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法人生命保険に節税目的や事業リスクカバー目的で加入する企業も多いですが、2019年の税制改正により損金算入ルールが大幅にされ、法人保険を節税対策として採用するメリットはなくなりました。

一方で、借入金や事業継続と相続のリスク、役員退職金の支払いなど、事業リスクカバーを目的とした保険商品は、今日も法人向けに進化しています。事業拡大や従業員の増減に伴って、自社に法人生命保険を導入しようと検討している方も多いのではないでしょうか。


そこで、今回は「法人生命保険のメリットとデメリット」を中心に、自社に最適な法人生命保険を選ぶ方法を解説します。


・自社の事業リスク対策として法人保険を採用した場合、保険料に対してどれくらいメリットがあるか知りたい
・自社の事業リスク(従業員の福利厚生や役員の退職金など)をカバーするためには、どのようなフェーズで法人保険の加入を検討すればいいのか確認したい

方は本記事を参考にすると、法人生命保険のメリットとデメリットがわかるほか、自社にマッチする保険を見直す方法もわかります。

内容をまとめると

  • 法人生命保険のメリットは「借入金に関するリスク」「事業継続と相続のリスク」「役員退職金の支払い」などの法人特有のリスクをカバーできること。
  • 法人生命保険は「キャッシュフローの悪化」「解約返戻金が払込保険料より少なくなったりなかったりする場合がある」「課税繰り延べのための損金算入に、実質的な節税効果はない」など、資金繰りの観点でデメリットがある。
  • 自社に最適な法人生命保険を選ぶには、保険の種類のメリットとデメリットを比較し、保険会社もしくは代理店ごとにプランと料金形態が異なる商品から選ばなければならないため、マネーキャリアを使って法人向け生命保険の無料相談をする企業が増えている。
監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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法人が生命保険に加入するメリットとは?


ここでは、法人が生命保険に加入するメリットを解説します。今日では、多くの企業が「借入金に関するリスク」「事業継続と相続のリスク」「役員退職金の支払い」などの法人特有のリスクをカバーする目的で法人生命保険に加入しています。

どの法人でも起こり得る顕在的なリスクはもちろん、自社が抱える潜在的なリスクに対しても対策するためには、法人生命保険の知識が欠かせません。

借入金と連帯保証人に関するリスクをカバーできる

法人が生命保険に加入する1つ目のメリットは、借入金と連帯保証人に関するリスク対策が可能です。


法人が業績悪化などで金融機関への借入金の返済が滞ると、連帯保証人は債務返済する必要があります。返済が不可能な場合は自宅や車の担保を差し押さえられ、債務弁済に充てるために売却しなければならない可能性もあるのです。


借入金がある会社は経営者が連帯保証人となるケースも多いですが、中小企業庁委託「平成24年度個人保証制度に関する中小企業の実態調査」によると、そのうちの13.3%が借入時における個人保証の提供が無いことがわかります。86.7%は個人保証があるものの、個人保証の約半数は保証額が個人資産以下となり、十分な連帯保証人に関するリスク対策ではありません。


そこで、法人生命保険のなかでも、借入金残高が減少するように保障額も逓減していく収入保障保険や、保険期間中の保障額が定額で、解約返戻金を事業保障として準備できる定期保険(長期平準定期保険・平準定期保険など)を活用すると、借入金と連帯保証人に関するリスクをカバーできます。

事業継続と相続のリスクをカバーできる

法人が生命保険に加入する2つ目のメリットは、事業継続と相続のリスク対策が可能です。


経営者に万が一のことがあった場合、業務が安定するまで事業継続のための資金を用意する必要があります。また、後継者に事業承継(相続)をする場合も、法人での金庫株取得資金などを用意しなければなりません。


そこで、法人保険のなかでも、死亡保険金を受け取れる生命保険を活用して、法人が受け取った死亡保険金を遺族に死亡退職慰労金として支払い、相続税上の「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を確保したうえで、納税の財源にできます。


また、相続人に多額の相続税がかかる場合、後継者が持つ会社の株式を会社が現金で買い取ると、後継者はその現金を納税に充てられます。相続を想定した自社株の買取はいくらでも行えるわけではないものの、一定数を買い取るための資金を生命保険で準備可能です。

退職金の支払いによる赤字リスクをカバーできる

法人が生命保険に加入する3つ目のメリットは、退職金の支払いによる赤字リスクをカバーできます。

退職金には「生存退職金」と「死亡退職金」の2種類があります。実際に、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、「高校卒・高専短・大卒・大卒」のケース別で、以下のとおりにわかれており、従業員1人あたり100万円から1,000万円の支出です。

中小企業の賃金・退職金事情の画像

また、従業員に支払う退職金の損金算入時期は税法上の決まりがない一方で、「役員退職金」は明確に税法上で損金算入時期の決まりがあります。役員退職金が妥当な金額かつ、具体的な金額が確定した時期の事業年度において損金算入可能となるのです。(※)

そこで、勇退退職金の財源確保に解約返戻金が活用できる逓増定期保険・長期平準定期保険や、保険の契約者を法人から経営者個人に名義変更し解約返戻金を勇退退職金の財源とする終身保険を利用して退職金の支払いによる赤字リスクをカバーすることが可能です。


法人が生命保険に加入するデメリットとは?


