
- がん保険がいらないと言われる理由を知りたい人
- がん保険が不要か具体的な数字のもとに考えたい人
- 保険のプロはがん保険をいらないと感じているのか知りたい人
- がん保険の加入がもったいない人の特徴を知りたい人
内容をまとめると
- 若い世代のがん罹患率は低いが、もし罹患すれば高額な医療費がかかる
- 公的保障は充実しているが、一旦医療費を払わなければいけない
- 貯蓄がない人、自営業者、経済的な影響が大きい人はがん保険に入るべき
- がん保険でお悩みならがん専門の相談員が多いマネーキャリアの保険相談がおすすめ!
「がん保険はいらない」という意見をよく耳にします。実際には必要な人と不要な人がいますが、節約につながることを理由に不要論が人気です。本当に不要なのか、プロが具体的な数字や金額を元にして徹底的に検証します。がん保険は不要だと思っている人必見です!
この記事の目次
目次を閉じるがん保険は不要か?必要か?
がん保険について調べていると「がん保険は不要だ」と主張する人をみかけますが、本当に不要なのでしょうか。
まず前提として保険は「万が一」に備えることが目的であり、よって「もし自分の身に何かがあった際に自分や周囲の人を守れるか」を軸に加入を検討する必要があります。
「がん保険無しでも十分に大切な人を守れる」と思うならがん保険は不要であり、「保険無しでは自分や家族を危険にさらしかねない」と思うならがん保険は必要であるということになります。
また「自分はがんにはならない」という一種の賭けに出るならば、それはそれで個人の価値観ですので間違ってはいないでしょう。
とはいえその上で「実際にがん保険に自分は入るべきなのか」ということが気になる方がこの記事を読んでくださっていると思います。
そこでこの記事ではがん保険の不要論や必要性について検討し、年齢や性別などのパターンごとに不要か必要かの結論を出していきます。
がん保険いらない派の不要論の主な理由
まずは、がん保険を不要だと主張する人が挙げる主な2つの理由をご紹介します。
- がんに罹患しなかったら保険料は無駄になる
- 公的な医療保険だけでがんに対する保障は十分
不要な理由①がんに罹患しなかったら保険料は全て無駄になる
がん保険は、がんが発見されたときや、がんによる手術、入院、通院をしているとき以外は保障がありません。
がん保険は掛け捨て型が一般的なため、がんにかからなければ払い損になります。掛け捨て型の保険料は、20代で安いがん保険に加入すれば月1000円前後と安価ですが、60歳まで加入し続けると生涯で48万円、終身払込なら60万円以上と、決して小さい金額ではありません。
がんにかからなければ、払い込んだ保険料は全て無駄になります。同じ掛け捨て型でも、病気やけがに備える医療保険の方が保障を受けられる可能性は高いです。
不要な理由②公的な医療保険だけでがんに対する保障は十分
上に記述した3つの制度は公的医療保険の代表的なものであり、これらの制度はすべての国民が利用することができます。
がんの1日あたりの医療費は、入院する場合で平均7万円前後、入院外でも4万円前後と高額です。3割負担で入院なしでも1日で1万2000円かかるため、1ヶ月通院すれば36万円かかります。
ただし、36万円の医療費は、全額自己負担にはなりません。健康保険で高額療養費制度が適用されるため、1ヶ月間の上限額以上の医療費は返還されます。上限額については後述しますが、平均的な収入の人なら10万円程度です。
実際に民間の保険に加入していなくても、義務的に加入させられる健康保険で十分な保障が受けられます。
がん保険不要論の検証①保険料が全て無駄になる確率は?
