年金の学生免除手続き(学生納付特例制度)の申請忘れの対処法は?のサムネイル画像

この記事を読んで欲しい人

  • 年金の学生免除手続きを申請忘れしたときどうすればよいか知りたい人
  • 年金の学生免除手続きの時期やいつまですればよいのか知りたい人
  • バイトしていても学生免除は受けられるのか知りたい人
  • 年金の学生免除手続きの仕方、はがきの書き方など知りたい人

内容をまとめると

  • 学生免除申請忘れをしたときは、さかのぼって2年1か月前まででき卒業後でも申請できる
  • 学生免除申請は毎年必要なので、継続はがきが届いたらすみやかに手続きするとよい
  • 申請遅延すると障害・遺族年金がもらえなくなる場合がある
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学生時に年金が免除になる学生納付特例制度の申請忘れについて解説しています。おすすめの申請時期は国民年金加入時で、2年1か月前までの期間なら卒業後でも遡って申請できます。また、申請手続きの方法や申請のために届くはがきのことについても説明しています。

監修者「井村 那奈」

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る

この記事の目次

年金の学生免除手続き(学生納付特例制度)の申請忘れの対処法を解説!


20歳になると国民年金に加入することが義務付けられています。


しかし、20歳時点で学生である人は多く、学生で収入がないか少ない人は保険料を支払うのが困難な人もいるでしょう。


そのため、年金の学生免除手続き(学生納付特例制度)が設けられています。


とは言っても、学生生活は勉学などに忙しく、遠い将来の年金のことは後回しになり、つい申請忘れをするケースもあります。


そこで学生免除申請忘れをした場合の対処法について、次のことをお伝えします。


  • 学生免除申請忘れをしたときの対処法を具体的に解説
  • 学生納付特例の申請手続き方法
  • 学生納付特例利用者に届くはがきについて
  • 学生納付特例制度申請Q&A

最後まで読めば、学生免除申請忘れをした場合の対処方法がわかります。


また、申請手続きについてもわかるので、うっかり申請忘れした場合でも安心できます。


どうぞご覧ください!

年金の学生免除手続き(学生納付特例制度)とは?


年金の学生免除手続き(学生納付特例制度)とは、学生であったときに国民年金保険料の支払いが困難な場合、保険料支払いを猶予する制度です。


国民健康保険は公的年金なので、20歳になると全員が支払わなければなりません。


しかし、現実問題として学生は収入がないケースが多いです。


バイトなどで稼いでいたとしても金額が少ないために国民年金の保険料は月に16,590円(令和4年度)と決して少ない金額ではないので支払うのは難しい場合もあります。


そこで、申請をすると学校在学中の保険料支払いが猶予される学生納付特例制度があるのです。


ただし、便利な学生免除の制度は誰しも受けられるわけではありません。


以下の人が対象となります。


所得の基準は次の金額以下の人

128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

参考:日本年金機構|学生納付特例制度 


学生とは大学、高校、短大、専門学校、定時制、通信課程の人などほとんどの学生が対象になります。


なお、家族の収入の大小には関わらず、あくまで学生本人の所得のみで計算されます。

学生納付特例制度は毎年申請が必要なので注意!

学生納付特例制度は毎年申請が必要になるので、申請忘れには気をつけなければなりません。


この申請は、一度したからと言って終わりではありません。


この制度を利用する人は、恐らく毎年免除を受けたい場合が多いと思われます。


例えば令和3年度に申請をした人は令和4年3月までが期限となるので、この年の4月には再度申請が必要となります。


なお、年度途中で申請していた人も令和4年3月までが期限となります。


あくまで「年度単位」で申請が必要となるのです。


毎年申請となると、つい手続きの申請忘れをしてしまうのでは?と不安に思うかもしれません。


しかし、そのようなことを防ぐため、日本年金機構から継続して免除するための申請はがきが毎年自宅に郵送されてきます。


自宅に届くのは4月初旬になります。


毎年免除を受けたい人は、申請忘れをして却下されないように書類が届いたらそのままにせず、すみやかにはがきを出すようにしましょう。

学生納付特例の申請をし忘れていた場合の対処法は?