節税目的で法人生命保険に加入したものの、2019年の税制改正により損金算入ルールが変更され、法人生命保険に実質的な節税効果がなくなったにもかかわらず、多額の保険金を払い続けるケースがあります。

そうした失敗を防ぐためにも、ここでは法人生命保険に加入するデメリットを解説します。

キャッシュフローが悪化する場合がある

法人が生命保険に加入するデメリットとして、キャッシュフローが悪化する場合があります。 

法人生命保険の保険料は、保険の種類や契約内容によっては、毎月多額の保険料を支払うことになります。とくに、資金繰りの観点では設備投資や事業拡大を計画している会社は注意が必要です。

法人が生命保険に加入しながらもキャッシュフローの悪化を抑えるための方法として、保険の種類によっては、解約返戻金の最大7割程度を保険会社から借り入れできる「契約者貸付制度」の利用があげられます。いままでの積立金をもとに借り入れるため審査の必要がなく、金融機関の融資に比べて素早い対応が特徴です。

また、被保険者1人あたりが法人を通して契約している保険全てを通算し、年払保険料が合計30万円以下の場合は、支払保険料を全額損金算入できます。毎月保険料を支払い続ける条件は変わらないものの、支払保険料を全額損金算入し、保険商品の払い込みに対する法人税を可能な限り抑えることで、全額資産計上するよりも資金にゆとりを持たせられます。

キャッシュフローの悪化と保険商品が持つメリットの損得比重は、会社の事業形態やそのリスク、従業員数によって異なります。そのため、保険商品の特徴を最大限生かしながらもキャッシュフローのバランスを取るには、法人保険専門家への相談が必要です。

解約返戻金が払込保険料より少なくなるもしくはない場合がある

法人が生命保険に加入するデメリットとして、解約返戻金が払込保険料より少なくなる、もしくはない場合があります。

法人向け生命保険の種類は主に「貯蓄型」と「掛け捨て型」にわけられますが、貯蓄型の生命保険は解約の際に解約返戻金を受け取れるものの、一般的に契約から解約までの期間が長いと返戻金も多くなるなど、返戻率が解約時期によって異なります。

したがって、保険加入時期から解約の時期が短いと、いままでの払込保険料よりも解約返戻金が少なくなる場合があります。

一方で、掛け捨て型の生命保険は、同じ保障でも保険料が安い特徴がありますが、その分契約期間内に被保険者の死亡などの保険事故が発生せずに保険金を受け取らなければ、支払った保険料は返ってきません。

養老保険のような貯蓄型の生命保険を活用して、解約返戻金を退職金準備などの事業リスクカバーに利用するのか、それとも掛け捨て生命保険のような払い捨てタイプを活用して安い保険料で充実した福利厚生を求めるのか、自社にあった保険を見極めるには、マネーキャリアのような何度でも相談が無料の窓口に確認しましょう。

生命保険を使った節税に以前ほどの実質的な効果はない

法人が生命保険に加入するデメリットとして、課税繰り延べのため損金算入に実質的な節税効果はないことがあげられます。

課税繰り延べは、納税を先延ばしすることを指します。法人税や経理処理の観点から、法人生命保険を取り扱うときは、保険料支払時に課税繰り延べをしていることになります。

また、2019年の国税庁からの通達で、「損金算入ルール」が変更となり、生命保険を使った節税は以前ほど見込めなくなりました。

法人生命保険の支払保険料は、最高解約返戻金50%以下の定期生命保険、もしくは解約返戻率が50%超~70%以下で、かつ被保険者1人当たりの年換算保険料合計額が30万円以下の定期保険や、保険料短期払込の終身タイプの第三分野(がん保険など)は保険料を全額損金が可能です。

しかし、法人生命保険は経理処理のフェーズは主に「保険料支払時」「保険料受取時」「保険の契約者もしくは被保険者の変更時」の3回です。

保険料支払時に全額損金もしくは一部損金算入できたとしても、保険料受取時には雑収入もしくは雑損失として益金算入または損金算入する必要があるため、課税繰り延べをしているにすぎず、通算でみれば実質的な節税効果はありません。

