
内容をまとめると
- 国民健康保険と扶養のどちらに入ったほうが得かは、家族構成や収入、ライフイベントによって変わる
- 税金や社会保険料の負担、将来の年金や保障などの、メリット・デメリットを総合的に考えて判断する必要がある
- どちらが自分にあっているか迷った場合は、FPに相談すれば家計全体の悩みを解消できるのはもちろん、今後どうすべきかのアドバイスももらえる
- 数あるサービスの中でもマネーキャリアなら、家計や保険、ライフプランに関する悩みまで何度でも無料で相談でき、一人ひとりにあった最適なアドバイスをもらえる

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 国民健康保険と扶養どっちが得?
- 扶養する側のメリット
- 税金が軽減される
- 社会保険料が安くなる
- 扶養手当をもらえる場合がある
- 扶養する側のデメリット
- 医療・介護費の負担が増える可能性がある
- 生活費の負担が増える可能性がある
- 扶養される側のメリット
- 税金がかからない
- 社会保険料がかからない
- 付加給付を受けられる可能性がある
- 扶養される側のデメリット
- 将来の年金額が減る可能性がある
- 仕事を休んだときの保障がない
- 働き方の選択肢が狭まる
- 国民健康保険と扶養どちらが得か悩む人からのよくある質問
- 退職後は国民健康保険と扶養どちらに入るのが得ですか?
- 出産後は国民健康保険と扶養のどちらに入るのが得ですか?
- 国民健康保険と扶養どっちが得か判断に迷ったら使うべき方法とは
- 国民健康保険と扶養どっちが得?のまとめ
国民健康保険と扶養どっちが得?
年収 | 社会保険の扶養の 場合の手取り 社会保険に加入) | 国民健康保険に 加入した場合の手取り | どっちがお得? |
---|---|---|---|
103万円 | 約102万円 | 約85万円 | 扶養の方が約17万円お得 |
106万円 | 約104万円 | 約87万円 | 扶養の方が約17万円お得 |
110万円 | 約108万円 | 約91万円 | 扶養の方が約17万円お得 |
120万円 | 約116万円 | 約94万円 | 扶養の方が約22万円お得 |
129万円 | 約124万円 | 約102万円 | 扶養の方が約22万円お得 |
130万円 | 約109万円 | 約98万円 | 社会保険の負担で手取り減少 |
140万円 | 約116万円 | 約106万円 | |
150万円 | 約123万円 | 約113万円 | 150万円以上稼ぐのがお得 |
※1 手取り収入は、年収から「雇用保険」、「国民年金」、「健康保険」または「国民健康保険」、「所得税」、「住民税」を引いて算出しています。
※2 「国民年金」は前年の所得が今年の所得と同様だと仮定して、当該区分の減免額を適用しています。
どこで扶養を外れるかの判断が家計の損益を大きく左右するので、制度の仕組みを理解し、家計全体にとって有利な働き方を選びましょう。
扶養する側のメリット
扶養する側のメリットを3つ解説します。
紹介するメリットは以下のとおりです。
これらを理解することで、扶養による家計へのプラス効果がわかりやすくなるので、ぜひ参考にしてみましょう。
税金が軽減される
税金が軽減されるのが、扶養する側のメリットです。
具体的には、配偶者を扶養すると、"配偶者控除"または"配偶者特別控除"が適用されます。
他方、親や子どもを扶養に入れたときは、"扶養控除"が使えます。
いずれの控除でも、適用すると、扶養する側の所得税・住民税の負担が軽減されます。
ただし、扶養される人の年収などが一定の基準を超えると、これらの控除は使えない点はおさえておきましょう。
社会保険料が安くなる
社会保険料が安くなるのが、扶養する側のメリットです。
社会保険制度上、被扶養者(妻・子・親など)の健康保険料は不要だからです。
扶養家族がいても、会社員本人の社会保険料は変わりません。
そのため、家族単位で見たときの保険料負担を抑えることができます。
扶養手当をもらえる場合がある
扶養手当をもらえる場合があるのが、扶養する側のメリットです。
企業の福利厚生として、扶養家族の人数に応じて手当が出ることがあるからです。
扶養手当が支給される企業では、月1~3万円ほどもらえるケースが一般的です。
ただし、支給の有無や金額は会社によって異なります。
そのため、就業規則を確認しておきましょう。
扶養する側のデメリット
扶養する側のデメリットを2つ解説します。
紹介するデメリットは以下のとおりです。
これらを把握することで、扶養による出費リスクを事前に想定しやすくなるので、参考にしてみましょう。
医療・介護費の負担が増える可能性がある
医療・介護費の負担が増える可能性があるのが、扶養する側のデメリットです。
特に高齢の親を扶養した場合は、定期的な通院費や薬代などが家計にのしかかることがあります。
さらに、要介護認定を受けると、介護サービスの自己負担や住宅のバリアフリー化など、まとまった出費が発生する可能性もあります。
将来的な負担を見越して、早めにライフプランを立てておくことが大切です。
生活費の負担が増える可能性がある
生活費の負担が増える可能性があるのが、扶養する側のデメリットです。
扶養家族が増えると、食費や光熱費などの出費がかさみやすくなるためです。
特に親や子どもと新たに同居する場合は、住宅費や生活インフラの基本料金も増える傾向があります。
こうした支出の変化を見落とさず、家計全体を見直しながら無理のない予算管理をおこなうことが大切です。
扶養される側のメリット
扶養される側のメリットを3つ解説します。 紹介するメリットは以下のとおりです。
これらを理解することで、日々の生活費に与える影響が把握しやすくなるので、参考にしてみましょう。
税金がかからない
税金がかからないのが、扶養される側のメリットです。
税法上の扶養の対象になれば、所得税・住民税の課税対象から外れるからです。
