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母子家庭で私立高校の学費が払えない!母子家庭を支援する制度は?このような悩みを持つ方は多いでしょう。この記事では、母子家庭が私立高校の学費を払うのに利用できる制度を解説します。母子家庭で私立高校の学費にお困りの方はぜひご覧ください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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母子家庭が私立高校の学費を払うのに利用できる制度は?


「母子家庭で、子どもたちの学費を払うのが大変」と感じている方も多いのではないでしょうか?


特に、お子さんが私立高校に通っている場合は、「公立のように市立も授業料が無料になってほしい」と強く思っていることでしょう。


そこで本記事では、以下の内容について解説します。


  • 私立高校の授業料実質無償化制度について

  • 私立高校の学費の負担を減らすために、母子家庭が利用したい制度について

  • 私立高校の学費について

  • 母子家庭でも学費を貯めるためのコツ

  • 私立高校のメリット・デメリット  


本記事では利用しなければ損をする、有用な制度について解説しています。


ぜひ最後まで読んでみて下さい。

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母子家庭が私立高校の学費に困ったらまず「無償化」を利用しよう


私立高校においても2020年度より、「授業料実質無料化」制度が施行されています。


当該制度について、以下で詳しく解説していきます。

「私立高校の授業料実質無料化」とは

本制度の正式名称は、「高等学校等就学支援金制度」といいます。

2020年度以前は、公立高校の年間授業料に相当する118,800円/年が、高校に通うお子さんがいる家庭に支援金として国から給付されていました。


私立高校の平均年間授業料396,000円/年であるため、お子さんが私立高校に通う家庭では差額の授業料を支払わなければなりませんでした。


そこで2020年度より、支援金の上限が396,000円/年に引き上げられたため、私立高校においても「授業料実質無料化」が実現しています。


支払金額の支給額については、定められた計算式に基づき決定します。


以下で支給条件や支給額についてみていきましょう。



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支給条件・支給額を解説【対象はだれ?いくらもらえる?】

時給条件は、「判定基準を満たし、日本国内に住所を所有していること」です。


判定基準は、以下の式より計算します。

市町村民税の課税標準額 × 6% ー 市町村民税の調整控除額・・・(a)

         (a) < 154,500円 ⇛ 支給額:最大396,000円/年

154,500 < (a) < 304,200円 ⇛ 支給額:118,800円/年

         (a) > 304,200円 ⇛ 支給なし

課税標準額及び調整控除額は、マイナポータルHPから確認できます。


ただし、確認するにはマイナンバーカードが必須ですので、ご注意下さい。

「私立高校の授業料実質無料化」の申請方法・申請時期

本制度は、郵送はもちろん、スマートフォンやパソコンからでも申し込むことができます。


申込み時期は以下のとおりです。

  • 新入生は、入学時に学校から案内

  • 在校生は、収入状況の届け出を行う7月頃に学校から案内


その際の必要書類は、


  • 受給資格認定申請書(学校から配布されます)

  • マイナンバーカードの写しまたはマイナンバーが記載された住民票の写しなど


が必要になります。


マイナンバーカードを持っていない方は、マイナンバーカード総合サイトより交付申請を行っておきましょう。


マイナンバーカードが交付されるまでに約1ヶ月程度かかるため、余裕を持って準備しておきたいですね。

「私立高校の授業料実質無料化」を利用する注意点

本制度を利用する上で、以下のことを理解しておきましょう。

  1. 負担は減るが、受け取る養育費が減ることはない

  2. 授業料以外の費用(課外活動費や教科書代)は捻出しなければならない

  3. 学校によっては支給される前に授業料を払わなければならない可能性がある

  4. 家族構成と年収によって、支給金額が変わる


特に母子家庭の場合は、1.養育費について気になる方も多いのではないでしょうか。


「授業料無料化」によって家計の負担が減るため、養育費も減額されるのでは?


