がん保険のホルモン治療特約は必要?加入する前に知っておきたい事とは?のサムネイル画像
この記事を読んで欲しい人
  • ホルモン治療特約が必要かどうか迷っている人
  • ホルモン治療について詳しく知りたい人
  • ホルモン治療特約の保障内容を知りたい人
  • すでにがん保険に加入している人
  • 身内ががんにかかり闘病している人
この記事を読んでわかること
  • ホルモン治療がどんな治療かということ
  • ホルモン治療特約の保障内容
  • ホルモン治療特約が必要な人・不要な人
  • ホルモン治療特約が必要なポイント

がん保険の特約の一つ、ホルモン治療特約が必要かどうか疑問に思う人もいるでしょう。ホルモン治療はどんながんに罹患したときに必要になるのか、データを参考に解説します。また、ホルモン治療特約が必要な人、必要でない人の特徴やホルモン治療特約のポイントを解説します。

この記事の目次

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がん保険のホルモン治療特約は必要?データから考えてみる

がん保険のホルモン治療特約は本当に必要かどうか、データから考えてみましょう。


客観的なデータを参考にすることで、必要かどうかの判断の選択肢が広がります。


参考とするデータは、以下の2つです。

  • ホルモン治療にかかる治療費
  • ホルモン治療が行われる割合
すでにがん保険に加入している人、これからがん保険に加入しようとしている人は、このデータを参考にして、がん保険のホルモン治療特約が必要かどうか判断してください。

前提知識:ホルモン治療とは?がん保険のホルモン治療特約とは?

まずは、ホルモン剤治療とはどんな治療なのか、がん保険の治療特約とはどんなものかを解説します。


ホルモン剤治療は、性ホルモンを原因としたがん、例えば、女性は乳がんや子宮体がん、男性は前立腺がんなどに、活性化する部位のがん細胞活動を停止させるために用いられます。


がんのステージによっては、ホルモン剤治療手術など治療法を組み合わせることがあります。


がん保険のホルモン治療特約は、がんの治療を目的としてホルモン治療を受けた場合、ホルモン治療給付金を受け取ることができる保障です。


公的医療保険制度の給付対象となるホルモン剤治療を受けたときだけでなく、保険会社によっては自由診療のホルモン剤治療も給付の対象としているところもあります。

ホルモン治療にかかる治療費は?


最初のデータは、ホルモン治療にかかる費用はどのくらいか、ということです。


がん治療のホルモン剤治療費用は、がんの種類や使用する薬剤によって異なります。


例えば、乳がん。

あるジェネリック医薬品の薬90日分が3割負担で約6,000円、1ヶ月約2,000円となり、年間で約24,000円の計算になります。

5年飲み続けることになれば、約120,000円となり、10年間飲み続けることとなれば約240,000円です。


ひと月で考えると、そう高くは感じないでしょうが5年10年と考えるとそれなりの金額になります。


また、前立腺がんのホルモン剤治療費用は、健康保険適用で約3~6万円と言われています。


がんの種類や薬剤によって治療費用は異なりますが、年間で数万円から数十万円かかるといわれています。

ホルモン治療が行われる割合は?

次のデータは、ホルモン治療が行われる割合です。


抗がん剤治療に比べて、ホルモン治療の副作用は軽いと言われています。


ホルモン治療を用いることができる部位のがんで、再発リスクが低いと予測されるステージにもホルモン療法をすすめる傾向があるようです。


全国の乳がん患者登録調査報告(2017年次)によると、日本でホルモン療法をおこなっている乳がん患者の割合は、ステージ0でも57.0%、ステージ1以上では80%以上ということが明らかになっています。


