内容をまとめると
- リコール保険とは、製造・販売した製品による不備などの際に行うリコールにかかる費用を補償するための保険
- PL保険との違いは、保険金の支払い対象
- 保険料は、事業の売上や補償内容などにより異なる
- リコール保険の加入率はまだ比較的低い
リコール保険とは、事故が起こった製品や起こる恐れがある製品をリコールする際の、回収費用を補償する損害保険です。PL保険ではカバーできない回収費用を、リコール保険では補償してくれるため、PL保険の加入を検討している方は同時に加入することをおすすめします。
この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
リコールに関するリスク
事業を経営するときにリコールに関するに備える必要がある認識はお持ちでしょうか。
ダイハツ工業の問題が連日、報道されていますが、自動車に限らず、製品を製造・販売をする企業にとっては事後処理を間違えると、信用を一瞬で失うことや、リコールの費用は多額にのぼることも多く、倒産の危機もあり得ます。
そのためリコールの損害は、経営をする上で、常に意識が必要なリスクです。
事例:リコールによる賠償金の発生
2020年の記事ですがトヨタ車においてリコールによる追加の賠償金が発生した事例がありました。
この事例ではトヨタの子会社であるデンソーの欠陥燃料ポンプ問題によって、トヨタ車が追加届け出、266万台のリコールに対して460億円のリコール対策費用の賠償金を追加で発生したという記事です。
追加賠償金の充当ですので、実際にはもっと大きな額となっているのですが、デンソー側としては想定していた賠償金額を上回る支払いとなっており、企業側の負担の大きさが伺えます。
製造業となると納品先が大手企業となることも多く、一度、リコールが起きるとその規模は全国、全世界となるケースもありえます。
中小企業がその賠償金を自社で賄うというのは非常に難しいことがこの事例からも理解できます。
リコール保険とは?:PL保険との違いとは?
ここではリコール保険とPL保険との違いについて解説します。
リコール保険とは、製造販売した製品や、食品などに不備や異物が入っていたなどの場合に行うリコールにかかる費用を補償するための保険です。
このリコール対応には回収の費用として、輸送代金や回収費用など多額の費用がかかります。
そのため全額自己負担となると、事業を継続できない可能性があるので、特に製造業の方々は加入すべき保険の一つです。
PL保険との違いは?
PL保険(生産物賠償責任保険)は製造販売したものによって、取引先企業や消費者が事業運営への被害や健康被害などを受けた場合に、損害賠償責任が発生します。
その損害賠償金に対して、保険金をお支払いするのがPL保険の役割となります。
そのため、リコール保険との違いは、保険金の支払いの対象が異なることです。しかし、同時に請求が発生する可能性の高い保険といえます。
また、リコール保険はPL保険の特約として加入できるものもあるため、実質的にPL保険の一部と捉えている保険会社も存在します。
この点は各保険会社の商品ごとに加入方法や保険種類が異なることも多いことから、加入前に保険会社への問い合わせなどで確認をしておくことをおすすめします。
ただ、保険会社に問い合わせといってもどの保険会社へ問い合わせるべきかなど分からないという方も多いかと思います。
そんな時に利用をして頂きたいのが「マネーキャリア」というサービスです。
「マネーキャリア」とは法人保険や事業のリスクに対する専門家に無料で何度でも相談に乗ってもらえるサービスで、オンライン相談にも対応していることから、全国どこでも気軽に相談が可能となっています。
また、PL保険について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リコール保険の補償内容
ここではリコール保険の補償内容について解説します。
リコール保険は被保険者がリコール費用を負担することによって被る、損害を補償します。
例として下記があげられます。
- 対人・対物自己の発生やそのおそれのある製品等のリコール
- 法令の規定によって、製造。販売を禁止されている生産物のリコール
- 品質保持期限の表示漏れや誤記による生産物のリコール
