漁船保険とは?補償内容や保険料、加入義務などについて徹底解説!のサムネイル画像

内容をまとめると

  • 漁業経営者は、損害賠償や経営リスクに備えるため漁船保険に加入すべき
  • 漁船保険は、大きくわけて5つの保険種類がある
  • 漁船保険(普通損害保険)には掛け捨て部分と積み立て部分がある
  • 漁船保険の保険料は、重量や操業区域によって異なる
  • 漁船保険へ加入するときは、日本漁船保険組合に問い合わせる
  • 損害保険や事業のリスク対策で悩んだら「マネーキャリア」の無料相談がおすすめ

漁船保険とは、漁船が関連する対物・対人の事故による賠償リスクや、復旧費用などの損害を補償するための損害保険です。そんな漁船保険は、5種類の保険があり、保有する漁船や事業内容により、加入すべき保険が異なります。また一部の漁船にはPI保険などの加入義務があります。

記事監修者「金子 賢司」

監修者金子 賢司
フィナンシャルプランナー

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。<br>以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP

この記事の目次

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漁船保険とは?


漁業を営む事業者に必要な損害保険には「漁船保険」があり、主に5つの補償に分かれています。


海で漁業をおこなうとき様々なリスクを伴い、事故が起こってしまった場合には事業存続に大きな影響を与えることが考えられます。

  1. 漁船の火災や座礁などによる損害リスク
  2. 漁船の事故による賠償リスク
  3. 船主や乗組員死傷リスク
  4. 事故による漁獲物への損害リスク
  5. ヨットや小型船舶などプレジャーボートでの賠償リスク
これらのリスクは、漁業を継続するために「漁船保険」に加入して備えておくことが大切です。

漁船保険は、漁業者同士で事故による損害や負担すべき費用を補填しあう保険で、「漁船損害等補償法」に基づいて漁業経営の安定をはかっています。

また、一部の漁船保険では更新をスムーズにおこなうために、満期保険金が支払われる特徴があります。

海難事故においては損害や賠償が発生するリスクもあり、事故における費用は膨大な金額となってしまう傾向があることを忘れてはなりません。

漁業を営むなら、リスクマネジメントをしっかり行い、必要とされる漁船保険への加入が推進されているのです。

漁船保険は5種類ある:それぞれの補償内容を解説


5つの漁船保険では、船員や漁船、事故による賠償責任に対して備えることができます。

  1. 漁船保険(普通損害保険)
  2. 漁船船主責任保険(漁船PL保険)
  3. 漁船乗組船主保険
  4. 漁船積荷保険・転載積荷保険
  5. PB(プレジャーボート)責任保険
それぞれの保険商品には特徴があり、補償される場合や補償内容などがそれぞれ異なります。

リスクに対して適切な漁船保険に加入するためにも、それぞれの保険の特徴をしっかり理解しておいてください。

保険商品ごとに詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

①漁船保険(普通損害保険)

漁業では「普通損害保険」とも言われる「漁船保険」では、以下のような場合に補償されます。

  • 沈没や座礁、火災や衝突によって漁船が損傷したとき
  • 事故を起こした漁船の回航費用や救助者に対する報酬が発生したとき

ただし漁業を営んでいれば誰でも加入できるわけではなく、3つの条件をすべて満たしていなければなりません。
  1. 日本で船舶登録している漁船
  2. 総重量が1,000トン未満の漁船の所有者、または使用者
  3. 加入申込書について日本漁船保険組合の承諾を受けている

「漁船保険」で補填される範囲は、6つの組み合わせの中からいずれかを選んで契約時に決定されます。
  1. 全損、救助費
  2. 全損、救助費、特別救助費
  3. 全損、分損、救助費
  4. 全損、分損、救助費、特別救助費
  5. 全損、特定分損、救助費
  6. 全損、特定分損、救助費、特別救助費
なお、総重量が100トン未満の漁船で、義務加入や集団加入に該当する場合は、国庫負担があるので保険料の一部が軽減されます。

また「漁船保険(普通傷害保険)」には満期保険金があり、貯蓄型の損害保険となっており、年、6年、9年、12年、15年の5つの保険期間から選べます。

満期金は漁船保険を更新するときの保険料に充てることができるので、更新費用を準備しつつリスクに備えられることが「漁船保険(普通傷害保険)」の特徴です。

戦乱等特約を付帯した場合は特約に関する保険料は掛け捨てですが、戦争や襲撃を受けて損害を負ったときに補填することができます。

②PI保険(船主責任保険)

漁船船主責任保険(漁船PL保険)」は、運航中の事故により第三者やその財物に損害を与えてしまったときに発生する3つの損害賠償責任に備えることができます。

  1. 他の船舶との衝突で発生する賠償費用
  2. 財物に対する賠償費用
  3. 第三者に損害を与えた場合の賠償費用
これらの補償は基本損害と呼ばれていますが、5つの特約を付帯することで補償範囲の拡大が可能です。

