- 養老保険(福利厚生プラン)を法人契約するメリットについて知りたい人
- 養老保険を法人契約するデメリットや注意点について知りたい人
- 養老保険の経理処理方法について知りたい人
- 養老保険(福利厚生プラン)を法人契約するメリットは、保険料を損金算入して法人税を軽減できるハーフタックスや従業員の退職金を計画的に準備できる点などがある。
- 法人契約するには全従業員が被保険者になるので保険料が高額になりがちであることや福利厚生規程を準備する必要などがあるので注意が必要。
- 死亡保険金、満期保険金、解約払戻金を受け取るときはそれぞれ違った経理処理が必要
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この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 養老保険(福利厚生プラン)とは?
- 養老保険を法人が加入するメリット5つ
- メリット1:保険料の2分の1を損金算入できる
- メリット2:従業員の退職金を計画的に準備できる
- メリット3:退職金の給付条件を設定できる
- メリット4:従業員の死亡時に遺族へ一定額の死亡保険金を支払える
- メリット5:緊急時に契約者貸付制度を利用できる
- 養老保険を法人が加入するデメリット
- デメリット1:保険料の支払いが負担になるケースがある
- デメリット2:従業員の入退社が多いと損をしやすい
- 養老保険を法人が契約する注意点2つ
- 法人養老保険の注意点1:全従業員が被保険者になる必要がある
- 法人養老保険の注意点2:福利厚生規程を整備する
- 【ケース別】養老保険(福利厚生プラン)の経理処理方法
- 法人養老保険の計算処理①:保険料
- 法人養老保険の計算処理②:死亡保険金受取時
- 法人養老保険の計算処理③:満期保険金受取時
- 法人養老保険の計算処理④:解約返戻金受取時
- 法人保険の活用事例集
- まとめ:保険相談は専門家がいるマネーキャリアへ!
養老保険(福利厚生プラン)とは?
養老保険は、契約期間中に保険にかけられた人が亡くなった場合は死亡保険金が、満期まで何事もなく契約期間が終了した場合は満期保険金が支払われる保険のこと。
養老保険の福利厚生プランは支払った保険料のうちの半分相当は「資産計上」となり、残りの半分相当額は「損金」の額に算入できるので、ハーフタックスプランともいわれています。
このように養老保険は被保険者が満期まで生存しても死亡しても必ず支払われる保険なので、保険ならではの安心をもらえるのははもちろんですが、貯蓄の意味合いを持ち、同時に節税にもなる保険です。
ただし養老保険には他の法人保険にはないデメリットや注意点もありますので、加入前にこのメリットデメリットについてよく検討した上で決定するようにすることが大切です。
養老保険を法人が加入するメリット5つ
- 保険料の2分の1を損金算入できる節税効果
- 従業員の退職金を計画的に準備できる負担軽減効果
- 退職金の給付条件を設定できる柔軟さ
- 従業員の死亡時に遺族へ一定額の死亡保険金を支払える確実性
- 緊急時に契約者貸付制度を利用できる安心さ
メリット1:保険料の2分の1を損金算入できる
養老保険の最初のメリットは、法人の場合保険料の2分の1を損金算入できるので節税につながるということです。
保険料のうち「資産計上」しなければならないのは2分の1だけで、残りの2分の1は「損金」となり会計上費用として扱われませんのでその分節税となります。
養老保険の保険料は必ず支払われるという特徴もありますので、現金で退職金を積み立てる場合と比べると、この「保険料の2分の1を損金算入できる」というのは大きなメリットとなります。
会社の利益をこのような福利厚生にまわすことによって、節税もできさらにより魅力的な会社にすることもできます。
なお中小企業退職金共済なら全額を損金算入できますので、中小企業の場合検討しておくこともできますが、養老保険には他にもメリットがあります。
メリット2:従業員の退職金を計画的に準備できる
続いての養老保険のメリットは、満期保険を活用して従業員の退職金を計画的に準備できるので負担を軽減できるということです。
複数の従業員が同時に退職したり定年前の従業員が急に退職することになっても、養老保険の満期保険で支払うことができます。
退職金とは給付金額が確定している制度のため、場合によっては会社の経営状態をかなり圧迫することになります。
養老保険に加入していれば、退職の多い年も少ない年も安心して経営に集中することができます。
メリット3:退職金の給付条件を設定できる
養老保険の3つ目のメリットは、従業員に合わせて退職金の給付条件を柔軟に設定できるので、無駄な出費が発生することはないということです。
全ての従業員が定年まで働くとは限りませんので、会社は従業員の退職金について次のような設定ができます。
