自動車管理者賠償責任保険とは?補償内容や保険料等を解説!のサムネイル画像

内容をまとめると

  • 自動車管理者賠償責任保険「自管賠」とは、お客様の自動車を保管・整備中に損害を与えたときの賠償費用を補償する損害保険
  • 補償されるのは損害賠償費用に加え、損害防止費用や緊急措置費用なども含まれる
  • 特約の付帯により補償範囲を拡大できる
  • カーナビやドライブレコーダー、自然災害など保険金が支払われないケースがある
  • 業種によって自動車管理者賠償責任保険「自管賠」の保険料が異なる
  • 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ!

自動車管理者賠償責任保険とは、お客様から預かっている車両が破損したり、盗難された場合の損害費用を補償する損害保険です。自動車管理者賠償責任保険は、駐車場管理をしている方や、修理工場を運営している方々におすすめの損害保険です。

記事監修者「金子 賢司」

監修者金子 賢司
フィナンシャルプランナー

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。<br>以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP

この記事の目次

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自動車整備業者を取り巻くリスク


整備受託をおこなうディーラーや整備工場では様々なリスクを伴うことがあり、時には賠償責任を求められるケースもあります。

  • 部品の取り付けミス
  • 取り付けた部品の動作不良
  • 預かった車両の外観に損傷 など
気をつけて取り扱っていても、ユーザーに納車したのち、不具合によってユーザーから整備ミスを指摘され損害賠償を求められる場合があるのです。

様々な請負契約がありますが、なかでも他人から整備受託するディーラーや整備工場は、常にリスクがつきまとう代表的な請負業者だといえるでしょう。

故意による損害賠償だけでなく、ミスによって起こりうる整備ミスであっても、整備不良が見つかれば請負業者として賠償しなければなりません。

そのような損害が発生したときに備える損害保険が「自動車管理者賠償責任保険」となります。

今回は、部品の取り付けミスに対する疑いで地方裁判に至った事例をご紹介します。

他人の財産管理を伴う自動車整備事業者のひとは、ぜひ参考として覚えておいてください。

事故例:部品の取り付けミス

所有者が持ち込んだ新品部品の取り付け、および車検の依頼を受けた整備業者でしたが、ユーザーへの納車完了後、部品の取り付けミスなどについて損害賠償を求められ、地方裁判に至った整備受託の事故事例です。


当初は140万円未満の少額控訴として簡易裁判所に提訴された事案でしたが、地方裁判所にまで至った理由は、争点が複雑であったことが理由でした。


所有者の言い分には次のようなものがありました。

  • 部品を交換した部分すべてに擦過傷・破損
  • 車両に貼り付けていたステッカーに剥離・亀裂
  • 走行中に交換部品から異音
  • 手で触れられないほど高温となった交換部品
このような背景から、自動車整備業者の取り付けミスとして、所有者は簡易裁判所へ提訴しました。

自動車整備業者として、これらの言い分に対して考えられる原因は、納車後の走行で発生したものでしたが、どの時点、何が原因で発生したものかを特定することが非常に困難となったのです。

考えられる原因として、部品の取り付け作業で部品や取付箇所の周囲に傷をつけた、高圧洗浄機の使用によってステッカーに損傷を与えたなどがありましたが、以下のような争点から、地方裁判所へと移送されることになりました。
  1. 車両の外観に対する損傷が、いつ発生したものなのかが不明確
  2. 新品部品の異音や異常な高温が起きた原因がメーカーでも不明
少額控訴であっても、このように争点が複雑化だと判断されれば、当時の写真や専門家による鑑定をもとにした地方裁判がおこなわれるのです。

この事故事例では、裁判上の和解が成立しましたが、自動車整備会社が一定額を賠償するという結果となりました。

自動車管理者賠償責任保険とは?


自動車管理者賠償責任保険は「自管賠」と呼ばれ、駐車場を管理するひとや自動車整備をおこなう工場にとって、賠償責任を負ったときに必要不可欠ともいえる損害保険です。


近年では、損害賠償を求められるケースが多くなった請負業者にとって、万が一の賠償金額に備えて加入すべき保険の1つとなっています。


自動車の管理を任された場合、対象車両の保管中、車両に損傷を与えた場合は業者側の責任となり、もとの状態に戻すための賠償費用を支払わなければなりません。


人的ミスで発生しただけでなく、損害が発生した原因が不明瞭であったとしても、損害賠償を請求されると自動車を管理する業者は明確な証拠が提出できなければ、賠償金を支払う必要が高くなってしまうのです。


