

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 40歳はiDeCoとNISAどっちが良い?目的別の選び方を紹介
- 老後資金に集中したいならiDeCo
- 将来の教育費や住宅費などを考えるならNISA
- 資金に余裕があるならiDeCoとNISAの両方を併用しよう
- 40歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう
- 40歳からiDeCoやNISAを始める際の注意点
- 資金の目的と使う時期を明確にする
- 無理なく続けられる金額設定をする
- 受け取り方(出口戦略)を見据えた計画を立てる
- 【実際どうだった?】40歳の方を中心にNISA・iDeCoに関するアンケート調査を実施
- 現在、NISAとiDeCoのどちらを利用していますか?理由も含めて教えてください
- 毎月の掛金を教えてください
- NISAやiDeCoを運用する上で、どのような点を最も重視していますか?
- NISAやiDeCoを運用する上で、不安に感じることや迷っていることはありますか?
- 【まとめ】40歳からのiDeCo・NISAは目的に応じて優先順位を立てよう
40歳はiDeCoとNISAどっちが良い?目的別の選び方を紹介
40歳という節目を迎え「そろそろ将来に備えて資産形成を始めたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ始めようとすると「iDeCoとNISA、どちらを選ぶべきか迷う」という声がよく聞かれます。それぞれに魅力があり、制度の仕組みや活用方法も異なるため、自分に合った選択をすることが重要です。
項目 | 新NISA(※1) | iDeCo(※2) |
---|---|---|
目的 | 資産形成 | 老後資金の準備 |
利用できる人 | 18歳以上 | 20歳以上65歳未満 |
投資期間 | 無期限 | 65歳になるまで |
投資上限額 | つみたて型:年120万円 成長投資枠:年240万円 累計:年360万円 保有限度額:1800万円 (成長投資枠は1200万円まで) | 年14.4,万〜81.6万円 公的年金の被保険者種別や 企業年金制度の加入状況によって変動 |
投資商品 | つみたて投資枠:長期の積立分散投資に適した投信、ETF 成長投資枠:上場株式、投信、REIT、ETF | 定期預金 元本確保型保険 投資信託 |
非課税期間 | 無期限 | 資産を受け取るまで |
税制メリット | 運用益非課税 | 拠出時:掛金が全額所得控除 運用期間:運用益が非課税 受取時:退職所得控除や公的年金等控除 |
資産の引き出し | いつでも売却(引き出し)できる | 60歳〜75歳の間 ※60歳まで引き出し不可 |
受け取り時の課税 | 非課税 | 退職所得控除や年金控除を適用しても 課税対象になる場合あり |
手数料 | 無料 | 口座開設:2,829円 口座管理:年2,052〜7,000円程度 受取時手数料:440円 |
最低拠出額 | 制限なし ※金融機関によって異なる | 月5,000円から |
まず考えるべきは「何のために資産を築くのか」という目的です。老後の生活資金を中心に備えたいのか、それとも教育費や住宅購入といった中期的な出費に備えたいのか。資産形成のゴールによって、適した制度が変わってきます。
ここでは、その目的別にiDeCoとNISAの選び方について解説します。
老後資金に集中したいならiDeCo
老後資金にしっかり備えたいと考える40代にとって、iDeCoは非常に有力な選択肢となります。その最大の魅力は、何といっても「節税効果」と「強制的な積立機能」です。
iDeCoの仕組みでは、毎月の掛金が全額所得控除の対象となります。そのため拠出額に応じて所得税や住民税の負担が軽減されます。
さらに、運用益もすべて非課税で再投資されるため、長期間にわたって効率よく資産を増やすことが可能です。特に40歳は収入が安定している方も多く、年収が高ければ高いほど、この所得控除によるメリットが大きくなる点は見逃せません。
将来の教育費や住宅費などを考えるならNISA
将来の教育費や住宅購入資金など、明確な目的を持って中長期の資産形成を考えるのであれば、NISAの活用を検討する価値があります。NISAには、運用益が非課税となるという大きなメリットがあり、利益に対して税金がかからないため、長期間運用することでその恩恵を最大限に受けることが可能です。
特に、NISAの魅力はその「使いやすさ」にあります。
iDeCoと異なり、NISAは資金の引き出し制限がないため、必要なタイミングで資金を取り崩すことができます。たとえば、子どもの進学に伴う教育費や住宅購入時の頭金として、あるいは転職や病気など不測の事態への備えとしても対応しやすいのが特長です。
ライフイベントが増える40代にとって、この柔軟性は非常に心強い特徴といえるでしょう。
資金に余裕があるならiDeCoとNISAの両方を併用しよう
40代から資産形成を始める場合、iDeCoとNISAのどちらを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。しかし、資金にある程度の余裕があるのであれば、iDeCoとNISAを併用するという選択が有効です。それぞれの制度の特徴を活かし併用することで、資産形成のバランスがより安定します。
たとえば、NISAは途中での引き出しが自由にできるため、教育資金や住宅購入など将来のライフイベントにも柔軟に対応可能です。一方、iDeCoは原則60歳まで引き出せないものの、掛金が全額所得控除の対象となり、高い節税効果が期待できます。
つまり、NISAで流動性のある資産を育てつつ、iDeCoで堅実に老後資金を積み立てることで、それぞれのメリットを最大限に活かすことができるのです。
40歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう

iDeCoとNISA、どちらも資産形成に役立つ制度ですが、いざ40歳から始めようと思ったときに「自分に合っているのはどっちだろう?」と迷う方も多いはずです。節税効果を重視すべきか、流動性を優先すべきか、そもそもいくらから始めればいいのか、などといった判断材料が多く、自分だけで結論を出すのは簡単ではありません。
そんなときこそ、FPへの相談を活用するのがおすすめです。FPはライフプランや家計状況、将来の目標などをもとに、専門的な視点から中立的なアドバイスを受けられるため、ご自身にとってどちらの制度を優先すべきかが明確になります。
40代は、老後資金だけでなく教育費や住宅ローンなど複数の課題を抱えやすい時期です。制度の仕組みだけでなく、人生設計に沿った資産形成の戦略を考えることが求めらるため、FPへの相談は重要な存在になるでしょう。

40歳からiDeCoやNISAを始める際の注意点

40歳からiDeCoやNISAを始める場合、特に注意すべきポイントがあります。制度の仕組みや税制優遇に注目が集まりやすいですが、実際の運用にあたっては「どのように使うのか」「いつ必要になるのか」という目的や時期を明確にすることが重要です。
ここでは、40代がiDeCoやNISAを活用する際に意識したい3つのポイントを整理しました。
- 資金の目的と使う時期を明確にする
- 無理なく続けられる金額設定をする
- 受け取り方(出口戦略)を見据えた計画を立てる
資金の目的と使う時期を明確にする
40歳を過ぎてからiDeCoやNISAを活用しようと考える場合、まず大切なのは「資金の目的」と「使う時期」を明確にすることです。これらの制度は運用期間や引き出しの自由度に違いがあります。そのため、目的に合った活用をしないと、かえって使いづらさを感じてしまう可能性があるためです。
iDeCoは、老後資金の形成を目的とした制度であるため、原則60歳まで引き出すことができません。※「老後のために今から積み立てておきたい」という明確な目的がある方には非常に向いています。
- 将来何かあったときに備えたい
- 10年後に住宅資金として使いたい
このような用途には適しません。
NISAは、比較的柔軟な制度設計となっており、途中で資金を引き出すことも可能です。中長期の資産形成を目的とするのであれば、老後資金に限らず、教育資金や住宅購入の頭金など、将来の大きな出費に備える手段として有効に活用できます。ただし、非課税期間や投資枠の管理には注意が必要です。
無理なく続けられる金額設定をする
40代からiDeCoやNISAを始める際、重要なのは「無理なく続けられる金額」を設定することです。
資産形成は一時的なものではなく、長期にわたりコツコツ積み上げていくことが基本です。そのため、上限いっぱいまで積み立てることを目指すよりも、日々の生活に支障をきたさない範囲で継続することが成果につながりやすいといえます。
iDeCoの場合、途中で拠出額を減らしたり、一時停止したりする手続きが面倒に感じる方も多いため、最初から生活に無理のない金額で始めることが肝心です。少額であっても、長く続けることで複利効果が受けられますし、毎月の家計にゆとりがある状態であれば精神的な安心感も得られます。
また、NISAも同様に「継続性」がポイントです。まとまった金額が用意できず、たとえ投資額が少なかったとしても、時間を味方につけることで資産は着実に成長していきます。重要なのは、一時的な余剰資金ではなく、安定して拠出できる金額を見極めることです。
受け取り方(出口戦略)を見据えた計画を立てる