がん保険が不要であるという主張の根拠として最も多く挙げられるのが「がんにかからなければ保険料が無駄になる」という主張でしょう。
確かに、がん保険はがんに備える保険であり、仮にがんにかからなければそれまでの保険料はすべて無駄になります。ですが「無駄になるかもしれないから」という単純な考えでがん保険を不要と決めつけてしまってよいのでしょうか。
そもそも一概に「保険料が無駄になる」といっても年齢や性別によって無駄になる確率も変わってきます。「無駄になるか」という側面からがん保険を考えるならば自分ががんにかかる確率を知っていることが重要になります。
そこで、ここからは各年齢・性別ごとのがんにかかる確率を表にまとめて確認していきたいと思います。
がんにかかる確率=がん保険が無駄にならない確率
みなさんも自分ががんにかかる確率はどれくらいなのかを確認しながら読んでみてください。
各年齢ごとの今後がんにかかる確率:男性
さてここからは男性がどの年齢のときにどのくらいがんにかかるリスクを抱えているかを見ていきましょう。
以下が男性のがん累積罹患リスクの表になります。これは「何歳のとき・何年後に・どのくらいの確率で」がんにかかるかということを表した表になります。
例えば今40歳の人が20年後、60歳になるまでにがんにかかっている確率は6.6%、70歳までなら20.8%ということになります。
現在の年齢 | 10年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | 60年後 | 生涯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20歳 | 0.3% | 0.9% | 2.5% | 7.4% | 21.3% | 43.1% | 65.5% |
30歳 | 0.6% | 2.2% | 7.2% | 21.2% | 43.1% | 65.8% | |
40歳 | 1.6% | 6.6% | 20.8% | 43.0% | 66.0% | ||
50歳 | 5.2% | 19.7% | 42.5% | 66.2% | |||
60歳 | 15.7% | 40.5% | 66.1% | ||||
70歳 | 31.3% | 63.9% |
表から主に以下のことが読み取れました。
- 男性が生涯でがんになる確率は約65.6%
- 20歳で50歳までにがんになるのは40人に1人の確率
- 60歳までにがんになる確率は約7%
- 60歳で以降20年でがんにかかるのは5人に2人の確率
- 70歳までにがんになるのは5人に1人の確率
全体の考察の前に続いて女性のがん累積罹患リスクも見ていきましょう。
各年齢ごとの今後がんにかかる確率:女性
現在の年齢 | 10年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | 60年後 | 生涯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20歳 | 0.5% | 2.0% | 6.1% | 12.3% | 21.3% | 33.3% | 51.2% |
30歳 | 1.6% | 5.7% | 12.0% | 21.0% | 33.0% | 51.1% | |
40歳 | 4.2% | 10.6% | 19.7% | 32.0% | 50.4% | ||
50歳 | 6.7% | 16.3% | 29.2% | 48.5% | |||
60歳 | 1.4% | 24.3% | 45.2% | ||||
70歳 | 15.9% | 39.7% |
- 女性が生涯でがんになる確率は約47.7%
- 20歳で50歳までにがんになるのは17人に1人の確率
- 40歳以下で60歳までにがんにかかるのは10人に1人の確率
- 60歳で以降20年でがんにかかるのは4人に1人の確率
まとめ&注意点:保険料が無駄になる確率は?
ここまで各年齢ごとの今後がんにかかる確率を男女それぞれで見てきました。
▼生涯で保険料がすべて無駄になる確率
男性:35.4% = 約3人に1人
女性:52.3% = 約2人に1人
以上が男女それぞれが保険料を無駄にする確率(=がんにかからない確率)になります。
男女間でがんにかかる確率がここまで違うのは少し意外だったのではないでしょうか。ただしここで忘れてはいけないのがこれはあくまで「生涯」での罹患リスクをもとにしているという点です。
例えば20歳からの30年間を対象に見てみましょう。
▼20歳からの30年間で保険料がすべて無駄になる確率
男性:97.5% = 40人に39人
女性:93.9% = 17人に16人
対象を20歳にすると、男女ともに保険料を無駄にする確率が90%よりも高く、がんにかからない確率は男性が女性の2倍以上であると、30年という長い期間でも生涯で見た場合とは全く異なる確率になることが分かりました。(女性の罹患リスクが高い理由については後述します。)
このように自分が今何歳であるか・何歳までを基準に考えるかで、がん保険の保険料を無駄にする確率も大きく変わってくるため、生涯や長い期間だけでなく短い期間でのリスクにも注目してがん保険の加入を検討することも重要です。
「生涯でがんにかかる可能性が65%近くあるなら今のうちから早めに入っておく」
「生涯でかかるリスクが高くても今後20年間での罹患可能性は6%程度だからまだ入らない」
前者のように考える方もいれば後者のように考える方もいます。自分の考えや家計の状況をもとに、自分にはどの選択が合っていそうかを考えてみて下さい。
また「それでも自分で決めるのは難しい」という方は専門家に相談してアドバイスを受けるのがオススメです。豊富な知識や経験をもとにあなたに合ったプランを提案してくれることでしょう。
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がん保険不要論の検証②公的な医療保険だけでがんに対する保障は十分?
