電気代の値上げが続いている…現状の高騰状況と対策を徹底解説のサムネイル画像

ウクライナ問題や再エネ賦課金の高騰が原因で、電気代の値上げが続いています。短期的に解消される見込みはまったく不透明です。長期にわたって電気代の値上げが続く可能性もゼロではありません。そこで、日々の生活で取り入れられる工夫をし、電気代の節約につとめましょう。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

目次を閉じる

電気代の値上げが止まらない


電気代の値上げが止まらない状態が続いています。 九州電力によると、一般的な家庭においては2022年3月から4月にかけて、1カ月あたりの電気代の支払額が57円上昇するとのことです。 


引用:九州電力株式会社「2022年4月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします -前月分から電気料金が値上がり-」


 今回は、電気代の値上げが止まらない状態が続く理由や、家庭でできる対策について解説しましょう。

現在までの電気代の推移

総務省統計局が発表している家計調査を用いて、2021年1月から2022年2月までの電気代の推移を見てみましょう。 こちらのグラフからもわかるように、2021年7月頃には7,000円台目前だったのが、徐々に上昇傾向に転じています。 




引用元:総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)」


原因の1つとして考えられるのが、燃料費調整単価の上昇です。 燃料費調整単価とは、燃料費調整制度に基づいて決められる発電の燃料費を指します。 2021年9月ころまでは比較的安価で燃料が手に入っていたため電気代も低く推移していました。 しかし、2022年10月からは上昇傾向に転じたため、結果として電気代も上がっています。 

今後はどうなるか

今後、電気代がどうなるか正確なところは断言できません。 詳しくは後述しますが、ウクライナ問題や再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が電気代の値上げの大きな原因として考えられます。


この2つが解消されないと、電気代が大幅に下がることは考えにくいでしょう。 ウクライナ問題の場合、ウクライナとロシアとの間で和平交渉が成立し、各国が経済制裁を解除すれば進展が見込めるかもしれません。 また、再エネ賦課金に関しては、再生可能エネルギーによる発電が普及すれば、何らかの動きがあるはずです。 

値上げが続く理由


電気代の値上げが止まらない大きな理由として以下の2つが挙げられます。 

  • ウクライナ問題
  • 再エネ賦課金 

それぞれについて、詳しく解説しましょう。

ウクライナ問題

ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、原油価格が高騰し、石炭やLNG(液化天然ガス)などの燃料の調達価格も上がり続けています。


特にLNGに関しては、ロシアが世界第4位の算出国であったこともあり、深刻な問題になっています。経済制裁への対抗措置により、ロシアからのLNGの供給が止まる可能性もある以上、さらに価格は高騰していくでしょう。 日本は世界でも最大級のLNG輸入国である以上、影響は避けられません。 


参照:一般社団法人日本ガス協会「天然ガスの特徴・種類」 

再エネ賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、簡単に言うと「太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーにより発電した電気を買い取るための経費」です。 電気代の一部として、使用量に応じて負担する仕組みが取られています。 


そして、再生可能エネルギーによる発電が普及するにつれ買取額も増えているため、再エネ賦課金の額も上がり続けています。たとえば、東京電力エナジーパートナーの場合、2022年4月分は3.36円/kWhだったのに対し、2022年5月分から2023年4月分までは3.45円/kWhとなりました。


引用元:東京電力エナジーパートナー「賦課金等について」 


今後、再エネ賦課金が下がるか上がるかの先行きは見通せないのも実情です。

電気代を抑えよう!


短期的に電気代が下がる可能性は未知数です。 上がり続ける可能性もあるので、日々の生活に電気代を下げる工夫を取り入れるほうが現実的でしょう。 そこで、ここでは日々の生活で実践できる、電気代を抑える方法をいくつか紹介します。 

節電をする

節電をするのはやはり効果的です。 簡単にできる方法としては、節電タップを使って節電する方法が考えられます。 


  • 節電タップを使う


家電量販店などで販売されている節電タップには、個別にスイッチがついているので、簡単に電源を入れたり切ったりするのが可能です。 その上、節電タップのスイッチをオフにすれば通電されません。 待機電力が生じないため、その分節電できます。 日中は家を空けていることが多いなら、ぜひ取り入れてみましょう。


  • エアコンのフィルターを掃除する

意外と盲点になりがちなのがエアコンのフィルターです。 目詰まりしていると、冷暖房の効率が下がりその分無駄な電気代がかかります。 資源エネルギー庁の試算によれば、フィルターを掃除するだけでひと月約860円の節約になるそうです。


引用元:省エネポータルサイト「家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約​」 


  • エアコンは自動運転に設定する

エアコンの話題が出てきたところで、もう1つ節電方法を紹介します。 電気代を抑えたいなら、自動運転に設定するのがおすすめです。 最初は強風で設定温度に近づけ、近づいてきたタイミングで弱に切り替わるため、効率よく設定温度に近づけることができます。 その際、カーテンも閉めておけば外気も遮断できるため、さらなる効率アップが見込めるでしょう。

電力会社を見直す

電力会社を切り替えると、毎月の電気代が安くなる可能性もあります。 以下の手順で進めれば良いので、案外簡単です。 


  1. 切り替え先の電力会社を決め、申し込む
  2. 契約、切り替え日を決める
  3. スマートメーターが未設置の場合は工事をしてもらう
  4. 新しい電力会社の利用を開始する 


ただし、新しい電力会社に切り替えた後に料金改定がなされ、かえって高くなる可能性もゼロではない点には注意しましょう。

無理をしない範囲で電気代を抑えよう!

電気代が高いから節約したいといっても、猛暑日に冷房をつけないなどの無理な方法は禁物です。 体調を崩したりしたら、かえって高くつきます。 


そのため、まずは無理をしない範囲かつ方法で電気代を抑えるようにしましょう。 この記事で紹介した方法以外にも、取り入れられる工夫はたくさんあります。