入院時の食事代は医療費控除の対象となるのでしょうか。この記事では、入院時の食事代が医療費控除の対象となるかについて解説しています。また、入院時に医療費控除の対象となるその他の費用についても説明しているので、ぜひお読み下さい。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
入院時の食事代は医療費控除の対象となる?
こんにちは、マネーキャリア編集部の古山です。
今回は「病院に入院したときの食事代って医療費控除の対象になるの?」という疑問の解説をしていきます。
医療費控除の対象についても詳しく解説しているので、少しでも還付金を増やしたい方は必見です。
誰しもが病気やケガによる急な入院や手術は予想することができませんので、避けることができません。
この記事を参考にしてください。
今回のこの記事では
- 入院時の食事代で医療費控除になるのはどんな時?
- 食事代の医療費控除の申告に必要なものとは?
- 医療費控除のメリットは?
- デイサービスやデイケアでは医療費控除は受けらない?
入院時に食事代は医療費控除の対象になるものとならないものがある
- 病院に支払う入院患者の食事代は、入院費用の一部であり、入院の対価として支払われるものなので、通常必要なものに限り、医療費控除の対象となる
食事代の医療費控除を申告する際の明細書の書き方は?
では、医療費控除の申告はどのようにすればよいのでしょうか。
医療費控除の申告の流れは次のとおり。
- 医療費控除の対象であるかの確認
- 確定申告を行う
- 医療費控除の明細書を記入
- 必要書類を税務署に提出
- 還付金の確認をする
医療費控除の対象となるのは、1月1日~12月31日のうちに支払った医療費が10万円を超えたとき(年収が200万円以下の場合は年収の5%)です。
医療費控除は年末調整の対象外になっているので、確定申告を行う必要があります。
医療費控除の明細書はこちらからコピーしたものを使いましょう。
書き方も一緒に詳しく書いてあるので読みながら必要事項を埋めましょう。
医療費控除に必要な書類は
- 健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」
- 医療費を病院や医療機関で支払った際の領収書
- 薬局で薬を購入した際の領収書
- その他費用として支払ったものがある場合はその領収書やメモ
入院時の食事代は入院時食事療養費として区市町村も負担している
実は、国以外にも入院時の食事代を負担してくれることがあるのはご存じですか?
各市区町村で「入院時食事療養費」として被保険者のかわりに医療機関に直接支払うことになっています。
患者は厚生労働大臣の定めた標準負担額のみの負担になるので、入院時にかかる費用は軽減されて嬉しいですよね。
標準負担額の目安となるのは、平均的な家庭の食費を参考にし、合わせた金額となっています。
色々な制度があるので、知っておくことで損をしなくなるので、覚えておきましょう。
また、入院時食事療養費について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
(参考 入院時食事療養費とは)
入院時の食事代は高額療養費制度では支給されない
入院時にかかる食事代は高額療養費制度では支給されません。
高額療養費制度とは、公的医療保険制度における給付の1つです。
日本においては、保険医療機関の窓口で支払う医療費の上限が決められています。
つまり、自己負担額が多くなった場合は上限より多く支払った分のお金は返ってくるということになります。
しかし、保険外の診療や差額ベッド代、そして食事代も対象外となっています。
高額療養費制度では食事代は支給されないと覚えておきましょう。
医療費控除の対象となる入院時の費用を紹介!
