見直し必須!法人向けがん保険の損金計上は全損対象になる?のサムネイル画像
自社の従業員が突然がんの診断をされ、働けなくなってしまう事態に備えるために「法人向けがん保険」への加入を検討する経営者の方も増加しています。

一方で、すでに加入していても国税庁が通知したとおり、損金参入のルールが変更となったので、経理処理の負担が増えたり、保険の見直しを強いられたりしている企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「法人向けがん保険の経理処理」から、全損で損金計上できるのかを解説します。

・ルール変更でがん保険の経理処理が複雑化したので悩んでいる 
・経理処理が煩雑となったことをきっかけに保険の見直しを考えている

方は本記事を参考にすると、がん保険に関する経理処理はもちろん、自社に最適な保険の見直しもできるようになります。

内容をまとめると

  • 法人向けのがん保険は「終身型の短期払い、かつ年間保険料が30万円以下」「定期型で掛け捨て」で全損ができる。
  • 「終身型の短期払い」のがん保険では、払込期間の前後で経理処理が異なるので注意する。
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、約3割の従業員が「がん治療に関する費用の助成」を求めている。
  • 保険金を受け取るタイミングや業界業種により、最適ながん保険は変わるのでマネーキャリアのような無料相談サービスを使いつつ、保険を見直す企業も多い。
記事監修者「谷川 昌平」

谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。

この記事の目次

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法人向けがん保険は全損で損金計上できる?


がん保険にも「終身型(一生涯保障)」と「定期型(保険期間が一定であり、都度更新)」の2種類あります。


また、がん保険は「第三分野」と呼ばれる保険の一種ですが、以下のパターンで全額損金計上が可能です。

  • 終身型の短期払い、かつ年間保険料が30万円以下
  • 定期型で掛け捨て

国税庁が2019年に通達したルールでは、法人保険の最高解約返戻率の割合によって、損金計上できる金額割合が定められています。


・最高解約返戻率50%以下:全額損金

・最高解約返戻率50%〜70%以下:60%損金、40%資産計上

・最高解約返戻率70%超~85%以下:40%損金、60%資産計上

・最高解約返戻率85%超 :23%以下損金(1%ごとに変動あり)


以上のように、がん保険でも解約返戻金が発生する場合は、定期保険の損金ルールと同じ扱いになるので、全額損金ができないケースが多いです。 


参考:No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)

法人向けがん保険(終身・短期払い)の経理処理とは


法人向けがん保険の経理処理に関して、終身型の短期払いでは「払込期間中」と「払込期間完了後」で経理処理が異なるので注意が必要です。


払込期間中の場合は「年間保険料 × 保険料払込期間 ÷ 保険期間(116歳 - 契約年齢)」の計算式で出た金額を損金計上し、残りは資産へ計上します。


払込期間後の場合は「年間保険料 × 保険料払込期間 ÷ 保険期間(116歳 - 契約年齢)」の計算で出た金額を支払った保険料として損金計上します。


仮に10年で払込が完了する被保険者が、「短期払いの終身がん保険に加入した場合」の経理処理を例にあげます。 


<前提>

・払込期間:10年

・契約時の被保険者の年齢:43歳

・保険料(年間):700,000万円

保険料 = 700,000万円 × 10年 ÷ 73(116 - 43)= 95,890円

となりますが、1年〜10年、11年以降で損金計上の方法が異なります。上記の計算結果での経理処理は以下の通りです。

借方貸方
1〜10年支払保険料 95,890円
前払保険料 604,110円
現金・預金 700,000円
11年目以降支払保険料 95,890円前払保険料 95,890円


法人向けのがん保険に注目が集まっている理由とは


法人向けのがん保険は、解約返戻率で損金割合の制約を受けるうえ、損金計上のルールも複雑です。しかし、法人向けのがん保険を検討する企業も多いです。


以下では、がん保険に注目が集まっている理由を紹介します。がん保険には従業員を守るだけでなく、企業の健康経営にも貢献するのです。


企業の存続(健康経営)


1つ目の理由は、経営者の不在で発生する企業の存続リスクに対応できるからです。


国立がんセンター運営のがん情報サービス「ganjoho.jp」によると、国内で日本人ががんと診断される確率は男性で「65.5%」、女性で「51.2%」のデータがわかっており、2人に1人ががんになるリスクがあります。


