生活保護を受けながら犬や猫を飼うことは可能なのでしょうか。この記事では、生活保護受給者がペットを飼うことができるのかを解説しています。生活保護を受けながらペットを飼う注意点や、ペット可の賃貸物件に引っ越す際の注意点も説明しています。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 生活保護はペットを飼っていても受けられる?
- 生活保護はペットを飼っていても受けられる!
- ペットの飼育は精神的に良い影響がある
- ペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点5選!
- ①生活保護制度の目的はペットを飼いながら生活することではない
- ②支給額が増額されることはなく生活費がギリギリになる
- ③ペットが病気になった場合にお金が必要になる
- ④犬や猫を多頭飼いしているとケースワーカーからは悪印象
- ⑤新しくペットを飼い始めるのは難しい
- 不妊去勢手術では自治体の助成金を利用できる
- 生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのは大変
- ①ペット可の物件が限られる
- ②ペットを飼っていると引っ越しの初期費用が高くなる
- ペットをどうしても飼えないときは里親を探そう
- まとめ:ペットを飼っていても生活保護は受けられる!
生活保護はペットを飼っていても受けられる?
生活保護を受給している人のなかにはペットを飼いたいという人もいると思います。
しかし生活保護は所得の低い人や生活に困っている人が最低限の生活を送るためにもらうもの、ということでペットを飼っていることに罪悪感を持ってしまうのではないでしょうか。
この記事ではそんな人に向けて、
- 生活保護はペットを飼っていても受けられる!
- ペットの飼育は精神的に良い影響がある
- ペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点5選!
- 不妊去勢手術では自治体の助成金を利用できる
- 生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのは大変
- ペットをどうしても飼えないときは里親を探そう
とても役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
生活保護はペットを飼っていても受けられる!
生活保護を受ける際にペットを飼っていると受けられなくなるというルールは存在しません。すでにペットを飼っていても生活保護を受けられます。
注意しなければならないのは、ペットを飼っているからといって支給額が増えたりはしないことです。そのため生活保護のお金でペットにかかる費用を支払わなければいけない点は注意しましょう。
ペットを飼っていることで、ペットにかかる費用が生活を圧迫してしまっていると処分の指導をされる可能性があります。
このようにペットを飼っていても生活保護は受けられますが、ペットの飼育費も生活保護のお金で賄わなければいけない点は注意しましょう。
ペットの飼育は精神的に良い影響がある
ペットの飼育は飼い主に精神的に良い影響を与えます。生活保護を受給している人のなかには精神的に問題を抱えてしまっている人もいるでしょう。そうした人にとってペットは大事なパートナーとなりえるのです。
ペットとのふれあいによって脳内で幸せホルモンのオキシトシン、安心ホルモンのセロトニン、恋愛ホルモンのフェニルエチルアミンといったものが分泌されます。
これらのホルモンにはストレス軽減、疲労感軽減といった効果があるのです。人とのふれあい、ウォーキングなどの軽い運動によっても分泌されるものですが、ペットとのふれあいによっても同じ効果が得られます。
このようにペットを飼育すると脳内でホルモンが分泌され、精神的に良い影響があるのです。
ペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点5選!
ここからはペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点を紹介します。
ペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点は、
- 生活保護制度の目的はペットを飼いながら生活することではない
- 支給額が増額されることはなく生活費がギリギリになる
- ペットが病気になった場合にお金が必要になる
- 犬や猫を多頭飼いしているとケースワーカーからは悪印象
- 新しくペットを飼い始めるのは難しい
以下で詳しく紹介します。
①生活保護制度の目的はペットを飼いながら生活することではない
1つ目の注意点は生活保護制度の目的はペットを飼いながら生活することではないことです。
生活保護制度は最低限の生活の保障と自立の助長を困窮の程度に応じて行うことが目的となります。
あくまで生活保護を受ける人が社会的に自立することを目的としているので、ペットを飼っていることは考慮されません。
生活保護を受けられるからといってペットの面倒を見てくれるわけではなく、あくまでその点は自己責任となるので注意しましょう。
②支給額が増額されることはなく生活費がギリギリになる
2つ目の注意点は支給額が増額されることはなく生活費がギリギリになることです。
前述したようにペットを飼育しながら生活することは生活保護制度の目的ではありません。
ペットを飼育していることによって生活保護の支給額が増えるわけではないのです。つまり本来の世帯人数に対して支給される金額でペットの飼育費まで賄わなければいけないということになります。
ペットを飼育していて生活保護を受給する人は一度、生活費のシミュレーションをして生活費がギリギリにならないか確認してみるようにしましょう。
③ペットが病気になった場合にお金が必要になる
3つ目の注意点はペットが病気になった場合にお金が必要になることです。
ペットが病気にかかり、病院に行く必要があります。動物病院では多額の診察料や治療費が発生します。
病気かかる治療費は種類にもよりますが、高いもので1か月に数万円かかることもあるのです。生活保護を受給している人にとっては大きな負担でしょう。