- 在職期間が長い従業員にはより手厚い退職金
- 自己都合退職の場合退職金を減らす
- 懲役解雇の場合退職金を支払わない
メリット4:従業員の死亡時に遺族へ一定額の死亡保険金を支払える
養老保険の4つ目のメリットは、従業員の死亡時に遺族へ一定額の死亡保険金を確実に支払えることです。
それで仮に従業員が入社後すぐに亡くなってしまったとしても、遺族は同じ額の死亡保険を受け取ることができます。
なお全額損金算入できる中小企業退職金共済は中小企業の場合養老保険よりもメリットが大きく思えるかもしれませんが、死亡時に積立た額しか支払われないというデメリットもあります。
不慮の事態は本当に予測していないときに突然起きるものですので、現金で退職金を積み立てていても金額が全く追いつかないことがあります。
この点養老保険のいつでも同じ額の保険金を支払えるというメリットは、雇用者にも従業員にも安心できるメリットといえるでしょう。
メリット5:緊急時に契約者貸付制度を利用できる
養老保険の5つ目のメリットは、緊急時に緊急予備資金として契約者貸付制度を利用できるという安心感です。
契約者貸付制度とは、解約金のおよそ9割までの範囲で貸付を受けられる制度で、緊急時に保険金を現金に変えることができますが契約はそのまま継続となります。
もちろん契約者貸付で得たお金は利子をつけて返す必要がありますが、基本的に利子は他のローンと比べて低く審査も必要ありません。
ただし契約者貸付で受け取った額を利子とともに返済しないと、保険金の一部あるいは全額を失うことになりますのでその点は注意が必要です。
それでも緊急時に借金することなく一定額を審査なしで借りることができる、というメリットは経営者にとって大きいといえるでしょう。
養老保険を法人が加入するデメリット
続いて養老保険を法人が加入するデメリットについて考えてみましょう。次の2つがありますので、しっかりと理解してあらかじめ想定しておくことが大切です。
- 保険料の支払いが負担になるケースがある
- 従業員の入退社が多いと損をしやすい
デメリット1:保険料の支払いが負担になるケースがある
最初のデメリットは、満期保険金を受け取る前に保険料保険料の支払いが負担になるケースがあるということです。
養老保険は全従業員が対象の保険なので、保険料はかなり高額になりますし、2分の1は資産計上しなければならないので設定状況によっては会社のキャッシュフローを圧迫してしまいかねません。
それで大事なのは、会社の毎年の利益と、保険料をよく確認してその保険料を確実に支払えるかを検討することです。
会計士やマネーキャリアの無料保険相談などの意見を参考にしながら、経営状態と保険料のバランスを上手に設定するようにしましょう。
デメリット2:従業員の入退社が多いと損をしやすい
2番目のデメリットは、従業員の入退社が多いと受け取る額以上に保険金を支払うことになり保険料の面で損をしやすいというところです。
なぜなら養老保険は契約期間の初期は解約払戻金の払い戻し率が低く、満期に向けて高まっていくという特徴があるからです。
逆にいうと従業員全体の平均在籍期間が長ければ長いほど得しやすいという特徴はありますが、とりわけ従業員の在籍期間が2年以下の退職が続くと損になってしまいます。
それでまず養老保険に加入する前に会社の従業員の離職率を確認しましょう。ちなみに厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」令和3年度上半期の離職率平均は8.1%(男性7.4%、女性8.9%)です。
もし離職率が8.1%より高いなら、まずは他の福利厚生など全体を見直して従業員にとって会社が魅力的な職場になれるようにしておく必要があるかもしれません。
養老保険を法人が契約する注意点2つ
養老保険を法人が契約する際には、次の2つ点を注意してください。
- 全従業員が被保険者になる必要がある
- 福利厚生規程を整備する
法人養老保険の注意点1:全従業員が被保険者になる必要がある
最初の法人養老保険の注意点は従業員が被保険者になる必要があることです。養老保険は役員だけを除くことは可能ですが一部の従業員だけ加入するということはできないので注意が必要です。
全従業員が加入しなけれなならない養老保険は、受け取る保険金も多いですが、その分支払う保険料も高額になります。
役員だけの法人保険を検討しているなら次のような法人保険もありますので、検討してみてください。
法人保険の種類 | 被保険者 | 特徴 |
---|---|---|
養老保険 | 全従業員(役員は任意で非加入可) | 亡くなったら死亡保障、満期になったら満期保険を受け取れる |
逓増定期保険 | 経営者・役員のみ | 解約返礼率のピークが5〜10年と早く死亡保険も高いが、保険料は高め。 |