続いてがん保険が不要である理由として「日本は公的医療保険が充実しているため民間の保険はいらない」という主張も多く見受けられます。
実際、日本には先述した療養給付制度や高額療養費制度といった保障が手厚く整備されており、その保障は世界でもトップクラスといえるでしょう。
公的保険は日本国民ならば義務的に加入するものであり、その保険でがんにかかった場合の費用も補うことが出来るのならばそれに越したことはありません。では、実際にがんにかかった場合の治療費や諸経費は公的医療保険のみで十分なのでしょうか?
ここからは以下の順に治療費や保険による保障の具体的な金額を確認しながら、どの程度公的医療保険でがんに備えることが出来るのかを確認していきます。ぜひ自分自身にあてはめながら読んでみて下さい。
- がんに罹患するとかかる費用
- 利用できる公的医療制度
- シミュレーション:自己負担額はいくら?
- まとめ&注意点
がんに罹患したときにかかる費用
がんに罹患したら、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。入院費用や手術費用だけでなく、入院時の食費、場合によっては差額ベッド代もかかります。
まずは、がんの部位ごとの平均在院日数と、1日あたりの医療費を確認してみましょう。
がんの部位 | 平均在院日数 | 1日あたりの医療費 |
---|---|---|
胃がん | 19.2日 | 72,590円 |
結腸がん | 15.7日 | 81,003円 |
直腸がん | 15.7日 | 85,586円 |
気管支・肺がん | 16.3日 | 98,236円 |
乳がん | 11.5日 | 97,120円 |
(参照:厚生労働省「2017年患者調査 表6 傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数」 、公益社団法人全日本病院協会「2021年10月~12月の医療費 重症度別(急性期グループ)」をもとに計算。小数点以下切り捨て)
上記の表をもとに、がんの部位別にかかる平均医療費を試算します。入院時の食費は厚生労働省、差額ベッド代は中央社会保険医療協議会の資料を参考に計算し、金額は全て小数点以下切り捨てです。
・胃がん
- 医療費:139万3728円
- 入院時の食費:2万6496円
- 差額ベッド代:12万1996円
差額ベッド代が不要な場合は139万3728円、差額ベッド代が必要な場合は151万5724円となります。
・結腸がん
- 医療費:127万1741円
- 入院時の食費:2万1666円
- 差額ベッド代:9万9757円
- 医療費:134万3700円
- 入院時の食費:2万1666円
- 差額ベッド代:9万9757円
- 医療費:160万1246円
- 入院時の食費:2万2494円
- 差額ベッド代:10万3570円
- 医療費:111万6880円
- 入院時の食費:1万5870円
- 差額ベッド代:7万3071円
がんにかかったときに利用できる公的制度①療養の給付
最も代表的な公的医療保険制度に健康保険制度における療養の給付があります。
療養の給付では国民全員が病気やけがの際に治療を3割負担で受けることのできる制度です。
〈例:がんにかかり手術代や薬代で100万円かかった〉
・治療費:1,000,000円
・保険適用額:700,000円
・自己負担額:300,000円
→100万円の費用のうち自分が払うのは30万円
以上のように健康保険を利用することで本来かかる費用の3割の負担で治療を受けることが出来ます。
また、中には1割や2割の負担で治療を受けることのできる人もいます。基本は幼児や高齢者の方が対象ですが、以下表にまとめましたので自分の子供や身近な方が対象かどうか確認してみて下さい。
年齢 | 自己負担割合 | 注意点 |
---|---|---|
小学生未満 | 2割 | 自治体によって負担額が異なる |
小学校入学後-69歳 | 3割 | 自治体によっては小学校以後も負担額が少ない場合がある |
70-74歳 | 2割 | 所得が現役世代並みの場合3割負担 |
75歳以上 | 1割 | 所得が現役世代並みの場合3割負担 |
(参照:日本医師会「日本の医療保険制度の仕組み」)
自治体によっては小学生の医療費が無料であったり、高校生まで医療費の自己負担が免除の場合もあるのでご自分の自治体の制度を一度調べておくと良いでしょう。
がんにかかったときに利用できる公的制度②高額療養費制度
療養給付により国民は3割負担で治療を受けることが出来るとわかりましたが、加えて公的な健康保険の一つに高額療養費制度があります。
高額療養費制度とは療養給付の後の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超えた分の金額を国が負担してくれる制度です。