- 食品等への異物混入が生じたことに対するリコール
- 製造したおもちゃが構造上、子供が怪我をするおそれがあることが判明したため、回収をおこなった。
- 製造した食品から異物が発見されたため、回収をおこなった。
- 販売した冷凍食品から基準値を超える残留農薬が検出されたため回収をおこなった
- 新聞・テレビなどの媒体への社告費用
- コールセンターの設置、業務委託費用
- リコール対象の生産物の修理費用
- 代替品の製造原価もしくは仕入原価
- 回収したリコール対象生産物の廃棄費用
- 信頼回復広告費用など
- コンサルティング費用
- 電話、FAX、郵便などの通信費用
- リコール対象商品か否かの確認費用など
リコール保険で保険金が支払われないケース
ここではリコール保険で保険金が支払われないケースについて解説します。
対象外となるケースとして
- 生産物の経年劣化など性質による、かび、腐敗、さびなどの現象
- 代替品の瑕疵、または異物混入のおそれ
- リコール原因が保険契約の開始より前に知った場合
- 契約者もしくは被保険者の故意や重大な過失が原因の場合
- 戦争、暴動、変乱などの場合
- 核燃料物質等の原子核分裂または、崩壊・分裂などによる放射性や爆発性などの場合
- 生産物の性能に対する、不当表示など虚偽の表示
リコール保険の保険料の算出
リコール保険の保険料は主に業種と売上高をもとに算出されます。
また、保険金の限度額や特約内容などによっても保険料は変わるので、一律ではありません。
そのため、明確な保険料相場というものがなく具体的な保険料が知りたい場合には保険会社か取り扱いをおこなっている保険代理店に問い合わせることで知ることができます。
「マネーキャリア」を利用することで、リコール保険に加入する場合の保険料の算出だけでなく、事業を取り巻く潜在的なリスクについても相談して、対策方法を提案してくれます。
気になる方は、以下からお申し込みください。
リコール保険の加入率
ここではリコール保険の加入率について解説します。
リコール保険の加入率について2022年の経済産業省の調査によると調査対象全体の約25%にとどまっているという調査結果が出ています。
参考:リコール進捗率向上に向けた 事業者の実態と取組事例の紹介(経済産業省2022年3月)
全体で見るとそれほど多い数字とは言えないかもしれませんが基本的に傾向として、大企業になるほど加入率が高くなるという結果も出ています。
やはり、企業規模が大きくなるほどその分、損害額も大きくなるため、リコールへの備えとして保険加入をしている企業が多くなる傾向になります。
また、リコール回数が多い業種として
- 輸送機器
- 流通サービス
- 電気・精密機器
リコール保険の加入方法
リコール保険への加入は取り扱い保険会社もしくは、保険代理店に問い合わせることで加入が可能です。
ただ、加入の前に自社に必要な保険であるかどうかや、具体的な保険料、現在加入している保険との漏れやダブりなどの確認が必要となります。
実際、問い合わせをして加入したはいいものの、すでに別の保険でカバーされていたり、自社には不必要で、本当に必要な保険に加入できていなかったということもあり得るからです。
そのようなことが起きないようにするために保険会社などに問い合わせる前に「マネーキャリア」に相談することをおすすめします。
「マネーキャリア」では法人保険や事業リスクの専門家が相談に乗ってくれるサービスで、何度でも無料で相談することができます。
また、保険の見直しをすることで、保険料が今より割安になることもありますし、すでに加入済みの保険に関しても漏れやダブりを知ることができる可能性があります。
法人保険の活用事例集
まとめ:リコール保険とは?
ここまでリコール保険について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
事業を営む上でリコール保険はPL保険(生産物賠償責任保険)と並び、非常に重要な保険となっています。
今回の記事の簡単なまとめです。
- リコール保険とは、製造・販売した製品による不備などの際に行うリコールにかかる費用を補償するための保険
- PL保険との違いは、保険金の支払い対象
- 保険料は、事業の売上や補償内容などにより異なる
- リコール保険の加入率はまだ比較的低い