糖尿病の医療費が払えない場合どうなる?インスリンの注射費用はどのくらい?のサムネイル画像

糖尿病でインスリン治療を始め、その高額な費用に驚く人もいるでしょう。インスリン注射や妊娠中の医療費はいくらかかり、払えない場合どうなるのでしょうか。そのような悩みを抱えた方のために、国の補助金制度や払えない場合の対処法などについて解説していきます。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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糖尿病の医療費が払えない場合どうなる?

こんにちは、マネーキャリア編集部のJunです。 


糖尿病の治療で負担になるのが、その高額な医療費です。継続して治療が必要であり、期間が長くなるほど医療費がかかっていきます。


今回の記事では、糖尿病の治療費について解説し、医療費が高額で払えない場合の救済措置や対策についてもお伝えします。


医療費に関しては、病気の程度によって大きく異なります。受診のみの方もいれば、インスリン注射を検討する方、その他糖尿病の合併症を治療する方など様々です。


状況にもよりますが、程度が重く、継続して治療が必要な場合は、高額な医療費を払えない、という方も出てくると思います。


そういった場合に、国の補助金制度を利用したり、その他の対策を取ることで、負担を少しでも軽減する方法をご紹介します。


日本には、世界に誇る保険制度がありますので、ほとんどの方は、その制度をうまく活用することで、高額医療を受けることも出来ると思いますので、この記事を参考に、安心して治療を受けていただければと思います。


 「糖尿病の治療を考えている」

「医療費が高額で悩んでいる」

そういった方のお手伝いになれば幸いです。




高額な糖尿病の医療費の救済措置

糖尿病の治療をすることになった際、まず心配するのが治療費でしょう。


継続して受ける必要がある糖尿病の治療は、医療費の総額はかなり高くなるので、

「治療を諦めようか」

「途中で払えない状況になったらどうしよう」

など、不安を感じる方も多いと思います。


しかし、日本の公的医療保険制度は非常に充実しており、怪我や病気で高額な医療費を支払うことになった際にも、非常に頼りになります。


そのため、急に治療で医療費が必要になったとしても慌てずに、まずは、自分が利用できる制度や受けられる補償について確認することが重要です。

医療費の払い戻し「高額医療費制度」

まず、1ヶ月の負担医療費が一定額を超えると適用されるのが「高額医療費制度」です。

高額な医療に対しては、その自己負担額は年収区分ごとに定められた上限額のみとなります。


年収区分ごとの上限額は以下の表の通り。


所得自己負担上限額
210万円以下57600円
210万円〜600万円80,100円+(医療費-267,000円)×1%
600万円〜901万円167,400円+(医療費-558,000円)×1%
901万円超252,600円+(医療費-842,000)×1%


ただし、以下のような費用は、高額医療費制度の対象とはなりません。

  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 先進医療費

つまり、国民健康保険を利用すれば、そもそも1ヶ月に払う医療費の上限は決まっているので、「突然高額な医療費を請求されて払えない」という事態はほとんど起こらないのです。

払い戻しの無利子貸与制度「高額医療費貸与制度」

とはいえ、限度額適用認定証という書類が無いと、いったんは高額な医療費を建て替える必要があったり、継続した治療のために、毎月上限額まで払う可能性があったりと、「高額医療費制度」だけでは万全ではないのも事実です。


そこで、健康保険組合から一時的に医療費の貸付を受けることができる、「高額医療費貸与制度」という制度が存在します。


申請書や医療機関の領収書等、必要な書類を揃えることで申請が可能で、無利子で貸与を受けることが出来ます。


高額医療費制度だけでは減らせない負担については、こちらを検討しましょう。

糖尿病の子を持つ保護者は「特別児童扶養手当」

さらに、糖尿病の子を持つ保護者に対しては、「特別児童扶養手当」が適用されます。


特別児童扶養手当とは、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に、毎月34970円、または52500円が支給される制度です。


この制度が、糖尿病の場合にも当てはまるのです。


受給者本人、もしくはその扶養義務者の前年所得が一定を超えると、適用されなくなりますが、条件に当てはまるか、一度確認して見る価値はあると思います。

それでも高額な糖尿病の医療費が払えない場合の対処法


上記で紹介した制度を活用しても、糖尿病の医療費が払えない、という場合はどうしたら良いでしょうか。


基本的には、必要な保険を確認し、上手に利用することで医療費の負担は減らせるはずですが、それでも払える余裕ができなかったり、様々な理由で制度を利用できない、制度の対象から外れる、といったことも考えられます。


