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がん保険のがん診断一時金や入院給付金、手術給付金を受け取ったが、確定申告の医療費控除にどう影響するのか疑問に思う人もいるでしょう。そんな方のために、医療費控除の仕組みや非課税の給付金・保険金、医療費控除の保険金の申告漏れはバレるのかについても解説します!

監修者「井村 那奈」

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次

がん保険の一時金は医療費控除の対象?


がん保険の一時金を受け取ると、その金額が医療費控除の対象になるのかという疑問を持つ人もいるかと思います。


がん保険の一時金の金額は数十万円時には数百万円にも上ります。医療費控除の対象になるかならないかでは納める税金の額が大きく変わってきますのでがん保険の一時金が医療費控除の対象になるかどうかは知っておきたいところですよね。


この記事ではそんな人に向けて

  • 確定申告の「がん診断給付金」は医療費から差し引くのか
  • 医療費控除時の保険金申告漏れについて
  • 非課税になる給付金や保険金について
といった内容を紹介していきます。大変役立つ記事となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもがん保険は不要か必要かを考えたいという方、がん保険の見直しを検討しているという方は以下の記事を参考にしてください。

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確定申告、「がん診断給付金」は医療費から差し引き不要

がん診断給付金とは初めてがんと医師に診断されたときにがん保険から支給される給付金のことです。がん保険の一時金とは、このがん診断給付金をさします。がん診断給付金は医療費控除の対象となる医療費から差し引く必要はありません。


ここではがん診断給付金が一時金として支給されたときの医療費控除の計算方法を2つのケースに分けて紹介します。紹介するケースは以下のとおりです。

  1. がん保険の一時金、入院給付金を受け取り、収入200万円以上
  2. がん保険の一時金、入院給付金を受け取り、収入200万円以下
医療費控除の計算式も示しながら紹介しますので、ここで医療費控除の計算式まで覚えてしまいましょう。

なおここでの具体的な金額は医療費100万円、4人暮らし、がん診断給付金(一時金)100万円と入院給付金50万円を受け取ったケースを想定します。またここでの計算は国税庁のホームページを参考にしたものです。

そもそもがん保険が不要か必要かを考えたいという方は以下の記事で考え方やポイントを詳しく解説しているので参考にしてください。

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ケース①がん保険の一時金、入院給付金を受け取り、収入200万円以上

1つ目のケースががん診断給付金・がん入院給付金を受け取り、かつ収入200万円以上の場合です。医療費控除の計算式は

医療費控除額=医療費-保険等からの給付金-10万円

となっています。


この式を事例のケースに当てはめると計算式は

100万円-50万円-10万円=40万円

となります。医療費控除額は医療費から入院給付金などの保険金を差し引きますが、あくまで入院や手術などの治療費の補填として受け取った給付金は差し引く必要がありますが、がん診断給付金のような一時金として支払われた金額については差し引く必要がないので注意しましょう。

ケース②がん保険の一時金、入院給付金を受け取り、収入200万円以下

2つ目のケースは医療費やがん診断給付金、入院給付金は同額ですが世帯収入が200万円以下となっている場合の計算方法です。収入が200万円以下になると計算式が変わります。

医療費控除額=医療費-保険等からの給付金-収入の5%

これが収入200万円以下の計算式です。


たとえば世帯収入が150万円とすると、

100万円-50万円-7.5万円=42.5万円

以上が医療費控除額となります。収入が200万円以下の場合は、収入額によって計算式が変わることに注意する必要があります。


事例のケースですと収入が150万円ですので差し引かれる金額は7.5万円となっています。もし収入が180万円だった場合、9万円となります。このように収入が200万円以下の人は医療費から引く金額が変わりますので、がん保険の一時金や給付金がなくとも確認が必要です。

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医療費控除について解説!保険金の申告漏れはバレる?


医療費控除の計算方法について紹介してきました。しかし計算方法がわかっても医療費に含まれる範囲であったり、保険金の申告漏れはバレるのかなどといったことが気になる人もいるかと思います。


ここからはそういった人に向けて

  • 医療費控除の定義など基本的な知識
  • 医療費控除の対象になるもの(入院給付金等)と対象にならないもの(一時金等)の分類
  • がん保険等で医療費控除を申告する際の手続きについて
といった内容を紹介していきます。

医療費控除額

ここまで何度も医療費控除という言葉をつかってきました。しかしこの言葉の定義をしっかり理解していない人も意外に多いのではないでしょうか。


医療費控除とは所得控除の1つです。年末調整で控除を受けることができないので確定申告を行う必要があります。控除された金額は所得としてカウントされないので、その分だけ所得税・住民税が節税される仕組みになっています。


医療費控除額は医療費の対象となる金額から「保険等から受け取った入院給付金」と「10万円または所得の5%の額のうち低い金額」を引きます。それが医療費控除額となるのです。


またがん診断給付金として支給される一時金は「保険等から受け取った入院給付金」には含まれません。ただし高額療養費のような別の制度で払い戻されたお金も医療費から差し引くように注意しましょう。


また医療費控除の金額がそのまま節税の金額になるわけではありません。たとえば医療費控除額が20万円で税率が10%だった場合、節税額は2万円となります。この点にも注意しましょう。

医療費控除の対象となる医療費・ならない医療費

病院でお金を使えばそのすべてが医療費と認められるわけではありません。なかには認められないものもあります。対象になるもの、ならないものは細かく分けられていますがその例示をすると以下のように分けられます。