一般的に、所得税は年収103万円以下なら支払う必要がありません。
住民税も、年収が96.5万円以下であれば課税されない仕組みです。
収入が一定以下であれば、税負担を避けられる点は大きなメリットでしょう。
社会保険料がかからない
社会保険料がかからないのが、扶養される側のメリットです。
社会保険の扶養に入ることで、健康保険料や年金保険料を自分で支払う必要がないからです。
具体的には、年収130万円未満であれば、国民健康保険料の支払いは不要になります。
国民健康保険料は自治体・所得ごとに差がありますが、一例として新宿区では、年収100万円でも月1万円ほどの保険料がかかるため、大きな節約になります。
さらに配偶者の場合は、国民年金保険料(月16,980円)の支払いも免除されます。
付加給付を受けられる可能性がある
付加給付を受けられる可能性があるのが、扶養される側のメリットです。
一部の健康保険組合では、医療費の自己負担額に上限を設ける"付加給付"という制度があります。
これは公的な"高額療養費制度"よりも手厚い給付となっている場合が多く、実質負担をさらに軽減できます。
例えば、1ヵ月の医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。
一方で、国民健康保険にはこのような制度がないため、扶養に入ったほうが医療費負担を抑えやすいでしょう。
扶養される側のデメリット
扶養される側のデメリットを3つ解説します。
紹介するデメリットは以下のとおりです。
これらを理解することで、将来的なリスクを見落とさずに済むので、参考にしてみましょう。
将来の年金額が減る可能性がある
将来の年金額が減る可能性があるのが、扶養される側のデメリットです。
扶養に入ると厚生年金に加入できず、将来受け取れる年金額が増えないからです。
具体的には、扶養内のままだと国民年金のみの加入となり、受給額は月6.6万円程度にとどまります。
一方で会社員として厚生年金に加入すれば、年金額を上乗せできます。
老後の備えを強化したいなら、将来的には社会保険に加入する選択も視野に入れるとよいでしょう。
仕事を休んだときの保障がない
仕事を休んだときの保障がないのが、扶養される側のデメリットです。
会社員として健康保険に加入していれば、給与の約2/3が支給される傷病手当金を受け取れます。
しかし、扶養に入っている場合はこの制度の対象外です。
つまり、病気やケガで働けなくなると、収入が突然ゼロになる可能性があります。
会社の健康保険に入らず扶養内で働く場合は、このリスクを理解しておく必要があるでしょう。
働き方の選択肢が狭まる
働き方の選択肢が狭まるのが、扶養される側のデメリットです。
社会保険の扶養に入るには、年収130万円未満に抑える必要があり、それを超えると保険料の自己負担が発生します。
結果として、「手取りが減るのは損」と感じ、働く時間や収入をセーブする“働き控え”を選ぶ人も少なくありません。
しかし、短期的に保険料や税負担を避けられても、長期的には収入アップの機会やキャリア形成のチャンスを逃してしまう可能性があります。
扶養の条件を守るための働き方が、自分の人生設計と合っているのか、慎重に見極めることが大切です。
国民健康保険と扶養どちらが得か悩む人からのよくある質問
国民健康保険と扶養どちらが得か悩む人からのよくある質問を2つ解説します。
紹介する質問は以下のとおりです。
これらを理解することで、自分のライフステージに合った選択がしやすくなるので、参考にしてみましょう。
退職後は国民健康保険と扶養どちらに入るのが得ですか?
短期的な手取りを重視するなら、扶養に入ったほうが保険料の負担がなく、お得といえます。
一方で、国民健康保険は前年の所得をもとに保険料が決まるため、退職直後でも保険料が高額になる可能性があります。
しかし、収入の上限を気にせず自由に働きたいなら、保険料を払ってでも国民健康保険に加入しておいたほうが、将来の収入の選択肢を広げやすくなるでしょう。
どちらが得かは、収入見込みや自治体の国民健康保険料、配偶者の保険組合の条件などによっても変わるため、FP相談やシミュレーションを活用して判断するのがおすすめです。
出産後は国民健康保険と扶養のどちらに入るのが得ですか?
出産後は扶養に入ったほうがお得です。
保険料の支払いを避けられるため、短期的な家計の負担を抑えられるからです。
ただし、扶養の可否は健康保険組合によって異なります。
申請条件や手続きのタイミングによっては、認定されない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
もし扶養に入れなかった場合は、国民健康保険に加入する必要があります。
いざというときの出費に備えるためにも、国民健康保険の保険料は早めに確認しておきましょう。
国民健康保険と扶養どっちが得か判断に迷ったら使うべき方法とは
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- 国民健康保険と扶養のどちらが得か、世帯に合わせた具体的な相談ができる
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国民健康保険と扶養どっちが得?のまとめ
本記事では国民健康保険と扶養のどっちが得になるかを、扶養者と被扶養者のそれぞれののメリット・デメリットまで詳しく解説しました。
内容をまとめると以下の通りです。
- 国民健康保険と扶養のどっちが得かは年収によって変わる
- 年収129万円未満なら扶養に入ったほうがお得なケースが多い
- 扶養から外れてしっかり稼ぐなら年収150万円以上を目指すのがおすすめ
- 扶養をする側は税金や社会保険料が安くなるが、生活費や医療費が増える
- 扶養される側は税金などがかからない代わりに年金や仕事を休んだ場合の保証がなくなる
- 両者のメリット・デメリットを考慮しつつ最適な判断をする必要があるため、お金のプロに相談するのがおすすめ