学生は勉学や新しい生活で何かと忙しく、ついうっかり学生納付特例の申請もれをしてしまう場合もあるでしょう。


申請忘れをした場合にも対処法があります。


申請をすればその期間は免除期間となり、本来持っている権利は有効となります。


申請もれをすることは、保険料の未納になりさまざま不都合なことがおきてしまいます。


そこで

  • 遡って申請できるのは2年1か月前まで!卒業後も可能
  • 障害・遺族年金がもらえない場合もある

この2つの点について詳しく解説します。

2年1か月前までの期間なら遡って申請できる!卒業後でもOK!

申請は2年1か月前まででき、卒業後も可能です。


学生の場合、毎日の生活や勉強のことで頭がいっぱいになり、年金の事は先のことだからと後回しにしているケースが多いです。


しかし、老後の年金以外に大きな病気やけがをしたなどで後々困るケースが出てくる場合があります。


そのような万一のことを考えて、今現在保険料を支払えなくても困らないように申請はしっかりとしておくのが大切です。


仮に申請忘れをしても、2年1か月前までは大丈夫ですので慌てずに申請しましょう。


年度申請可能期間前年所得
令和元年度令和2年4月~3年3月平成30年中
令和2年度令和3年4月~4年3月令和元年中
令和3年度令和3年4月~4年3月令和2年中
令和4年度令和4年4月~5年3月令和3年中


参考:日本年金機構| 免除申請可能期間


先ほど説明したとおり、前年所得が基準以下の場合のみ申請が可能です。


前年とはいつの所得になるのか、申請可能期間とともに上記表で確認してください。


実際にいくらまでの収入の人が申請できるのかは、下記のQ&Aのところで詳しく解説します。


また、この制度は卒業後でも申請できます。


なお、卒業してから申請する場合には学生証のコピーでは却下されるので、在学証明書や在籍証明書が必要となります。


大学側から取り寄せの上、添付してください。


その際、在学中と同じく年金手帳と認印が必要となりますので準備してください。

申請が遅れると障害・遺族年金が受け取れない場合もある

学生免除申請が遅れた場合、障害年金や遺族年金が受け取れない場合があります。


国民年金は、65歳になった時点で年金が支給されるというだけではありません。


万が一障害状態になったときの本人の保障や、被保険者が死亡した後の家族の生活を守る保障もあります。


それが障害基礎年金遺族基礎年金です。


障害基礎年金は、病気やケガで所定の障害状態(1級・2級)になった時に支払われます。


1級、2級の場合、仕事ができなかったり生活する上でかなり支障がでる状態です。


ですから、万一のときにはこの年金で生活が助けられることになります。


また、保険料支払いは法定免除になりますので、障害状態になった後は保険料の支払いをせずに年金を受け取れます。


遺族基礎年金は、被保険者本人が死亡したときに生計を維持されていた子供のいる配偶者または子供に支払われる年金です。


それぞれの年金が支払われるには、保険料の未納期間が3分の2以上ないことや死亡までの直近1年間に未納がないなど条件が定められています。


手続きを取らなかったばかりに未納となり、条件が満たされていないと万一の事態がおきたときに受け取れなくなってしまいます。


このように申請忘れをしたために後悔しないように、しっかりと申請をしておきましょう。

学生納付特例の申請手続き方法


学生納付特例を受けるには申請が必要なので、手続き方法を解説します。


申請先は次の3箇所です。

  • 自身が住民登録している役所や役場
  • お住まいの近くの年金事務所
  • 現在通っている学校

また、直接行かなくても郵送でも可能です。


電子申請もできます。その場合は、申請用紙をこちらからダウンロードできます。


申請書の書き方の例はこちらを参考にしてください。

必要書類は次のとおりです。

  • 国民年金保険料学生納付特例申請書
  • 学生証のコピー
  • 新型コロナウイルスが原因で所得が減った場合、所得の申立書

なお、承認されると保険料の支払いは猶予され、10年以内であればあとからゆっくりと支払うことも可能ですので、まずは学生免除申請をすることが大切です。

卒業後に申請する場合は在学証明書の原本を提出!

