請負業者賠償責任保険とは?一人親方や下請けでも必要な保険!のサムネイル画像

内容をまとめると

  • 請負業者賠償責任保険は、工事を請け負う法人や事業者には賠償責任を果たすうえで非常に重要な損害保険
  • 工事保険の1つとして第三者に対する対人・物損の損害賠償を補償する保険が請負業者賠償責任保険
  • 基本補償で不足するリスクへの備えは特約の付帯で補償を拡大させられる
  • 工事や作業内容・業種・契約方式によって保険料は異なる
  • 元請け会社が保険に入っていても下請け業者も請負業者賠償責任保険に加入した方が良い
  • 個人事業主や一人親方も請負業者賠償責任保険に加入できる
  • 法人保険や企業のリスク対策に関する相談なら「マネーキャリア」がおすすめ

請負業者賠償責任保険とは、工事中や作業中に、対人・対物の損害が発生した場合に補償してくれる損害保険です。元請が加入していたとしても、下請け業者により発生した損害が補償範囲外であることもあるので、一人親方や下請け企業であっても請負業者賠償責任保険は必要です。

この記事の目次

工事業を取り巻くリスクや事故


工事業における事故のリスクはたかく、厚生労働省「令和4年における労働災害発生状況(確定)」によると、令和4年の各業種で発生した事故による死者・死傷者は、つぎのように発表されています。

令和4年死亡者数死傷者数
製造業140人26,694人
建設業281人14,539人
陸上貨物運送業90人16,580人

死亡者が突出している工事業は、いかに事故のリスクが高いかということが、よくわかります。


また、塗装作業中に、落下してしまったペンキ缶が、第三者の車にあたって車両の損傷を与えてしまうと法的な賠償責任を負うことになってしまいます。


工事業における事故は、死傷者が出た事故だけでなく、事故によって第三者に対する損害賠償が発生してしまうケースもあるのです。


ここでは、工事業における事故の発生事例を2つ紹介します。

  1. <事例1>建設工事中の事故
  2. <事例2>他社の施設や設備に損害が発生した事例
これらの事故例をみて、どのようにリスクへの備えるべきかを考えるときの参考にしてみてください。

事例1:建設工事中の事故

令和元年7月、建設工事中に作業をしていた手すりがなんらかの原因ではずれ、現場関係者が約12m下の構台上に墜落する事故がおきました。


9段目の足場に設置していた防音パネルをはずし、荷下ろしのために外していた9段目の手すりを、8段目の足場から再設置しようとしていたときにおこった事故です。


ハーネス式墜落用制止用器具は装着していたものの、フックをかけていた8段目の手すりは固定されていませんでした。


しかし、手すりの撤去は下の足場からしかできない構造となっており、7段目でパネルを撤去していた作業員が、8段目の先行手すりを撤去してしまったことも事故につながったと推測されます。


墜落した工事関係者は、以下のような診断を受け、全治4か月の加療を要する診断がくだされるほどの大ケガを負いました。

  • 多発骨盤骨折
  • 右橈骨頭脱臼骨折
  • 右橈骨通位端解放性粉砕骨折
  • 右尺骨骨幹部解放骨折
  • 右第6.7肋骨骨折
  • 下顎骨骨折
  • 右血気胸
  • 外傷性大動脈解離
  • 右腎損傷
  • 外傷性くも膜下出血
  • 右下肢動脈閉塞
  • 右下腿コンパートメント症候群


事故当日、足場の点検では目視でくさびがはずれないことを確認していましたが、工事の進捗状況により作業内容を変更し、翌日の作業を前倒しで実施していた際におこった事故でした。


参考:建設工事事故事例集

事例2:他社の施設や設備に損害が発生

地下1階にパチンコ店のあるビルの1階を改装工事していたところ、水漏れにより階下のパチンコ店に損害をあたえ、1億円の損害賠償となる事故がおきました。


小型重機がスプリンクラー配管に接触し、約10分間にわたり放水されたため、水漏れが階下のパチンコ店全体に広がってしまったのです。


この事故では、パチンコ店の休業損害を焦点に、2億5,520万円の損害賠償をめぐる争訟となり、損害賠償の請求額は以下のような内訳でした。

損害賠償の
内訳
請求金額
内装・設備・
機械類の損害
6,393万円
休業損害1憶5,491万円
再開時の諸費用678万円
弁護士費用1,000万円

事故から4年後、賠償金額は延滞損害金をふくめて1億円の判決がくだされましたが、最後まで争点となったのは、休業期間中における推定売上高、利益率、事故と相当因果関係のある休業期間となりました。


事故以前の直近1年間の売上高6.6億円、認定休業期間4ヶ月、売上率により1憶5,491万円の休業損害請求は、4,700万円の賠償責任を負うことで決着したのです。


発生した事故によって、他社の施設や設備に損害を与えると、物への損害賠償だけでなく、営業損害に対する賠償責任が発生し、被害にあった企業規模によっては、億単位になるケースも考えられることも忘れてはなりません。


参考:建設業の高額賠償事故

請負業者賠償責任保険とは?


