独身税はシングルマザーも対象？使い道や徴収方法、負担額を解説

2026年4月から「独身税」が導入されるという話題がありますが、実際には「子ども・子育て支援金」という新しい制度が導入されることになります。

この子ども・子育て支援金制度は、少子化対策として策定された「こども未来戦略（こども・子育て支援加速化プラン）」にもとづいて創設され、児童手当の拡充をはじめ、子育て世帯をサポートするためのさまざまな支援が行われるものです。

具体的には、児童手当の拡充、妊婦のための支援給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付などに活用されます。

また、シングルマザーなどのひとり親世帯も、対象となる手当や給付を受けることができます。

※参照：子ども・子育て支援金制度について｜こども家庭庁

子ども・子育て支援金制度がSNSなどで「独身税」と呼ばれるのは、この制度が子育て世帯を支援する一方で、子どもがいない方や子育てを終えた方にも財源確保のための負担が求められるためです。

具体的には、総額3.6兆円規模の給付拡充を支えるため、独身者も医療保険料の増額という形で負担を強いられることになります。

そのため「直接的なメリットがないのに負担だけ増える」との声があがり、「独身税」と揶揄されるようになりました。

「子ども・子育て支援金制度」の内容について正しく理解しておくことは大事です。

• 制度が創設された背景
• 財源
• 支援金の使い道
• 徴収方法と仕組み
• 支援納付金の対象者
• 負担額の試算

厚生労働省の「人口動態統計速報（令和6年12月分）」によると、2024年の出生数は72万988人で前年比5%減少しており、1899年の統計開始以来過去最少を記録しました。

