法人が死亡退職金・弔慰金の財源確保として採用することも多い変額保険は、契約者の支払保険料を特別勘定で運用し、運用成績に伴って受取保険料が変化する保険です。
通常の法人保険とは異なり、変動保険金の仕組みがあるので、解約返戻金や満期保険金が支払った保険料を下回るリスクがあります。そのため、法人で変額保険を採用する際のメリットや注意点を知ってから、保険加入を検討したい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、法人向け変額保険の概要から、法人向け変額保険のメリットと注意点を解説します。
・変額保険は法人の事業リスク対策の中でもどのような用途で使われるか知りたい
・自社で死亡退職金・弔慰金の財源確保として資産運用をする場合、会社で投資信託を購入した方がいいのか変額保険に加入した方がいいのか知りたい
方は本記事を参考にすると、法人向け変額保険の利用方法がわかるうえに、自社のリスク対策ができる方法もわかります。
内容をまとめると
- 法人向け変額保険は主に「終身型変額保険」「定期型変額保険」「変額個人年金保険」の3つがあり、企業の死亡退職金・弔慰金の財源確保として利用される。
- 法人向け変額保険は、契約者の支払保険料を特別勘定として保険会社が運用し、その運用成果によって、受取保険金が変化する。
- 保険活用しつつ法人で資産運用をするか、法人で投資信託などの資産運用を直接的に扱うか、会社によって最適なリスク対策は異なる。
- そのため、「丸紅グループが運営するマネーキャリア」のような無料相談サービスを有効活用し、自社のリスクに備える会社も増えている。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 法人向け変額保険とは
- 受取保険金は保険会社による運用結果に左右される
- 資産運用をしながら解約返戻金や死亡保険金が受け取れる
- 変額保険と定額保険の違い
- 法人向け変額保険の種類
- 終身型変額保険
- 定期型変額保険
- 変額個人年金保険
- 法人向け変額保険のメリット
- 生命保険料控除が受けられる
- 特別勘定で投資する商品を選べる
- 運用成果によって受け取り金が増額する場合もある
- 法人向け変額保険の注意点
- 元本割れリスクがある
- スイッチング手数料や信託報酬がかかる
- 投資信託より利回りが低い
- 変額保険を法人契約したときの経理処理方法
- 法人向け変額保険が自社に最適か確認する方法
- 変額保険について無料で何度でも相談できる:マネーキャリア(丸紅グループ)
- 法人保険の活用事例集
- 法人向け変額保険のメリットと注意点まとめ
法人向け変額保険とは
以下では、法人向け変額保険の概要を解説します。
法人向け変額保険は契約者の支払い保険料を、保険会社が株式や投資信託などの特別勘定(ファンド)で運用して、保険金や解約返戻金の受け取り時に運用成果を還元する資産運用の側面を持ち合わせた保険です。
死亡退職金・弔慰金の財源確保として加入できます。
受取保険金は保険会社による運用結果に左右される
法人向け変額保険の受取保険金は、保険会社による運用結果に左右されます。
変額保険は、投資信託や株式、債券などの金融商品で資産が運用される特別勘定として扱われます。
そのため、契約者の支払い保険料は、保険会社が投資信託や債券に投資した分のリターンが、保険会社からの保険金受け取り時に還元されます。保険会社の運用成績が良い場合は契約者の受取保険金が増額し、運用成績が悪い場合は契約者の受取保険金が減額されます。
一般的に投資商品を購入するときは「目論見書」を確認しますが、変額保険などの特別勘定が行われる保険は、契約約款にて保険商品ごとの特別勘定の種類や運用方針を確認しておきましょう。
資産運用をしながら解約返戻金や死亡保険金が受け取れる
法人向け変額保険は資産運用をしながら、保険解約時の解約返戻金や、被保険者の死亡時に死亡保険金が受け取れます。
株式や投資信託、REIT(不動産)などの投資は、その投資の性質上、元本を全て失うケースもあります。しかし、法人向け変額保険は運用成績がよくない場合でも、死亡保険金は最低保証があり、受取保険金を全て失うことはありません。ただし、解約返戻金の最低保証はないので注意しましょう。