工事などの作業に関連する対人・対物事故に備える損害保険が請負業者賠償責任保険です。工事保険の1つとして、建設工事にかかわるひとには、馴染みのある保険となっています。

請負業者賠償責任保険の特徴は、作業中に事故によって、第三者のものに損害を与えてしまったり、ひとに怪我を負わせてしまったりしたときなど、法律上の賠償責任に備えられることです。

工事保険には、種類によって保険の対象が異なり、それぞれの特徴を理解したうえで、必要な補償を準備しておかなければなりません。
  • 工事の目的物が補償対象:建設工事保険・土木工事保険・組立保険
  • 第三者が補償対象:請負業者賠償責任保険・PL保険(生産物賠償責任保険)
  • 従業員や下請け業者が補償対象:業務災害補償保険・使用者賠償責任保険・労災上乗せ保険

ここでは、請負業者賠償保険と間違われやすい保険の違いを比較しながら紹介します。
  1. 「請負業者賠償保険」と「建設工事保険」のちがい
  2. 「請負業者賠償保険」と「施設賠償保険」のちがい
それぞれ「どのような目的で加入すべき保険なのか」ということを理解し、必要な保険を検討できるようにしておきましょう。

建設工事保険との違い

建設工事保険は、工事をおこなっている建物などに損傷をあたえてしまい、賠償責任が発生したときに備える保険です。


突発的に起きた事故だけでなく、施工ミスや盗難、火災や爆発などでおこった損害も補償され、損傷した工事中の建物などを復旧するための費用を保険で賄うことができます。


賠償という意味では請負業者賠償保険と似ていますが、保険の対象や補償がまったく異なるので、建設工事保険とのちがいを一覧で比較してみましょう。

比較表請負業者賠償保険建設工事保険
補償内容法律上の損害賠償金損傷を与えたとき事故前の状態に
復旧するための費用
補償対象工事中の建物などや人建築工事中の建物など
損害例・工具を落としてしまい通行人に怪我を負わせた
・材料搬入時に他者の車に傷をつけてしまった
・水漏れをさせてしまい階下に水漏れの損害を与えた
・工事中の建物が火災によって延焼した
・台風により工事中の足場が崩れて外壁がはがれた
・作業員のミスで工事中の建物の窓を割ってしまった


他者への賠償を補償するのは「請負業者賠償保険」、工事中の建物を復旧するための補償は「建設工事保険」であることを覚えておいてください。

施設賠償責任保険との違い

請負業者賠償責任保険と同様、人や物など、第三者にたいする補償を目的とする施設賠償責任保険は、工事ではなく店舗で経営する場合に必要な賠償保険です。


どちらも、被害にあったひとに損害賠償を保険で支払うという点では似ていますが、請負業者賠償責任と施設賠償責任保険は、「どのような状況で事故が発生したか」というちがいがポイントとなります。

  • 請負業者賠償責任保険:工事に関連する事故で、物や人に対する損害賠償
  • 施設賠償責任保険:施設で業務を遂行中に発生した事故で、物や人に対する損害賠償

たとえば、個人事業主としてハウスクリーニングなどの清掃業を営んでいる場合、お客さまの部屋で床を傷つけてしまった場合の損害賠償に保険で備えておきたい場合は、「請負業者賠償責任保険」が必要となります。

一方、飲食店でお客さまにコーヒーを出したところ、誤ってこぼしてしまいお客さまにやけどを負わせてしまった場合などに備えるなら、「施設賠償責任保険」となるのです。

お客さまから請け負って工事や作業などを行うときの備えなら「請負業者賠償責任保険」、業務中の事故に対して備えるなら「施設賠償責任保険」という違いがあります。

施設賠償責任保険についてのサムネイル画像

施設賠償責任保険とは?支払い事例や保険料の相場などを徹底解説!

