扶養に入ると旦那の給料は上がる?減る?外れるときの問題も解説のサムネイル画像
▼この記事を読んでほしい方
  • 扶養に入ると旦那の給料は上がるのか減るのか知りたい方
  • 旦那の扶養から外れるとどうなるか知りたい方
  • 旦那の扶養に入るメリット・デメリットを知りたい方
  • 扶養に入る際の年金の手続き方法を知りたい方

内容をまとめると

  • 旦那の扶養に入ると所得税の控除や社会保険料の免除で手取り給料が上がる
  • 旦那の扶養から外れると所得税が増えたり社会保険料の支払いがある
  • 妻の年収が150万円以下で所得控除が最大化される
  • 扶養に入る際の年金手続きで、事実発生から5日以内に被扶養者(異動)届を提出する必要がある
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扶養に入ると所得税額の控除や社会保険料の支払いの必要がなくなるといったメリットがあります。直接的に旦那の給料が上がる・減るといったわけではありませんが、控除や保険料の免除によって実質的に手取りの給料が増えることになります。

この記事の目次

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旦那の扶養の種類は、税法上と社会保険の扶養の2種類


結婚して主婦になる方や育休明けで仕事に復帰しようと思っている方は、扶養に入ると給料減るのかどうか不安ですよね。


旦那の扶養に入ると直接的に給料が増えるわけではありませんが、所得控除や社会保険料の免除によって実質的に手取りの給料が増えることになります


まずは扶養の種類について確認していきましょう。


旦那の扶養の種類は、税法上の扶養社会保険の扶養の2種類あります。


税法上の扶養

税法上の扶養とは、家計を主に支えている旦那が、妻や子供などの年間の給与収入が103万円以下の場合に所得税や住民税の控除を受けることです。


その一方で、妻や子供の給与収入が103万円を超えてしまうと、控除の対象では無くなり妻や子供本人も税金を納める必要があります。


社会保険の扶養

社会保険の扶養とは、家計を主に支える旦那が加入している健康保険や厚生年金の被扶養者になることです。


妻や子供などの本人が健康保険料などを納める必要が無くなります。


社会保険の扶養控除の対象や年収などによって被扶養者になれるかなれないか決まってくるので、把握しておきましょう。

旦那の扶養に入るメリット・デメリット


旦那の扶養に入るメリット・デメリットは以下の通りです。


旦那の扶養に入るメリット

  1. 旦那の扶養に入るメリット1:配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる
  2. 旦那の扶養に入るメリット1:配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる

旦那の扶養に入るデメリット

  1. 旦那の扶養に入るデメリット1:年金額が減る
  2. 旦那の扶養に入るデメリット2:働き方が限定される

旦那の扶養に入ると旦那の給料が減るわけではなく、控除を受けることができて実質的な手取りを増やすことができます。


逆に扶養に入る妻が将来的な年金額が減ってしまうといったデメリットもあるので、旦那の扶養に入るメリット・デメリット双方を知っておきましょう。

旦那の扶養に入るメリット1:配偶者控除・配偶者特別控除を受けれる

旦那の扶養に入ることで、配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができます


配偶者控除は、妻(配偶者)の合計所得金額が年間で48万円以下のケースで適用される所得控除で、配偶者特別控除は、妻(配偶者)の合計所得金額が年間48万円以上の場合に適用される所得控除のことを指します。


配偶者控除・配偶者特別控除の要件として、民放の規定による配偶者であること(内縁関係は除く)のような共通の要件であったり、配偶者特別控除にしかない要件もあるので、適用条件を確認しておくことが大切です。


両者は併用ができないのでどちらか一方の適用になりますが、仮に適用されれば年末調整や確定申告を行う際に計算をしましょう!


