一方で、借入金や事業継続と相続のリスク、役員退職金の支払いなど、事業リスクカバーを目的とした保険商品は、今日も法人向けに進化しています。事業拡大や従業員の増減に伴って、自社に法人生命保険を導入しようと検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「法人生命保険のメリットとデメリット」を中心に、自社に最適な法人生命保険を選ぶ方法を解説します。
内容をまとめると
- 法人生命保険のメリットは「借入金に関するリスク」「事業継続と相続のリスク」「役員退職金の支払い」などの法人特有のリスクをカバーできること。
- 法人生命保険は「キャッシュフローの悪化」「解約返戻金が払込保険料より少なくなったりなかったりする場合がある」「課税繰り延べのための損金算入に、実質的な節税効果はない」など、資金繰りの観点でデメリットがある。
- 自社に最適な法人生命保険を選ぶには、保険の種類のメリットとデメリットを比較し、保険会社もしくは代理店ごとにプランと料金形態が異なる商品から選ばなければならないため、「丸紅グループが運営するマネーキャリア」を使って、法人向け生命保険の無料相談をする企業が増えている。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 法人が生命保険に加入するメリットとは?
- 借入金と連帯保証人に関するリスクをカバーできる
- 事業継続と相続のリスクをカバーできる
- 退職金の支払いによる赤字リスクをカバーできる
- 法人が生命保険に加入するデメリットとは?
- キャッシュフローが悪化する場合がある
- 解約返戻金が払込保険料より少なくなるもしくはない場合がある
- 生命保険を使った節税に以前ほどの実質的な効果はない
- 法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースとは
- 保障内容が自社の目的とマッチしていない
- 過度な保険料の保険に加入してしまう
- 保険会社の商品を比較しないで加入してしまう
- 自社のリスクをカバーできる正しい法人保険の選び方
- 法人向け保険の活用・見直しに:マネーキャリア(丸紅グループ)
- 法人保険の活用事例集
- 法人生命保険のメリットとデメリットまとめ
法人が生命保険に加入するメリットとは?
借入金と連帯保証人に関するリスクをカバーできる
法人が生命保険に加入する1つ目のメリットは、借入金と連帯保証人に関するリスク対策が可能です。
法人が業績悪化などで金融機関への借入金の返済が滞ると、連帯保証人は債務返済する必要があります。返済が不可能な場合は自宅や車の担保を差し押さえられ、債務弁済に充てるために売却しなければならない可能性もあるのです。
借入金がある会社は経営者が連帯保証人となるケースも多いですが、中小企業庁委託「平成24年度個人保証制度に関する中小企業の実態調査」によると、そのうちの13.3%が借入時における個人保証の提供が無いことがわかります。86.7%は個人保証があるものの、個人保証の約半数は保証額が個人資産以下となり、十分な連帯保証人に関するリスク対策ではありません。
そこで、法人生命保険のなかでも、借入金残高が減少するように保障額も逓減していく収入保障保険や、保険期間中の保障額が定額で、解約返戻金を事業保障として準備できる定期保険(長期平準定期保険・平準定期保険など)を活用すると、借入金と連帯保証人に関するリスクをカバーできます。
事業継続と相続のリスクをカバーできる
法人が生命保険に加入する2つ目のメリットは、事業継続と相続のリスク対策が可能です。
経営者に万が一のことがあった場合、業務が安定するまで事業継続のための資金を用意する必要があります。また、後継者に事業承継(相続)をする場合も、法人での金庫株取得資金などを用意しなければなりません。
そこで、法人保険のなかでも、死亡保険金を受け取れる生命保険を活用して、法人が受け取った死亡保険金を遺族に死亡退職慰労金として支払い、相続税上の「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を確保したうえで、納税の財源にできます。
また、相続人に多額の相続税がかかる場合、後継者が持つ会社の株式を会社が現金で買い取ると、後継者はその現金を納税に充てられます。相続を想定した自社株の買取はいくらでも行えるわけではないものの、一定数を買い取るための資金を生命保険で準備可能です。
退職金の支払いによる赤字リスクをカバーできる
法人が生命保険に加入するデメリットとは?
