建設業に必要な工事保険とは?保険の種類や保険料などを徹底解説!のサムネイル画像

工事現場では、予期せぬ事故やトラブルが発生することが多く、工事保険の重要性が一般的に認識されています。工事保険は、建設現場での事故や損害に対する保障を提供し、経営者や現場監督にとって安心の一助となります。


しかし、どの保険が最適かを判断するのは容易ではないので、保険の種類や保障内容が多岐にわたるため、適切な選定が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、工事保険の種類や選び方を中心に、工事保険を正しくするための最適な方法も詳しく解説します。 


・建設業を営んでいるが、工事保険の内容が具体的にわからず不安な経営者

・既存の工事現場での保険内容を見直したいと考えている経営者


な方は本記事を参考にすると、工事現場に最適な保険の選び方や、経営リスクを最小限に抑えるためにどのように対処すべきかがわかるようになります。


内容をまとめると

  • 工事保険は「物」に対する補償であり、人に対する補償ではない。
  • 3種類の工事保険があり、工事内容にあった工事保険へ加入することが大切
  • 工事保険は基本補償に加え、特約を付帯することで様々なリスクをカバーできる
  • 工事保険を検討するときは、補償されない場合も必ず確認すること
  • 工事保険は所在地や請負金額によって保険料が異なる
  • 包括契約や経営事項審査評価点によっては、安い保険料となる場合がある
  • 工事保険の加入や見直しで困ったら、法人契約や事業リスク対策の専門家に「無料で何度でも」相談ができるマネーキャリアに相談する会社も急増している。
「谷川 昌平」

谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

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工事保険とは?


建設業には、着工してから施工主に引き渡すまでの間、もしも事故が起きてしまった場合には、工事の対象物に対する責任があります。

もしも工事の対象物に損害が出てしまった場合に備える法人向けの損害保険が『工事保険』ですが、補償の種類は様々で、建設工事にかかわるリスクに備えた賠償償保険の総称が『工事保険』と呼ばれているのです。

工事保険には従業員への補償や通行人などの第三者への補償も含まれていると思われがちですが、これらは補償の対象外であり、あくまで工事物に対する賠償保険となります。

また、どのような事故に備えた保険に加入するかによって、加入すべき保険が異なるので注意しましょう。
  • 建設工事中の事故
  • 電気工事やプラント、機械の組み立て中などの事故
  • 土木工事中の事故
もしも事業内容と異なる保険に加入していると、補償されないため加入の意味がありません。

元請け会社である法人だけでなく、個人事業主である一人親方は、万が一に備え、補償内容をよく確認して工事保険を検討しましょう。

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工事保険における「3種の分類」とは


リスクごとに備えられる工事保険には3つの種類があり、検討する際にはそれぞれの特徴をよく理解しておくことが重要です。

工事保険の種類備えるべきリスク
建設工事保険建物の建設中に起こりうる事故
土木工事保険道路やトンネル工事中に起こりうる事故
組立保険エレベーターなどの設置や機械設備、
プラント工場を組み立てる時に起こりうる事故


それぞれの工事保険は、不測かつ突発的に起こった事故でなければ補償されない共通点はあるものの、補償内容の特徴は異なります。


施工内容に応じた現場保険として考えるべき工事保険は、どのようなリスクに備えるべきなのかに着目し、工事保険を選ぶようにしましょう。

①建設工事保険

建設に携わる際のリスクに備えた建設工事保険は、不測かつ突発的に起きた事故に対する補償があり、対象となる工事には、以下のようなものがあります。

  • 戸建て住宅やマンション、事務所やビルの建設工事
  • 改修や改築、増築工事などの建設工事
  • 建築に必要な仮設工事
  • 建設にかかわる配管や電気工事など