金額は1カ月単位で考え、厳密には一度自分で医療費を払い後に国から差額が還付されます。
医療費の自己負担限度額は、標準報酬月額や報酬月額(給与)により異なります。70歳未満の自己負担限度額は下表の通りです。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
---|---|---|
標準報酬月額83万円以上 報酬月額81万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
標準報酬月額53万〜79万円 報酬月額51万5千円以上〜81万円未満 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
標準報酬月額28万〜50万円 報酬月額27万円以上〜51万5千円未満 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
標準報酬月額26万円以下 報酬月額27万円未満 | 57,600円 | 44,400円 |
住民税が非課税 | 35,400円 | 24,600円 |
※多数該当は、1年間に3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた人が、4ヶ月目から該当する自己負担限度額です。
年収400万円の会社員が、がんで14万円の医療費(3割負担)を支払った場合、自己負担限度額は以下のようになります。
80,100円+(1,500,000円-267,000円)×1%=92,430円
この場合、病院に一旦14万円の医療費を支払いますが、のちに国へ申請を送ることで4万7570円を返還金として受け取ることが出来ます。がんにかかったときに利用できる公的制度③傷病手当金
がんの罹患者が会社員や公務員であれば傷病手当金も支給されます。傷病手当金とは、病気やけがで働けなくなり、仕事を休んだ日が連続3日あったうえで、4日目以降休んだ日に対して支給される手当のことです。
支給される金額は全国健康保険協会によると以下の通りです。
1日当たりの金額=【支給開始日前の12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
400万円÷12カ月÷30日×2/3 = 7,404円/日
シミュレーション:がんで実際に必要な額はいくら?(年収ごと)
さてここからはがんに罹患し公的医療制度を用いた際、実際に必要となるのはいくらなのかを見ていきたいと思います。
「保障の計算が分からない」「いくら必要なのかだけ知りたい」という方向けに計算や考え方まで紹介しているので必見です。
今回は年収が「300万円」「400万円」「700万円」の場合を以下の条件で算出します。
(費用、入院日数は先述の費用を参照)
- 医療費(日):87,000円
- 食費(日):1,380円
- 入院日数:16日
- 該当年齢:20歳-69歳
年収300万円の場合
▼支出
①療養の給付
療養の給付により負担額が3割になる
医療費(87,000円×16日)=1,392,000円×30%=417,600円
②高額療養費制度
年収300万円の場合の標準月額報酬は「300万円÷12カ月」で25万円なので自己負担限度額の表より
自己負担限度額=57,600円
先ほどの417,000円が上限の57,600円より大きいから自己負担医療費は57,600円。13日間の食費22,080円と合計して支出計:79,680円。▼収入
③傷病手当金
入院日16日のうち13日間が有効なので
傷病手当金=250,000円÷30日×(2/3)×13日=72,222円
よって収入計:72,222円。
▼合計
支出計:79,680円
収入計:72,222円
支出入計:-7,458円
以上のような計算の結果、年収300万円でがんになった際の純粋な支出は7,458円になるということが分かりました。ただ、差額ベット代や家族がいればその生活費や通院費は別で必要になる点には注意しましょう。
年収400万円の場合
医療費(87,000円×16日)=1,392,000円×30%=417,600円
自己負担限度額=80,100円+(1,392,000円-267,000円)×1%=91,350円
傷病手当金=333,333円÷30日×(2/3)×13日=96,296円
医療費(87,000円×16日)=1,392,000円×30%=417,600円
自己負担限度額=167,400円+(1,392,000円-558,000円)×1%=175,740円
傷病手当金=583,333円÷30日×(2/3)×13日=168,518円
収入計:168,518円まとめ&注意点:がんの保障は公的保険で十分?
