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猛暑の夏が来ると心配なのが熱中症。中には入院が必要な人もいます。熱中症で救急車で病院に運ばれたり、入院した場合には治療費・費用はかかるのでしょうか?また、医療保険や公的保険ではどんな保障がされるのでしょうか?今回は、熱中症とお金・保険をテーマに徹底解説します。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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熱中症とお金・保険の知識を備えよう

2022年6月末から日本全国で猛暑の年となりました。熱中症は10代から高齢者まで、外で活動する方にとっては注意しないといけません。


しかし、気をつけていても熱中症にはなってしまうもので、熱中症にならない対策と合わせて、なってしまった時の知識の備えが重要だと考えています。

そこで今回は「熱中症とお金・保険」について解説していきます。

熱中症になったら治療費用はいくらかかる?

熱中症になったら、重度の場合、救急車で運ばれ、入院が必要となるケースもあるかと思います。熱中症もどれくらいの重症度なのかによって費用が大きく変わってきます。


熱中症の治療費の目安をまとめてみました。


引用元:(公益社団法人全日本病院協会

実際に入院すると10万円以上かかってしまう場合も!

熱中症になり救急車で病院に搬送された場合にかかってくる費用は、初診料+検査+点滴で3000円〜6,000円(自己負担)、そのまま入院が必要になってしまった場合には入院基本料や差額ベット代、食事代などがかかってくるので、3万円から10万円程度かかると言われています。  

また入院となればその間働くことができないので収入も減少してしまったり、入院に必要なものを買ったりと意外とお金がかかってきてしまうかもしれません。

こういったときに公的保険や民間保険でどこまで保障されるのか気になりますよね。

熱中症になったら医療保険の適用になるのか?

医療保険や生命保険は保障の対象である
熱中症で入院したり、万が一のことになってしまったりした場合、保険による保障が受けられるかはケースバイケースです。 暑さ真っ盛りになる前に、一度知識を整理しておきましょう。

まず、公的医療保険について詳しくみていきましょう。 


熱中症で通院・入院した場合は、公的医療保険による保障が受けられます。 実際にかかった医療費の一部を負担すればかまいません。 入院になった場合でも、高額療養費制度を使えば負担は軽減できます。 高額療養費制度とは、ひと月にかかった医療費の額が一定の限度額を超えた場合は、超えた部分について自己負担をしなくても良い制度です。 



引用元:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 


 一方、民間の医療保険や医療特約が付帯した生命保険は、熱中症による入院も対象になります。ただし通院については「入院を前提をした病気・ケガの治療のために通院した場合」に給付されるものであるため、注意しましょう。

熱中症で体調を崩しても、通院だけだったなら保障は受けられませんが、

通院(外来を受診)した後に入院することになれば、通院給付金の対象となります。

傷害保険などでは保障の対象外

一方、傷害保険や国内旅行保険では、熱中症は保障されないので注意してください。 


傷害保険とは「急激かつ偶然な外来の事故」が補償対象となる保険です。


  • 急激:突然起きること
  • 偶然:あらかじめ予測できないこと
  • 外来:原因が体の外からの作用によるものであること

よりかみ砕いていうと、骨折や打撲、など突発的な事故が原因でケガを負い、入院・手術をしたり、死亡してしまったりした場合であれば補償が受けられます。なお、 国内旅行保険も傷害保険の一種であり、主に国内旅行中に起きたケガや死亡事故を補償するものです。


熱中症は突発的な事故が原因のケガではない以上、傷害保険による補償は受けられません。 



特約をつけることで保障することもできる

すでに触れた通り、傷害保険では熱中症による入院・通院の補償は受けられません。 しかし、あらかじめ熱中症補償特約がセットされていたなら、熱中症で入院・通院した場合にも補償が受けられます。


熱中症補償特約を付加できるかどうかは、保険会社や保険商品によっても異なるので、事前に確認しましょう。


【場面別】会社員で熱中症になったらなんのお金が出る?


社会人になってから熱中症になった場合、一時的であるにせよ働けなくなってしまいます。 仕事を休んだ期間の収入はどうなるのかと不安かもしれませんが、会社勤めであればさまざまな制度により補償が受けられるので安心しましょう。 熱中症になったタイミングが、仕事中かプライベートかで扱いが異なるので、分けて解説します。

職場で熱中症になったら労災保険

真夏日に炎天下で外回りをしていたら具合が悪くなって倒れた、などのように、仕事中に熱中症になった場合は、労災保険による補償が受けられます。 


厳密に言うと、労災保険による補償を受けるためには、以下の3つの要件を満たさなくてはいけません。 


  • 仕事中、通勤中に生じたケガ・病気である 
  • ケガや病気のせいで仕事ができない 
  • 仕事を休んでいる間、会社から給料をもらわない


なお、労災保険の申請は、以下の流れで行います。 


  1. 労災保険指定医療機関、または最寄りの取り扱い病院で診察を受ける
  2. 補償の種類に応じた請求書をダウンロードする
  3. 必要事項を記入する
  4. 請求書・添付書類を労働基準監督署に提出する

実際は、総務・人事担当者もしくは部署が必要な書類の手配や手続きをやってくれるのでお任せしましょう。

自宅で熱中症になって会社を休んだら健康保険

一方、自宅などプライベートの時間に熱中症になって会社を休んだ場合でも、傷病手当金が受け取れる可能性があります。 


傷病手当金とは、病気やケガで連続して4日以上会社を休んだ場合、1日につき給料の約3分の2が支給される制度です。 最大で1年6カ月間受け取れますが、以下の4つの条件を満たす必要があります。 


  1. 仕事中や通勤中の病気・ケガではない 
  2. 仕事ができない 
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けていない 
  4. 仕事を休んでいる間、会社から給料が支払われていない 

 

「連続する3日間を含み4日以上仕事に就けていない」というのが分かりづらいかもしれないので、こちらの図も参考にしてください。 



引用元:全国健康保険協会 協会けんぽ「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 


先ほど触れた労災保険の場合と同様、総務・人事担当者もしくは部署に連絡をし、手続きの案内をしてもらいましょう。

熱中症対策をしっかりしておこう!


熱中症になってしまったとしても、公的医療保険などの制度や民間の保険会社が販売する保険で保障・補償が受けられます。 しかし、肉体的・精神的にはかなり辛いので、まずは熱中症にかからないように気をつけましょう。 もちろん、自分や家族がかかってしまった場合に備え、どんな保障・補償が使えるかを考えておくのも大切です。

もしすでに生命保険や傷害保険に加入されているなら、保障(補償)対象となるのか確認や見直しをしてみることをおすすめします。これから本格的に暑くなる前に確認しておくと今夏も安心して過ごすことができますね。