

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- パート年収160万円は働き損?影響する2つの年収の壁を解説
- ① 年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れる
- ② 年収150万円を超えると配偶者特別控除が段階的に減額される
- 無料FP相談を活用して損をしない最適な収入バランスを見つけよう
- パート年収160万円の手取り金額をシミュレーション
- 年収120万円〜180万円までの手取り金額の推移を比較
- 夫の税金はどれだけ増える?配偶者特別控除のシミュレーション
- 【結論】パート年収160万円は損ではない!夫の税金よりも妻の手取り増加分の方が大きい
- 無料FP相談で理想のライフプランを叶える家計プランを立てよう
- パート年収160万円が働き損ではなく「得」な理由
- 厚生年金に加入することで将来もらえる年金が増える
- 健康保険に加入することで社会保障が手厚くなる
- 会社の福利厚生が利用できる
- 世帯年収が増えて家計が安定する
- 【まとめ】共働きの収入バランスで迷ったら無料FP相談を活用しよう
パート年収160万円は働き損?影響する2つの年収の壁を解説
パートで年収160万円を稼ぐと「働き損」になるのではないかと不安に感じる場合も少なくありません。
働き損といわれる背景には、税金や社会保険の「年収の壁」の影響があります。
とくに影響が大きい年収の壁は、以下の2つです。
ただし、どちらの年収の壁も一概に「損」とはいえません。
具体的な影響について、次で詳しく解説します。
① 年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れる
パート年収が130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れます。
この影響により、パート勤務者本人が自分で健康保険と厚生年金に加入し、保険料を支払う必要があります。
扶養内であれば、健康保険料や厚生年金の負担はありません。
しかし、年収130万円を超えると、年間の社会保険料として数十万円の支払いが発生する場合があります。
② 年収150万円を超えると配偶者特別控除が段階的に減額される
パート年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の控除額が段階的に減額されます。
具体的には、年収150万円を超えて201.6万円未満の範囲では控除額が徐々に減少し、201.6万円以上になると配偶者特別控除は適用されなくなります。
たとえば、年収150万円までは配偶者特別控除の満額(38万円)が適用されますが、それを超えると控除額が減り、夫の税負担が増える可能性があります。
しかし、控除額が減少したとしてもパート本人の収入増加分のほうが大きくなるため、世帯全体の収入としてはプラスになるケースがほとんどです。
無料FP相談を活用して損をしない最適な収入バランスを見つけよう

パートで働く際には、年収の壁を意識しながら収入バランスを調整することが重要です。
とくに、年収130万円や150万円を超えると、社会保険の加入や配偶者特別控除の減額といった影響が生じます。
しかし、年収の壁にとらわれすぎると、本来得られるはずの収入や社会保障のメリットを見落としてしまう可能性も否定できません。
効率的な収入バランスを見つけるためには、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