これらの工事に必要となる建設材料も補償の対象となり、事故によって損害を与えてしまった場合に建設工事保険で補うことができます。

ただし建設工事保険は、あくまで建築にかかわることなので、解体工事や撤去作業などは含まれません。

解体工事業者が間違って検討してしまうケースがありますが、壊す建物ではなく、重機や車両など対象となる『請負業者賠償責任保険』を検討すべきです。

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②土木工事保険

道路工事や上下水道工事、トンネルや高速道路などの土木工事を行うとき、自然災害や火災など、不測かつ突発的に起こった事故に対して備える保険が土木工事保険です。


土木工事の現場保険として、工事の対象となるようなものには、以下のような工事例があるので参考にしましょう。

  • 道路工事や高速道路などの橋梁工事
  • 地下鉄や地下街、トンネル工事
  • ダムや河川、港湾工事
  • 上下水道工事
  • 土地造成工事など
屋外や地下での作業が主となる土木工事は、特に自然災害や不測の事態が起こりうる可能性が高く、補償の適用範囲や補償の対象外も含めて、十分確認しておかなければなりません。

土木工事に対する賠償は、ときに莫大な賠償金額となるリスクがあります。

そのため、下請けとして工事を請け負う一人親方などは、元請けの法人から損害保険の加入を必須とされるケースが多く、土木工事保険を検討する機会が多くなっているのです。

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③組立保険

エスカレーターや立体駐車場、発電所などの工事が対象となる組立保険では、他の工事保険と同様に、不測かつ突発的に起こった事故に対して備えられます。


しかし、補償対象の工事には注意しておきましょう。建設工事保険と一緒に加入することのある組立保険では、以下のような工事が対象です。

  • 建物の外装や内装工事、付帯設備(給排水や電気、ガスなど)工事
  • アンテナや鉄塔、鉄骨見物や歩道橋など鋼構造物
  • プレス機械や発電機、ケーブルやエレベーターなど機械の据付・組立工事
  • 発電や冷却、運輸設備や受変電設備など複数の機械や装置の設備一式の工事
  • 加工工場や化学プラント、発電所や鉄工所など工場設備一式の工事

元請けから新築工事と住宅設備工事を同時に依頼された場合、住宅の建築には建設工事保険、建物とは別の用途である給排水やガス・電気の設備設置は、組立保険の対象となります。

もしも建築工事保険にしか加入してなかった場合、火災や自然災害などで賠償責任が発生しても、建物に関する損害しか補償されず、設置した設備などは補償の対象外として、多額の損害額を自己負担する必要が出てしまうのです。

このように、同じ工事保険でも、保険種類の違いによって補償の適用範囲が異なため、補償内容を正しく確認したうえで検討しましょう。

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建設工事保険の補償内容


工事現場ごとに、適切な保険種類に加入すべき工事保険について、代表的な建設工事保険の補償内容について、詳しく解説します。


原則として補償されるのは、以下のような不測かつ突発的に起きた事故が原因で、現状復旧させるために要した費用です。

  • 落雷や火災、爆発や破裂
  • 台風や竜巻、暴風や突風
  • 地盤沈下や洪水・雪崩による被害
  • 盗難
  • 施工や設計、製作や材質などの欠損や施行ミスに起因する事故
  • 従業員や労働者、元請け会社の従業員など第三者の過失または悪意による事故

施行ミスや作業ミスなど、人的なミスが原因で事故が起きた場合なども補償に含まれます。また、工事業者や第三者などの車両衝突や航空機落下など、被害を受けた際にも補償の適用範囲となっています。

ただし、地震や噴火などの天災は補償されず、洪水や雪崩などの水害は保険会社によって補償されないケースもあるので、よく確認しておきましょう。

補償されるのは、工事が完成するまでの間であり、引き渡し後は補償されなくなるので、施工主は生産物賠償責任保険(PL保険)などに加入して、無保険の期間を作らないようにしておくことが大切です。

建設工事保険に付帯できる特約

建設工事保険では、基本補償だけでは不安がある場合、特約を付帯することで補償の適用範囲を拡げることができます。


損害保険会社によって特約有無が異なるので、2つの損害保険会社で比較してみましょう。

特約の補償東京海上日動火災保険三井住友海上保険
復旧を早めるために
超過した費用を補償
復旧時の単価が
高額となった場合の補償
第三者に損害を
与えた場合の補償
工事により管理物件などを
損壊させた時の補償
引渡し後の
メンテナンス期間中の
損害に対する賠償
復旧時に損害原因を
調査する費用を補償
損害に付帯して臨時に
必要となった費用を補償
残存物の撤去費用を補償
荷下ろし作業中の
事故に対する補償

