リコール保険とは?PL保険で補償できない範囲をカバーしてくれる!のサムネイル画像

内容をまとめると

  •  リコール保険とは、製造・販売した製品による不備などの際に行うリコールにかかる費用を補償するための保険
  • PL保険との違いは、保険金の支払い対象
  • 保険料は、事業の売上や補償内容などにより異なる
  • リコール保険の加入率はまだ比較的低い

リコール保険とは、事故が起こった製品や起こる恐れがある製品をリコールする際の、回収費用を補償する損害保険です。PL保険ではカバーできない回収費用を、リコール保険では補償してくれるため、PL保険の加入を検討している方は同時に加入することをおすすめします。

記事監修者「金子 賢司」

監修者金子 賢司
フィナンシャルプランナー

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。<br>以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP

この記事の目次

目次を閉じる

リコールに関するリスク


事業を経営するときにリコールに関するに備える必要がある認識はお持ちでしょうか。


ダイハツ工業の問題が連日、報道されていますが、自動車に限らず、製品を製造・販売をする企業にとっては事後処理を間違えると、信用を一瞬で失うことや、リコールの費用は多額にのぼることも多く、倒産の危機もあり得ます。


そのためリコールの損害は、経営をする上で、常に意識が必要なリスクです。

事例:リコールによる賠償金の発生

2020年の記事ですがトヨタ車においてリコールによる追加の賠償金が発生した事例がありました。


この事例ではトヨタの子会社であるデンソーの欠陥燃料ポンプ問題によって、トヨタ車が追加届け出、266万台のリコールに対して460億円のリコール対策費用の賠償金を追加で発生したという記事です。


追加賠償金の充当ですので、実際にはもっと大きな額となっているのですが、デンソー側としては想定していた賠償金額を上回る支払いとなっており、企業側の負担の大きさが伺えます。


製造業となると納品先が大手企業となることも多く、一度、リコールが起きるとその規模は全国、全世界となるケースもありえます。


中小企業がその賠償金を自社で賄うというのは非常に難しいことがこの事例からも理解できます。


参考:新規トヨタ車リコールで460億円の追加賠償、デンソー品質問題

リコール保険とは?:PL保険との違いとは?


ここではリコール保険とPL保険との違いについて解説します。


リコール保険とは、製造販売した製品や、食品などに不備や異物が入っていたなどの場合に行うリコールにかかる費用を補償するための保険です。


このリコール対応には回収の費用として、輸送代金や回収費用など多額の費用がかかります。


そのため全額自己負担となると、事業を継続できない可能性があるので、特に製造業の方々は加入すべき保険の一つです。

PL保険との違いは?

PL保険(生産物賠償責任保険)は製造販売したものによって、取引先企業や消費者が事業運営への被害や健康被害などを受けた場合に、損害賠償責任が発生します。


その損害賠償金に対して、保険金をお支払いするのがPL保険の役割となります。


そのため、リコール保険との違いは、保険金の支払いの対象が異なることです。しかし、同時に請求が発生する可能性の高い保険といえます。


また、リコール保険はPL保険の特約として加入できるものもあるため、実質的にPL保険の一部と捉えている保険会社も存在します。


この点は各保険会社の商品ごとに加入方法や保険種類が異なることも多いことから、加入前に保険会社への問い合わせなどで確認をしておくことをおすすめします。


ただ、保険会社に問い合わせといってもどの保険会社へ問い合わせるべきかなど分からないという方も多いかと思います。


そんな時に利用をして頂きたいのが「マネーキャリア」というサービスです。


マネーキャリア」とは法人保険や事業のリスクに対する専門家に無料で何度でも相談に乗ってもらえるサービスで、オンライン相談にも対応していることから、全国どこでも気軽に相談が可能となっています。


また、PL保険について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

対策すべきリスクを専門家に相談する
PL保険についてのサムネイル画像

PL保険とは?適用補償や対策できる費用等をわかりやすく解説!