また、前立腺がんには、ホルモン治療がよく効くことがわかっているため、まずはホルモン剤治療が行われます。

治療は、ホルモン治療の効果がなくなった後に、抗がん剤治療が検討されています。


ホルモン治療は、性ホルモンを原因としてがんに多く用いられていることがわかります。

通院でのホルモン剤治療の場合は入院保障は使えない

今までのがん治療の多くは、入院をともなっていました。


しかし、近年の医療技術の発達で入院をともなわず、通院だけで治療することもできるようになってきました。

ホルモン治療も入院をしなくても通院での治療が可能なものがあります。


経口内服による投与のホルモン治療は、約1ヶ月から3ヶ月分のホルモン剤が処方され飲み続ける治療です。

薬をもらいに通院し、あとは自宅でホルモン剤を飲むので、入院をともないません。


このようなホルモン治療を行った場合、加入中のがん保険が、入院しないと給付金が受け取れない内容であれば保障の対象にはなりません。


ホルモン治療特約は、入院通院に関係なく、ホルモン治療を受ければ保障される特約です。


近年の医療技術に沿ったがんの保障内容を備える必要があります。

ホルモン剤治療特約は抗がん剤治療特約と一緒になっている場合が多い

がんの三大治療は、手術・抗がん剤治療・放射線治療です。


このうち抗がん剤治療は、薬を使った「薬物治療」です。

薬物治療は、使われる薬の種類によって分類されており、ホルモン剤治療も「薬物治療」の一つに分類されます。


抗がん剤治療は、がん細胞の増殖を防ぐための化学療法で、薬が血液を通して全身を巡りながら体内のがん細胞を攻撃します。


ホルモン剤治療は、前述したように薬で体内のホルモンを調節することで、がん細胞の増殖を抑えます。


がん保険では、薬物治療である、抗がん剤・ホルモン剤を使用してがん細胞の増殖を抑える治療にたいして「抗がん剤・ホルモン剤治療特約」とひとまとめで保障していることが多くみられます。

がん保険のホルモン治療特約が必要な人

では次に、がん保険のホルモン治療特約が必要な人はどんな特徴があるか解説します。


次の2つの特徴を持つ人が、ホルモン治療特約が必要な人です。

  • ホルモン治療の保障がないと不安という人
  • 親戚や家族にがん患者がいる人などがんにかかるリスクが高い人
自分が上記特徴に当てはまるか照らし合わせながら、読んでください。

ホルモン治療の保障がないと不安という人

最初の特徴は、ホルモン治療の保障がないと不安な人です。


以下の表は、厚生労働省の「全国がん登録 罹患数・率 報告 2019」ガン部位別罹患数ランキングです。

順位男性女性
1位前立腺乳房
2位大腸大腸
3位
4位
5位肝臓子宮

男性1位の前立腺がん、女性1位の乳房・5位の子宮はホルモン治療が行われるがん部位です。

表には記載はないですが、女性8位の甲状腺にもホルモン治療が行われます。


以上のように、ホルモン治療は罹患数の多いがんに用いられていることがわかります。


万が一、自身がホルモン治療を必要とするがんに罹患するかもしれないと心配になる人もいるでしょう。


ホルモン治療を必要とするがんに罹患することを想定するのであれば、ホルモン治療の保障があったほうが安心ですね。

親戚や家族にがん患者がいる人などがんにかかるリスクが高い人は付けておいた方が無難

親戚や家族にがん患者がいる人などがんにかかるリスクが高い人は、ホルモン治療特約は付帯しておいた方がいいでしょう。


がんの三大治療の一つに、抗がん剤治療があります。


前述しましたが、ホルモン治療特約は「抗がん剤・ホルモン剤治療特約」といったように、抗がん剤治療特約と一緒になっている場合があります。


抗がん剤治療は、がん治療でもよく行われる治療法ですので、治療を受ける可能性が高いです。


親戚や家族にがんに罹患した人がいる場合、自身もがんにかかるリスクは高いでしょう。


その場合、抗がん剤・ホルモン剤治療特約と抱き合わせた特約は保険料が高くなりますが、付帯したおいたほうがより安心です。

がん保険のホルモン治療特約がいらない人

では、逆にがん保険のホルモン治療特約がいらない人はどんな特徴があるか気になりますよね。


それは、ずばり「ホルモン治療特約で保険料が高くなるのが嫌な人」です。


特約を付帯するということは、その分の保険料負担がかかることになりますね。


例えば、45歳女性が、SOMPOひまわり生命の「抗がん剤・ホルモン剤治療特約」を10万円付帯した場合、特約保険料は月々1,420円、20万円を付帯した場合の保険料は2,840円となります。