損保ジャパンでは、建設工事保険にワイド特約条項を付帯することで、水災(洪水や土砂崩れ)や雪災(雪崩や霜)など補償範囲を拡大することが可能です。

東京海上日動火災保険と三井住友海上保険、損保ジャパンを比較してみると、建設工事保険の基本補償が異なることから、付帯できる特約にも違いがあります。

建設工事保険を検討する際は、基本補償を確認し、工事事業に必要な補償は何が必要かを考えたうえで、加入する損害保険会社を選ぶことも大切だと言えます。

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建設工事保険で支払われる保険金


建設工事保険は損害保険ですので、復旧するために保険金が支払われることになり、その金額は基本的に実損払方式で決定されています。


損害に対する補填を原則とする損害保険は、生命保険のように決まった保険金額をいくら支払うというわけではないのです。


損害保険金は、以下のように計算され、保険金を受け取るときに免責額などを除いた保険金が支払われます。

支払われる保険金=復旧費用-残存物価格-免責金額

事故とは直接関係なくても、被害の拡大を防ぐために発生した費用を復旧費用として含まれる場合もあり、どこまで補償されるかは保険会社によって規定が異なるので、加入前に確認することがおすすめです。


復旧費用の計算は、損失したものの再取得や再築、修理などに必要となる費用のことをいい、基礎となる金額は工事請負金額の内訳書をもとにして計算されます。


特約を付帯していれば、特約ごとに計算された保険金額が上乗せされますが、保険会社の算出方法によっては、必ずしも満足できる金額にはならないケースがあるので注意です。

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建設工事保険で保険金が支払われないケースとは

建設工事保険への加入を検討するなら、保険金が支払われないケースをあらかじめ確認しなければなりません。


不足する補償を特約として付帯しなかった場合だけでなく、基本補償にも保険金が支払われない場合があるのです。


保険金が支払われないのは、一般的に以下のようなケースがあります。

  • 建設工事保険に加入した法人や一人親方、現場責任者の故意または重大な過失、法令違反をしたときの事故
  • テロ行為やサイバー行為、戦争などによる被害
  • 地震や噴火、津波による被害
  • 損害発生から30日以内に知ることができなかった盗難被害
  • 経年劣化が原因となった事故
その他、保険会社によっては、基本補償で洪水など水害が補償の対象外となっている場合も、保険金が支払われません。


建設工事保険に加入する際には、請負金額や事業内容などの告知が必要となりますが、告知義務違反が発覚した場合にも、保険金が支払われなくなるケースがあります。

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建設工事保険の保険料の相場


建設工事保険の保険料は、保険会社の違いだけでなく、所在地や請負金額などの保険料算出に必要となる条件によって異なります。


そのため保険料の相場は一概にいくらとは言えず、保険料には請負工事による統一性もありません。


たとえば、ある損害保険会社の建設工事保険では、次のような条件だと年間の保険料は16万円です。

  • 工事場所:東京都
  • 建物の構造:鉄筋コンクリート造
  • 工事期間:6ヶ月
  • 請負金額:5,000万円
  • 免責金額:火災や落雷、破裂や爆発以外を原因とした損害(10万円)
  • 損害賠償責任担保特約:対人1事故(1億円、1名5,000万円)、対物(1,000万円)
この場合、損害賠償責任補償が付帯されているため、請負金額100万円に対して年間約3,200円の保険料が必要です。

損害賠償責任補償を付帯しない場合、請負金額100万円に対して年間約2,000円前後の保険料になり、損害保険であるため経費として全額損金算入が可能で、勘定科目は「損害保険料」となります。

また、建設工事保険では、完成工事高評点や技術力評点などによる経営事項審査評価点(経審)が良ければ、保険料の割引を受けることもできます。

平均は700点台ですが、1050点以上など評点が高くなれば、最高30%もの保険料の差が生まれるのです。

年間に多くの工事を請け負う予定があるのなら、包括契約で年間契約を結ぶと10%程度の保険料割引があるので、どれくらい安い保険料になるのかの比較検討が必要になります。

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工事保険に関連するよくある質問


ここからは、法人保険の専門家に寄せられる、工事保険に関するよくある質問をご紹介します。

  1. 工事保険と各賠償責任保険の違いは?
  2. 工事保険に加入義務はある?
補償の見直しや加入時の提案の相談だけでなく、意外に多い質問が、工事保険とはどのようなものなのかという疑問です。

これから加入しようとしている法人や個人事業主、一人親方は、まず工事保険の特徴を知り、事業をおこなう上で必要かを判断する必要があります。

①工事保険と各種賠償責任保険との違いとは?