たとえば、変額保険の契約者が法人、被保険者が経営者もしくは役員の場合、運用成績がよいときに保険を解約すれば、解約払戻金が支払保険料を超えて事業保障に充てることができます。一方、運用成績が悪く元本割れが明らかな場合でも、経営者もしくは役員の死亡時に死亡保険金を受け取って事業保障に充てることができます。
このように、保険会社の運用実績と、死亡保険金の最低保証の比率を比較する必要があるのです。
変額保険と定額保険の違い
法人向け変額保険の種類
終身型変額保険
定期型変額保険
定期型変額保険は、一時支払い保険料を、株式や投資信託などを投資対象とする特別勘定(ファンド)で運用し、保険会社の運用成果に応じて、「死亡保険金」「高度障害保険金」「満期保険金」が増減する保険です。
定期型は保険期間が決まっている保険で、保険期間中に高度障害もしくは死亡したとき、高度障害保険金または死亡保険金が支払われます。また、満期の場合は満期保険金が支払われます。
▼保険金の受け取りについて
(左右にスクロールできます)
支払い保険料の種類 | 支払い事由 | 保険金受取者 |
---|---|---|
死亡保険金 | 死亡したとき | 死亡保険金受取人 |
高度障害保険金 | 傷害または疾病が原因で 各保険会社が所定する 高度障害状態になったとき | 被保険者 |
満期保険金 | 保険期間満了まで生存していたとき | 満期保険金受取人 |
保険期間内の死亡保障はもちろん、満期を迎えたときにも死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる保険です。そのため、退職慰労金の財源づくりに適しています。
変額個人年金保険
変額個人年金保険は、一時支払い保険料を、株式や投資信託などを投資対象とする特別勘定(ファンド)で運用し、保険会社の運用成果に応じて、「年金額」「解約返戻金」が増減する個人年金保険です。
変額個人年金保険は、運用と保険の両方に手数料がかかるため、一般的な投資信託と比べて手数料が高めに設定されています。ベンチマーク先(運用指標の基準)が国内で運用するもの・外貨で運用するものから選択できますが、支払時と受取時の為替の変動によって、損失が出る可能性などがあります。
なかには、運用後の元本保証がある商品とない商品があります。また、中長期の運用を前提とするため、運用期間中の中途解約には高い解約金がかかるケースがあり、元本割れする可能性があります。
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法人向け変額保険のメリット
以下では、法人向け変額保険のメリットを解説します。法人保険の主なメリットとして決算対策のための課税繰り延べ効果があり、変額保険特有のメリットとして資産運用の側面があります。
法人保険を選ぶ際には、「課税繰り延べ」×「自社に必要な事業リスク対策」の観点で保険を比較しましょう。
生命保険料控除が受けられる
変額保険は「生命保険料控除」が受けられ、税金控除の対象です。
変額保険に加入すると、契約時と運用時に税金が控除されます。しかし、保険金受取時には受取金額に対して課税されてしまうため、変額保険は、決算対策としての効果を見込むよりも、実質的には課税繰り延べに利用できます。
- 契約期間中は「生命保険料控除」を受けられ、その分の所得税や住民税の負担が軽減されるケースがある。
- 特別勘定を運用している場合は課税されない。
- 死亡保険金や満期保険金を受け取る際は、被保険者・契約者・受取人によって、相続税・贈与税・所得税+住民税のいずれかが課税される場合がある。
国税庁の「生命保険料の対象となる保険契約等」によると、変額保険は生命保険料控除が受けられるものの「保険を契約した日付」によって、課税される税金の額が変化します。
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特別勘定で投資する商品を選べる
一部の変額保険商品は、投資対象を選べます。
特別勘定に種類を設けている保険会社も多く、主な投資先は「国内債券」「外国債券」「国内株式」「外国株式」などに分類されます。投資リスクのリターン・リスク度は、値動きの幅が大きい株式に比べて債券である方がリスクが小さく、外国に比べて国内の方が為替変動を受けにくいため、リスクが小さい傾向にあります。