法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースとは


法人生命保険に節税目的で加入したものの実質節税効果がなかったり、退職金準備や相続対策などの事業リスクカバー目的で加入したものの、保険の保障内容に対して保険料が高額すぎたりと、複雑な保険商品はバランスがとりづらいです。

そこで以下では、法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースを解説します。

保障内容が自社の目的とマッチしていない

保障内容が自社の目的とマッチしておらず、法人向け生命保険に加入して失敗するケースがあります。


たとえば、従業員の平均年齢が高い会社で、がん特約に特化しつつ比較的保険料が抑えられる掛け捨て生命保険商品を従業員の福利厚生として採用したが、毎月の支払い保険料は抑えられるものの、リタイア世代の退職金を用意できていなかったケースです。


この場合、リタイア世代特有の疾患に対する見舞金には対策できるものの、解約返戻金がない掛け捨て型生命保険に加入していたことによって、リタイア世代に必要な多額の退職金を借入金でまかなわなければならず、今期の決算に影響が出るケースもあるのです。


したがって、法人生命保険に加入するときは、保障内容から保険を選ぶのではなく、自社の顕在リスク・潜在リスクを吟味したうえで、目的に合った保険を選ぶ必要があります。

過度な保険料の保険に加入してしまう

過度な保険料の保険を選び、法人向け生命保険に加入して失敗するケースがあります。


保険販売員の経験不足やヒアリング不足を原因として、自社に必要な保障内容に対して保険商品の特徴がマッチングしておらず相対的に多額の保険料を支払ったり、事業規模や予算に対して適切ではない保険に加入したりするケースが多くあります。


たとえば、従業員の平均年齢が比較的低いベンチャー企業で、高額な養老保険に加入したが、若手従業員が死亡等の保険事故を起こす確率は低い一方、解約返戻金が総額支払保険料に対して多くなることがないため、今も変わらず高額な保険料を支払い続けているケースです。


過度な保険料の保険によって事業が圧迫され、資金繰りがむずかしく支払いをストップした場合、総額支払保険料に対して解約返戻金が少ないため損をします。こうしたケースを防ぐためには、保険料減額や払済保険になる柔軟性の高い保険を中心に検討する必要があるのです。

保険会社の商品を比較しないで加入してしまう

保険会社の商品を比較せずに加入して、失敗するケースもあります。


自社に必要な保険の種類は把握できたとしても、法人保険の専門家に問い合わせずに、自社が加入する法人保険を一本に絞ると、保険会社によって異なる商品ラインナップとその保険料を比較できません。


実際に、保険会社A社との面談で自社に合った保険の種類を知り、A社で法人保険を契約したが、同じ保障内容を取り扱っている保険会社B社の保険の方が安く、B社の情報を知ったときには既にA社保険を解約すると自社が損をするフェーズまで達していたケースです。


法人生命保険に加入する際は、保険会社や保険代理店にて自社に合った法人保険の種類を確認するだけではなく、自社に合った法人保険を知ったうえで、他社の保険商品とも比較しなければ、同じ内容でも損をしてしまうのです。


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自社のリスクをカバーできる正しい法人保険の選び方


以下では、自社のリスクをカバーできる正しい法人保険の選び方をご紹介します。


自社に必要な法人保険と、加入する保険のミスマッチングを防ぐため、事業を進めるなかでもメリットとデメリットを比較して法人保険を検討しなければなりません。


しかし、事業推進と並行して「自社にどのような保険が最適なのか」を判断するのは難しく、もし経営陣の保険知識が少なければ誤った保険に加入してしまう可能性もあるのです。  


そこで役に立つのが、法人保険のメリットとデメリットを比較しつつ、自社の顕在的・潜在的な事業リスクをカバーできる保険選びの相談サービスです。


なかでも、プロのファイナンシャルプランナーによる法人向け生命保険の提案が「何度でも」「無料で」受けられるマネーキャリアへの相談一択です。


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法人生命保険のメリットとデメリットまとめ


本記事では、「法人生命保険のメリット」を中心に、法人保険のデメリットや法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースまで紹介しました。


法人生命保険のメリットは「借入金に関するリスク」「事業継続と相続のリスク」「役員退職金の支払い」などの法人特有のリスクをカバーできることです。


一方で、法人生命保険は「キャッシュフローの悪化」「解約返戻金が払込保険料より少なくなったりない場合がある」「課税繰り延べのため損金計上に実質的な節税効果はない」などの資金繰りの観点でデメリットになります。


普段経営陣として時間が取れないなかでも、いつか来る出費に備えて保険の選定や見直しをするには、「すぐに無料で何度も有資格者のファイナンシャルプランナーに相談できるマネーキャリア」が必須です。


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