「がん保険で最低限必要な保障を知りたい」
「がん保険で最低限必要な保障はどれくらいなの?」
とお悩みではないでしょうか。
- 結論、がん保険で最低限必要な保障は「診断給付金」「通院給付金」「手術給付金」の3つです。
ただし、現在の保障状況や健康リスクによって必要な保障が異なるため、慎重に検討する必要があります。
この記事ではがん保険で最低限必要な保障の内容や保険料の目安を紹介します。
この記事を読むことで、がん保険の保障内容を理解し、自分に合った最低限の保障を選べるようになるので、ぜひご覧ください。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
がん保険に最低限必要な保障は?
今回の記事ではがん保険の最低限必要な保障について解説していきます。さらにその保障の保険料まで紹介しますので、是非最後までご覧ください。
まず最低限必要な保障をお伝えします。
- 診断給付金(一時金)
- 通院保障
- 手術給付金
この3つになります。
診断給付金(一時金)は、がんと診断確定がされた時点で給付されるある程度まとまった一時金が受け取れる保障で治療費に必要な100万円程度に設定することが多いです。
通院保障と手術給付金は、がんを原因として通院や手術をすることで、あらかじめ決めた金額が受け取れる保障です。
診断給付金(一時金)
1つ目は診断給付金(一時金)です。
診断給付金(一時金)の金額は数十万から数百万と契約時に設定することができます。
今回の最低限と考えた時にいくらの診断金にするべきか悩む点と思うので、解説していきます。
診断金の使われ方は様々ですが、医療費の点から考えてみましょう。
がん治療の医療費
| 医療費 | 1日平均 | |
|---|---|---|
| 胃がん | 927,400円 | 67,992円 |
| 結腸がん | 913,833円 | 77,962円 |
| 直腸がん | 1,014,000円 | 81,939円 |
| 気管支・肺がん | 1,089,007円 | 47,464円 |
参考:公益財団法人 全日本病院協会「重症度別医療費」
数種類のがんの医療費を見てみると100万円前後になっています。ですので、診断金の金額は少なくても100万円に設定するべきでしょう。
仮に医療費にこれだけかからなかったとしても、がんになったことによる収入低下の補填やその他の費用にも使えるので無駄にはなりません。
通院給付金
2つ目は通院給付金です。
通院給付金はがんを原因とした通院で治療を受けた際に受け取れる給付金です。
ガン治療は最近では、完治するまで入院での治療ではなく、通院治療をしながら完治を目指すことが多くなってきました。
がん治療の入院と通院(外来)の推計患者数
| 入院 | 外来 | 外来比率 | |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 12.67万人 | 24.7万人 | 約66.0% |
| 2008年 | 15.92万人 | 21.82万人 | 約57.8% |
参考:厚生労働省 「患者調査」
このように、この12年の間に外来率が10%近くも上昇しており、「がんは通院で治す時代になった」と言っても過言ではありません。
このため、通院した際に受け取れる通院給付金も必要な保障と言えます。
保険会社や保険商品により通院保障の金額は数千円から数万円と設定できる金額に差がありますが、最低限と考えると3,000円程度の設定になるのではないでしょうか。
手術給付金
3つ目は手術給付金です。
手術給付金はがんによる手術を受けた場合に受け取れる給付金です。一般的に手術の種類により受け取れる金額が変化します。
がん治療において手術は3大治療の1つであり、手術(外科治療)によりがんなどの腫瘍を取り除くことにより完治を目指す治療です。
多くの場合が手術により、腫瘍を取り除いてから、抗がん剤やホルモン剤、放射線治療などで取り切れなかったがん細胞を叩くので必要な保障と言えます。
手術にかかる医療費は手術の種類により変わりますが、最近では体への負担を考え腹腔鏡手術など体に小さな傷跡しか残らない方法がとられるようになってきました。
それに伴い手術の費用も高額になる可能性も低くなっています。
そもそもがん保険は最低限で大丈夫?

そもそもがん保険は最低限で大丈夫なのでしょうか?