長期平準定期保険 | 経営者・役員のみ | 解約返礼率のピークが10年〜20年以上と遅い。保険料は低め。 |
法人保険にはこのように種類がありますので、会社の状況によっては養老保険だけではなく他の保険も検討しておくことをおすすめします。
なお養老保険は従業員のみにして、経営者や役員は逓増定期保険や長期平準定期保険に加入することもできます。
法人養老保険の注意点2:福利厚生規程を整備する
法人養老保険のもうひとつの注意点は、税金の節約や他のトラブルを避けるために福利厚生規程を整備しておく必要があることがです。
保険料の2分の1を損益として参入できると解説しましたが、それはあくまで福利厚生の一環として退職金に活用することがはっきりしている場合のみ。
なので在籍年数や退職金支給率などの退職金制度を、内外にはっきりと明示する必要があります。
このようにす福利厚生規定を整備することは節税につながるだけでなく、実際に死亡保険が支払われることになった場合無用な遺族間とのトラブルを避けることにつながります。
【ケース別】養老保険(福利厚生プラン)の経理処理方法
それでは実際に経理の処理方法をどのように行ったらいいか、福利厚生プランの養老保険経理処理方法をケース別でそれぞれ詳しく解説していきます。
- 資産計上(50%)
- 損金算入(50%)
項目 | 受取人 |
---|---|
被保険者 | 役員や従業員全員 |
死亡保険金の受取人 | 被保険者である役員や従業員の遺族 |
満期保険金受取人 | 法人 |
解約返戻金受取人 | 法人 |
- 保険料
- 死亡保険金受取時
- 満期保険金受取時
- 解約返戻金受取時
法人養老保険の計算処理①:保険料
まず保険料の計算処理方法について、以下の事例を想定して解説します。
- 年間保険料:550,000円
貸方/借方 | 記入 | 金額 |
---|---|---|
貸方 | 現金・預金 | 550,000円 |
借方 | 保険料積立金 | 275,000円 |
借方 | 福利厚生費 | 275,000円 |
このようにすることで養老保険に節税効果をもたらすことができます。
法人養老保険の計算処理②:死亡保険金受取時
続いて死亡保険金受取時の計算処理方法について、以下の事例を想定して解説します。
- 死亡保険金:10,000,000円
- 保険料積立金:2,750,000円
- 受取人:被保険者である役員や従業員の遺族
貸方/借方 | 記入 | 金額 |
---|---|---|
貸方 | 雑損失 | 2,750,000円 |
借方 | 保険金積立金 | 2,750,000円 |
法人養老保険の計算処理③:満期保険金受取時
続いて満期保険金受取時の計算処理方法について、以下の事例を想定して解説します。
- 満期保険金:10,000,000円
- 保険料積立金:5,500,000円
- 受取人:法人
貸方/借方 | 記入 | 金額 |
---|---|---|
貸方 | 保険料積立金 | 5,500,000円 |
貸方 | 雑収入 | 4,500,000円 |
借方 | 現金・預金 | 10,000,000円 |
法人養老保険の計算処理④:解約返戻金受取時
続いて満期保険金受取時の計算処理方法について、以下の事例を想定して解説します。
- 解約返戻金:4,850,000円
- 保険料積立金:2,750,000円
- 受取人:法人
貸方/借方 | 記入 | 金額 |
---|---|---|
貸方 | 保険料積立金 | 2,750,000円 |
貸方 | 雑収入 | 2,100,000円 |
借方 | 現金・預金 | 4,850,000円 |
法人保険の活用事例集
まとめ:保険相談は専門家がいるマネーキャリアへ!
今回は福利厚生プランの養老保険を法人契約するメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
養老保険で法人契約するメリットには保険料の2分の1を損金算入して法人税を軽減できるだけでなく、従業員の退職金を計画的に準備できたり死亡時には一定額の死亡保障金がでますので、中小企業退職金共済にはないメリットがあります。
一方で法人契約するには全従業員が被保険者になることや福利厚生規程を準備する必要があり、場合によってはキャッシュフローを圧迫したり保険料の面で損することがありますので注意が必要です。
専門家などからの意見を参考にしながら正しい経理処理方法を身に付ければ養老保険のメリットを最大限に活かし、デメリットを極力抑えることができるようになります。
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養老保険の法人保険について、あるいは節税についてなど保険について疑問があることはなんでもお尋ねください。
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