と不安に思う方もいるかと思いますが、ご安心下さい。


法律的にも、「授業料無償化の場合も養育費の金額に影響はない」(出典:勁草法律事務所)ことが情報として公開されています。


以下で紹介する各種制度や、児童手当などにおいても同様のことが言えるでしょう。
(詳しくは、弁護士事務所に相談してみて下さい。)


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母子家庭が私立高校の学費を払うのに利用できる他の制度


「高等学校等就学支援金制度」は、母子家庭でなくても、所得基準を満たしていれば給付を受けることができます。


以下では、給付型や貸与型の制度について紹介します。

①高校生等奨学給付金

子供がいる所得が低い母子家庭などの世帯に対し、授業料以外の教育費の負担を軽減することを目的とした制度です。

給付型なので、返還する必要はありません。

国の補助基準は以下のとおりです。

2021年5月末時点
対象国公立(円/年)私立(円/年)
生活保護世帯32,30052,600
非課税世帯(全日制)
第一子
110,100129,600
非課税世帯(全日制)
第二子以降
141,700150,000
非課税世帯(通信制)48,50050,100

本制度は、各都道府県で詳細が異なるため、高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧から詳細を確認して下さい。

②母子父子寡婦福祉資金

制度名の通り、母子家庭や父子家庭が受けられる制度です。


貸与型なので、返還する必要があります。


事業開始資金〜結婚資金まで、色々な資金制度が用意されています。


就学関連の制度について、以下にまとめました。


2021年5月末時点

資金の種類内容貸与額利率
修学資金高校などの授業料、
書籍代、交通費など
高校:52,500円/月無利子
就学支度資金就学、就業する
ための洋服費など
国公立高校:160,000円
私立高校:420,000円
無利子

資金に関する詳細は、母子父子寡婦福祉金貸付金制度をご確認下さい。

③ひとり親家庭支援奨学制度

コンビニで有名な株式会社ローソンが創設した制度です。


対象人数が400人と決まっているため、選考された上で受給者が決定します。


給付型のため、返還が不要であることに加え、他の奨学金制度の併用も可能です。


以下に概要を紹介します。


対象支援人数給付金額
中学校3年生
高等学校等1~3年生
400人
30,000円/月


申し込み等の詳細は、ひとり親家庭支援奨学金制度をご確認下さい。


④就学支度資金貸付制度

⑤修学資金貸与制度

⑥生活福祉貸付金制度の「教育支援資金」

母子家庭など所得が低い世帯の場合、必要な資金を他から借り受けることが困難であることが条件です。


貸与型なので、返還する必要があります。


以下に制度の概要を紹介します。


貸与金額について

高等学校利率
貸付上限額(円/月)35,000
連帯保証人を立てる:無利子
連帯保証人を立てない:1.5%/年


詳細は、貸付条件一覧をご確認下さい。


本制度は、各都道府県で詳細が異なるため、都道府県社会福祉協議会 お問合せ先一覧から詳細を確認して下さい。


⑦高校が独自に設ける特待制度


⑧各自治体が設ける学費支援

国の就学支援に加え、独自の支援を行っている都道府県もあります。


特に、年収が350万円未満の世帯に対して独自の支援を行う都道府県は、半数近くあります


文部科学省HP内の「各都道府県における支援制度の概略」から。ご自身が住む都道府県を確認し、調べてみると良いでしょう。



⑨民間の奨学金制度

民間の奨学金制度としては、公益財団法人似鳥国際奨学財団があります。


給付型なので、返還する必要はありません。


概要は次のとおりです。


対象支給人数給付金額(円/月)
高校生
高等専門学校生
100人
(上期・下期合計)
40,000


ただし、本奨学金を受けるためには、選考の通過と奨学生の義務を果たさなければなりません。


  • 選考
    ・一次選考(webテスト)
    ・二次選考(書類審査・性格検査)
    ・三次選考(オンライン面接)

  • 奨学生の義務
    ・日本国内に在住
    ・毎月期限内にレポートを提出(与えられたテーマをA4用紙1~2枚程度)
    ・交流会の参加(年1回予定)

詳細は、高校生対象 給付型奨学金よりご確認下さい。

⑩国の教育ローン

子供の人数に応じて、幅広い所得の世帯が利用できる制度です。


ひとり親家庭などに向けた優遇制度も整っています。


貸与型なので、返還が必要です。


概要は以下のとおりです。


上限金額利率返還期間
上限350万円
(一定要件を満たす場合は450万円)
1.66%
(母子家庭などは1.26%)
最長15年


受験前からの申し込みも受け付けています。


詳細は、国の教育ローン(日本政策金融公庫)をご確認下さい。

私立高校にかかる学費を紹介!【公立高校と比較】


公立高校と私立高校でどの学費に差があるのでしょうか?