パート年収160万円の手取り金額をシミュレーション
パートで働く際に気になるのが、年収による手取り金額の変化です。
実際にシミュレーションをおこなうと、どの年収水準で手取りが最も増えるのかが見えてきます。
ここでは、年収120万円から180万円までの手取り額の推移を比較し、どの年収帯で「働き損」が発生するのかを解説します。
年収130万円の壁を超えた場合、どのように手取り額が変わるのか、そして年収160万円が本当に「働き損」なのかどうかを以下で詳しく検証します。
年収120万円〜180万円までの手取り金額の推移を比較
パート収入を得る際、年収によって手取り金額がどのように変化するかを理解することが重要です。
以下の表は、年収120万円から180万円までの手取り金額の推移をまとめたものです。
なお、130万円から社会保険に加入することを想定しています。
年収 | 支払う税金(年間) | 支払う保険料(年間) | 手取り金額 |
---|---|---|---|
120万円 | 約32,000円 | 0円 | 約117万円 |
130万円 | 約19,000円 | 約19万円 | 約109万円 |
140万円 | 約32,000円 | 約21万円 | 約116万円 |
150万円 | 約45,000円 | 約22万円 | 約123万円 |
160万円 | 約58,000円 | 約23万円 | 約131万円 |
170万円 | 約66,000円 | 約25万円 | 約138万円 |
180万円 | 約73,000円 | 約27万円 | 約146万円 |
夫の税金はどれだけ増える?配偶者特別控除のシミュレーション
パートの年収が160万円になると、夫が受けられる配偶者特別控除の控除額が減少します。
具体的には、年収130万円のときには38万円の控除が適用されますが、160万円になると31万円になるため7万円減額されます。
控除額の減少にともない夫の課税所得が増えるため、その分所得税と住民税の負担が増加します。
【結論】パート年収160万円は損ではない!夫の税金よりも妻の手取り増加分の方が大きい
結論として、パート年収160万円は決して働き損ではなく、世帯全体で考えれば収入は増加します。
たしかに、年収が130万円から160万円に増えることで、夫の配偶者特別控除が38万円から31万円に減少し、その影響で夫の税金が年間1万4,000円増えることになります。
しかし、妻の手取り金額は109万円から131万円に約22万円増加します。
このことから、夫の増税分は妻の収入増加分と比べると影響は小さいといえます。
無料FP相談で理想のライフプランを叶える家計プランを立てよう
パートで働く場合、年収の壁や手取り額の変化、夫の税金への影響を理解しておくことが重要です。
しかし、税金や社会保険料の仕組みは複雑で、どの収入水準が最適なのかを判断するのは容易ではありません。
また、世帯全体の収入を考慮しながら、どのように家計を管理すればよいのか迷うケースも多く見られます。
パート年収160万円が働き損ではなく「得」な理由
パートで年収160万円を稼ぐと、税金や社会保険料の負担が増えるため「働き損」と考えられがちです。
しかし、実際には社会保険に加入することでさまざまなメリットが得られ、長期的に見ると「得」になるケースが多くあります。
年収130万円を超えると、社会保険の扶養から外れることになりますが、その代わりに以下のようなメリットが生まれます。
これらの点を踏まえると、短期的には社会保険料の負担が発生するものの、将来的なメリットを考えると、年収160万円を目指して働くことは決して損ではないといえます。
以下では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
厚生年金に加入することで将来もらえる年金が増える
パートで働く際、年収130万円未満であれば国民年金のみに加入することになります。
一方、130万円を超えて社会保険に加入すると、厚生年金にも加入することになり将来の年金額が増えるメリットがあります。
国民年金のみの場合、受け取れる年金額には上限があり、老後の生活費を十分にカバーするのが難しい可能性もあります。
しかし、厚生年金に加入すると、支払った保険料に応じて年金額が上乗せされるため、受給額を増やすことが可能です。
健康保険に加入することで社会保障が手厚くなる
年収130万円を超えて社会保険に加入すると、健康保険の適用範囲が広がり、医療費や万が一の病気やケガによる収入減に対する保障が手厚くなります。
とくに、傷病手当金や出産手当金など、扶養内では受けられない給付を利用できる点が大きなメリットです。
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休む必要がある場合に、標準報酬月額の約3分の2が最長1年6ヵ月支給される制度です。
パートであっても、社会保険に加入していればこの制度を利用できるため、万が一のときの経済的な不安を軽減できます。
会社の福利厚生が利用できる
労働時間や雇用期間などの要件によっては、パートでも福利厚生を利用できるケースがあります。
とくに、大手企業や福利厚生が充実している会社では、正社員と同様にパートにも適用される制度が多く存在します。
たとえば、健康診断の費用補助やスポーツジムの割引などが挙げられます。
世帯年収が増えて家計が安定する
パート年収を160万円以上に増やすことで、世帯全体の収入が安定し、経済的な余裕が生まれるというメリットがあります。
夫の税負担が多少増えることはありますが、それ以上に妻の収入が増えるため、結果的に可処分所得が増加します。
収入が増えることで、毎月の貯蓄額を増やしたり、将来の教育資金や老後資金を計画的に準備することが可能になります。
また、金融機関のローン審査にも影響を与えることがあり、世帯年収が増えることで住宅ローンの借入可能額が上がるなど、資産形成の選択肢が広がる点も大きなメリットです。
【まとめ】共働きの収入バランスで迷ったら無料FP相談を活用しよう

パート年収160万円は「働き損」と考えられがちですが、実際には社会保険に加入することで将来の年金額が増えたり、健康保険の保障が手厚くなるなど、多くのメリットがあります。
また、働く時間を増やすと手取り収入は増加し、世帯全体の収入を考えれば損をすることはほとんどありません。
とくに、厚生年金の加入による年金額の増加や、傷病手当金や出産手当金といった健康保険の給付を受けられる点は、扶養内で働き続ける場合には得られない大きなメリットです。
さらに、会社の福利厚生を利用できる機会が増えたり、世帯年収が増えることで家計が安定し、資産形成の選択肢も広がります。