請負業者賠償責任保険の補償内容


工事や作業中に起こった事故における対人・対物保険として、損害賠償金の実費を補償する保険が「請負業者賠償責任」です。


実際に負担する必要がある賠償額に対して補償される内容には、設定した保険金を上限として、様々な補償内容が含まれています。

補償内容概要
損害賠償金治療費や修繕費などに必要な費用
争訟費用
弁護士費用
裁判費用
事故解決のために必要となる費用
損害防止費用損害の拡大を防ぐための費用
権利保全行使費用被害者へ賠償金を支払う権利や保全などに
必要な手続きに必要な費用
協力協力費用事故解決に向けて保険会社に
協力するための交通費や通信費など
緊急措置費用被害者を救済するために要した費用


補償される場合の工事や作業には、建設工事や土木工事、組立工事や塗装作業、ハウスクリーニングなどの清掃業や運送作業、荷役作業や引っ越し作業など、様々な仕事があります。


元請け会社が請負業者賠償責任保険に加入していれば、同じ現場で工事や作業する下請け会社の従業員も補償範囲に含まれ、事故を起こしても補償してもらうことも可能です。


損保ジャパンや三井住友海上など、損害保険会社で販売される「請負業者賠償責任保険」は、基本補償に大きなちがいはないものの、付帯できる特約などは異なるため、検討するときは加入目的にあった補償かどうかを比較しながら検討することをおすすめします。

請負業者賠償責任保険で補償対象外となるケース

第三者に対する補償である「請負業者賠償責任保険」では、自社の従業員のケガや、工事中や作業中の物の損害など、以下のような場合は補償の対象外となります。

  • 掘削や基礎工事に伴う土地の沈下・隆起・振動などによる建物の損壊
  • 建物外部からの雨や雪などの吹込みによる損害
  • 自動車や原付自動車の所有や使用に対する補償
  • 工事や作業を行う場所以外における財物への補償
  • 工事や作業完了・引渡し後に事故が起きた場合の補償
  • 戦争や地震、噴火や津波による損害
  • サイバー攻撃による損害
  • 排水や廃棄、煙などによる賠償
損保ジャパンや三井住友海上など損害保険会社では、各社で補償の対象外について詳しく設定されているので、加入する前には必ず確認しておくことをおすめします。

請負業者賠償責任保険の保障対象外となる事故にたいしては、特約を付帯したり、他の保険と合わせて包括契約にするなど、補償が必要なら検討しなければなりません。

請負業者賠償責任保険に付帯できる特約

損害保険会社では、各社で請負業者賠償責任保険に付帯できる特約が異なります。


ここでは、損保ジャパンと三井住友海上の2社について、付帯できる特約をご紹介します。

付帯できる特約
損保ジャパン三井住友海上
見舞金や見舞品など
被害者対応費用補償
事故対応時に発生した費用など
事故対応特別費用補償
協力費用など別枠の費用保険金費用内枠払い補償
被害者に医療費などを支払うことによる損害
第三者医療費用の補償
第三者への名誉棄損や
プライバシーの侵害などに対する賠償
人格権侵害補償
物理的損害を伴わない使用不可能な
損害を与えて賠償を負った場合
物理的損傷を伴わない財物の私用不能損害補償
作業対象物の損壊による
損害賠償の責任を負った場合
作業対象物補償
支給された財物を損壊させ
所有者に対する賠償責任を負った場合
支給財物損壊補償
支給財物損壊補償
リースやレンタルしている財物を
損壊させ賠償責任を負った場合
リース・レンタル財物損壊補償
借用財物損壊補償
補償される事故により工事や作業が
遅延したときの延滞損害賠償
工事遅延損害補償
工事遅延損害補償
電子データや情報メディアを
消去・欠損させたときの賠償
データ損壊補償
管理下にある財物を
損壊させた場合の損害賠償
管理財物損壊補償
地下工事や基礎工事、
掘削工事にともなう事故への補償
地盤崩壊危険補償

偶然かつ突発的に起きた事故は、事故対応の初動から解決まで、すべてが請負業者賠償責任保険によって補償されるとは限りません。


なかには基本補償で補償されない損害賠償が発生する可能性もあるので、工事や作業をおこなう元請け会社や下請け会社、個人事業主などはリスクの種類をかんがえて、どこまで補償すべきかを検討しておくことをおすすめします。


自社が対策すべきリスクについては、「マネーキャリア」で専門家に相談することをおすすめします。


マネーキャリアでは、相談者の経営する事業のリスクを理解した上で、最適な対策方法を提案してくれます


気になる方は、以下からご相談ください。

自社のリスク対策を相談する

請負業者賠償責任保険の保険料


請負業者賠償責任保険の保険料は、工事や作業内容などが関連する現場保険であるため、一概に保険料がいくらとはいえません。


人身や物損保険としての補償内容や業種など、以下のような内容が保険料の算出に関係しているのです。

  • 工事や作業の種類
  • 特約の付帯などを含む補償内容
  • 会社の業種や年間の売上高
  • 保険金の支払い限度額の設定
  • 免責金額の設定
また、基準となる保険料は保険会社によって異なるため、おなじ補償内容であっても比較してみると、「A社よりB社のほうが保険料が安い」というケースもあります。

元請け会社なら賠償責任補償をふくんだ建設業元請保険や工事賠償責任保険など、包括保険に加入するという方法もあるため、ニーズにあった補償内容で保険料を試算してもらうことが大切なのです。