平成30年度子供の学習費調査結果の結果を以下にまとめます。

年間の学習費総額及び内訳(単位:円)
公立高校私立高校
学習費総額457,380969,911
うち学校教育費280,487719,051
うち学校外活動費176,893250,860

表より、私立高校の学習費総額は年間約50万円程度高いことがわかりました。

学校教育費の内訳をみてみると、

年間の学校教育費内訳(単位:円)
公立高校私立高校
学校教育費総額280,487719,051
授業料25,378230,026
修学旅行・
遠足・見学費
35,57953,999
学校納付金等55,360215,999
図書・学用品等41,25842,675
教科外活動費40,42756,224
通学関係費79,432114,043
その他3,0536,085

私立高校の方が授業料が約20万円高いことがわかりました。

ここでの注意点は、授業料は、各制度や補助を受けている家庭と受けていない家庭の平均値であることです。

すなわち、「高等学校等就学支援金」により、上限の396,000の給付を受けられれば、上記表の授業料23万円の支出はほぼ無くなると考えられます。
(私立高校の平均年間授業料は396,000円/年であるため)


すると、私立高校3年間でかかる学費は以下のように計算できます。

(969,911 ー 230,026) × 3 = 2,219,655円

また、入学金は学校納付金に含まれていますので、計算に加える必要はありません。


母子家庭が高校の学費を貯めるには【貯めるコツを紹介】


ここでは、次の3つの方法について紹介します。


  1. 児童手当

  2. 学資保険

  3. 銀行への定期預金

1. 児童手当
中学修了までの15年間に、児童1人につき5,000~15,000円/月が支給される制度です。

支給額は、定められた所得基準や子供の人数・年齢によって変わりますが、母子家庭などの制限は特にありません。

児童手当は国の制度であるため、所得基準上限を超えていても児童1人につき5,000円/月が支給されます。

5,000円/月を15年間全て貯金しておくと、合計90万円に達します。

詳細は、内閣府HP(児童手当Q&A)より確認して下さい。


2. 学資保険

将来必要となる子供の学費を準備するための、貯蓄型の保険です。


学資保険のメリットとデメリットは以下のとおりです。


  • メリット
    ・貯蓄しやすい
    ・預貯金に比べ、運用益が期待できる(払込保険料の約5~10%)

  • デメリット
    ・お金を自由に引き出せない
    ・途中解約すると損をする場合がある


子供の学費は、収入や将来のプランによって大きく異なります。


まずは、学資保険のプロであるライフプランナーに相談することをオススメします。


3. 銀行への定期貯金

親、もしくは子供の銀行口座に、毎月定額を貯金する方法です。


銀行への定期預金のメリットとデメリットは以下のとおりです。


  • メリット
    ・毎月無理なく預金が可能
    ・お金を引き出しやすい

  • デメリット
    ・金利が低い(大手銀行:0.002%/年、ネット銀行:0.1~0.2%/年)