その答えを出すには、がんになった場合にどのような費用が必要になるのかを理解する必要があります。
さらに、最低限のがん保険でどれくらいの金額を受け取れるのかも知る必要があり、この2点を比較すると「大丈夫」なのか、「大丈夫ではない」のかはっきりするでしょう。
それでは以下で解説していきます。
がんの治療に必要な費用
がんの治療に必要な費用についてまとめてみました。
| 入院治療費の平均 | 外来治療費の平均 | |
|---|---|---|
| 胃がん | 65,617円 | 4,363円 |
| 結腸がん | 66,491円 | 4,583円 |
| 直腸がん | 76,841円 | 6,196円 |
| 肝がん | 63,776円 | 5,977円 |
| 肺がん | 71,778円 | 11,252円 |
| 乳がん | 59,238円 | 5,900円 |
| 子宮がん | 63,889円 | 3,254円 |
| がん全体の平均 | 71,800円 | 6,403円 |
参考:厚生労働省 「令和二年度医療給付実態調査」
なお、この表の金額は健康保険等の公的医療保険制度の適用を受けた後の金額となっています。つまり窓口で実際に支払う金額の平均額です。
がんの治療に必要な費用としては、入院治療での費用と、外来治療での費用と大きく2つになります。
公的保険制度の範囲であれば、窓口負担は最大で3割負担、さらに高額療養費制度も使えるので入院治療の平均額は7万円前後になることが分かります。
また、通院治療においては1回の通院で平均6,400円程の治療費が必要になります。
通院は頻度が多い場合でも週に1度の通院なので、月に4回とすると月25,600円。
入院の費用と合算すると95,000円ほどになる計算になります。
最低限の保障で受け取れる金額
がんの治療に必要な金額が分かったので、次は最低限の保障で受け取れる金額について解説します。
最低限の保障の考え方は
- 診断給付金(一時金)
- 通院保障
- 手術給付金
この3点でした。
診断給付金100万円・通院保障3,000円・手術給付金5万円を最低限の保障として、1年間の通院が続くと仮定した場合に受け取れる金額
- 最初の1カ月:診断金100万円+手術給付金5万円+通院2回で6,000円
- 残りの11カ月:通院4回12,000円×11=132,000円
- 合計1,180,000円
1年間で118万円の受け取りになります。
同じようにがん治療に必要な金額も計算してみます。
がん治療に必要な金額
- 最初の1カ月:入院治療費+通院治療費=約95,000円
- 残りの11カ月:通院治療費=25,600円×11=281,600円
- 年間にかかる治療費は376,600円
1年間で約40万円となりました。
実際に計算してみると、最低限のがん保険でも受け取れる金額は1年間で118万円、治療費が約40万円ですので、最低限の保障でも十分に治療費を賄えることが分かります。
しかし、これは治療費だけを考えた場合ですので、実際には治療費以外の費用が必要になることもあるので注意が必要です。
結論としては、最低限の保障でも十分に治療費は賄えます。
利用できる公的医療保険
民間のがん保険を考える上で外せないのが誰でも使える公的な医療保険制度です。
これらの制度を活用した上で足りない部分を民間のがん保険で補うのが合理的な考え方となります。
すでに知っている方も多いとは思いますが、簡単に紹介しておきます。
療養の給付
- 皆さんご存知の医療費が3割負担となる制度です。正確には70歳未満は3割負担、70歳以上は2割負担と年齢や収入により細分化されています。
高額療養費制度
- 3割負担にしても医療費が高額になった場合にさらに医療費を支給してくれる制度です。年齢や収入により医療費の上限額が決められており、超えた場合に使うことができます。
傷病手当金
- 病気や怪我のために働くことが出来ずに会社を連続して3日間休んで上で、4日目以降、休んだ日に対して基本給の60%程度を日割り計算した金額が支給される制度です。
このように日本では公的な医療保険制度が充実しており、これらの制度を知らないのは非常に勿体ないので覚えておきましょう。
最低限の保障の場合、保険料はいくら?