卒業後に申請する場合は、在学証明書や在籍証明書の原本の提出が必要です。


卒業後に遡って申請する場合は、在籍中と異なり学生証のコピーは使用できません。


代わりになる証明書として、在学証明書や在籍証明書を学校から発行してもらって提出をしてください。


実際に学校に在学していた期間を確認するためにこれは必須条件となります。


なお、卒業証明書でこれらの証明書に代えて証明するケースもありますので、それぞれの学校に確認してください。


申請のときには、一般的な手続きのときと同じように年金手帳と認印が必要です。


この手続きをすれば2年1か月前までの分が申請できます。


例として、令和4年11月に申請する場合は、令和2年10月の保険料分の免除が受けられることになります。

学生納付特例を利用している人には毎年制度継続用のはがきが届く!


学生納付特例の申請を出して承認された人には、毎年制度継続用のはがきが届きます。


この制度を利用するには毎年申請が必要になります。


最初の1回の申請で済むわけではないので気をつけましょう。


1度学生免除の申請をした人は翌年も申請する人がほとんどです。


収入が増えた人は別ですが、一般的には学生を終了するまでは免除申請をする形になります。


しかし、学生は何かと忙しく、ついうっかり申請忘れをしてしまう可能性があります。


それを防ぐために継続手続き用のはがきが日本年金機構から送られてきます。


発送時期は年度末(3月末)になります。


令和4年度は令和4年3月31日に発送予定です。


ですから、4月初旬にはがきがつきますので忘れずに手続きしましょう。


はがきには自分の住所、氏名、学校名、在学予定年月、申請期間、前年所得などを書いてプライバシーシールを貼ってポストに投函するだけの簡単な手続きです。


証明書類も新たに必要ありません。切手を貼る必要もありません。


なお、通っていた学校が変わったときは確認が必要になるので、このはがきでは手続きできません。


ほかの申請書が必要になるので、その場合は年金事務所へお問い合わせください。


また、学生免除を受けないで支払う場合の金額もはがきに書かれていますので、免除を受けない場合はどのくらい支払うのかなど、参考にしてください。

学生納付特例を申請をしていない人は通常の申請書を提出

学生納付特例の申請をしていない人は、通常の申請書の提出が必要となります。


例えば、1年目は収入があったので国民年金保険料を支払えていたが、在学2年目になって収入が減り保険料を納めるのが困難になった場合は、通常の申請書を提出すれば免除申請ができます。


先ほどお伝えした継続用のはがきは、すでにこの制度を利用している人にのみ届きます。


あくまで継続して免除申請をする人が簡単に手続きできるためのものです。


初めての申請の場合は申請書を記入して所定の手続きを取ってください。


なお、継続用のはがきをなくしてしまった場合も、同様に通常の申請書を記入して提出することになります。


手続きすることは可能ですが、はがきを出すよりも面倒な手続きになります。


ですから、はがきをなくさないように届いたらすみやかに書いて提出するように心かげましょう。

学生納付特例制度の申請に関するQ&A


学生納付特例制度の申請について、ひととおり説明してきましたが、ここで疑問点についてお答えしたいと思います。


この制度を利用しないときの年金受取り額や申請時期、収入の上限など知りたいことはたくさんありますよね。


そこで、

  • 未納があった場合、将来もらえる額は大幅に減るのか?
  • 学生納付特例制度の申請時期のべストタイミングは?
  • アルバイトをしていてもこの制度は申請できる?

以上3点について説明していきます。

①2年間年金未納の場合、将来もらえる額は大幅に減るのか?

