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2022年10月から引き上げとなる雇用保険料率。物価の高騰で家計が苦しくなっている中、どうしてこのタイミングで変更が行われるのか。今、私たちにできることはなんなのかという視点を含めて、10月からの制度改定について詳しく解説をしていきます。

この記事の目次

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10月からお給料の手取りが減る?


2022年10月より雇用保険料率が引き上げになるのをご存じでしょうか?


雇用保険は国民の生活を守ってくれる大切な制度であり、その保険料は事業者と労働者の両者が負担しています。


そのため保険料率の改定によって家計負担が増加し、皆さんの手取り収入が減ってしまう可能性があるのです。

どれくらい変わるの?

では実際にどれぐらい負担が増加するのでしょうか?


一般的な事業が対象であればこれまで保険料率は0.3%でしたが、10月からは0.5%に引き上がります(農林水産、清酒製造、建築業では0.4%が0.6%に引き上げ)。


具体的にはいくらの増加になるのかを確認していきましょう。


雇用保険の保険料は、

賃金(控除前、通勤手当や残業手当を含む)×保険料率

で、求められます。


たとえば、月額賃料が20万円の人の場合、9月までは600円だった保険料が1,000円に増えることになります。


また、雇用保険料はボーナス(賞与)からも徴収されるため、年収が高い人ほど今回の引き上げによる負担増の影響を大きく受けるでしょう。

雇用保険料が上がる理由


それではどうしてこのタイミングで保険料率が引き上げられるのでしょうか?


その理由は、新型コロナウイルスの感染拡大です。


ご存じのようにコロナ禍においては失業者の増加、店舗の閉鎖などさまざまな面で雇用環境の悪化が発生しています。


その影響で雇用保険支出は増加し、国の財政を圧迫しているという現状があります。


そこで今回、保険料率の引き上げによって、この難局を乗り切ろうとしているのです。

雇用保険料制度とは?

そもそも雇用保険料制度とはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか?

ここでは簡単に解説しておきたいと思います。


最初にも少し触れましたが、雇用保険料は事業者と労働者それぞれが決められた保険料率を負担しています。


ただ、負担する内容にやや違いがあります。


事業者は失業給付と育児休業給付のほか、雇用保険二事業に関する保険料も負担しています。


雇用保険二事業とは、主に失業の予防や労働者の能力開発・向上、雇用機会の拡大などのために行われる助成や支援を指します。


一方で、労働者側の負担は失業給付と育児休業給付のみで、雇用保険二事業への負担は求められていません。

雇用保険の使い道や内容


保険料負担の内容についてお話をしたので、具体的にその使いみちについても触れておきたいと思います。


代表的な使いみちは以下のものが挙げられます。

  1. 基本手当
  2. 育児休業給付金
  3. 介護休業給付金
  4. 高年齢雇用継続給付
  5. 教育訓練給付


それぞれの内容について見ていきましょう。


基本手当

一般的には失業手当と呼ばれる場合が多く、雇用保険と言われると真っ先に思いつくものがこの基本手当でしょう。


労働者が退職して、働く意思と能力があるにも関わらず職に就けない状態にあると給付されるものです。


給付要件は細かく分かれており、自己都合による退職か倒産などによるやむを得ない退職かという理由のほか、勤続年数によっても給付額、給付日数が変わってきます。


育児休業給付金

子どもが1歳(男性の育休では1歳2か月、認定保育園に入れない場合は1歳6か月)未満のときに育休を取得し、さらに一定の要件を満たせば支給される給付金です。


介護休業給付金

その名の通り、家族の介護が理由で休職した場合に支払われる給付金です。


最長で93日、通算して3回まで支給を受けられます。


高齢者雇用継続給付金

60歳以上65歳未満が対象となる給付金です。


給付要件は60歳時点での給与に比べて75%未満に落ちてしまった場合が対象となり、その下落分を補填する役割として給付されます。


これは、年収の大幅減を理由に60歳を超えて働くのをやめてしまう労働者を減らすために設けられた制度。


若者の人口減少による働き手の確保や、熟練労働者のスキル継承などの面からこれからますます必要性が増してくると予想されている給付金です。


教育訓練給付

教育訓練給付とは雇用の安定と再就職促進を図るために、働く人が自ら能力開発を行うのを支援する制度です。

厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講して終了した場合に、かかった費用の一定割合が支給されます。

対象となる人

今回の保険料率の引き上げで対象となる労働者は、次の2つの条件を満たしている人です。


  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上ある
  2. 31日以上継続して雇用される見込みがある


この条件を満たしていれば、その他の雇用条件は問われません。


つまり、パートやアルバイトであっても負担増の対象となる可能性がある点には注意しましょう!

また、今回は事業者と労働者の両者にとって負担増となります。


実は2022年4月にも雇用保険料率の引き上げが実施されていたのを知っているでしょうか?


おそらく知っていたという人はごく少数だと思います。


それもそのはず、4月に保険料率が引き上げられた際に影響を受けたのは事業者のみだったからです。


4月の時点では労働者が負担する保険料は据え置かれ、事業者のみの負担増がなされました。


しかし、今回の10月の改定では負担増となるのは、事業者と労働者の両方です。


ちなみに4月から通算すると、事業者側だけでも0.25%の引き上げ、労働者負担も含めると実に0.45%も保険料率は引き上げられています。

私たちができること


さまざまな品目で価格上昇が見られ、家計圧迫で苦しむ世帯が増えている中で今回の雇用保険料率引き上げを迎えることになります。


引き上げを回避することができない以上、私たちにできることは「自分の大切な資産は自分で守り抜く」という意識と行動です。


将来のお金不足を避けるためにも、長期的な目線に立ったライフプラン設計を行って老後に備えていくことが何よりも大切でしょう。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。