リコール保険の補償内容


ここではリコール保険の補償内容について解説します。


リコール保険は被保険者がリコール費用を負担することによって被る、損害を補償します。


例として下記があげられます。

  • 対人・対物自己の発生やそのおそれのある製品等のリコール
  • 法令の規定によって、製造。販売を禁止されている生産物のリコール
  • 品質保持期限の表示漏れや誤記による生産物のリコール
  • 食品等への異物混入が生じたことに対するリコール
これらに対して、リコールの実施が行政庁への届け出や回収命令、テレビ・新聞報道など客観的に明らかになったことが確認できた時に支払いが行われます。

想定される事故例として
  1. 製造したおもちゃが構造上、子供が怪我をするおそれがあることが判明したため、回収をおこなった。
  2. 製造した食品から異物が発見されたため、回収をおこなった。
  3. 販売した冷凍食品から基準値を超える残留農薬が検出されたため回収をおこなった
などがあげられます。

具体的に保険金の支払い対象となる損害は
  • 新聞・テレビなどの媒体への社告費用
  • コールセンターの設置、業務委託費用
  • リコール対象の生産物の修理費用
  • 代替品の製造原価もしくは仕入原価
  • 回収したリコール対象生産物の廃棄費用
  • 信頼回復広告費用など

新聞・テレビなどの媒体への社告費用
リコール回収をおこなう際には、消費者への回収周知のために新聞やテレビなどの媒体での問い合わせ先や、郵送先を伝える必要が出てきます。

リコール保険ではその広告費にかかった費用を保険金からお支払いします。

コールセンターの設置、業務委託費用
リコール事故が実際に発生すると、消費者向けに問い合わせ窓口を設ける必要が出てきます。

通常、企業には問い合わせ窓口がありますが、リコール事故など規模が大きく、電話などが集中する場合には、別に専用の窓口を設ける必要が出てきます。

そのための設置費用や業務委託費用を保険金からお支払いします。

リコール対象の生産物の修理費用
リコール対象となる製品が修理可能な製造物の場合、回収後に修理をし、再度発送をおこなう必要があります。

その際には追加での修理費用がかかります。その費用を保険金にてお支払いします。

代替品の製造原価もしくは仕入原価
取引先企業への納品した生産物がリコール対象だった場合には、それにかわる商品を納品する場合、製造原価や仕入原価がかかります。

リコール保険では保険金としてそちらをお支払いします。

回収したリコール対象生産物の廃棄費用
回収したリコール商品が食品などの場合には再度、修理をおこなったうえで出荷ということはできず、また異物混入があった場合には全てを廃棄する必要があります。

廃棄には多額の費用がかかりますがその費用を保険金からお支払いします。

信頼回復広告費用
リコール対応後の早期の信頼回復は企業にとって重要な問題です。

再発防止や安心して、消費者に購入を再開していただけるようにするため、広告をうつということも戦略の1つでしょう。

その他にも、以下も補償の対象となります。
  • コンサルティング費用
  • 電話、FAX、郵便などの通信費用
  • リコール対象商品か否かの確認費用など

リコール保険で保険金が支払われないケース

ここではリコール保険で保険金が支払われないケースについて解説します。


対象外となるケースとして

  • 生産物の経年劣化など性質による、かび、腐敗、さびなどの現象
  • 代替品の瑕疵、または異物混入のおそれ
  • リコール原因が保険契約の開始より前に知った場合
  • 契約者もしくは被保険者の故意や重大な過失が原因の場合
  • 戦争、暴動、変乱などの場合
  • 核燃料物質等の原子核分裂または、崩壊・分裂などによる放射性や爆発性などの場合
  • 生産物の性能に対する、不当表示など虚偽の表示

リコール保険に加入しているからといって、全てが保険金支払いの対象となる訳ではありません。

また、対象の事故例で合っても、リコール費用が全て保険金から補償されるわけではなく、契約時に設定した免責金額縮小割合などがかけられており、その分を差し引いた額が支払いとなることがほとんどです。

大抵は、故意や過失が原因の場合が除かれるということは、保険についてあまり詳しくない方でもなんとなく、理解はできます。

しかし、ケースによっては対象なのかどうか分かりにくい事例もあります。自社において起こりそうなリコール事故が対象となるかどうか、加入前に知りたいという方も多いでしょう。