100万円を預けた場合、大手銀行では20円/年、ネット銀行でも1,000~2,000円/年しか増えません。


一方でお金の引き出しは自由なので、何かあった際も柔軟に対応することができます。


ご自身にあった方法で貯金は行いましょう。

参考:私立高校のメリット・デメリット【母子家庭で入学を迷う方へ】

ここまで記事を読まれた方で、


「制度が充実しているのはわかったけど、私立高校の良い点悪い点がわからない」


と思われた方も多いのではないでしょうか。


そこで以下では、私立高校のメリット・デメリットについて紹介します。

私立高校のメリットを解説


私立高校の代表的なメリットは、以下の6つが挙げられます。


  • 大学受験対策に熱心である

  • 授業のレベルが高い

  • 特待生制度がある

  • 施設が充実している

  • 子供の興味・関心を引くカリキュラムが充実している

  • 行事などのイベントが豊富である


上記の中でも特待生制度について詳しく紹介します。


特待生制度は、入学金や授業料などが一部または全額免除される制度です。


大学進学実績を上げるためなどの目的で、導入している私立高校は多いです。


特待生になるためには、以下の3つの方法があります。


  • 入学試験結果による認定

  • 内申書による認定

  • 入学後の学業成績による認定


入学金免除を受けるには、入学試験または内申書による認定を狙ったほうが良いでしょう。


ただし、どの費用がどれだけ免除されるかは、私立高校によって異なります。


受験する学校の特待制度について、事前に調べておきましょう。

私立高校のデメリットを解説

私立高校の代表的なメリットは、以下の2つが挙げられます。


  • 学費が高い

  • 校風や理念、規則が独特なため合わない場合がある


学費は、私立の方が圧倒的に高いです。


本記事でも詳しく解説しましたが、3年間で約100~150万円の差があると言えるでしょう。

(国や自治体などの制度を利用しているかによって大きく変わります。)


各私立高校は、独自の校風や理念、規則があります。


そのため、「入ってみたら思った学校と違った」、「学校になじめない」と感じてしまう場合があるでしょう。


従って、文化祭や説明会など学校に入ることのできる機会を生かし、受験前にその学校や生徒の雰囲気を知っておきましょう。

参考:学費以外で母子家庭が利用できる補助制度を紹介


・児童扶養手当

18歳以下の子供がいる母子家庭や父子家庭などに対し、支給される手当です。

(障害児の場合20歳未満まで)

以下に支給金額についてまとめています。


子供支給月額(円/月)
1人全部支給:43,160
一部支給:43,150~10,180
2人目の加算額全部支給:10,190
一部支給:10,180~5,100
3人目以降の加算額
(1人につき)
全部支給:6,110
一部支給:6,100~3,060



支給金額は、所得に応じて決定されます。


詳しくは、お近くの市区町村の役所にお問い合わせください。


・ひとり親家庭医療費助成制度

母子家庭などのひとり親家庭に対して、医療費の一部負担金の一部を助成する制度です。


各自治体によって要件や負担金額が異なります。


自治体が10割負担してくれるところもあれば、9割など一部を負担するところもあります。


詳しくは、お近くの市区町村の役所にお問い合わせください。  


・住宅手当・家賃補助制度

住宅手当も、都道府県や市区町村によって異なります。


扶養人数、所得によっても異なりますが、上限は大体1万円程度の自治体が多いです。


こちらも詳しくはお近くの市区町村の役所にお問い合わせください。    


・児童育成手当

18歳以下の子供がいる母子家庭や父子家庭などに対し、支給される手当です。

(障害児の場合20歳未満まで)


児童扶養手当は国の制度で全国共通ですが、児童育成手当は東京都独自の制度であるため、都外にお住まいだと対象にならない制度です。


支給可否は、扶養人数と所得で決定されます。


支給金額は、1人につき月額13500円です。


詳しくはお近くの市区町村の役所にお問い合わせください。    


・所得税の減額

納税者が母子家庭などのひとり親である場合は、一定金額の所得控除を受けられます。


ひとり親控除を受けるための基準(合計所得が500万円以下など)はありますが、控除になると、所得税を計算する上で控除額が35万円増えます


詳細は国税庁HPより確認し、相談は税についての相談窓口にご連絡下さい。

母子家庭が私立高校の学費の支払いに利用できる制度まとめ

ここまで、母子家庭が利用できる支援金制度の紹介や、学費等について解説してきましたがいかがでしたでしょうか?


本記事のポイントは、


  • 2020年度以降、「高等学校等就学支援金制度」で上限396,000円/年の給付を受けることができる

  • 貸与型、給付型など様々な学費支援制度がある

  • 私立高校の3年間の学費は、公立高校よりも100~150万円程度高い

  • 学資保険などを利用して学費を準備できる

  • 学費以外にもひとり親家庭が利用できる補助制度が多くある

です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。