最低限の保障の場合の保険料も気になるところではないでしょうか?
今回は診断給付金100万円・通院保障3,000円・手術給付金5万円を最低限の保障として考えていきます。
前提条件としては、保険期間・払込期間ともに終身、非喫煙者保険料率。
全く同じ保障での試算が難しいため、少しだけプラスαの保障(手術だけでなく放射線治療・抗がん剤治療でも5万円)もついているのはご容赦ください。
保険料の一例
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20歳 | 1,230円 | 1,454円 |
| 30歳 | 1,924円 | 2,082円 |
| 40歳 | 2,791円 | 2,829円 |
| 50歳 | 4,269円 | 3,521円 |
| 60歳 | 6,363円 | 4,281円 |
| 70歳 | 8,577円 | 5,166円 |
最低限での保障といってもやはり罹患率が上がる高齢になると、保険料も安くはありませんね。
日本における罹患率から見ても女性の方が、確率が低くなっているため、男性と比較しても加齢による保険料の上がり方はマシです。
男女ともに遅くても40代の内に備えておくと、家計への圧迫感もそこまで感じないのではないでしょうか。
なお、今回のこの保険料は非喫煙者保険料率のため、1年以内に喫煙されている方は保険料が異なるため、注意してください。
最低限にプラスαでつけておきたい保障3選

最低限の保障について解説してきましたが、ここではさらにプラスαでつけておきたい保障についてお伝えします。
つけておきたい保障3選
- 先進医療特約
- ホルモン剤治療特約
- 抗がん剤治療特約
この3つになります。詳しくは後ほど解説しますが、いずれもつけておくと保障が充実し、より安心することができます。
特に先進医療特約は保険料も安く、使う時の効果は非常に大きいので、最低限の保障に組み込んでもいいほどです。
先進医療特約
1つ目は先進医療特約です。
先進医療特約とは、先進医療にかかる費用(技術料)を一定の金額または、全額保障してくれる特約になります。
保険会社により多少前後しますが、月100円前後でつけれる特約で負担感もありません。
先進医療とは、厚生労働省が治療効果や安全性をある程度認めた新しい治療方法のことです。
がん治療に使われる先進医療の一例
| 技術名 | 1件当たりの費用 |
|---|---|
| 陽子線治療 | 2,692,988円 |
| 重粒子線治療 | 3,162,781円 |
参考:厚生労働省 「令和4年度実績報告」
がん治療で使われる先進医療だと高いもので約300万円ほど必要になってきますが、先進医療特約があれば、この費用を全額、保険でまかなうことができます。
月100円程度でこのような高額な技術料をまかなえるなら、非常にコスパがいいと言えるのではないでしょうか。
ホルモン剤治療特約
2つ目はホルモン剤治療特約です。
ホルモン剤治療特約とは、三大治療の一つであるホルモン剤治療を受けた際に、給付金が受け取れる特約です。
ホルモン剤治療はホルモンの分泌や働きを阻害し、ホルモンを利用して増殖するタイプのがんを攻撃する治療方法で、主に乳がんや前立腺がんなどの治療で行われます。
乳がんの場合、6-7割ほどがホルモンを利用して増殖するタイプなので女性の方には特につけておきたい特約になっています。
ホルモン剤治療特約が必要かどうかを詳しく考えたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。
抗がん剤治療特約
3つ目は抗がん剤治療特約です。
抗がん剤特約とは、三大治療の一つである抗がん剤治療を受けた際に、給付金が受け取れる特約です。
抗がん剤治療は、がん細胞が増えるのを防いだり、成長を阻害したり、再発や転移を防ぐために使われる治療方法です。
抗がん剤治療はがん患者の30.1%の方が使用しており、使う可能性が非常に高く、男女共につけておきたい特約になっています。
抗がん剤治療特約が必要かどうかを詳しく考えたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。
がん保険で受けられるその他の保障
がん保険には、最低限必要な保障以外にも様々な保障があります。
これらの保障は、あなたの家計状況や既存の保障内容によって必要性が変わってきます。
以下では、がん保険で受けられるその他の主な保障について解説します。
- 入院給付金
- 死亡給付金