特約の種類補償内容
漁具損害填補特約他の船舶の漁具に与えた賠償
海外油濁損害賠償填補特約外国200海里水域内の
水質汚濁による賠償
船員送還費用填補特約加入漁船における船員の送還費用
戦乱等特約戦乱によって生じた損害
漁船乗組員給与特約加入漁船の乗組員が
強制的に留められた場合の給与補償


なお、基本損害に加入していれば、任意で2種類の保険を組み合わせることができます。

  • 乗客損害
  • 人命損害

「乗客損害」とは、遊漁客や便乗客など加入漁船の利用者に対する賠償を補償するもので、利用者の所持品や人命救助、遺体捜索費用や死傷した場合に発生した費用が対象となります。


また、人命救助や遺体捜索費用が他船によっておこなわれた場合も、費用を補填することができます。


「人命損害」は加入漁船の乗組員が事故から200日以内に死亡または行方不明、後遺障害となったときに支払われる補償です。

③漁船乗組船主保険

漁船乗組船主保険」は、加入漁船の運航中、乗組員でもある漁船の所有者が船上でおこった不慮の事故によって、死亡または行方不明、後遺障害を負ってしまった場合に保険金が支払われます。


このときに支払われる保険金の半分は、全国共済水産共同組合連合会により、ノリコー(乗組員厚生共済)船上災害契約として補償されます。


船主に対する生命保険として考えられる特徴がありますが、陸上など加入漁船以外は補償されないので、注意しておいてください。

④漁船積荷保険・転載積荷保険

漁船で事故が起こったとき、漁獲物に対する補償が「漁船積荷保険」と「転載積荷保険」です。


2つの保険では、どのようなときに漁獲物が補償されるのかという点で違いがあるので、検討するときには注意が必要です。

保険種類補償される場合
漁船積荷保険漁船に積載中の漁獲物に
損害が生じたときの費用を補填
転載積荷保険加入漁船以外で漁獲物を
運搬していたときに生じた損害費用を補填

「漁船積荷保険」では、漁船保険(普通損害保険)へ加入している漁船に積載している漁獲物や燃料、餌料などが補償対象となるので、漁船保険への加入が必須となります。


そのため、漁船保険へ義務加入している場合や集団加入をしている場合は、保険料の国庫負担があるので、ぜひ覚えておいてください。


一方、「転載積荷帆保険」は単独で加入することができる保険であるため、保険料の国庫負担は発生しません。

⑤PB(プレジャーボート)責任保険

遊漁船やスポーツ・レクリエーションに用いる5t未満のレジャー艇(プレジャーボート・ヨット)の運航中に起きた事故による損害賠償費用を補填できる保険が「PB(プレジャーボート)責任保険」です。


「PB(プレジャーボート)責任保険」には、4つの補償に備えられます。

  1. 漁船やその他の船舶に対する賠償費用
  2. 漁船やその他の船舶に乗船する人を死傷させた場合の賠償費用
  3. 遊漁船などプレジャーボートが漁船や他の船舶に捜索・救助されたときの費用
  4. 乗組員が漁船や他の船舶に捜索・救助されたときの費用

また、「PB(プレジャーボート)責任保険」では保険料の割引が受けられる特徴もあります。

保険料の割引割引率
無事故
(1年)
5%
無事故
(2年)
10%
無事故
(3~4年)
15%
無事故
(5年以上)
20%
団体加入
(10隻以上19隻以下)
5%
団体加入
(20隻以上)
10%


釣船やモーターボートなどは「PB(プレジャーボート)責任保険」へ加入できますが、以下に該当する船舶は加入できないので、注意しておいてください。
  • 漁船登録がある船舶
  • 水上バイク
  • 作業船
  • 競走用モーターボートや教習艇
  • エンジン付きゴム製のボート
  • 竿で運転する小型船舶
  • いかだ

レクリエーションでレジャー艇を使用する場合は、「PB(プレジャーボート)責任保険」へ加入しておけば、海難事故に対する専門スタッフが事故解決に向けて対応してもらえます。

そのため、安心してレジャー艇を使用できるのでおすすめですよ。

漁船保険の保険料の相場は?


