この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 乳腺線維腺腫や葉状腫瘍でもがん保険に入れる?
- 乳腺線維腺腫はがん保険に入れる可能性が高い
- 葉状腫瘍はがん保険に入れない可能性が高い
- 乳腺線維腺腫でがん保険に加入するための告知のポイント
- 乳腺線維腺腫や乳腺症でも入れるがん保険を知りたいならプロに相談がおすすめ
- 乳腺線維腺腫はどんな病気?葉状腫瘍・乳腺症の違いは?
- 乳腺線維腺腫で事実と異なる告知をすると告知義務違反になる
- 乳腺線維腺腫とは
- 乳腺線維腺腫の発症原因
- 乳腺線維腺腫を診断する方法
- 乳房のしこりに注意
- 乳腺線維腺腫は治療が必要ないケースも多い
- 乳腺線維腺腫の治療は手術が必要なら保険適用される可能性がある
- 悪性の腫瘍は保障の対象になりやすい
- 乳腺線維腺腫を患った過去があると保険に加入しにくい
- 保険金を請求できるかは事前に保険会社へ問い合わせる必要がある
- 乳腺線維腺腫から乳がんになるリスクはどれくらい?
- 乳腺線維腺腫は悪性化しにくい
- 乳腺線維腺腫や乳がんをセルフチェックする方法
- まとめ:乳腺線維腺腫や葉状腫瘍はがん保険に入れる?入れない?
乳腺線維腺腫や葉状腫瘍でもがん保険に入れる?
乳腺線維腺腫と診断された方でも、がん保険に加入できる可能性は十分にあります。
乳腺線維腺腫はがんではないため、以下の要件をクリアしていれば加入できる可能性はあります。
- 現症の場合、手術後5年超が経過している
- 既往症の場合、完治後1年超が経過している
一方、葉状腫瘍は、乳腺線維腺腫と比較してがん保険に加入できる可能性が低くなります。
なぜなら線維腫瘍はがんになることが非常に稀なのに対し、葉状腫瘍は切除後も再発しやすく、悪性の場合は転移することもあるためです。
ここからは乳腺線維腺腫と葉状腫瘍、それぞれの病気ごとにがん保険に加入できる可能性について詳しくご紹介します。
乳腺線維腺腫はがん保険に入れる可能性が高い
乳腺線維腺腫は、がん保険に加入できる可能性が高いです。
その理由は乳腺線維腺腫は大半が良性のしこりであり、時間経過で自然と消えることも多いためです。
乳がんになるリスクが低く、診断から一定期間経過すればがん保険に加入できます。
乳房のしこりの原因が乳腺線維腺腫であれば、がん保険以外に医療保険や死亡保険に加入することも可能です。
葉状腫瘍はがん保険に入れない可能性が高い
葉状腫瘍の場合は、がん保険に入れない可能性が高いです。
その理由は、葉状腫瘍は切除後も局所再発が起こりやすく、悪性の場合は肺などに転移する可能性があるためです。
また、良性であっても局所再発を繰り返すうちに悪性度が増すこともあります。
悪性の葉状腫瘍が肺に転移すると抗がん剤も期待できない予後不良となることもあり、がん保険には加入できない可能性が高いです。
乳腺線維腺腫でがん保険に加入するための告知のポイント
がん保険に加入するために必要な告知のポイントは、正確な情報を伝えることです。
告知とは、保険の加入時に健康状態や病歴などを保険会社に伝えることをいいます。
乳腺線維腺腫に罹患したことがある方ががん保険に加入する際は、下記のようなことを聞かれる場合が多いです。
- 直近の3ヵ月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けているか
- 過去2年以内に検査や治療を勧められたことがあるか
- 乳腺線維腺腫と診断された年月日
- 通院歴
- 現在の症状や医師の診断内容
保険会社は、告知の内容をもとに保険に加入できるかどうかを判断しているため、告知に不備があると告知義務違反となります。
告知義務違反になると、保険に加入できない場合や加入できても保険金がおりない場合があるので注意してください。
乳腺線維腺腫や乳腺症でも入れるがん保険を知りたいならプロに相談がおすすめ
乳腺線維腺腫や乳腺症でも入れるがん保険を知るなら、プロに相談がおすすめです。
がん保険の審査は保険会社によって基準が異なるため、乳腺線維腺腫や乳腺症と診断された方であっても、保険会社を選べば加入できる可能性があります。
とはいえ、告知内容に沿って回答しても、保険会社ごとに定められた加入条件や審査基準によっては加入できないこともあります。
乳腺線維腺腫や乳腺症の方ががん保険に加入するなら、各保険会社の加入条件や保障内容を把握した保険の専門家に相談するのがおすすめです。
乳腺線維腺腫はどんな病気?葉状腫瘍・乳腺症の違いは?
