
突然の大雨により短時間で浸水が起きるゲリラ豪雨による水害が増えています。一般的な家屋や車にも被害が及ぶのは珍しくありません。仮に、車屋自宅が水害で被害を受けた場合、保険でどこまで補償されるのかと10月の火災保険の値上げについて解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じる近年増えるゲリラ豪雨の被害
近年増えている災害の1つに、ゲリラ豪雨による浸水が挙げられます。「ゲリラ」と名前についていることからもわかるように、突然の大雨により短時間で浸水が起きる災害です。
特に、地下鉄・地下街やマンション・オフィスビルなどの出入り口のような低い場所では、水が一気に流れこんでくるため注意しなくてはいけません。
また、低い場所でなくても被害は起こり得ます。 自宅が床下浸水による被害を受けたり、屋外に停めていた車に水が入って故障したりするのも珍しくありません。 今回の記事では、火災保険でゲリラ豪雨をはじめとした水災の被害に備えるため、知っておきたい知識を解説します。
屋外に停めていた車の被害は保障される?
本来、車はある程度の冠水・浸水には耐えられるように設計されていますが、限界もあります。
ゲリラ豪雨により道路が冠水した場合、屋内に停めていた車のエンジンルームや室内にも水が入るのは避けられないでしょう。 水が入ると電気系統やエンジン内部のシリンダー、ピストンなどの各部品に重大なダメージを及ぼします。 シートの座面まで水につかるほどだった場合は、修理も難しくなるため、全損扱いになるのも珍しくありません。
もちろん、これらのゲリラ豪雨によって車が被害を受けた場合も、自動車保険(車両保険)によって補償を受けることが可能です。 ただし、保険事故として扱われるため、翌年度の自動車保険の等級は1つ下がります。
家財は火災保険で保障される?
ゲリラ豪雨により床下浸水が起き、家自体や家の中にあるものが壊れたり流されたりした場合、火災保険により補償が受けられます。ただし、注意したいのは、保険契約における補償対象です。大きく分けると「建物」と「家財」ですが、どちらか一方しか補償が設定されていないケースも多々あるので注意しましょう。
具体的な保障品目

※道路運送車両法における排気量が125㏄以下、電動機等で定格出力1.0kW以下のもの
なお、具体的な補償内容の扱いは保険会社によって異なるため、契約内容がわかる書類で確認しましょう。わからなければ、保険会社のコールセンターや担当者に連絡すれば教えてもらえます。
水災被害で保障される例・されない例
水がからむトラブルであっても、すべてが水災被害として補償されるわけではありません。そこで、水災被害として補償されるトラブルとされないトラブルを簡単にまとめました。
水災被害として保障されるトラブル

※ゲリラ豪雨によって排水されなかった水があふれ、床下浸水になった場合はここに含まれる
なお、雨漏りによる水漏れは「水漏れ」として、雹(ひょう)や雪による被害は風災・雹(ひょう)災・雪災として、火災保険から補償が受けられます。一方、地震が原因の津波で受けた被害は、火災保険からは補償が受けられません。火災保険と併せて加入できる地震保険により補償が受けられる仕組みになっています。
自分の入っている保険を見直そう
火災保険や地震保険は、定期的な見直しをおすすめします。
自分が契約している火災保険や地震保険でカバーできないトラブルが起きた場合、経済的・精神的に大きなダメージを被るためです。
特に、ゲリラ豪雨による床下浸水が起きると、家自体はもちろん家財もだめになってしまいます。
何もないときから契約内容を見直し、十分な補償を受けられるようにしておきましょう。
なお、火災保険を見直す際は、水災を含めたさまざまな災害について、どれだけカバーできるかにも着目する必要があります。
水災が起きた場合、自宅がどれぐらいの被害を受けるかは、ハザードマップである程度予測することが可能です。
ハザードマップは自治体ごとに作成・公表されているので一度確認してみましょう。
市区町村役場の窓口やWebサイト上で閲覧が可能です。
2022年10月から火災保険が値上がりするので今が見直しのチャンス
火災保険を見直したほうが良いのには、もう1つ理由があります。2022年10月から、多くの保険会社が保険料の値上げに踏み切る可能性が高いためです。背景には、損害保険料算出機構による参考純率の改定があります。参考純率とは、料率算出団体が算出する純保険料率のことです。
- 純保険料と付加保険料
火災保険を含めた保険商品の保険料を「何に使われるか」で分類すると、純保険料と付加保険料に分けられます。
- 純保険料:保険金の支払いに充てられる部分
- 付加保険料:保険会社の運営のための経費などに充てられる部分
また、保険金額に対する保険料の割合のことを保険料率と言います。関連して、以下のように分けることが可能です。
- 純保険料率:保険料のうち、純保険料が占める割合
- 付加保険料:保険料のうち、付加保険料が占める割合
損害保険料算出機構は、2021年6月16日に、火災保険参考純率について、全国平均で10.9%引き上げる旨を発表しました。
参照:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」
自然災害リスクの増加、リスク反映の傾向の2点を理由として挙げています。 簡単に言うと「災害が増えてきて、保険金の支払額も大きくなってきたから」といったところです。 参考純率が上がってきている以上、個々の保険会社も保険料を値上げしないと採算が取れない可能性が高いです。
だからこそ、今がチャンスととらえ、火災保険を見直してみましょう。
大切なのは「自分たちにとって本当に必要な補償が受けられる状態になっているか」です。
付加保険料は保険会社によって異なるため、今と同じ補償が受けられる、しかも保険料が安くできる火災保険もあるかもしれません。