そういった方のために、その他の対策も2つほどご紹介します。

病院に分割払いの相談をする

払えないとわかった時点でなるべく早く、その旨を病院に伝えましょう。


病院にもよりますが、場合によっては、医療費の支払いを遅らせてくれたり、分割払いの相談に乗ってくれる可能性もあります。


後述の方法は実質的に借金を背負うことになるため、可能な限り病院と支払いのスケジュールを相談する、というのが、最も負担が少なくなる可能性が高い方法です。

クレジットカードのキャッシング枠やカードローンを利用

病院が分割払いの相談に乗ってくれなかった場合は、治療費が払えない、ということになってしまいます。


その場合は、クレジットカードのキャッシング枠カードローンを利用し、現金を確保しましょう。


キャッシング枠は人によりますが、カードローンについては、信用情報に問題がなければ、ある程度まとまった金額を借りることができます。


しかし。これらのサービスは非常に金利が高く、返済期間が長くなるほど、実質的な負担も増えていきます。


利用する際には、しっかりと返済計画を立てた上で、慎重に利用するようにしてください。

インスリン注射の費用は?糖尿病の医療費はいくらくらい?妊娠中の場合も


一口に糖尿病の治療と言っても、その内容は一人ひとり異なります。食事療法と運動療法だけ、経口薬の服用、注射薬での治療など、さまざまです。


そのため、かかる医療費も、薬の種類や量・自己注射の種類や回数・通院する医療機関や通院回数・合併症の状況や程度などによって大きく変わります。


ここでは、糖尿病の外来治療に関わる医療費について、4つのケースをもとに説明します。

自分の状況に最も近いケースを参考に、医療費について考えてみてください。


※これから記載する医療費に関する数値は、あくまで目安です。

ケース①受信のみで投薬がない方

まず、受診のみで投薬がない、もしくは飲み薬だけの場合にかかる医療費についてです。


受診、検査のみの場合と、飲み薬を処方された場合の2つに分けて説明します。


受診・検査のみの場合

糖尿病の薬を処方されていない方が受診し、検査を行った際にかかる1回の費用です。


検査の金額についてはあくまでも目安であり、診察の状況や、検査項目の増減によって変わります。


かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)実質負担(3割)
診療料
750円
検査費6000円
合計6750円2025円


受診・検査+飲み薬1種類の場合

糖尿病の飲み薬が処方された場合は、病院で支払う診療料に加えて、処方箋料と薬局での支払いが加わります。

なお、処方される薬の種類が複数の場合は、薬の種類・量・内服回数によって金額が変わります。

かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)実質負担(3割)
診療料750円
検査費6000円
薬剤(30日分)6000円
合計12750円3825円

ケース②投射薬を使用している方

続いて、インスリン注射等の薬剤を使用した治療を行う場合にかかる医療費についてです。


糖尿病の治療として本格的に始める場合、このケースが最も当てはまると思います。


受診+飲み薬+インスリン注射+血糖自己測定(月60回以上)の場合

注射による治療を行うと、注射薬代(インスリン)がかかるのに加え、自己注射指導管理料が算定されるようになります。

また、血糖自己測定も行う場合には、その指導加算料なども算定されます。

かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)実質負担(3割)
診療料750円
検査費6000円
薬剤(注射含む、30日分)16000円
自己注射指導管理料7500円
血糖自己測定指導管理料8300円
合計38550円11565円

受診+飲み薬+インスリンポンプ治療+血糖自己測定(月60回以上)の場合

従来のインスリン治療では血糖管理が難しい場合は、インスリンポンプ治療という治療法が取られることもあります。

かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)実質負担(3割)
診療料750円
検査費6000円
インスリンポンプ治療費25000円
薬剤(30日分) 7000円
自己注射指導管理料12000円
血糖自己測定指導管理料 15000円
合計65750円19725円

ケース③糖尿病の合併症を治療中の方

糖尿病とあわせて発生する合併症を治療する場合は、合併症の内容によって治療費が異なります。


ここでも、例を2つほど出して解説します。


糖尿病と高血圧の治療をする場合

糖尿病のある方が、高血圧で内服治療をしている場合の概算です。薬の種類・量・回数によって治療費は変わってくるため、目安としてお考えください。


かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)実質負担(3割)
診療料750円
検査費6000円 
薬剤(30日分、高血圧治療含む)9000円
合計15750円4725円


糖尿病、高血圧、脂質異常症の治療をする場合

脂質異常症の治療が追加で必要になった場合の例です。脂質降下薬の薬代が追加されます。

かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割)  実質負担(3割)
診療料750円
検査費6000円 
薬剤(30日分、高血圧・脂質異常症治療含む)13000円
合計19750円5925円

ケース④妊娠中の糖尿病がある方

妊娠中の高血糖についても、医療が必要な場合があるので記載しておきます。


糖尿病の診断には至らないが、妊娠中としては血糖値が高い「妊娠糖尿病」と、もともと糖尿病のある方が妊娠した場合の「糖尿病合併妊娠」の2種類があります。 


どちらの場合も、医療費は血糖測定の回数や、看護師による療養指導、使用した薬代で費用が変わりますので、金額はあくまでも目安です。


妊娠糖尿病の場合

妊娠中の療養と、血糖測定を行った場合を想定し、医療費を考えています。


かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割) 実質負担(3割)
診療料750円
血糖自己測定指導管理料  15000円
合計15750円4725円

糖尿病合併妊娠の場合


かかる医療費は以下の表の通り。

項目金額(10割) 実質負担(3割)
診療料750円
自己注射指導管理料7500円
血糖自己測定指導管理料15000円
薬剤(注射含む、30日分)9000円
合計32250円9675円


まとめ:糖尿病の医療費が払えない場合どうなる?

糖尿病の医療費と、払えない場合の対策について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 


 今回の記事のポイントは、 

  • 「高額医療費制度」をはじめとして、様々な保険制度を利用することで、医療費が高額になる治療も少ない負担で受けられる可能性がある。
  • 制度の利用には所得制限などがあるので、自分が利用の対象となっているか確認する必要がある
  • そもそも糖尿病の治療内容・治療費は、個人の状況によって大きく異なる。病院でしっかりと治療についての話を聞くことも大切
でした。 


是非、参考にしていただければと思います。