦(年額27万6000円) |
累計運用額上限 | 1,800万円 | なし |
運用可能期間 | 無期限 | 60歳まで |
年齢 | 18歳以上 | 20歳以上 |
引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで引き出し不可 |
メリット | 投資による利益が非課税 分散投資が可能 | 投資による利益が非課税 所得控除 受取時の控除 |
まとめ:老後資金は個人が自分の状況に合わせて備えるのが重要!
この記事では、老後2000万円問題について解説しました。
- 老後に必要な金額が2000万円と画一的に決まっているわけではない
- ライフスタイルによっては4000万円~5000万円必要になる
- 収支を改善して貯蓄を増やし、投資を考えていくことが現実的な解決策
- 住宅ローンの相談
- 保険の見直し