これらの保障の必要性を理解し、自分に合った保障内容を検討しましょう。
入院給付金
入院給付金はがんで入院した際に、決まった日額が受け取れる給付金です。
最近では通院での治療が増えてきた半面、入院での治療は減少してきました。
がんによる入院日数は他の病気と比較しても短期間になる可能性が高く、あまり重要視されていない保障ではあります。
傷病分類別にみた退院患者の平均在院日数の一例
| 疾病分類 | 平均在院日数 |
|---|---|
| 悪性新生物 | 19.6日 |
| 循環器系の疾患 | 41.5日 |
| 呼吸器系の疾患 | 34.5日 |
このようにがん(悪性新生物)は他の病気と比較すると短期入院の場合が多いです。
死亡給付金
死亡給付金はがんを直接の原因として死亡した場合に受け取れる給付金です。
保険会社や商品によって、給付金の条件が、がんが原因の死亡のみなのか、がん死亡以外でも対象なのかは分かれています。
がんは日本人のどの年代でも死因のトップ3に入る病気ではありますが、死亡保障は普通の死亡保険でも備えることができるため、がん保険で備える方は僅かなのが現状です。
がん保険に加入する際の注意点

ここまでは主にがん保険の保障内容について解説してきましたが、がん保険に加入する注意点もあるので、解説していきます。
がん保険に加入する際の注意点
- 免責期間の存在
- 上皮内新生物の保障の有無
- 契約タイプ(終身型・定期型)
この3点には注意が必要になってきます。
詳しくは後ほど解説しますが、特に免責期間には注意しないと大変なことになりますので、しっかりと確認しておいてください。
免責期間の存在
がん保険には一般的に「免責期間」と言うものが存在しています。
免責期間とはがん保険を申し込んでから保障の開始までの待機期間のことで、免責期間は90日間あります。
つまり、がん保険に加入しても3カ月間はがん保険が使えないということです。
これはがん保険だけでなく、医療保険などで追加できるがん保障の特約も同じように免責期間が存在しますので、注意が必要です。
免責期間についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方は是非ご覧ください。
上皮内新生物の保障の有無
上皮内新生物に対応しているかも注意が必要です。
上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内に留まっている状態のことです。
簡単に言うと、超早期発見のがんのことで、細胞の表面までしか浸食されていないので、転移や再発の可能性は限りなく低いとされています。
早期発見なので治療費としても高額になる場合はほとんどありませんが、保険会社や商品によっては上皮内新生物の場合は保障の対象外や半額しか受け取れないこともあります。
最近のがん保険では、上皮内新生物でも対象で、がんと同じような給付金が受け取れる商品が増えてきました。
しかし、気になる方は加入時に保険会社や担当者に必ず確認しておきましょう。
契約タイプ(終身型・定期型)
契約するがん保険が終身タイプなのか、定期タイプなのかも気にする必要があります。
保険商品には保障が生涯続く終身タイプと10年や15年と定めた一定期間だけの定期タイプがあります。
どちらもメリット・デメリットが存在しますので、それを理解した上でどちらが自身に合っているのか判断しましょう。
終身タイプのメリット・デメリット
- 一生涯のがん保障が持てる
- 保険料が変わらない
- 定期タイプと比較すると保険料が割高
定期タイプのメリット・デメリット
- 毎月の保険料が安く抑えられる
- 医療の進歩に対応しやすい
- 更新時に保険料が上がってしまう
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事で、さらに詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
がん保険に最低限必要な保障は?【まとめ】
ここまで、がん保険に最低限必要な保障や保険料の目安、注意点などを紹介してきました。
がん保険で最低限必要な保障は「診断給付金」「通院給付金」「手術給付金」の3つで、保険料を抑えながらも基本的な保障を確保できます。
しかし、資産状況や健康リスクによっても本当に必要な保障は異なるため、個人で必要性を判別するのは困難です。
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