日本では少子化と人口減少が進んでおり、このままでは国や地方経済、さまざまな制度に深刻な影響を及ぼすと懸念されています。

2030年代には若年人口の急激な減少が予測されており、国はこの時期までを少子化の流れを変えられるかどうかの「ラストチャンス」と捉えています。

そこで、子育て支援を強化するために「子ども・子育て支援金制度」が創設されました。

この制度により安定した財源を確保し、児童手当の拡充や出生後休業支援給付、育児時短就業給付など、さまざまな少子化対策に活用されます。

※参照：人口動態統計速報（令和6年12月分）｜厚生労働省

こども未来戦略によると、児童手当の拡充などに必要な財源を3.6兆円と見積もっています。

財源確保のため、「歳出改革」や「既定予算の最大限の活用」に加え、医療保険加入者からの拠出により、以下の金額を確保する予定です。

・令和8年度：6,000億円程度

・令和9年度：8,000億円程度

・令和10年度：1超円程度

※参照：こども未来戦略とは｜こども家庭庁

子ども・子育て支援金制度では、拠出された支援金が以下の目的に使われる予定で、すでに一部は実際に使用されています。

シングルマザーなどのひとり親世帯でも、児童手当や妊婦向け支援給付、育児時短就業給付など、該当する手当や給付金を受け取ることができます。

※参照：子ども・子育て支援金制度について｜こども家庭庁

子ども・子育て支援金制度の負担額は、医療保険料に上乗せされる形で徴収されます。

負担額は所得に応じて決まり、医療保険加入者1人あたりの平均負担額は月250円（令和8年度）とされています。

医療保険料とあわせて徴収される理由は、医療保険制度は対象が広く、幅広い世代を支え合う仕組みであり、少子化対策が医療保険制度の持続可能性向上にもつながるためです。

また、徴収されたお金は医療保険料とは区分され、医療保険の財源として流用されないよう設計されています。

※参照：子ども・子育て支援金制度のQ&A

子ども・子育て支援金制度の負担は、医療保険制度の加入者が対象となります。

そのため、子育て世帯、独身者、子どもがいない夫婦、子育てを終えた世代など、幅広い世代が負担する仕組みです。

「独身税」という呼び方が広まっていますが、実際には独身者だけが特別に負担を求められるわけではありません。

子ども・子育て支援金制度における負担額は、加入する医療保険制度や所得に応じて変わります。

医療保険加入者の1人あたりの平均負担額は、以下のとおりです。

上記のとおり、すべての医療保険制度加入者の平均負担額は、一人あたり月250〜450円です。

制度別に見ると、被用者保険（本人負担分）は月300〜500円、国民健康保険は月250〜400円、後期高齢者医療制度は月200〜350円となっています。

※参照：子ども・子育て支援金制度の概要について｜こども家庭庁

独身税（子ども・子育て支援金制度）に対するさまざまな意見を知っておくことも重要です。

どの制度にも賛否両論がありますが、一方の意見だけに偏らず、バランスよく考えることが大切です。

• 賛成派の意見
• 反対派の意見

独身税に対する主な賛成意見は以下のとおりです。

・少子化や人口減少対策は全員で取り組むべき問題

・子育て世帯への経済的支援は重要

・独身者だけでなく多くの人が負担するので問題はない

・負担額はそれほど大きくないので気にする必要はない

・子どもが増えることは将来の自分たちを助けることにもつながる

独身税に対する主な反対意見は以下のとおりです。

・給付を受けられないのに負担を求められるのは不公平

・負担が増えることで結婚を避ける人が増える

・国民の負担を増やすのではなく歳出の削減を求めたい

・強制的に徴収されるのは納得できない

・結婚している人はすでに配偶者控除などの恩恵がある

シングルマザーが活用できる税制優遇制度や支援制度、免除・減免制度を知っておくと、家計の負担を軽減でき、生活の助けになります。

ここでは、以下の3つの制度について紹介します。

• 税制優遇制度
• 支援制度
• 免除・減免制度

シングルマザーをはじめとするひとり親世帯が利用できる主な税制優遇制度は、以下のとおりです。

「ひとり親控除」

所得が500万円以下などの一定条件を満たす場合に適用される所得控除で、控除額は35万円。

「寡婦控除」

寡婦であり、所得が500万円以下などの要件を満たす場合に適用される所得控除で、控除額は27万円。

ひとり親控除や寡婦控除が適用されることで、課税所得が減少し、税負担が軽減されます。

※参照：ひとり親控除｜国税庁

※参照：寡婦控除｜国税庁

シングルマザーを含むひとり親世帯が利用できる主な手当や給付金などの支援制度は、以下のとおりです。

「児童手当」

子どもが0〜18歳の間に支給される手当で、3歳未満は月額1万5,000円、3歳以上は月額1万円が支給される（第3子以降はいずれも月額3万円）。

「児童扶養手当」 生活の安定や子どもの福祉を促進することを目的として、子どもが18歳になるまで支給。支給額は所得に応じて決まり、全国消費者物価指数の変動にもとづき毎年度改定される。

「母子父子寡婦福祉資金貸付金」

20歳未満の子どもを扶養する寡婦などに貸し付けられる制度で、事業開始資金や事業継続資金、修学資金、技能習得資金などが支援対象となる。

その他にも多くの支援制度があり、これらを活用することで負担の軽減やサポートを受けることができます。

シングルマザーなど、ひとり親世帯も利用できる主な免除・減免制度は、以下のとおりです。

「国民健康保険料の減額・軽減・減免」

災害や失業など、事情により保険料の納付が難しい場合、申請を行うことで保険料の減額、軽減、または減免が適用されることがある。

「国民年金保険料の免除・納付猶予」

経済的に困難で保険料の納付が難しい場合、保険料の免除や納付猶予を受けられることがある。また、出産を予定している方や出産後の方は、産前産後期間の免除制度を利用でき、最大4ヶ月間（多胎妊娠の場合は6ヶ月間）の免除が適用される。