マネーキャリア」は法人保険や企業の事業リスクの専門家に無料で相談できるサービスです。

今回のように、自社において心配しているリスクが保険金支払いの対象かどうかについても相談に乗ってくれますので、加入前に一度、相談をすることをおすすめします。
自社が対策すべきリスクを相談する

リコール保険の保険料の算出


リコール保険の保険料は主に業種と売上高をもとに算出されます。


また、保険金の限度額や特約内容などによっても保険料は変わるので、一律ではありません。


そのため、明確な保険料相場というものがなく具体的な保険料が知りたい場合には保険会社か取り扱いをおこなっている保険代理店に問い合わせることで知ることができます。


マネーキャリア」を利用することで、リコール保険に加入する場合の保険料の算出だけでなく、事業を取り巻く潜在的なリスクについても相談して、対策方法を提案してくれます。


気になる方は、以下からお申し込みください。

自社が加入する場合の保険料を知る

リコール保険の加入率


ここではリコール保険の加入率について解説します。


リコール保険の加入率について2022年の経済産業省の調査によると調査対象全体の約25%にとどまっているという調査結果が出ています。


参考:リコール進捗率向上に向けた 事業者の実態と取組事例の紹介(経済産業省2022年3月)


全体で見るとそれほど多い数字とは言えないかもしれませんが基本的に傾向として、大企業になるほど加入率が高くなるという結果も出ています。


参考:内閣府国民生活局・リコールに関する調査・研究


やはり、企業規模が大きくなるほどその分、損害額も大きくなるため、リコールへの備えとして保険加入をしている企業が多くなる傾向になります。


また、リコール回数が多い業種として

  1. 輸送機器
  2. 流通サービス
  3. 電気・精密機器
などがあげられています。

そのデータを見るに、食品業界など、一見すると多そうな企業が入っていないなど、感覚との乖離が感じられることからも、自社にとって必要なのかどうかの見極めも難しい問題といえます。

リコール保険の加入方法


リコール保険への加入は取り扱い保険会社もしくは、保険代理店に問い合わせることで加入が可能です。


ただ、加入の前に自社に必要な保険であるかどうかや、具体的な保険料、現在加入している保険との漏れやダブりなどの確認が必要となります。


実際、問い合わせをして加入したはいいものの、すでに別の保険でカバーされていたり、自社には不必要で、本当に必要な保険に加入できていなかったということもあり得るからです。


そのようなことが起きないようにするために保険会社などに問い合わせる前に「マネーキャリア」に相談することをおすすめします。


マネーキャリア」では法人保険や事業リスクの専門家が相談に乗ってくれるサービスで、何度でも無料で相談することができます。


また、保険の見直しをすることで、保険料が今より割安になることもありますし、すでに加入済みの保険に関しても漏れやダブりを知ることができる可能性があります。

自社のリスク対策を相談する

まとめ:リコール保険とは?


ここまでリコール保険について解説してきましたがいかがだったでしょうか。

事業を営む上でリコール保険はPL保険(生産物賠償責任保険)と並び、非常に重要な保険となっています。


今回の記事の簡単なまとめです。

  • リコール保険とは、製造・販売した製品による不備などの際に行うリコールにかかる費用を補償するための保険
  • PL保険との違いは、保険金の支払い対象
  • 保険料は、事業の売上や補償内容などにより異なる
  • リコール保険の加入率はまだ比較的低い

リコール保険はリコールによる損害をカバーしてくれるため、製造業などにとっては重要度の高い保険ということが再確認できたと言えるでしょう。

また、リコール保険の中にはPL保険とセットになっているものなども存在します。
そのことから、両方に加入する場合、単独でそれぞれに加入するよりも保険料が割安になることもあります。

ただ、そういった細かな内容についてはご自身で経営をしながら調べるのは時間も手間もかかります。

そんな時はぜひ、「マネーキャリア」の無料相談サービスを利用してください。
あなたに変わって、自社に必要な法人保険や事業リスクを洗い出し、会社を守るお手伝いをしてくれます。
自社のリスク対策を相談する