旦那が負担する税金が減るので、実質的に手取り給料を増やすことができます。

旦那の扶養に入るメリット2:国民年金・国民健康保険に入らなくても良い

旦那の扶養に入ることで、妻は国民年金・国民健康保険に入らなくても良くなります


つまり妻は国民年金・国民健康保険の保険料を支払う必要がなくなります。


妻が社会保険上の扶養に入ることができない場合、国民年金・国民健康保険の保険料を妻本人が支払う必要がありますが、旦那の扶養に入れば旦那が保険料を支払うだけで、妻の保険料も支払っていることとされます。


社会保険の扶養の条件として妻の年収が130万円以内であることが条件になるので、条件をしっかりと確認しておきましょう。

旦那の扶養に入るデメリット1:年金額が減る

旦那の扶養に入ると、将来的に年金額が減ることになります


扶養に入った妻は、保険料支払わなくても国民年金(老齢基礎年金)を受け取ることができますが、扶養に入った期間分の厚生年金を受け取れないので実質的に年金額が減ってしまうことになります。


以下の表は厚生年金に加入せずに、国民年金だけの場合の年金額です。




専業主婦
老齢基礎年金
777,792(月額64,816円)

扶養に入るメリットの方が大きいですが、年金額に差が出てしまう点はしっかりと把握しておきましょう。

旦那の扶養に入るデメリット2:働き方が限定される

旦那の扶養に入ると、働き方が制限されてしまいます


先述した通り、税法上の扶養の条件は年間の給与収入が103万円以下、社会保険の扶養条件は年収が130万円以内のためパートやアルバイトで働く以外の選択肢がありません。


「もっと収入を上げないと生活していけない人」や「自分の好きな仕事をしてやっていきたい人」などは、扶養に入るのではなく扶養に入らないという選択肢も必要になります。


さらに一旦正社員を離れてパートや専業主婦になると、その後の正社員復帰するのも大変ですしそもそも正社員として就職するのも困難なケースもあるので、注意しましょう。

妻の年収150万円以下で所得控除が最大化される


妻の年収150万円以下で、妻が扶養に入ることで旦那の年収によって配偶者特別控除の最大38万円が所得控除されます。


配偶者特別控除の控除額を以下の表にまとめました。


納税者・配偶者の所得と控除額の関係

納税者・配偶者の所得と
控除額の関係
900万円以下
(納税者)
900万円超950万円以下
(納税者)
48万円超95万円以下
(配偶者)
38万円
26万円
95万円超100万円以下
(配偶者)
36万円
24万円

妻の合計所得金額が48万円超95万円以下(年収103万円から年収150万円以下)の場合、配偶者特別控除額が、最大38万円の控除が適用されて税負担が少なくなります。

仮に年収150万を超えてしまうと、所得控除される金額が徐々に減ってきてしまうので、注意が必要です。

ちなみに妻の年収が103万円以下を下回ると配偶者控除が適用されて、最大38万円の所得控除が適用されるので、チェックしておきましょう。

【ケース別】社会保険の扶養の年収基準

社会保険の扶養の年収基準を以下のケース別で解説していきます。

  • 妻の年収が106万円のケース
  • 妻の年収が130万円のケース
妻の年収によって、夫の扶養から外れて社会保険に加入する必要が出てきます。

そうなると妻本人が国民年金や国民健康保険の保険料を支払う必要があり、その分手取りは減ることになります。

年収基準としては年収106万円130万円の2つのケースなので以下で確認していきましょう。

妻の年収が106万円のケース

妻の年収が106万円、いわゆる「106万円の壁」には要件があり、これを満たす場合に社会保険に加入する義務が発生してきます。

要件は以下の5つです。

  1. 所定労働時間が週20時間以上
  2. 雇用期間が2ヶ月以上の見込みがある
  3. 1ヶ月の賃金が8.8万円(年収106万円以上)を超える
  4. 学生ではない
  5. 従業員数が101人以上の企業
5の従業員数について、社会保険の被保険者数で計算されます。令和6年10月から「従業員数が51人以上の会社」も対象になるので注意しましょう。

106万円以上のケースでは、条件にもよりますが、年間の社会保険料の負担が年間約15万円ほどと言われています。

要件と年収についてしっかりと把握しておきましょう。

妻の年収が130万円以上のケース

妻の年収が130万円、いわゆる「130万円の壁」の場合、妻は自分で社会保険に加入する必要が出てきます。


130万円を超えると旦那の扶養から外れて、社会保険に加入して保険料を支払う可能性があります。この社会保険料は勤務先にもよりますが、収入の約15%ほどなので、年収150万円の場合に年間20万円以上の保険料負担が発生します。


年収130万円を超えてもどの機関から連絡が来るというのはないので、自身で収入の把握をするのを心がけましょう。

旦那の扶養から外れるときの税金や社会保険はどうなる?