キャッシュフローが悪化する場合がある
解約返戻金が払込保険料より少なくなるもしくはない場合がある
生命保険を使った節税に以前ほどの実質的な効果はない
法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースとは
保障内容が自社の目的とマッチしていない
保障内容が自社の目的とマッチしておらず、法人向け生命保険に加入して失敗するケースがあります。
たとえば、従業員の平均年齢が高い会社で、がん特約に特化しつつ比較的保険料が抑えられる掛け捨て生命保険商品を従業員の福利厚生として採用したが、毎月の支払い保険料は抑えられるものの、リタイア世代の退職金を用意できていなかったケースです。
この場合、リタイア世代特有の疾患に対する見舞金には対策できるものの、解約返戻金がない掛け捨て型生命保険に加入していたことによって、リタイア世代に必要な多額の退職金を借入金でまかなわなければならず、今期の決算に影響が出るケースもあるのです。
したがって、法人生命保険に加入するときは、保障内容から保険を選ぶのではなく、自社の顕在リスク・潜在リスクを吟味したうえで、目的に合った保険を選ぶ必要があります。
過度な保険料の保険に加入してしまう
過度な保険料の保険を選び、法人向け生命保険に加入して失敗するケースがあります。
保険販売員の経験不足やヒアリング不足を原因として、自社に必要な保障内容に対して保険商品の特徴がマッチングしておらず相対的に多額の保険料を支払ったり、事業規模や予算に対して適切ではない保険に加入したりするケースが多くあります。
たとえば、従業員の平均年齢が比較的低いベンチャー企業で、高額な養老保険に加入したが、若手従業員が死亡等の保険事故を起こす確率は低い一方、解約返戻金が総額支払保険料に対して多くなることがないため、今も変わらず高額な保険料を支払い続けているケースです。
過度な保険料の保険によって事業が圧迫され、資金繰りがむずかしく支払いをストップした場合、総額支払保険料に対して解約返戻金が少ないため損をします。こうしたケースを防ぐためには、保険料減額や払済保険になる柔軟性の高い保険を中心に検討する必要があるのです。
保険会社の商品を比較しないで加入してしまう
保険会社の商品を比較せずに加入して、失敗するケースもあります。
自社に必要な保険の種類は把握できたとしても、法人保険の専門家に問い合わせずに、自社が加入する法人保険を一本に絞ると、保険会社によって異なる商品ラインナップとその保険料を比較できません。
実際に、保険会社A社との面談で自社に合った保険の種類を知り、A社で法人保険を契約したが、同じ保障内容を取り扱っている保険会社B社の保険の方が安く、B社の情報を知ったときには既にA社保険を解約すると自社が損をするフェーズまで達していたケースです。
法人生命保険に加入する際は、保険会社や保険代理店にて自社に合った法人保険の種類を確認するだけではなく、自社に合った法人保険を知ったうえで、他社の保険商品とも比較しなければ、同じ内容でも損をしてしまうのです。
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自社のリスクをカバーできる正しい法人保険の選び方
以下では、自社のリスクをカバーできる正しい法人保険の選び方をご紹介します。
自社に必要な法人保険と、加入する保険のミスマッチングを防ぐため、事業を進めるなかでもメリットとデメリットを比較して法人保険を検討しなければなりません。
しかし、事業推進と並行して「自社にどのような保険が最適なのか」を判断するのは難しく、もし経営陣の保険知識が少なければ誤った保険に加入してしまう可能性もあるのです。
そこで役に立つのが、法人保険のメリットとデメリットを比較しつつ、自社の顕在的・潜在的な事業リスクをカバーできる保険選びの相談サービスです。
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法人保険の活用事例集
法人生命保険のメリットとデメリットまとめ
本記事では、「法人生命保険のメリット」を中心に、法人保険のデメリットや法人向け生命保険に加入して失敗してしまうケースまで紹介しました。
法人生命保険のメリットは「借入金に関するリスク」「事業継続と相続のリスク」「役員退職金の支払い」などの法人特有のリスクをカバーできることです。
一方で、法人生命保険は「キャッシュフローの悪化」「解約返戻金が払込保険料より少なくなったりない場合がある」「課税繰り延べのため損金計上に実質的な節税効果はない」などの資金繰りの観点でデメリットになります。
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