ここまでは食事代が医療費控除の対象になるのかについて解説をしてきました。
治療に必要な病院食は医療控除の対象になるということでしたね。
そこで疑問になってくるのが、「医療費控除は何が対象になるのか」ということだと思います。
医療費控除になるものは以下のとおりです。
- 病院での診察代や治療費
- 病院からの紹介状を作成する費用
- 通院時にかかる交通費
- 病院から支給される食事代
- 松葉づえなどの医療器具の購入
- 歯の治療費
- 治療に必要なリハビリ、マッサージ費用
- 介護対象者の介護費
①診察代や治療費
まずは、医療機関に支払う診察代や薬代、治療費は医療費控除の対象となります。
診察代や治療費は、入院していなくても必ずかかってくる費用なので医療費控除の対象になるのはありがたいですよね。
保険適用外のものも含まれるので、覚えておきましょう。
薬局で購入した風邪薬なども医療費控除の対象になる場合もあります。
医療費控除の申告の際に必要になってくるので、領収書は忘れないようにもらっておきましょう。
②紹介状の作成費
2つ目は病院側が作成する紹介状の作成費も医療費控除の対象になります。
以前は紹介状の作成費も医療費控除の対象にはならなかったのですが、現在では法改正により対象になっています。
しかし、保険会社などに給付金の請求のために発行してもらったものは治療の対価にならないので医療費控除の対象にならない場合があります。
つまり、紹介状を作成してもらって転院する際は、医師の治療の一環とみなされるので医療費控除の対象になり得るのです。
紹介状の作成費を支払った場合にも領収書をしっかりともらっておきましょう。
③通院の際の交通費
3つ目は、通院時に必ずかかる交通費も医療費控除の対象とみなされます。
しかし、特別な場合や緊急時を除き、バスと電車の費用に限られます。
タクシーの利用は緊急性がある場合や、電車、バスの利用ができない場合に医療費控除の対象になります。
タクシーの利用時にも医療費控除の申告時に領収書を添付する必要があるので忘れずにもらっておきましょう。
注意点:差額ベッド代やパジャマ代は医療費控除の対象外
ちなみに、医療費控除の対象外になるものについても解説しておきます。
医療費控除の対象外になるのは次のとおり。
- 本人や家族の都合による差額ベッド代
- パジャマ代
- 美容整形の費用
- 疲れをいやす目的の施術費用
- 疾病が見つからなかった場合の人間ドック費や健康診断費
- 自家用車のガソリン代
- 出産のための帰省費用
- 治療に関係のない眼鏡や補聴器など
- 疾病予防や健康増進を目的とする医薬品購入費
デイサービスやデイケアを利用した際の食事代は医療費控除の対象外
では、高齢者の方がよく使うデイケアやデイサービスの食事代は医療費控除が受けられるのでしょうか。
両親や祖父母が使用することもあるので、参考程度に見ていきましょう。
結論から言うと、デイサービスやデイケア自体は医療費控除の対象になりますが、食事代は医療費控除の対象にはなりません。
なぜ食事代が医療費控除の対象にならないのかというと、デイサービスやデイケアでの食事代や日用品費は医療費として認められていないからです。
ついでに、デイサービスやデイケアも医療費控除の対象になるには条件があるという解説もしておきます。
その条件とは、
- 訪問看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導、通所リハビリ、短期入所療養介護と併用すること
医療費控除ではなく老人扶養控除も利用しよう
それでは最後に、老人扶養控除について解説しておきましょう。
場合によっては医療費控除を使うよりも良いことがあります。
老人扶養控除の特徴は、
- 70歳以上の高齢者を扶養している人が対象
- 一般の扶養控除とは違い、控除金額が増額される
- 同居していなくても、老人ホーム代や仕送りをしている場合も対象となる
- 70歳以上であること
- 配偶者以外の6親等以内
- 納税者と生計をともにしている
- 年間所得が38万円以下
- 青色申告や白色申告の事業専従者としての所得がないこと
まとめ:入院時の食事代は条件付きで医療費控除の対象になる
今回のこの記事では、入院時にかかる食事代は医療費控除の対象となるのかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
入院時にかかる費用は多額になってしまうことも多いので、医療費控除の対象になっているものについてはしっかりと申告するようにしましょう。
今回の記事のポイントは
- 入院時にかかる食事代で医療費控除の対象となるのは、病院から支給される食事にかかる費用で、自己都合で購入した食事代は医療費控除の対象とならない
- 医療費控除の対象となる食事代を申告する際には領収書が必要になる
- 医療費控除では、治療に必要なものであれば控除対象となる
- 自己都合で医療機関を使う場合や、直接治療に関係のないものにかかる費用は医療費控除の対象とはならない
- デイサービスやデイケア自体は医療費控除の対象となるが条件がある
- デイサービスやデイケアの食事代は医療費控除の対象外
国や市区町村の控除で少しでも返ってくるお金が多くなるように今回の記事が役に立てば幸いです。
また、保険ROOMでは他にも参考にしたい記事が多数掲載されています。
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