乳腺線維腺腫とは、細胞が異常に増殖した結果、乳房にしこりができる病気です。
10〜20代の女性によくみられる病気で、正常な乳腺の一部が異常に腫れただけの良性のしこりのため特別な治療をしなくても時が経てば自然に消えることがあります。
通常はしこりが3cm以上大きくなることはなく、3cm以下であれば治療は不要とされています。
一方、葉状腫瘍は発生すると急速に大きくなり、数ヵ月で10cm以上の腫瘤になることもあります。
手術で切除しても取り残しがあると局所再発する可能性があることも、乳腺線維腺腫とは大きく異なります。
また、乳腺症は乳房の痛みやしこり、乳頭分泌などの症状がある「良性疾患の総称」のことです。
乳腺症は病気ではなく女性ホルモンバランスの乱れによって起きる「逸脱症候」と考えられており、ほとんどのケースでは乳がんの心配はありません。
がん保険に加入するなら、ご自身の乳房のしこりがどの症状に当てはまるかを確認することが大切です。
乳腺線維腺腫で事実と異なる告知をすると告知義務違反になる
乳腺線維腺腫で事実に反する告知をすると、告知義務違反になるため注意が必要です。
なぜなら、虚偽の報告をして告知義務違反と判断されると、がん保険を強制解約させられるだけではなく、損害賠償請求となる可能性もあるからです。
乳腺線維腺腫は自然治癒の可能性が高く、経過観察の診察だけで本格的な治療を受けていない方もいます。
そのようなケースであっても、診察におこなった事実は告知しなければなりません。
また、勘違いが原因で結果的に意図せず告知義務違反となった場合でも、契約の解除や損害賠償請求につながります。
がん保険を申し込む前に少なくとも5年以内の病歴については年月日を含めてしっかりと確認しておきましょう。
乳腺線維腺腫とは
先ほど、乳腺線維腺腫は乳房にしこりができる病気ですが、良性であることが多く、治療が必要ないケースが多いと解説しました。
とはいえ、乳房にしこりができたとなると、乳がんになってしまわないかな、と心配になるかもしれません。
ここからは乳腺線維腺腫について以下の点を詳しく解説していきます。
- 発症原因
- 診断方法
- 症状
- 治療が必要ないケース
乳腺線維腺腫の発症原因
乳腺線維腺腫の発症原因は現状はっきりとはわかっていません。
思春期以降の10〜20代に発症しやすいという背景から、女性ホルモンの影響で発症するのではないかと言われています。
乳腺線維腺腫は細胞の異常な増殖によるもので、基本的には2〜3cmほどの大きさになると増殖が止まります。
そして、年齢とともに自然と消えていくケースも珍しくないようです。
しかし、腫瘍が3cmよりも大きくなり、葉状腫瘍の可能性が否定できなくなると、切除手術がおこなわれることもあります。
腫瘍は経口避妊薬の服用や妊娠、その他ホルモンの影響を受けて大きくなることもあるようです。
乳腺線維腺腫を診断する方法
乳腺線維腺腫の主な診断方法には以下のようなものがあります。
- 問診
- 触診
- 超音波検査
- マンモグラフィ検査
- 組織診(針生検)
それぞれの検査結果をもとに、乳腺線維腺腫の診断をおこないます。
触診や画像診断で良性か悪性かの判断がつかない際に、組織診などの病理学的な検査をおこなうようです。
良性の乳腺線維腺腫と診断された場合であっても、半年から1年に1回の頻度で通院し、超音波検査などで経過観察していきます。
乳房のしこりに注意
乳腺線維腺腫が気になる方は、乳房の「しこり」に注意しましょう。
乳腺線維腺腫は乳房にできるしこりです。
腫瘍が成長するスピードはゆっくりで、痛みを感じることはあまりないようです。
成長速度は人によって異なり、10〜20代で気がつく人がいれば、40歳前後になってから気がつく人もいます。
また、乳房にできるしこりには、乳腺線維腺腫のほかにも葉状腫瘍・乳腺炎などがあります。
乳腺線維腺腫のように、治療をしなくても自然治癒するしこりがあれば、葉状腫瘍・乳腺炎のような治療が不可欠なものもあります。
普通の人がしこりを触っても、治療が必要なものか、不要なものかを判断することは非常に困難なため、乳房にしこりがあると感じた場合は病院に行きましょう。
乳腺線維腺腫は治療が必要ないケースも多い
乳腺線維腺腫は、治療が必要のないケースも多くあります。
なぜなら乳腺線維腺腫の腫瘍は3cmほどで成長が止まって乳がん化するリスクが低く、40〜50代になる頃には自然に消えていくケースが少なくないためです。
腫瘍が悪性であったり、3cmを超えて葉状腫瘍が疑われたりする場合などを除き、大半のケースでは治療せずに経過観察になります。
それでも不安な方は、万が一の悪性腫瘍で治療が必要になるようなケースに備えて、症状がないうちからがん保険に加入することがおすすめです。
乳腺線維腺腫の治療は手術が必要なら保険適用される可能性がある
乳腺線維腺腫の治療は、手術が必要なら保険適用される可能性があります。
ここでは、以下の内容を解説しながら、乳腺線維腺腫の治療が保険で保障されるかを紹介します。