たとえば、A社の法人向け変額保険は、国外債券と国外株式を組み合わせて独自の商品を設定し、その商品を契約者が自由に選択できる方式です。株式から債券まで幅広く購入したい場合は「バランス型」を、などの特定の指数を上回る運用方針に賛同する場合は「米国株式(アクティブ)」を選択できます。
なお、特別勘定の種類におけるリターン・リスクの説明は、特定の特別勘定を推奨するものではありません。また、今後の特別勘定のリターンを予想や保証するものではありません。
運用成果によって受け取り金が増額する場合もある
法人向け変額保険は運用成果によって、受け取り金が増額するメリットがあります。
保険会社が契約者の支払い保険料で投資する商品は、株式や投資信託が一般的ですが、特に長期契約をする場合は、受取金が増額する可能性が高くなります。
※引用:金融庁 資産形成の基本
金融庁によると長期投資を行った場合、投資や預金などで得た収益を、当初の元本にプラスして運用することで得られる利益である「複利」の効果により、安定した収益の確保を期待できます。
つまり、保険期間が長期間になればなるほど、保険会社が投資する期間も長くなり、複利効果によって受取金が増額する可能性が高くなるのです。
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法人向け変額保険の注意点
以下では、法人向け変額保険の注意点を解説します。変額保険は他の保険と比較して、特別勘定の特色が大きく影響する保険であるため、特別勘定におけるリスクの把握が必要です。
元本割れリスクがある
法人向け変額保険は運用がうまくいけば、払込保険料を上回る保険料を受け取れますが、その反面元本割れのリスクもあります。
変額保険は特別勘定にて運用されるため、当初支払った元本(支払保険料)よりも少ない金額しか戻ってこない元本割れが起こり得ます。
金融庁「国内外の株式・債券に積立・分散投資した場合の収益率」によれば、過去の実績に基づいて、仮に5年間投資した場合と20年間投資した場合における元本割れの確率は、保有期間5年の場合元本割れが出現するのに対し、保有期間20年では元本割れが出現しませんでした。
保険契約から短期間で怪我や疾患などの事故が起きたり、保険解約をしたりがあると、元本割れのリスクがより高まります。一方で変額保険を長期間契約する場合は、元本割れのリスクがより小さくなります。
スイッチング手数料や信託報酬がかかる
法人向け変額保険にはスイッチング手数料や信託報酬がかかります。
スイッチングとは、積立金の移転を指し、変額保険契約時に決めた商品Aを商品Bに変更したり、商品A・商品B・商品Cのプランを商品Aだけのプランに変更することです。スイッチングは多くの保険商品で無料ですが、制限回数を超えてスイッチングをすると、手数料が発生する場合があります。
信託報酬は投資信託を運用する際の運営手数料・管理手数料を指し、変額保険の場合は初期費用から差し引かれるケースもあれば、毎月の運用成績から差し引かれるケースもあります。
特別勘定の資産運用において、資産そのものは当初の支払保険料を超えて順調に成長していっているものの、いざ保険料を受け取るときに、スイッチング手数料や報酬信託を差し引くと元本割れするケースもあるので注意しましょう。
投資信託より利回りが低い
法人向け変額保険は投資信託に比べて利回りが低い傾向にあります。
変額保険は特別勘定にて契約者の支払い保険料を運用するものの、死亡保険金は最低保証があり、受取保険金を全て失う可能性がないことが投資信託との違いです。
また、投資信託は資産運用のみ、変額保険は資産運用と保障が両立されており、運用資産の運用方法も異なります。
最低保証が確保された変額の保険商品と、元本保証が確保されない一般的な投資信託の金融商品は、運用会社が最低保証を確保するために手数料を高めに設定するため、投資信託に比べて利回りが低くなるのです。
会社で投資信託を購入し事業リスクに備えるのか、会社で保障が担保された保険商品を購入しその中で資産運用を行うのか、どちらが自社にとって最適か判断に迷ったら、マネーキャリアのようなFPに無料で相談しましょう。
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変額保険を法人契約したときの経理処理方法