その他にもさまざまな免除・減免制度があり、一定期間の負担軽減が可能です。

独身税（子ども・子育て支援金制度）に関するよくある質問は、以下のとおりです。

• シングルマザーや既婚者も負担が必要ですか？
• 子どもがいない人や子育てを終えた人も対象になるのはなぜですか？
• なぜ医療保険料と一緒に支払う仕組みなのですか？
• 将来的に負担額が増える可能性はありますか？
• 独身税はどんなことに使われますか？
• 独身税は何歳から対象ですか？
• 税金、控除、手当について詳しく知りたい場合の相談先はどこですか？

子ども・子育て支援金制度では、シングルマザーや既婚者も負担が求められます。

具体的には、協会けんぽや健保組合、国民健康保険など、医療保険に加入している方が対象となり、負担額は医療保険料に上乗せされます。

金額は加入している医療保険制度や所得によって異なる仕組みです。

子ども・子育て支援金制度では、給付を直接受けない方にも負担が求められます。

その理由は、子育て支援が次のような重要な役割を果たすためです。

・国の経済や社会システムの維持

・地域社会の維持

・国民皆保険制度の持続可能性向上

・労働力の確保

こうした背景から、子どもがいない人や子育てを終えた人も含め、幅広い世代で支え合う仕組みになっています。

子ども・子育て支援金制度では、負担額が医療保険料に上乗せされる形で徴収されます。

これは、医療保険制度が幅広い世代を対象とした支え合いの仕組みを持っているためです。

少子化や人口減少の抑制は、医療保険制度の持続可能性向上にもつながることから、この方式が採用されています。

負担額が増える可能性はあります。

なぜなら、負担額は加入する医療保険制度や所得に応じて変動するためです。

所得が上がることで負担額が増えるケースが考えられます。

また、総額3.6兆円規模の給付拡充に向け、公費削減で2.6兆円を確保し、残りの1兆円を支援金制度で賄う計画です。

しかし、歳出改革が想定どおり進まなかった場合、負担額が増えるのかもしれません。

独身税（子ども・子育て支援金制度）は、以下の目的で活用される予定、またはすでに活用されています。

・児童手当の拡充

・妊婦のための支援給付（出産・子育て応援交付金）

・乳児等のための支援給付（こども誰でも通園制度）

・出生後休業支援給付（育休給付率の手取り10割相当の実現）

・育児時短就業給付（育児期の時短勤務の支援）

・国民年金第1号被保険者の育児期間中の保険料免除措置

独身税（子ども・子育て支援金制度）は、医療保険に加入している人が対象です。

医療保険には0歳から加入することができます。

ただし、国民健康保険では、18歳の年度末までの子どもに関して、支援金の均等割額が10割軽減される措置が取られます。

※参照：子ども・子育て支援金制度のQ&A｜こども家庭庁

子ども・子育て支援金の給付や負担額、シングルマザー向けの税控除や手当、給付金などについて詳しく知りたい方は、FP窓口への相談がおすすめです。

FPが相談者の状況に合わせた税制優遇や支援制度を紹介し、最適なアドバイスを提供してくれます。

マネーキャリアなら、厳選されたFPに何度でも無料で相談可能です。

また、オンライン対応なので、自宅から気軽に利用できます。

これまでの相談実績は10万件以上で、利用者満足度は98.6%と高評価を得ています。

税金や控除、手当のほか、家計改善、住宅ローン、老後資金、資産形成などの相談も可能です。

独身税とは、子ども・子育て支援金制度によって生じる負担のことです。

負担額は医療保険制度や所得に応じて異なりますが、平均で月250〜450円程度とされています。

独身者や子どものいない人、子育てを終えた人も負担対象となりますが、少子化対策は国や地域の維持、国民皆保険制度の持続性向上に貢献します。

子ども・子育て支援金制度の負担額や受けられる恩恵について詳しく知りたい方は、FP窓口に相談してみましょう。

また、シングルマザーなどひとり親世帯向けの税制優遇や支援制度、免除・減免制度についても知ることができます。