ただし、自動車管理者賠償責任保険によって、もしものときの損害賠償に備えられる請負業者は限られています。


事業内容によっては自動車管理者賠償責任保険(自管賠)では補償されない場合もあるので、よく確認したうえで検討するようにしましょう。

保険加入の対象者

自動車管理者賠償責任保険(自管賠)に加入できる対象者や業者には、次のような職種があります。

  • 自動車の整備工場
  • 駐車場を管理している事業者
どちらも、お客様の自動車をお預かりして保管に努めなければならない業種です。

自動車のお預かり期間中に発生した損害は、業者の管理責任として損害賠償を求められるため、万が一に備えて自動車管理者賠償責任保険に加入すべきだと言えます。

しかし、コインパーキングなどのの時間貸や、月極駐車場などは駐車場所を提供する事業であって、車両に対する保管責任はありません。

そのため、自動車管理者賠償責任保険では、このように保管責任を負わない事業者に対する補償は対象外となるため、ぜひ覚えておいてください。

「駐車場内における事故・トラブルには一切責任を負いません」などの文言が入った掲示板をコインパーキングなどで目にするのは、自動車管理者賠償責任保険の加入対象外として補償できないことが理由の1つとなっているのです。

自動車管理者賠償責任保険の補償内容


もしもお客様の自動車を保管中に賠償責任が発生した場合、自動車管理者賠償責任保険(自管賠)で補償される内容は以下のとおりです。

補償内容概要
損害賠償金・対象車両の破損、
汚損、盗難などへの補償
・対象車両の走行に関連するデータ、
プログラムなどへの補償
訴訟費用損害賠償責任に関連する訴訟や
示談交渉において支出した調停や訴訟費用への補償
緊急措置費用事故発生時に、損害を防止軽減するために講じた手段に
対する費用を補償
損害防止費用二次被害防止や損害賠償を受ける権利の保全
などに対する費用を補償
協力費用保険会社が解決に向けた要請の協力に
応じた場合に発生する費用を補償

特に、損害賠償金に対する補償は、該当する車両に対して発生した損害保険なので、補償内容についてはしっかり確認しておく必要があります。


預かった車両に傷がついた場合の賠償金は、車種や損傷状態によって異なりますが経営に影響を及ぼすほどではないかもしれません。


しかし盗難された場合には、車種や台数によって相当の賠償金が予想されるため、自動車管理者賠償責任保険の必要性が高いと判断できます。


緊急措置費用では、防止措置によって損害賠償責任が発生しなくても、応急手当や護送措置に要した費用など、保険会社の同意を得ていれば補償の対象となるケースもあるのです。


自動車管理者賠償責任保険を検討する際は、加入する損害保険会社によって補償内容が異なる場合もあるので、詳細まで確認しておくようにしましょう。

保険金が支払われないケース

損害保険会社ごとに、自動車管理者賠償責任保険(自管賠)に加入していても保険金が支払われないケースもあるので注意が必要です。

  • 燃料や洗車用品、ボディーカバーに対する補償
  • 法令で禁止されている物を定着または装備している自動車や原動機付自動車に対する補償
  • 装飾品に対する補償
  • 自動車に積載している物への補償
これらは、補償の対象外として損害賠償を求められた場合でも保険金は支払われません。

また、自動車の保管だけでなく、整備を請け負う自動車整備工場では、次のような内容についても補償されないので、ぜひ覚えておいてください。
  • 所有者に引き渡したあとに損傷が発見された賠償責任
  • 修理や点検、加工中に技術の拙劣で生じた損害賠償
  • 自動車に定着していないカーナビやETC車載器、ドライブレコーダーなどに生じた事故の損害賠償

もちろん、車両を移動させるために無免許や酒気帯び状態で運転するなど、重大な過失によって引きおこった損害賠償については、自動車整備工場を含めて自動車管理者賠償責任保険の補償対象外となります。

その他、戦争や地震、噴火や津波・洪水、サイバー攻撃による場合も保険金が支払われないので、加入前には自社の負担となる事由については確認が必要です。

自動車管理者賠償責任保険に付帯できる特約

自動車管理者賠償責任保険(自管賠)では、万が一の事故に備えて損害賠償に対する負担を軽減できますが、特約を付帯することで補償範囲を拡大することが可能です。

特約補償内容
使用不能損害補償事故により自動車が使用できなくなったことで
発生した損害賠償への補償
訴訟対応費用補償事故に対する損害賠償請求訴訟を
提起された場合に応訴するための費用を補償
初期対応費用事故発生時における現場保存や写真撮影、
通信費など初期対応の費用を補償
下請負人再託中費用下請負人が事故を起こして
損害賠償が発生したときの費用を補償