がんが発症するとステージによるものの、数カ月ほど治療に専念しなければなりません。一方で、自社の資金が枯渇したり、自身がプレイヤーである経営者の方であれば、意思決定に遅れが出たりしてしまうのです。


そのため、がん保険があれば急な出費にも対応できるので、万が一のリスクにも対応できる健康経営にもつながります。

退職金の代替として活用できる


法人向けがん保険に関して、「終身がん保険(掛け捨て・積み立て)」を使うと、従業員や役員の退職金の代わりとなります。


とくに、掛け捨ての場合は解約返戻金がありません。しかし、従業員の定年退職の期間まで設定しておき、保険料の支払い期間が満了すると、被保険者の従業員は退職後も保険料なしでがん保障を受けられる仕組みがあります。


一方、積立型の場合、解約返戻金をそのまま退職金として支給できるのがポイントです。しかし、国税庁による2019年のルールの改訂によって、解約返戻率が高いほど損金参入割合が減るルールが定められました。


解約返戻金目当てで法人向けがん保険を選ぶのは、税制上のメリットは少ないです。とはいえ、2人に1人ががんになるリスクを抱えていることからも、急な支出と退職金の両方を考慮して、がん保険を選択するケースもあるのです。

福利厚生の充実


掛け捨ての終身がん保険に加入すると、福利厚生を充実させられます。


従業員に万が一のケースがあり、働けなくなった場合でも手厚い保障が受けられるのは、従業員にとっても安心です。一方、福利厚生としてがん保険を確立させるには、以下が必要です。 


・従業員全員の加入

・福利厚生規程の作成


ただし、「対従業員への周知」「税務調査で福利厚生目的でがん保険に加入していることの証明」のために、福利厚生規程を作成しなければなりません。


福利厚生規定にはがん保険の記述はもちろん、弔意金・見舞金規程などにも記載する必要があるので、自社規定の見直しは必須です。

法人向けがん保険が職場に求められている度合い


三菱UFJリサーチ&コンサルティングのがん治療と仕事の両立に関する調査(89ページ)によると、調査対象の978人中、約348人(35.6%)が、「がん治療に関する費用の助成」を求めているデータもあります。


がん治療に入院だけでも数万円、先進医療を受けるケースでは100万円を超える医療費が発生します。従業員ががんになり働けなくなってしまった場合は、多額の支出が発生するので、従業員一人だけで賄うのは無理があります。


また、がんになってしまった従業員が安心して働けるかどうかを、ほかの従業員が見ている可能性が高く、接し方によっては従業員のモチベーション低下の原因となりかねません。


そのため、がんの発生リスクも考慮し、がん保険で職場の従業員を守る体制が必要なのです。

法人向けがん保険の見直しをするには


ここでは、「法人向けがん保険の見直し」が簡単にできるサービスを紹介します。


法人向けがん保険は業態や業種によっても必要な保険が変わるうえ、解約返戻金がある場合は、「診断・入院・通院・手術時」など、保険金を受け取れるタイミングが細かく分かれているものもあります。


そのため、一度選んだ保険でも、実は保険料が高いまま支払いを続けてしまうケースもあるのです。したがって、がん保険でも自社に「過不足なく」マッチする保険かどうかを正しく見直さなければなりません。


そこで、「法人向けがん保険にも詳しいプロのファイナンシャルプランナー」に無料で何度でも相談できるマネーキャリアの活用が必須です。


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法人向けがん保険の経理処理や必要な理由まとめ


ここまで、全損にできる法人向けがん保険の種類から、経理処理や注目されている理由などを解説しました。


法人向けのがん保険は「終身型の短期払い、かつ年間保険料が30万円以下」および「定期型で掛け捨て」の保険で全損が可能です。一方で、終身・短期払いの場合は払込期間中と期間後でも経理処理の方法が異なるため注意が必要です。


また、がんは2人に1人が発症すると言われるほど、身近でリスクの高い病です。したがって、「退職金の代わり」や「福利厚生の充実」などを目的に、役職問わず自社メンバーを守るためにも必要な保険なのです。


しかし、正しく保険を選ぶには専門知識はもちろん、自社の事情を考慮しなければなりません。そこで、プロのファイナンシャルプランナーに「無料」で「何度でも」相談できるマネーキャリアが最適です。


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