建設業元請保険や工事賠償責任保険など包括的な加入がよいのか、リスクに備えた現場保険の1つである請負業者責任保険への加入がよいのか、保険料とともに検討するときは、法人保険の専門家に相談することがおすすめです。

建設業が加入する現場保険は、種類によって重複する補償があり、素人判断してしまうと保険料までもが重複してたかくなってしまう可能性があります。

損金算入できる請負業者賠償責任保険の保険料ですが、すこしでも安い保険料にしたいなら、保険の専門家からの意見もとりいれてみましょう。

自社が加入する場合の保険料を知る

請負業者賠償責任保険の加入方法


建設業の現場保険の1つ、請負業者賠償責任保険に加入する場合は、損害保険会社や代理店などで保険料の見積・申込が可能です。


また、主な加入方法は2つあり、工事期間や工事場所の違いによって異なります。

  • 元請会社だけを対象とする1年間すべての工事や作業を補償する「年間包括契約」
  • 工事期間のみや指定する場所での工事のみ補償する「個別スポット契約」
取引をしている下請会け社が多い元請け会社は「個別スポット契約」、基本的には元請け会社のみで建設作業をおこなうならスポット契約よりも保険料が安い「年間包括契約」など、保険料と合わせて加入を検討してみると良いでしょう。

検討段階から損害保険会社や代理店に相談すると、取扱っている保険商品以外と比較できなくなってしまうため、まずは法人契約の専門家がアドバイスしてくれる「マネーキャリア」への相談がおすすめです。

建設業におけるリスクや、自社のリスクに対して客観的にアドバイスしてくれるので、最適な補償内容や契約方法をみつけることができます。

法人保険や事業のリスク対策に関する専門家がいるマネーキャリアでは、毎月30件以上もの法人や個人事業主から相談があり、相談利用者の満足度は98.6%と非常に高くなっているので、ぜひ活用してみてください。

請負業社賠償責任保険を相談する

【参考】個人事業主や一人親方でも加入できる?


工事業などで下請け業者としてはたらく個人事業主や一人親方も、必要に応じて請負業者賠償責任保険に加入でき、むしろ加入を推奨されていることがおおくあります。


元請け会社がすでに加入し、下請け会社や業者も補償される場合でも、工事中におきた第三者への損害は、元請け会社・下請け会社や業者ともに、被害者から損害賠償を求められる可能性があるのです。


また、重機などをはじめ建築に必要なものを購入するのは個人事業主や一人親方にとっては値段が高いため、元請け会社から借りたり支給してもらったりすることもありますよね。


そんなとき、もしも機材などに損傷を与えてしまった場合には、元請け会社から賠償を求められるケースも考えられます。


個人事業主や一人親方で工事業を営んでいるひとは、様々なリスクを考え、元請け会社の保険をあてにすることなく、自身でも請負業者賠償責任保険に加入することを検討しておきましょう。


その際には、元請け会社に工事や管理下となる財物の値段などを確認するなど、「せっかく請負業者賠償責任保険に加入していたのに、補償が不足していて実費で賠償せざるをえなくなった」ということがないように注意しておいてくださいね。

まとめ:請負業者賠償責任保険について


工事保険の1つである「請負業者賠償責任保険」は、対人・物損保険として第三者に対たいする損害賠償を補償する保険であり、建設工事保険などとは補償する内容が異なります。


請負業者賠償責任保険についてまとめると、つぎのような特徴があるので覚えておいてください。

  • 請負業者賠償責任保険は、工事や作業中の事故が原因で対人・対物の賠償責任を負ったときに備える損害保険
  • 保険金額を設定していても、損害賠償額以上の保険金は支払われない
  • 損害賠償を伴う事故が発生しても、内容によっては保障の対象外となるケースもある
  • 基本補償に加え、特約を付帯することでさらに補償範囲を拡大できる
  • 請負業者賠償責任保険に加入する際の保険料は、工事や作業の種類・業種などをもとに算出される
  • 個人事業主や一人親方も請負業者賠償責任保険に加入できる
  • 法人保険や事業のリスク対策にかんする相談は「マネーキャリア」がおすすめ!
すでに請負業者賠償責任保険に加入している工事業の企業はおおくなっていますが、定期的に補償内容や保険料の確認・見直しをおこなうことが大切です。

工事内容や業種に変化があると、補償漏れを起こしてしまったり、補償が重複してしまったりするケースがあります。

適切な保険料で請負業者賠償責任保険に加入するためにも、「マネーキャリア」の無料相談を利用してみてください。

何度でも無料で相談できる「マネーキャリア」では、法人保険や事業のリスク対策に詳しい専門家が適切なアドバイスをおこなっています。

無理な勧誘などはなく、中立な立場でアドバイスしてくれる専門家に相談するなら、「マネーキャリア」の活用がおすすめです。

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