お客様から預かっている自動車に損害を与え、休車損害が発生した場合に備えられる「使用不能損害補償」ですが、一定期間のみしか補償されないなど、補償期間が限定されているため、必ず確認が必要です。


幅広いリスクに備えられる特約は、自動車管理者賠償責任保険を取り扱う損害保険会社によって補償内容や条件が定められています。


まずは、どこまで自社のリスクに備えるべきかを精査し、そのうえで必要となる特約の付帯を検討すべきです。

自動車管理者賠償責任保険の保険料について


損害保険会社によって、保険料が変わる自動車管理者賠償責任保険ですが、保険料の決定に影響するのは、加入先のみと考えるのは早計です。


以下のようなものが保険料試算に関係するため、決まった保険料はありません。

  • 保険会社
  • 業種
  • 対象となる車両台数または整備士の人数
  • 保険金額
  • 免責金額
  • 付帯する特約

たとえば、駐車場と自動車修理工場の保険料を比較すると、大きく異なることがわかります。

保険料の比較駐車場で契約修理工場で契約
最高保管台数10台30台
支払限度額1,000万円2,000万円
免責金額5万円5万円
使用不能損害担保特約150万円200万円
保険料約2万円約32万円

自社のリスクに合わせた補償内容とするため、保管台数や支払源度額の違いはあるものの、やはり業種による保険料の違いが大きく影響していることがわかります。


損害保険会社によっては、車両台数ではなく整備士の人数によって加入できる自動車管理者賠償責任保険があるので、自動車修理工場では補償内容を比較しながら検討することが重要です。

自動車管理者賠償責任保険に加入する方法


自動車管理者賠償責任保険(自管賠)に加入するなら、保険商品を取り扱っている損害保険会社や、手続きなどを代行してくれる代理店に相談することで加入できます。


必要とする補償内容をあらかじめ自社で検討し、複数の自動車管理者賠償責任保険の商品を比較しながら加入手続きの申し出をするという流れです。


しかし、業種によって必要な補償内容が異なる自動車管理者賠償責任保険は、自社のリスクマネジメントをもとに検討しなければならず、そもそもリスクについて客観的にとらえられていない可能性があります。


リスクマネジメントについて客観的な視点で考えるためには、法人保険や事業のリスク対策に関する専門家に相談した方が、自社のリスクを様々な角度から認識できるようになります。


経営者や個人事業主の方から、毎月30件以上もの相談を受けている「マネーキャリア」なら、自動車管理者賠償責任保険の補償内容に対する相談だけでなく、事業リスクも交えて、必要な補償をアドバイスしてもらえるのでおすすめです。


相談利用者の98.6%が満足したと回答しているマネーキャリアでは、納得できるまで何度でも専門家に相談できるサービスがあります。


事業リスクに対する備えを検討する際は、ぜひマネーキャリアを活用して、経営に大きな影響を与えることのないリスクマネジメントしてください。

自動車管理者賠償責任保険について相談する

まとめ:自動車管理者賠償責任保険について


自動車管理者賠償責任保険(自管賠)は、お客様の自動車を保管したり整備したりする事業者にとって、損害賠償に備えてかならず加入を検討すべき損害保険です。

  • 自動車管理者賠償責任保険は、預かった他人の自動車に損害を与え、法的な損害賠償金を補償する損害保険
  • とくに、自動車整備業者はリスクが高いため必ず検討が必要
  • 自動車への損害賠償金だけでなく、防止するために要した費用も補償対象となる場合がある
  • 自動車管理者賠償責任保険では、保険金が支払われないケースがある
  • 特約を付帯することで補償の拡大が可能
  • 自動車管理者賠償責任保険の保険料は業種によって大きく異なる
  • 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」の活用がおすすめs

自動車を預かる業種では、損害賠償を請求されることによって、経営に大きなダメージを与えてしまうこともあります。

高額な賠償責任を負わされたとき、少しでもダメージを軽減するためには、自動車管理者賠償責任保険(自管賠)に加入して備えておくことが大切です。

自動車管理者賠償責任保険を検討するときは、リスクマネジメントが不可欠であす。

法人保険や事業リスクで専門家に相談するなら、無料で何度でも利用できるマネーキャリアを、ぜひ有効活用してみてくださいね。

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