下記は、契約者が法人、被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人が法人としたときの経理処理方法です。
▼変額保険を法人契約したときの経理処理方法
(左右にスクロールできます)
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上割合 (残金を損金算入) | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | なし | なし | なし |
50%超70%以下※2 | 保険期間の40/100 相当期間を経過するまで | 4/10 | 保険期間の75/100相当期間を 経過後から保険期間の終了日まで |
70%超85%以下 | 保険期間の40/100 相当期間を経過するまで | 6/10 | 保険期間の75/100相当期間を 経過後から保険期間の終了日まで |
85%超 | 最高解約返戻率となる 期間が終了するまで※3 | ①1~10年目 支払保険料×最高解約返戻率×9/10 ②11年目以降 支払保険料×最高解約返戻率×7/10 | 解約返戻金相当額が 最高額となる期間経過後※3 から保険期間の終了の日まで |
※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて均等に分けることを指します。
※2 被保険者1人につき、年換算保険料相当額が30万円以下のものは、最高解約返戻率50%のものと同様の取り扱い(全額損金)になります。
※3 解約返戻金の増加割合により、資産計上期間が異なる場合があります。
※参考 「【改正】(定期保険及び第三分野保険に係る保険料)」国税庁
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「自社に最適なリスク対策ができているか不安… 」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
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法人向け変額保険が自社に最適か確認する方法
以下では、法人向け変額保険が自社に最適か確認する方法を解説します。
法人向け変額保険は、保険という枠組みを基準に資産運用も同時に行う保険商品で、法人購入の投資信託は資産運用の枠組みを基準に会社の資産を育てていく金融商品です。
受取保険金・運用益はどちらも死亡退職金・弔慰金として利用することもできますが、元本保証や課税率が異なるので、自社に合った選択をしなければなりません。特に保険商品は投資と異なり、保障があるのが特徴的です。
しかし、業態業種がさまざまななかで、専門知識が必要な「保険」に関して、自社にマッチする生命保険を経営陣が独断で選ぶのは極めて困難です。
そこで、法人保険のプロへ「無料で何度でも相談できる」マネーキャリアの利用が必須です。
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法人保険の活用事例集
法人向け変額保険のメリットと注意点まとめ
ここまで、法人向け変額保険の概要から、法人向け変額保険のメリットと注意点まで解説しました。
法人向け変額保険は、契約者の支払保険料を特別勘定で運用し、運用成績に伴って受取保険料が変化する保険です。死亡退職金・弔慰金の財源確保としての利用もできます。
変額保険の種類は、主に「変額終身保険」「定期型変額保険」「変額個人年金保険」の3つで、メリットは生命保険料控除が受けられたり、運用成績がよければ受取保険金が払込保険料よりも増額したりする点です。
逆に、特別勘定の資産運用による元本割れリスクや、他の保険商品に比べて手数料がかかる、一般的な投資信託と比較して低利回りであることがデメリットです。
自社に合った保険に加入する、もしくは死亡退職金・弔慰金の財源確保として資産運用を検討している場合、会社で投資信託を購入するか変額保険に加入するかどちらの方がベストか迷ったら、プロのファイナンシャルプランナーに相談することが重要です。
そこで、丸紅グループが運営する「無料で何度も相談できる」マネーキャリアを使うのが鉄則です。
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