

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 30歳はiDeCoとNISAどっちを優先すべき?
- 基本的にはNISAを優先するのがおすすめ
- 老後資金の準備・節税を重視するならiDeCo
- 資金に余裕があるならiDeCoとNISAの両方を併用しよう
- 30歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう
- 30歳からiDeCoやNISAを始める際の注意点
- 時間を味方につけた「長期・積立・分散」投資を心掛ける
- 積立金額や資産配分は定期的に見直す
- 生活防衛資金は必ず確保しておく
- 【実際どうだった?】30歳の方を中心にNISA・iDeCoに関するアンケート調査を実施
- 現在、NISAとiDeCoのどちらを利用していますか?理由も含めて教えてください
- 毎月の掛金を教えてください
- NISAやiDeCoを運用する上で、どのような点を最も重視していますか?
- NISAやiDeCoを運用する上で、不安に感じることや迷っていることはありますか?
- 【まとめ】30歳はNISAを優先しながらiDeCoの併用も検討しよう
30歳はiDeCoとNISAどっちを優先すべき?
将来の資産形成を考える上で、30歳は大きな分岐点となります。ライフイベントが本格的に始まるこの時期、iDeCoとNISAのどちらを優先するべきか、目的に応じて最適な選択をしていきましょう。
NISAとiDeCoの比較表▼
項目 | 新NISA | iDeCo |
---|---|---|
目的 | 資産形成 | 老後資金の準備 |
投資期間 | 無期限 | 65歳になるまで |
投資上限額 | つみたて型:年120万円 成長投資枠:年240万円 累計:年360万円 保有限度額:1800万円 (成長投資枠は1200万円まで) | 年14.4万〜81.6万円 公的年金の被保険者種別や 企業年金制度の加入状況によって変動 |
利用できる人 | 18歳以上 | 20歳以上65歳未満 |
非課税期間 | 無期限 | 資産を受け取るまで |
税制メリット | 運用益非課税 | 拠出時:掛金が全額所得控除 運用期間:運用益が非課税 受取時:退職所得控除や公的年金等控除 |
投資商品 | つみたて投資枠:投資信託、ETF 成長投資枠:上場株式、投信信託、REIT、ETF | 定期預金 元本確保型保険 投資信託 |
資産の引き出し | いつでも売却(引き出し)できる | 60歳〜75歳の間 ※60歳まで引き出し不可 |
受け取り時の課税 | 非課税 | 退職所得控除や年金控除を適用しても 課税対象になる場合あり |
手数料 | 無料 | 口座開設:2,829円 口座管理:年2,052〜7,000円程度 受取時手数料:440円 |
最低拠出額 | 制限なし ※金融機関によって異なる | 月5,000円から |
基本的にはNISAを優先するのがおすすめ
30歳前後は、結婚・出産・転職・住宅購入など大きなライフイベントが控えている時期です。そのため、資金の流動性が重要になります。NISAであれば、運用益が非課税になるというメリットを享受しつつ、必要なときに資金を引き出すことが可能です。
NISAの税制メリットは以下の通りです。
- 売却益や配当金が非課税
- 利益が出ても確定申告不要
老後資金の準備・節税を重視するならiDeCo
老後の資金準備を早めに始めたい人や、節税効果を最大限活用したい人にはiDeCoがおすすめです。特にフリーランスなど、自分で退職金を用意する必要がある立場の人には適しています。iDeCoの最大の特徴は、掛金が全額所得控除になることです。
たとえば、年収400万円の30歳が毎月2万円を拠出した場合、年間で約36,000円の節税効果が期待できます(所得税・住民税を合わせた軽減額※1)。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せない資金ロックがあるため、生活資金に影響しない無理のない金額での積立が必須です。毎月5,000円から始められる(※2)ので、少額から検討していきましょう。
資金に余裕があるならiDeCoとNISAの両方を併用しよう
バランスの良い方法は、両制度を併用することです。NISAで自由に使える資産を育てながら、iDeCoで堅実に老後資金を積み立てられます。一般的に、毎月の積立額は月収の10%程度が目安とされていますが、家計に無理のない範囲で行いましょう。
例えば、月3万円の余裕があるなら、NISAに2万円、iDeCoに1万円といったように配分を考えるのがおすすめです。
資金配分は、ライフプランや家計状況に応じて最適化する必要があります。そのため、迷ったときはFPなどお金のプロに相談して、今後の資金計画を立てるのもひとつの方法です。
30歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう

資産運用には「これが正解」という絶対的な答えはありません。iDeCoやNISAにはそれぞれメリットと制限があるため、自分に合った制度を見極めるには、個別の状況に合わせた判断が必要です。
自身のニーズに応じた戦略を立てるために、無料のFP相談を活用するのは非常に有効な手段です。専門家との対話を通じて、優先順位や資金配分が明確になり、やるべきことが見えてくるはずです。

30歳からiDeCoやNISAを始める際の注意点

30歳は両制度のメリットを最大限に活かせる一方で「とりあえず始めれば大丈夫」と思わぬ落とし穴にはまることも。大切なのは、始める前に注意点をしっかり押さえておくことです。
ここでは、意識しておきたい注意点を3つ解説します。
- 時間を味方につけた「長期・積立・分散」投資を心掛ける
- 積立金額や資産配分は定期的に見直す
- 生活防衛資金は必ず確保しておく
時間を味方につけた「長期・積立・分散」投資を心掛ける
30代からの資産形成では、時間という最大の味方を活かすことが重要です。たとえば、30歳から投資を始めれば、60歳までに約30年の運用期間があります。この期間をどう活用するかで、将来の資産額に大きな差が生まれます。
特に意識したいのが、「長期・積立・分散」という3つのキーワードです。
- 長期運用:一括投資ではなく、時間をかけて運用する
- 積立投資:毎月定額で積み立てて、リスクを平準化する
- 分散投資:投資先を分けてリスクを軽減する
特に投資初心者は個別株など高リスク商品には無理に手を出さず、インデックス型やバランス型の投資信託からスタートするのが安全です。
積立金額や資産配分は定期的に見直す
一度決めた積立額や資産配分をそのまま放置してしまうのは、意外と多い失敗パターンです。年齢や収入、家族構成、ライフイベントによって最適な投資額やリスクの取り方は変わっていきます。なので、変化が生じた際に対応できるよう、それぞれの制度の見直しポイントを知っておきましょう。
【NISAの場合】
積立額は自由に変更可能。ライフイベントの前後で調整がしやすいのが特徴。例えば、育児休暇中に一時的に積立を減らしたり、ボーナス月に増額するなど柔軟に対応できます。
【iDeCoの場合】
積立額は年1回しか変更できない点に注意。一度上げると1年間は変更できないため、無理のない金額に設定することが重要です。
生活防衛資金は必ず確保しておく
資産形成をスタートするうえで、最初にやるべきことは「守りを固めること」です。どれだけ投資で増やそうと思っても、急な出費や収入の減少で生活が立ち行かなくなれば、せっかくの運用も途中で崩さざるを得なくなってしまいます。だからこそ大切なのは、突然のトラブルに備えて、すぐに使えるお金(生活防衛資金)をしっかり確保することです。
生活防衛資金とは、予測できないライフイベントに備えるための「安心の土台」です。病気やケガで働けなくなったり、急な転職や退職を余儀なくされたり、大きな修理費がかかったりといった事態に対応できるように確保しておくべきお金です。
これがあることで、いざという時に焦らず冷静に行動でき、資産運用も途中で無理に解約せずに済みます。
【実際どうだった?】30歳の方を中心にNISA・iDeCoに関するアンケート調査を実施
現在、NISAとiDeCoのどちらを利用していますか?理由も含めて教えてください

毎月の掛金を教えてください

NISAやiDeCoを運用する上で、どのような点を最も重視していますか?

このアンケート結果から見えてくるのは、「長期投資・安定運用」を何よりも重視しているという点です。回答者の34.4%が短期的な利益ではなく、時間をかけてじっくりと資産を育てたいと考えていることがわかります。
また、約28%の人が将来的にどれくらい資産が増えるかを最重要視しています。このことから、ただ積み立てるだけではなく、しっかりと成果を出すことへの関心が高いことが伺えます。

30代女性
安定的に利益を伸ばしていけるか

30代男性
長い目で見てしっかりプラスになるかどうかを重視
NISAでは、投資信託だけでなく高配当株にも分散して投資しています。インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙えるような銘柄を中心に選んでいます。短期的な値動きよりも、少額でもコツコツと続けて、長い目で見てしっかりプラスになるかどうかを重視しています。