ここまでがんになった場合の費用は公的保険で十分に賄えるのかという観点で検証をしてきました。
結論として、基本的にがんの保障は公的保険で十分といえます。
その理由は以下3点です
- がんの治療は3割負担で受けられるから
- 自己負担額には上限があるから
- 仕事を休んでも給与の2/3の金額を受け取れるから
特に療養の給付で自己負担が3割以下になる点、高額療養費制度で自身の支払い額に上限がある点は高額になってくるがん治療の強い味方です。
ですが今回みてきたのはあくまで「罹患した本人の治療費のみ」であるということには注意が必要です。というのも入院時の部屋を個室にする差額ベット代や家族の生活費、介護のための通院費は公的保障の対象にならないからです。
また近年ではホルモン治療など長期でがんの治療を行っていく場合が増えています。その場合、上限負担額を超えない程度の毎月の支払いや傷病手当金のもらえる1年6カ月以上の治療期間など公的医療保険では対応できない可能性があります。
治療にいくらかかるかに加え、差額ベット代が必要か?家族の生活を守る貯蓄があるか?がんの治療が長期化しても対応できるのか?は今のうちに深く検討しておく必要があります。
がん保険で受けられる保障には何がある?

ここでがん保険に加入していた場合に受けられる保障内容を確認していきます。
一見、公的保障で十分のように見えるがんへの備えですが、民間のがん保険は公的保障も考慮した保障内容を整えており、公的保障ではカバーできない部分を補える商品になっています。
また、最近では抗がん剤・ホルモン剤・放射線などの個別の治療を受けると給付金がもらえる商品や、給付金額ががんのステージに応じて変化する商品なども出てきており、治療法や医療形態の発展に合わせて保障内容もアップデートしているという点も知っておくと良いでしょう。
以下が、がん保険で受け取れる6つの給付金です。早速見ていきましょう。
- 診断給付金
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 先進医療特約による給付金
- 女性特約による給付金
がん保険でもらえる給付金①診断給付金
診断給付金は、がんの診断を受けるともらえる給付金で、がんだけでなく上皮内新生物も対象になります。診断給付金ではなく診断一時金として給付されるがん保険もあります。
上皮内新生物とは、異常な細胞が上皮内にとどまっていて、基底膜を破っていないものです。がんの前段階といわれます。
がんと上皮内新生物では給付金の額が異なっており、上皮内新生物の診断給付金は、がんの10%~50%程度です。
診断給付金は、公的保障では全くカバーできない部分になるので、貯金が十分でない人にとっては必要なものになるでしょう。
がん保険でもらえる給付金②入院給付金
入院給付金は、医療保険の入院給付金とほぼ同じ仕組みです。入院1日ごとに一定額を給付するのが一般的です。
医療費以外で入院時にかかる費用は以下の通りです。
- 差額ベッド代:平均6354円
- 食事代:平均1,380円
この金額が入院日数ごとに必要となるため1日1万円給付のがん保険に加入しておけば賄えます。
がん保険でもらえる給付金③手術給付金
手術給付金は、がんの治療のために手術を行うと決まった場合に支給される給付金です。
手術給付金が支給される主な手術は、以下の通りです。
- がん根治手術
- がんへの温熱療法
- 再発や転移したがんへの手術
- がんへの放射線治療
がん保険でもらえる給付金④通院給付金
通院給付金は、がんの治療のために通院しているときに給付されます。1日ごとに一定額を給付するのが一般的です。
一般的ながん保険では、入院給付金と同額の通院給付金を保障内容に備えています。
がん保険でもらえる給付金⑤先進医療特約による給付金
先進医療給付金ともいわれ、先進医療にかかる技術料の自己負担分を給付します。がん治療には、健康保険が認めた保険治療と、認めていない保険外治療があります。
給付される金額には上限があり、通算1000~2000万円までが一般的です。
がん保険でもらえる給付金⑥女性特約による給付金
女性特約による給付金は、女性特有のがんになると給付されます。女性向けのがん保険では一般的な給付金です。
女性特有のがんである、乳がん、子宮がん、卵巣がんに対応し、1回につき20万円~50万円程度給付されるのが一般的です。
がん保険の
がん保険が不要か必要かの主要チェックポイントは3つ!