- 悪性の腫瘍は保障の対象になりやすい
- 乳腺線維腺腫を患った過去があると保険に加入しにくい
- 保険金を請求できるかは事前に保険会社へ問い合わせる必要がある
過去に乳腺線維腺腫と診断されたことがある方や保障内容に含まれるかどうか気になる方はぜひ参考にしてください。
悪性の腫瘍は保障の対象になりやすい
悪性の腫瘍の場合は、以下のような手術が保障対象になりやすいです。
- 乳腺腫瘍摘出手術
- 乳房切除術
- 乳腺全摘術
- 乳腺部分切除術
ただし、乳腺線維腺腫に関係するすべての手術が保障されるとは限りません。
例えば、下記の手術は保障対象外となるケースが多いです。
- 乳腺腫瘍切開術
- 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術
詳しくは加入前に担当者に確認したり、契約のしおりや約款などでご自身で確認したりしましょう。
乳腺線維腺腫を患った過去があると保険に加入しにくい
過去に乳腺線維腺腫と診断されたことがあると、保険には加入しにくくなります。
特にがん保険の場合は、加入するのは厳しいといえるでしょう。
医療保険の場合は乳がんなど、関連性の高い疾病が保障対象外となる特定部位不担保の条件で加入できるケースがあるようです。
乳腺線維腺腫は良性の腫瘍で、がん化する可能性が低いとされていることから、問題ないと判断されることが多いです。
しかし、保険会社は「乳房にしこりがある」という事実から乳房に関連する疾病になる可能性が高いと判断していると考えられます。
そのため、乳腺線維腺腫と診断されたことがある方は条件付きでの加入や加入自体を断ったりするケースが一般的とされています。
保険金を請求できるかは事前に保険会社へ問い合わせる必要がある
乳腺線維腺腫と診断され、治療が必要になった際に保険金を請求できるかどうかは、保険会社に問い合わせて確認する必要があります。
基本的には商品の保障内容に含まれていて、免責期間が終わっていれば保険金を請求できますが、保険にあまり詳しくない方の場合、判断が難しいかもしれません。
乳腺線維腺腫が気になる方は契約前に担当者に保険金を請求できるケース、できないケースをしっかりと確認しておくことをおすすめします。
乳腺線維腺腫から乳がんになるリスクはどれくらい?
乳腺線維腺腫は多くのケースで治療の必要がありません。
とはいえ、乳房にしこりがあると、がんになってしまうのかなと心配になってしまいますよね。
ここからは
- 乳腺線維腺腫の悪性化のリスク
- セルフチェックの方法
を解説していきます。
乳腺線維腺腫は悪性化しにくい
乳腺線維腺腫は悪性化しにくいとされている腫瘍です。
2〜3cmほどで成長が止まり、自然と小さくなり40〜50代前後には自然に消えていることも珍しくありません。
そのような背景から、良性の乳腺線維腺腫と診断された場合は治療の必要はなく、経過観察をおこなうだけのケースが多いです。
とはいえ、今後悪性の腫瘍ができる可能性があります。
また、乳腺線維腺腫は悪性化する可能性が低いしこりですが、乳房にできるしこりのすべてが良性ではありません。
悪性の腫瘍の代表例は乳がんで治療が必要です。
加えて、良性の腫瘍であっても治療が費用な場合もあります。
3cm以上の大きさであれば治療が必要とされていますし、葉状腫瘍のような良性の腫瘍は治療が必要とされています。
乳腺線維腺腫や乳がんをセルフチェックする方法
乳腺線維腺腫や乳がんは注意していれば自分で見つけることも可能です。毎月1回くらいの頻度でセルフチェックしましょう。
視診と触診をおこなってください。
視診は鏡の前で両手を上げ、正面・側面・斜めから次の点を確認しましょう。
- 乳房にひきつれやへこみがないか
- 乳首がへこんでいたり、ただれができていたりしないか
- 乳頭を摘んだときに分泌物がないか
触診は仰向けに寝て、人差し指・中指・薬指の3本の指の腹で円を描くように乳房全体をゆっくり触り、以下の点をチェックしてください。
- 乳房に小さくて硬い痛みのないしこりはないか
- 両脇の下にしこりや腫れがないか
いずれかに当てはまったら病院に行って診てもらいましょう。
まとめ:乳腺線維腺腫や葉状腫瘍はがん保険に入れる?入れない?
乳腺線維腺腫や葉状腫瘍と診断されると、がん保険への加入は難しいです。
医療保険であれば、乳房に関する疾病が保障対象外となる特定部位不担保での条件付きになるケースが多いです。
保険会社にもよりますが、2年以内に乳腺線維腺腫で通院している場合は保険加入時に告知する必要があります。
不利に働く情報であるため、伝えたくない気持ちはわかりますが、乳腺線維腺腫の事実を告知しなかった場合、告知義務違反となるため、必ず伝えましょう。
乳腺線維腺腫そのものは良性の腫瘍で、がん化する可能性も非常に低く、治療をしなくても40〜50代前後には自然消滅することもあります。
とはいえ、腫瘍が大きくなったり、悪性腫瘍の場合は治療が必要です。
悪性腫瘍の治療で、手術が必要な場合には保険金を請求できるケースが多いです。