20代女性
コツコツ積み立てていける安定運用を意識しています
今すぐに大きな利益が欲しいわけではなく、10年後・20年後を見据えてコツコツ積み立てていける安定運用を意識しています。特に子どもが生まれたばかりなので、将来の教育費の足しになるように、なるべくリスクを抑えたインデックス型で運用しています。

30代女性
無理なく続けられる金額重視
共働きですが子どももいて、家計にはある程度の余裕を持たせたいので、月1万円までと決めてNISAに投資しています。積立投資は継続が何より大事だと思うので、無理なく続けられる金額にして生活とのバランスを大事にしています

30代男性
税金対策です
税金対策としてiDeCoを始めました。年末調整で控除されるのが意外と大きく、もっと早く始めればよかったと感じています。ただ、手数料や運用コストも気になります。なるべく低コストな商品を選ぶようにしてはいますが、不安もあるので専門家への相談を検討しています。
NISAやiDeCoを運用する上で、不安に感じることや迷っていることはありますか?

40代女性
思っていたほど資産が増えない
思っていたほど資産が増えておらず、このままで本当に大丈夫なのかな?と漠然とした不安を感じています。NISAを始めた当初は、長く続ければ自然と増えると思っていたけれど、最近は銘柄の見直しも必要かなと感じています。できれば、もう少し安定して配当がもらえる株などに切り替えるなど、運用の方向性を見直したいと考えています。

30代女性
見通しが立たなくて不安
投資だから当然なんですが、利益が出ることが確約されているわけではないので、正直10年、20年後にどれだけ増えているのか不安です。長期目線で積み立ててはいるけれど、「このまま続けて本当に意味があるのかな?」と、時々迷うことがあります。将来に向けての備えとしてやっているものの、やっぱり見通しが立たないのは不安ですね。

30代男性
出口戦略が難しい
iDeCoについては、60歳まで引き出せないのは理解しているんですが、その後どうやって受け取ればいいのか、正直あまりイメージができていません。選択肢がいくつかあるようですが、どれが自分にとってベストなのか分からず、出口戦略が難しいなと感じています。今は積み立てているだけですが、将来ちゃんと使いこなせるのか不安です。

30代女性
損益通算ができないのが痛い
NISAは利益が非課税になるのは嬉しいんですが、その反面、損益通算ができないのが痛いところだと感じています。普通の課税口座なら、損失が出たときに他の利益と相殺できるのに、NISAではそれができないので、損した分がそのままマイナスになるのは正直つらいですね。リスクを分散して投資してはいるものの、やっぱり不安が残ります。

20代男性
景気が大きく変動したときが不安です
このままインフレが続いたり、景気が大きく変動したときに、自分の資産運用にどんな影響が出るのかは正直かなり不安です。NISAやiDeCoは長期目線で考えるものだとは分かっていても、経済の流れ次第で資産が大きく目減りする可能性もあると思うと、「本当にこのままで大丈夫かな…」と不安になります。
NISAやiDeCoを活用している30代を中心とした方々の声から見えてきたのは、始めたはいいけれど、これで本当に正しいのか不安に感じている人が多いという現実です。投資は長期目線で考えることが基本とはいえ、実際に始めてみるとこのまま続けていいのかと疑問を持つ方は少なくありません。
また、今後のインフレや景気の変動といった不確実な要素に対して、将来どうなるかわからなくて不安と感じる声も多く寄せられました。
【まとめ】30歳はNISAを優先しながらiDeCoの併用も検討しよう

ここまで、NISAとiDeCoを比較しながら、どちらを優先すべきなのか、注意点はどんなところなのかについて解説してきました。
30代は資産形成のスタートに最適な時期です。今後のライフイベントの多さや、将来の不安を見据えると、柔軟性の高いNISAと節税と老後準備ができるiDeCoの両方にメリットがあります。
まずはNISAで積立投資を始めて投資に慣れ、資金に余裕が出てきたらiDeCoを併用して節税と老後資金準備に取り組むのが現実的かつ効果的です。
どっちを先に始めるか、どのくらい積み立てるかに迷ったら、FP相談サービスのマネーキャリアを活用しましょう。一般的な答えではなく、自分にぴったりの運用プランを一緒に考えてくれます。
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私が重視しているのは、長期的に見て、安定的に利益を伸ばしていけるかという点です。なので、すぐに大きな利益を狙うのではなく、焦らず、しかし着実に資産を増やしていける銘柄を選びました。値動きに一喜一憂せず、ちょっと存在を忘れているくらいが丁度いいなと思ってます。