- 貯金が200万円あるかどうか
- もしものとき頼れる相手がいるか
- 生活水準が落ちても受け入れられるか
崩せる貯金が200万円あるかどうか
まず最も重要な基準は「崩せる貯金が200万円あるかどうか」です。
この問いへの答えが”Yes”ならばがん保険は不要であり”No”ならばがん保険は必要です。
ではなぜ貯金は200万円が必要なのでしょうか。がんに罹患した際に必要な200万円の内訳は以下の通りです。
- 休職期間の生活費=60万円
- 治療費=100万円
- 諸経費=40万円
休職期間の生活費=60万円
まずここでの生活費とは1か月半休職した場合の家族の生活費を指します。がんによる入院の平均日数は約16日でしたが、入院前の検査期間や退院後のリハビリ期間を考慮して休職期間は1か月半ほどと見積もるのが良いでしょう。治療費=100万円
もしものとき頼れる相手がいるか
続いて重要な基準は「もしものとき頼れる相手がいるかどうか」です。
この場合答えが"Yes"でも必ずしもがん保険が不要とはいえませんが、"No"の場合はがん保険が必要です。
がんにはリハビリと再発がつきもの。
仮に貯金が200万円あったとしても「長期のリハビリや治療で仕事に復帰できず生活費が足りない。」「再発したが1度目の入院で貯金を使い果たしておりお金が足りない。」
といった事態が起こりえます。
この際、頼れる相手がいれば立て替えてもらい貯金を最低限残すことが可能ですが、仮にいなければ人生が詰みかねないといっても過言ではないでしょう。
もちろん国による補助や給付を受けることはできますが、貯金が無の状態では社会復帰や生活水準回復のための活動も制限されてしまいます。
生活水準が落ちても受け入れられるか
最後に抑えておきたい基準が「生活水準が落ちても受け入れられるか」ということです。
この場合は答えが"Yes"ならがん保険は不要な可能性があり、"No"ならがん保険が必要であるといえます。
先ほども述べたようにがんは入院後もお金を必要とする場合が多いです。
治療後のアフターケアとしての薬の服用や再発防止のための通院、万が一再発した場合への貯蓄の確保といったように、がんでは罹患前に比べて必要なお金が増えてしまうことがほとんど。
こうした出費に伴う生活水準の低下を受け入れられるのであれば200万円の貯金で十分だといえますが、生活水準を下げたくないのであればがん周り全般に利用するお金の確保のためにがん保険に加入しておくのが良いでしょう。
後悔しないために知っておくべきがん保険の注意点
もしもの時に強い味方になってくれるがん保険ですが、加入にあたっては大きく3点注意点があります。
- 免責期間の存在
- 上皮内新生物に対する保障の有無
- 通院治療に対する保障の厚さ
注意点①加入から90日間の免責期間では給付金を受け取れない
注意点の1つ目は免責期間の有無です。
多くの場合がん保険では加入から90日以内に発覚したがんには給付金が支払われません。この90日間のことを免責期間といいます。
これは、病気になる兆候がある状態で契約し、契約直後に病気やがんの診断をもらって給付金を受けるなどの悪用を防ぐためです。
仮に悪用するつもりがなかったとしても、がん保険契約時に「責任開始日」が91日目と記載されているので、90日以内にがんになっても給付金はもらえません。
とはいえ免責期間のないがん保険もいくつかあります。免責期間が不安だという方はそうした保険を検討してみると良いでしょう。
注意点②上皮内新生物に対する保障が充実しているか
注意点の2つ目は上皮内新生物への保障の充実度です。
度々同じものとして扱われるがんと上皮内新生物ですが、実際には状態が異なります。
上皮内新生物はがんの前段階にあたる異常な細胞で、まだがんにはなっていない状態のものです。それゆえにがんよりも危険性が低く給付金も低めに設定される傾向にあります。
がん保険によっては、診断給付金が10分の1しか出ません。そのほかの給付金も、減額されたりもらえなかったりするので、契約時に上皮内新生物への保障について確認してください。
注意点③通院治療に対しても手厚い保障になっているか
がんの治療は、入院ではなく通院がメインです。厚生労働省は、以前より平均在院日数の短縮に向けた取り組みを進めています。
その結果として、がんの平均在院日数は20日未満になりました。現在は、入院期間を短くして、代わりに通院期間を長くする方針に変わっています。
現在販売されているがん保険は、通院メインになっている状況を考慮し、入院給付金と通院給付金を同額にしているものが一般的です。もし、通院給付金が極端に少ない保険や、支給されない保険があれば、避けたほうがよいでしょう。
まとめ:がん保険は不要か?必要か?
ここまで、がん保険について解説しました。
- 高額療養費制度や疾病手当金などの公的保障は充実している
- 若い世代のがんの罹患率は低い
- がんは医療保険でも備えられる
- がんの治療費は高額になるため、貯蓄がない人はがん保険で備えておくべき