漁船保険の保険料は、一概にいくらと確実なことは言えません


各組合の保険約款にて、漁船の重量区分や操業区域、填補範囲によって定められているため、加入しようとする漁船の大きさや使用状況によって保険料が異なるのです。


たとえば「漁船保険(普通損害保険)」の場合、保険料は普通損害保険と満期保険に分かれ、それぞれに保険料に対する規定が設けられています。

  • 普通損害保険:通常部分と異常区分
  • 満期保険:損害部分と積立部分
特に、通常部分では漁業種類やトン数区分、船質や填補範囲ごとに基準率が定められているため、加入しようとする漁業者によって保険料が異なるのです。

なお「PB(プレジャーボート)責任保険」においては、馬力、船舶の大きさによって保険金額ごとに保険料が明確に定められています。

保険金額ごとの保険料例1,000万円5,000万円
モーターボート
(50馬力以下)
9,800円12,800円
モーターボート
(50馬力超100馬力以下)
15,400円18,000円
モーターボート
(100馬力超150馬力以下)
20,000円22,900円
モーターボート
(150馬力超)
24,600円27,700円
ヨット
(8m以下)
10,200円11,100円
ヨット
(8m超)
14,700円16,300円

日本漁船保険組合;「PB(プレジャーボート)責任保険 保険料」より抜粋

漁船保険の加入方法


漁業を営む事業者が漁船保険に加入するときは、まず日本漁船保険組合に問い合わせてみましょう。


保険組合の支所は東京に本庁があり、全国50カ所に保険組合支所があります。


ただし、事業に対するリスクが何なのか、また加入しようとしている補償内容がリスクに合致しているかをよく考えてから加入することが大切です。


事業へのリスク対策に悩んだときは、「マネーキャリア」で保険の専門家にアドバイスをもらえるのでおすすめですよ。


毎月30社以上の法人経営者や個人事業者の方から、法人保険の加入や事業のリスク対策について問い合わせのある「マネーキャリア」では、相談者の満足度が98.6%と高く、安心して利用することができます。


対面やオンライン相談も可能で、保険に精通した専門家に何度でも無料で相談が可能です。


漁船保険に悩んだら、マネーキャリアを活用してリスクへの備え方を相談してみてくださいね。

漁船保険が必要か専門家に相談する

【参考】漁船保険に加入義務はある?:一部には加入義務がある


日本漁船保険組合に加入する事業者は「漁船保険」への加入は任意ですが、一部の漁船を取り扱う事業主は「船主責任保険(PL保険)」への加入が義務付けられています。


船主責任保険(PL保険)」に加入しなければならないのは、以下に該当する場合です。

  • 100トン以上の外航漁船
  • 300トン以上の内航漁船
これらに該当する漁船は、燃料油の流出などに対する油濁損害や、難破物除去損害に対する賠償費用に備えるため、 国土交通大臣から交付される保障契約証明書を船内へ保管しておくことが義務付けられているのです。


なお、それぞれの損害に対し次のような漁船に該当している場合、日本漁船保険組合が発行するPI保険証券やPI英文加入証明書、引受通知書のいずれかを船内に保管しておけば保障契約証明書の取得に代えることができます。

保障の種類該当漁船
燃料油の流出などによる
油濁損害
国際総トン数100トン以上~
1,000トン以下の外航漁船
難破物撤去損害国際総トン数100トン以上~
300トン未満の外航漁船


「漁船保険」は任意保険とは言え、漁船で生計を営む場合はリスクに備えることが大切です。


万が一、事故が発生し大きな損害賠償を背負ってしまったとき、保障がなければ莫大な借金を背負ってしまうことになります。


漁業に対するリスクをしっかり理解し、「漁船保険」の必要性を検討するべきであると言えるでしょう。

まとめ:漁船保険について


漁船保険は、漁業経営者が3つのリスクに備えるために加入すべき損害保険です。

  1. 不慮の事故による損害の復旧や運航費用
  2. 漁獲物への損害
  3. 漁業経営者の経営を守る

漁業を営む事業者は、ぜひ以下にある漁船保険のポイントを覚えておいてください。
  • 漁業を営む事業者は、経営リスクや損害賠償に備えて漁船保険へ加入すべき
  • 漁船保険は、5つの補償内容から必要なリスクに備えることが大切
  • 漁船保険(普通損害保険)には満期保険金がある
  • 漁船保険の保険料は、重量や操業区域によって異なる
  • リスクに備えた漁船保険への加入は、日本漁船保険組合に問い合わせる
  • 損害保険や事業のリスク対策で悩んだら「マネーキャリア」の無料相談がおすすめ

漁船を用いて事業をおこなう場合は、船体や設備の損傷や賠償責任が問われたときのために備えておくことが大切です。

しかし、漁業のリスクは事業ごとに異なります

すでに漁船保険へ加入している事業者も含めて、事業にあった漁業を取り巻くリスクに備えるなら、専門家のアドバイスを参考にすることが大切です。

ぜひマネーキャリアの無料相談を活用し、補償の過不足や重複を避けて最適な漁業保険へ加入するようにしておいてくださいね。

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