特約を付帯すれば保険料は当然上がりますし、給付金額をアップすれば、その分保険料もアップします。


よって、ホルモン治療特約で月々の保険料が高くなるのが嫌な人には、ホルモン治療特約は不要です。

がん保険のホルモン治療特約が必要かどうか考える際に見るべきポイント

次に、がん保険のホルモン治療特約が必要かどうか考える際に見るべきポイントを解説します。

ポイントは、次の4つです。

  • ホルモン治療給付金がもらえる最大日数
  • ホルモン治療給付金の最高金額
  • 保障される抗がん剤の種類
  • 抗がん剤治療にも給付金が出るかどうか
ポイント4つを順追って解説するので、ホルモン治療特約が必要かどうか参考にしてください。

ホルモン治療給付金がもらえる最大日数

最初のポイントは、ホルモン治療給付金がもらえる最大日数です。


ホルモン治療特約を付帯するうえで、その保障が最大何回給付されるのか大事です。


以下は、生命保険会社4つのホルモン治療給付金の支払い回数をまとめました。

保険会社回数
メットライフ生命1年に1回通算10回
チューリッヒ生命1か月に1回通算120か月限度
SOMPOひまわり生命 1か月に1回通算120か月限度
はなさく生命1か月に1回無制限

少ないもので通算10回、多いもので無制限があります。


治療が長引くことを想定するのであれば、少しでも給付金が受け取る回数が多いほうが心配はないですね。


ホルモン治療特約が必要かどうかを考える際には、給付金がもらえる最大日数は考慮に入れるべきポイントです。

ホルモン治療給付金の最高金額

次は、ホルモン治療給付金の最高金額です。


先ほどのホルモン治療給付金がもらえる最大日数の項目と同じ保険会社のがん保険で比較しました。

保険会社最高金額
メットライフ生命50万円
チューリッヒ生命5万円/10万円
SOMPOひまわり生命30万円
はなさく生命20万円

4社で比較すると、最大給付金額が50万円を設定する保険会社もあります。


ホルモン治療費用は、がんの部位や症状、お薬も1種類なのか2種類以上を併用するかで大きく変わってきます。


自分がどの部位のがんにかかり、どんなホルモン治療をするか誰にもわかりません。

万が一の状況に備えて、給付金の金額を支払える保険料の範囲内で設定することが大事となります。

保障される抗がん剤の種類

次のポイントは、保障されるホルモン剤の種類がどんなものがあるかです。


保険会社によって、所定のホルモン剤は若干違いがありますが、パンフレットなどを確認すると以下のような記載があります。


対象となるホルモン剤は、

  1. 治療を受けた時点で欧米において承認されたもの
  2. がんを適応症として厚生労働大臣に承認されているもの
  3. 世界保健機関の解剖治療化学分類法による医薬品分類のうちL01(抗悪性腫瘍薬)、L02(内分泌療法)、L03(免疫賦活薬)、L04(免疫抑制薬)、V10(治療用放射性医薬品)に分類されている薬剤

簡単に言うと、国内で承認されているもの・国内で承認されていなくても欧米で承認されているものとなります。


各保険会社の給付条件を確認することが大事ですね。

抗がん剤治療にも給付金が出るかどうか

抗がん剤治療にも給付金が出るかどうかも大きなポイントです。

前述したように、ホルモン治療と抗がん剤治療は、セットになっている保障される場合が多いとお伝えしました。

しかし、中には「ホルモン剤治療保障」という特約名で、給付対象となるホルモン治療を受けた時だけ保障するがん保険もあります。
この場合、抗がん剤治療は対象となりません。

しかし、抗がん剤もホルモン剤も同じ薬物療養で、全身のがんに有効な治療方法です。

1種類、複数以上の薬の組み合わせで、がん細胞を死滅・増殖の抑制を症状の緩和をおこないます。

万が一、がんにかかったときに安心して治療に臨めるように、ホルモン治療だけでなく抗がん剤治療も給付の対象になっている特約が安心ではないでしょうか。

まとめ:がん保険のホルモン治療特約は必要?

がん保険のホルモン治療特約が必要かどうかをテーマに解説してきました。


近年の医療技術の発達にともない、今までのがん三大治療以外の治療方法でも治療が多く施されるようになってきました。


ホルモン治療もそのうちの一つです。

ホルモン治療は、入院をせずに通院だけで治療が可能な場合もあります。


がん保険にホルモン治療特約が必要かどうか、また、必要な場合はどのような保障内容にすればよいか、今回の記事を参考に判断してください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。