工事保険と各賠償責任保険では、代表的な違いとして「補償すべきものや相手」によって異なります。


工事保険は、建物などの建設工事中に突発的に発生した火災や事故、盗難や施行ミスなどによって、引渡し前に建物など工事対象物へ損害が出てしまった場合に補償される保険です。

  • 建設工事保険
  • 土木工事保険
  • 組立工事保険 など

一方、賠償責任保険は、第三者の生命や身体、財物に損害を与えてしまった場合に備えておく補償であり、いくつか種類があります。

  • 請負業者賠償責任保険:工事中に第三者への賠償責任を補償
  • 生産物賠償責任保険(PL保険):引渡し後の事故を補償
  • 労災上乗せ保険:自社や下請け会社の従業員など業務中のケガを補償
  • 使用者賠償責任保険:労災保険では不足する従業員への賠償金額を補う補償
  • 法定外補償保険:労災保険とは別に企業独自で労働者を補償するための保険
つまり、工事保険は工事している「物」に対する補償ですが、賠償責任保険では、第三者や施工主、自社や下請け会社の従業員など「人」への補償という違いがあるのです。

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②工事保険に加入義務はある?

工事保険は任意の損害保険であるため、法的な加入の義務はありません。


事故が起きないことが一番ですが、突発的なことは、いつ起こるか予測ができません。もしも事故が起こってしまい、賠償金額が発生しまったら、工事保険がなければ多額の賠償金を支払わなくてはなりません。


企業の健全な経営や社会的信用のためにも、万が一に備えたリスク管理は必須です。


工事を営む法人や個人事業主は、現場ごとのリスクに備えた適切な工事保険と、第三者への賠償に備えて請負業者賠償責任保険には加入しておくべきです。


工事保険や賠償保険に対する保険料は、勘定科目「損害保険料」へ全額経費として損金扱いが可能です。法的義務はない工事保険ですが、工事を請け負う限りは、安全に対する責任として検討すべき保険なのです。

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どのような工事保険を選択すべきかが簡単にわかる方法とは


以下では、自社にとって最適な工事保険を「どのように選択すべきか」が簡単にわかる方法を紹介します。


建設業を経営する際には、現場での事故や損害が頻繁に発生するため、保険は見直す必要があります。たとえば、工事中にクレーンが倒れて周囲の建物に損害を与えたり、作業員が高所から落下してケガをした場合、多額の賠償や治療費が発生するリスクがあります。


しかし、保険の選定には専門知識が求められ、適切な保障内容を選ぶのは容易ではありません。そこで、保険の見直しと同時に、建設業特有のリスクを考慮できるサービスを選ぶことが重要です。


上記の条件を満たすサービスとして、「法人保険のプロに何度でも無料で」リスク対策を相談できるマネーキャリアの活用が必須です。


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まとめ:工事保険について


ここまで、工事保険の概要や種類、保険金が支払われないケースまで紹介しました。


工事保険への加入義務はありませんが、企業としてのリスクや責任を果たすうえでも、加入必須の損害保険です。


現場保険としても考えられる工事保険には、3つの種類があり工事内容に合った工事保険に加入しなければ、万が一のときに補償されなくなってしまうので注意しておきましょう。

  • 建設工事保険
  • 土木工事保険
  • 組立保険
どの保険種類も、保険の対象は物への賠償であり、人に対する補償に備えるなら特約を付帯しなければなりません。一方、工事保険は法人向けの損害保険ですが、どのような保険・特約の組み合わせで加入すべきかは、法人保険の専門知識が必須となります。

そのため、マネーキャリアのような「法人保険のプロへ無料で何度でも相談できる」相談窓口の活用が建設業においても急増しているのです。

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