2年間年金を納めなかった場合、年金額は減ります。


どのくらい減るのか計算してみましょう。


老齢基礎年金額の計算式は

老齢基礎年金額=777,800円×納付月数÷480か月

この480か月とは、満額掛けた場合の月数のことです。


満額で年金は777,800円受け取れます。…①


そして納付月数が減るとその分だけ受取り額が減っていきます。


2年間の未納があった場合、

777,800円×456か月÷480か月=738,910円

年金額は738,910円です。…②


年金の差額は

①-②=38,890円

となり、2年間未納すると毎年約4万円の年金が減らされることになります。


年に4万円だとそれほどでもないから申請しなくても良いかな?と思うかもしれません。


しかし、仮に90歳まで長生きした場合で考えると

4万円×25年=100万円

となり、受取り額で約100万円もの差がでるのです。


目先の金額のみ見ていると思わぬ罠がありますよね。


高齢になると年金のみが収入源になります。


その中で100万円という金額は大きいと思われます。


若い時にしっかりと支払っておく大切さが感じられる数字ではないでしょうか。

②年金の学生納付特例制度の申請時期はいつが良い?

年金の学生納付特例制度の申請時期はいつが良いかを説明します。


20歳の誕生日を迎えると、2週間以内に日本年金機構から国民年金加入のお知らせが届きます。


その中には学生納付特例制度の申請書が同封されています。


20歳のときは学生である人が多いため、この制度の申請をする人向けにあらかじめ用紙が入っているのです。


ですから、このお知らせが届いたときは後回しにせず、まずはすぐに内容を確認して申請書を出すのが申請忘れをしない一番良い方法と言えます。


この手続きさえ失念しなければ、保険料の追納は10年以内にすれば大丈夫です。

③アルバイトをしていても年金の学生納付特例制度は申請できる?

アルバイトをしていても年金の学生納付特例制度は所得額によって申請できる場合とできない場合があります。


この金額は次の式で計算します。

所得基準額=128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

この所得額は、あくまで学生本人の所得になります。


家族の所得の大小は関係ありません。


バイトで給料をもらっているときは、下記で計算した額が所得基準額をこえていなければ免除申請ができます。

給与所得額=給与収入-給与所得控除

給与等の収入金額給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,800,000円まで収入金額×40%-10万円
3,600,000円まで収入金額×30%+8万円


参考:国税庁|給与所得控除(令和4年4月1日現在)


学生の場合、扶養親族、社会保険料控除もなしで計算すると所得基準額内に納まるのは約194万円になります。


実際に計算してみましょう。

給与所得額=194万円-194万円×30%+8万円)=1,278,000円

この、給与所得額が所得基準額の1,280,000円よりほんの少し下回っているので、194万円がこの制度が利用できる収入の上限となります。


ただし、扶養親族がいたり、社会保険料を支払っている場合は上限は上がるので、上記の計算式で計算して金額を確かめてください。

年金の学生免除の申請忘れに関するまとめ

ここまで、年金の学生免除の申請忘れについてお伝えしてきましたがいかがでしたか?


今回の記事では次のことをお伝えしました。


  • 国民年金の学生免除手続きは所得金額が128万円以下、収入は約194円以下の人が対象となる。
  • 学生納付特例制度を利用するには毎年申請が必要なので、継続のはがきが届いたらすみやかに送付すると良い。
  • 申請忘れをした場合は遡って2年1か月前まででき、卒業後でも可能である。
  • 申請が遅れると障害・遺族年金がもらえない場合があるので注意が必要である。
  • 申請忘れしないためには、20歳になって国民年金加入時のお知らせが届いたときが一番おすすめ。


年金は遠い将来のことと思っているかもしれません。


しかし、国民年金は老後の年金のことだけではなく、万が一の保障もついているので遅れても保険料が支払えるように、学生免除の申請をしっかりとしておく必要があります。


国民年金について、若い今の世代から興味を持って支払い忘れがないよう、後々後悔しないように参考にしていただけたらと思います。