このようにペットが病気になった場合、お金が多く必要になるので注意してください。
④犬や猫を多頭飼いしているとケースワーカーからは悪印象
4つ目の注意点は犬や猫を多頭飼いしているとケースワーカーからは悪印象ということです。
生活保護を受給している人のもとには定期的にケースワーカーが訪問します。
そのケースワーカーから見て生活保護を受給している人がペットを多頭飼いしていたらどんな感情を持つでしょうか。口にはしなくとも「そんなにペットを飼うなら自分で働いてほしい」と思う人もいるでしょう。
そうなると自然と就労活動のチェックが厳しくなったり、飼い主にとってはマイナスになってしまいます。
ペットを多頭飼いしている人はケースワーカーに悪印象をもたれてしまう可能性を考慮するようにしましょう。
⑤新しくペットを飼い始めるのは難しい
5つ目の注意点は新しくペットを飼い始めるのは難しいことです。
生活保護制度は最低限の生活を保障するものですが、そのなかにペットは含まれません。生活保護を受給している人は貯金もほとんどない人が多いので、新しくペットを飼い始めることは金銭的に難しいです。
また一般的な考え方として、生活保護を受給しているのにペットを飼い始めるというのはいい印象は持たれないと思います。
どうしても飼いたいということであれば、ケースワーカーに一度相談してみましょう。それでもペットを新しく買い始めることは難しいと思うようにしてください。
不妊去勢手術では自治体の助成金を利用できる
ペットの不妊去勢手術では自治体の助成金を利用できます。
この助成事業はさまざまな公益財団法人や地方自治体が行っているものがあります。
オスとメスで金額が違ってきますが、数千円の助成金を出す自治体や団体が多いようです。こうした制度を活用することで不妊去勢手術の負担を軽減することができます。
ペットの不妊去勢手術をするときは自分の住んでいる地域で助成金が出る制度がないか調べるようにしましょう。
生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのは大変
ここからは生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのは大変ということについて紹介します。
生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのが大変な理由は、
- ペット可の物件が限られる
- ペットを飼っていると引っ越しの初期費用が高くなる
以下で詳しく紹介します。
①ペット可の物件が限られる
1つ目の理由はペット可の物件が限られることです。
賃貸物件を契約するということはアパートかマンションを借りるということになります。ペットを飼った状態で物件を借りるには、まずペット可の物件である必要があります。
しかし賃貸物件のなかには近所トラブルや騒音と避けるためにペットを飼うことを禁止しているものが多くあるのです。つまりペットを飼っているだけで選べる物件の選択肢が減ってしまいます。
せっかくいい物件を見つけられたのにペットを飼うことが禁止されているために入居できないということもあるでしょう。
ペットを飼っているということは賃貸物件を借りるうえで、選択肢に制限がかかるということは覚悟しなければなりません。
②ペットを飼っていると引っ越しの初期費用が高くなる
2つ目はペットを飼っていると引っ越しの初期費用が高くなることです。
とくに敷金は家賃1か月分多く支払わなければならないなど、初期費用が1割から2割ほど高くなる傾向にあります。
これはペットを飼っていることによって発生するリスクに対応するためです。リスクとはペットが壁を傷つけてしまったり、部屋を汚してしまうことを指します。
家主側としては退去時にそれらの補修やクリーニングをしなければなりません。
またペットを引っ越し先の部屋まで運ぶサービスを利用する場合、その費用もかかりますので初期費用はさらに高くなる可能性があります。
こういった事情から初期費用が高くなる傾向にあるのです。
初期費用の交渉をすることもできます。しかしペット可の物件が限られているので、足元を見られてしまい交渉がなかなかうまくいかない可能性が高いです。
初期費用が高くなることについては妥協しなければならない部分もあるでしょう。
ペットを飼っている人が引っ越しをするときは初期費用が高くなることに注意してください。
ペットをどうしても飼えないときは里親を探そう
ペットをどうしても飼えないというときは里親を探すこともおすすめです。
里親はペットショップなどでペットを購入するのではなく、ほかの飼い主や動物保護団体から無償でペットを譲り受ける人のことです。
里親を探す方法としてはまず家族や知人、友人をあたってみるようにしましょう。ペットを飼いたいと思っているがなかなかきっかけがないという人がいれば飼ってくれるでしょう。また知り合いに預けていれば、たまにペットに会いにいくこともできます。
ほかには新聞、雑誌などの広告を利用する方法があります。メディアの広告に載せることで広く里親を募集することができます。ただし広告を載せるのにお金がかかるという点は注意が必要です。
またインターネットで募集をかける方法もあります。現在では里親を募集するサイトもあるので、比較的安全に里親を見つけることもできると思います。
ペットをどうしても飼えないというときはこれらの方法で里親を探してみてください。
まとめ:ペットを飼っていても生活保護は受けられる!
ここまでペットを飼っている人が生活保護を受けられるかということについて紹介しました。
生活保護を受給している人でもペットを飼うことはできます。しかしお金の問題や賃貸物件の初期費用など、さまざまなデメリットがあることも知っておくべきです。またペットをどうしても飼えないときは里親の募集も検討すべきでしょう。
この記事では、
- 生活保護はペットを飼っていても受けられる!
- ペットを飼いながら生活保護を受けるときの注意点
- 不妊去勢手術では自治体の助成金を利用できる
- 生活保護受給者がペットを飼いながら引っ越しをするのは大変
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