種類医療費の対象となるもの対象とならないもの
治療・検査
医師による初診・再診料
治療のためのマッサージ・鍼灸
治療に必要な医療器具の費用
特定健診などの費用
医師への謝礼金
美容整形の費用
予防注射の費用
眼鏡・コンタクトにかかる眼科医での費用
健康診断の費用(ただし重大な疾患が見つかった場合は含まれる)
歯科
虫歯、金歯、義歯、入れ歯の費用
治療に必要な歯列矯正(顎関節症など)
美容目的の歯列矯正
歯石の除去など
医薬品
医師の処方または処方せんによる医薬品
病気やケガの治療目的で病院に行かず購入した医薬品
疲労回復、健康増進のための医薬品(ビタミン剤など)
通院・入院費用
入院時の食事や居住費
通院、入院のための交通費
移動困難者が通院のために利用したタクシー代
通院のための自家用車のガソリン代
自己都合で利用したん病室のベッド代
入院時の日用品
出産
妊娠中の定期健診、出産費用
助産師による分娩の介助費用
流産の際の手術、入院・通院費用
母体保護法に基づく中絶の費用
出産のために帰宅する際の交通費
無痛分娩のための受講料
母体保護法によらない中絶の費用
その他
寝たきりの人のおむつ代(医師の証明書必須)
ケアハウスの利用料(医師の証明書必須)
骨髄移植・臓器移植のあっせんにかかる患者負担金

眼鏡・コンタクトレンズの購入費用
高齢者の補聴器にかかる費用

これらはあくまで区分の一部です。しかし大枠の考え方として「傷病の治療にかかる費用」は医療費に含まれます。含まれないことが多いのは「健康増進や美容、予防を目的とした費用」です。


医療費控除を申告するときには、その費用が本当に医療費の対象となっているかどうかを確認するようにしましょう。

医療費控除の手続きについて

医療費控除は本来領収書の添付が必要でした。しかし平成29年分の確定申告からは手続きの簡略化のために領収書の添付は必要ない状態です。


その代わりに必要になるのが「医療費控除の明細書」です。医療費控除の明細書には次の5つが記載されている必要があります。

  1. 医療を受けた人の氏名
  2. 病院・薬局などの支払先医療機関の名称
  3. 医療費の区分(診療・治療、医薬品購入、介護保険サービス、その他)
  4. 支払った医療費
  5. (4)のうち生命保険や社会保険で補填される金額
健康保険組合では「医療費のお知らせ」を毎年送付しており、これを利用することで医療費控除の明細書の記入を省くことができます。

また医療費控除の明細書を添付した際には領収書を5年間は保管しておく必要があります。これは税務署長から求められた場合に提出する必要があるからです。

保険金の無申告はバレる可能性が高い

ここまで医療費控除の詳細について紹介してきました。がん保険の一時金となるがん診断給付金が医療費から引かれる金額には含まれないことや医療費に含まれるものと含まれないものがあることがわかったかと思います。


確定申告の際はこういったルールに従って医療費控除を申告しますが、保険金の申告をしなければ医療費控除の額も増えることになります。たとえばがん保険の入院給付金はかなりの額になることが予想されますよね。


もしバレないのであれば、申告しないという人も出てくるかもしれません。確かに税務署はすべてのお金の流れを完璧にチェックしているわけではないのでバレない可能性もあります。しかしがん保険の保険金はバレる可能性が極めて高いです。


税務署はすべてのお金の流れはチェックしていませんが、控除が大きかったり所得の多い人のものはチェックしています。とくにがんを患った場合、がん保険から支払われる保険金はそれなりの額になります。これを申告していないことは見つかる可能性が高いです。


もし保険金の申告漏れが発覚すれば追徴課税が発生します。本来支払うべきだった金額に加えて無申告税延滞税がかかってくるのです。


保険金を申告しなければ節税できると思う人もいるかもしれませんが、税務署に見つかればさらに大きな金額を支払う必要があります。がん保険の保険金も必ず申告するようにしましょう。ただし間違えて一時金も申告してしまわないように注意してください。


税務署は払うべき税金を払わなかった場合には追求しますが、納税者が払わなくてもよい金額を払っていた場合には気づいても教えてはくれません。

入院給付金も!主な非課税の給付金・保険金


通常、1年間のなかで得た収入は確定申告をして納税額を決定する必要があります。給料や配当金による所得をイメージする人が多いでしょう。


しかしなかには非課税になる収入もあります。たとえばNISA枠の配当金は非課税で確定申告の必要もありません。この非課税で確定申告不要の収入には保険の一時金なども含まれています。その種類は以下のとおりです。

  • 入院、手術、通院給付金
  • 疾病(災害)療養給付金
  • 障害保険金(給付金)
  • 特定損傷給付金
  • がん診断給付金
ここにあげられた給付金や保険金は非課税です。確定申告の必要はありませんが、医療費控除の申告をする際には医療費から差し引く必要があるので記載が必要になります。

まとめ:がん保険の一時金は医療費控除の対象?

ここまでがん保険の一時金が医療費控除の対象になるのか、また医療費控除をどのように計算するのかなどについて紹介してきました。


まずがん保険の一時金は医療費控除の際の医療費から差し引く金額には含まれません。ただしがん保険から支払われるお金でも入院給付金は含める必要があるので注意しましょう。


医療費控除額を決める計算式は収入が200万円を超えるかどうかで決まります。200万円以下の場合は医療費から差し引く保険金、給付金の額に加えて収入の5%を差し引きます。200万円を超える場合は保険金、給付金と10万円を医療費から差し引きます。


また医療費にもがん保険の入院給付金や一時金のように含まれるもの、含まれないものがありますので確認するようにしましょう。


ここまでがん保険の一時金は医療費控除の対象とはならず、医療費から差し引き不要ということを中心に紹介してきました。


マネーキャリアではこのほかにお金に関する役立つ記事を多数掲載しております。ぜひご覧ください。