iDeCoやNISAで資産形成を進める際に、見落とされがちなのが「受け取り方」、いわゆる出口戦略です。積立時の節税や運用メリットに注目が集まりやすいですが、将来の受け取り方法次第で税負担は大きく変わるため、事前の計画が重要です。
特に、注意したいのがiDeCoです。iDeCoでは60歳以降に受け取りが可能になりますが、その際の受け取り方法には「一時金としてまとめて受け取る」「年金形式で分割して受け取る」「一時金と年金の併用」といった選択肢があります。それぞれ税制上の扱いが異なるため、損をしないためには自分にとって最適な方法を見極めることが欠かせません。
【実際どうだった?】40歳の方を中心にNISA・iDeCoに関するアンケート調査を実施
iDeCoやNISAといった資産形成の制度が広く知られるようになった一方で「実際に利用している人はどのくらいいるのか」「どのような考えで選んでいるのか」といった具体的な実情が気になる方も多いのではないでしょうか。40歳前後は、老後や教育費、住宅購入などさまざまなライフイベントが重なりやすく、制度選びに迷う時期でもあります。
40歳の方を中心にNISA・iDeCoの利用状況に関するアンケート調査を実施しました。どちらの制度を利用しているか、その理由や、毎月の掛金はいくらなのかなど、リアルな声をもとにまとめています。他にも「運用で感じている不安」や「迷っている点」についても回答を得ました。
これから制度を使って資産形成を始めたいと考えている方にとって、参考になる情報が満載です。ぜひ参考にしてみてください。
※2025年6月9日~2025年6月12日時点での当編集部独自調査による
現在、NISAとiDeCoのどちらを利用していますか?理由も含めて教えてください
上記のアンケート結果によると「NISAのみを利用している」と回答した人が53.4%と最も多く、続いて「NISAとiDeCoの両方を併用」が33.3%、その次に「iDeCoのみを利用している」が13.3%という結果になりました。
全体としてNISAの活用率が高く、多くの人が自由度の高さや使いやすさに魅力を感じていることがうかがえます。
毎月の掛金を教えてください
40代を中心に実施されたiDeCoの掛金に関するアンケート調査では「1万円未満」と回答した人が全体の42.8%と最多でした。
続いて「1〜2万円未満」「2万円以上」がどちらも28.6%となっており、全体としては月々1〜2万円以内の積立が主流であることがわかります。
40歳を中心とした層に実施したNISAに関するアンケートによると「毎月の掛金が8万円以上」と回答した人が最も多く、全体の34.6%を占めました。
次いで「3〜5万円未満」「5〜8万円未満」がともに23.1%。「〜3万円未満」は19.2%という結果となりました。
NISAやiDeCoを運用する上で、どのような点を最も重視していますか?
こちらのアンケート結果によると、40歳を中心とした回答者のうち、NISAやiDeCoの運用で最も重視している点として「長期運用・積立・継続」が37.1%と最も多くの支持を集めました。これに続いて「利回り・成長性重視」と「安定性・リスク分散」がいずれも22.9%となっており、バランスの取れた運用を意識している様子がうかがえます。
一方で「手数料・コスト重視」は11.4%で「節税・制度活用重視」は5.7%とやや低めの結果となりました。制度の仕組みや税制メリットは理解していても、それ以上に続けられるかどうか、リスクに備えられるかを優先して判断している傾向が見て取れます。