旦那の扶養から外れると税金や社会保険は以下のことが起こります。

  • 旦那の扶養から外れると起こること:所得税が増える
  • 旦那の扶養から外れると起こること:社会保険に加入して保険料を払う

旦那の扶養から外れると所得税が増え、手取り額が減ってしまったり、社会保険に加入をして保険料を支払う必要が出てきます。


扶養から外れることが一概に悪いというわけではありませんが、年収が中途半端に基準を超えてしまうと扶養に入っていた方が良いケースもあるので、以下で扶養から外れると起こることを詳しく解説していきます。

旦那の扶養から外れると起こること①:所得税が増える

旦那の扶養から外れると、世帯全体の所得税が増えて手取り額が減ってしまいます


先述の通り、妻の年収が103万円を超えると所得税が課せられます。条件に適していれば妻の年収150万円まで最大38万円の控除を受けることができますが、この150万円を超過すると控除額が減額されて所得税が増額されていきます。


せっかく生活費の足しにしようと思ってパートやアルバイトを始めたのに結局所得税が課されて、手取り額が同等かもしくはそれ以下に下がってしまうなんてこともあります。


そうならないためにも、

  • 所得税のかからない範囲で働くか
  • 税金を引かれても問題ないくらいの収入を得る
のどちらにするのか、良く検討をして決めていきましょう。

旦那の扶養から外れると起こること②:社会保険に加入して保険料を払う

旦那の扶養から外れると、妻は社会保険に加入して保険料の支払いをしていくことになります。


妻の年収が130万円以上、条件に合致すれば106万円以上で旦那の扶養から外れて、勤務先から社会保険に加入するよう言われます。


そうなると勤務先の給与から天引きで社会保険料が引かれるので、手取り収入が減って家計にとって負担になるでしょう。


旦那の被扶養者になっていれば保険料を支払う必要はないので、年収130万円以上もしくは、先述した年収106万円以上の加入要件を確認してみましょう。

扶養に入る際の年金の手続き方法


扶養に入る際の年金の手続き方法は以下のステップです。

  1. 届出書類の確認
  2. 届出書類の取得
  3. 日本年金機構に提出
被扶養者がいる場合に事実発生の時から5日以内に「被扶養者(異動)届」を、日本年金機構に提出する必要があります。

「被扶養者(異動)届」に加えて、収入要件を確認するための書類も必要になる場合がありますが、所得税法上の控除対象配偶者となっていると事業主の証明があれば収入確認の書類も不要になります。

全員共通で添付の必要があるのは以下の書類です。
  • 続柄確認のための書類(被扶養者の戸籍謄(抄)本、住民票の写し)
  • 収入要件確認のための書類(所得税法の規定内であれば事業主証明があれば不要)
大前提として被扶養者の要件に当てはまっているか確認をして、手続きに入るようにしましょう。

まとめ:扶養に入ると控除があり、夫の手取り収入が増える


本記事で扶養の種類や旦那の扶養に入るメリット・デメリット、ケース別の社会保険の年収基準、手続き方法などについて解説してきました。


扶養に入ると直接的に旦那の給料が増えたり減ったりするわけではありませんが、所得税の控除や妻の社会保険料の免除といったように、手取り収入が増えて実質的に手取りの給料が増えることになります。


仮に妻の年収によって扶養から外れて所得税が増えたり社会保険料を支払うことになりますが、その代わり将来的に受け取れる年金が増えるので、扶養に外れるのが悪いというわけではありません。


扶養の条件やメリットなどを知って、思っていたのと違ったということにならないようにしましょう!

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。