40代女性
定期預金と投資信託のバランス

40代男性
積立投資を続けること
長期的な視点で、コストの低いインデックスファンドに、淡々と積立投資を続けることです。日々の株価の変動に一喜一憂せず、ドルコスト平均法を活かして、世界経済の成長の恩恵を長期で受け取ることを目指しています。

40代女性
手数料の低さと運用の手間がかからないこと
NISAやiDeCoを運用するうえで重視しているのは、手数料の低さと運用の手間がかからないことです。基本的にはインデックス型の投資信託を選び、長期で保有しています。

40代男性
枠によって運用の仕方を変えている
用途に応じた資産の分け方を意識して運用しています。

40代男性
長期的な成長とドローダウンの少なさを重視
長期的な成長とドローダウンの少なさを重視しています。主にオルカンかS&P500に連動する投資信託を選び、為替の状況を見ながらヘッジの有無を調整しています。
NISAやiDeCoを運用する上で、不安に感じることや迷っていることはありますか?
NISAやiDeCoを活用して資産形成に取り組んでいる方の中には「運用を続けていて本当に大丈夫だろうか」といった不安を抱えている人も少なくありません。
アンケートでは「将来、株価が大きく下落しているタイミングで取り崩すことになったら、資産が目減りしてしまうのでは」といった声や「iDeCoは制度が将来的に改悪される可能性が心配」といった意見が寄せられました。また「明確な不安はないが、思ったように増えるかどうかは常に気になる」といった慎重な姿勢も見られます。

40代男性
制度の将来性
iDeCoを活用していますが、不安に感じているのは制度の将来性です。受け取りまでに時間がある分、その間に制度が改悪されるのではないかという懸念があります。税制優遇の内容や受け取り条件が変わってしまうと、計画通りに活用できなくなる可能性もあるため、不透明さが気がかりです。

40代男性
積立投資を継続できるか不安になる
世界的な金融危機や大きな地政学的リスクが顕在化した際に、パニックにならずに現在の積立投資を継続できるか、という精神面での不安はあります。頭では「暴落時こそ買い場」と理解していても、実際に資産が大きく目減りした時に冷静でいられるか自信がありません。

40代女性
期待通り資産は増えていくのか?

30代男性
NISAの個別株に手を出したくなる
iDeCoは60歳まで引き出せないため、自然と長期運用になり、あまり迷うことはありません。ただ、NISAはいつでも売却できるぶん、ついタイミングを見計らって売ってしまおうとしたり、個別株に手を出したくなったりします。

40代女性
日本株と外国株の比率
リーマンショックのような急激な下落を考えると、外国株式だけでは不安があり、最近は安定性を重視して国内株式も半分ほど組み入れるようにしています。
【まとめ】40歳からのiDeCo・NISAは目的に応じて優先順位を立てよう

40歳からiDeCoやNISAを始めるにあたって「自分は何のために資産を築くのか」を明確にし、目的に応じて制度を使い分けることが大切です。
老後の生活資金を重点的に準備したい方には、節税効果の高いiDeCoが適しています。一方、教育費や住宅購入など中期的な資金ニーズがある場合は、柔軟に引き出せるNISAが便利です。また、資金に余裕があれば、両方を併用することで資産形成の幅を広げることができます。
ただし、それぞれの制度にはメリットだけでなく注意点もあるため、ご自身に合った活用方法を見極めることが成功のカギとなります。とはいえ「制度が複雑で自分だけでは判断が難しい」という方も少なくないでしょう。

iDeCoを運用する際に最も重視しているのは、定期預金と投資信託のバランスです。